[ニーナの仕事は囚人たちの電子のメールの検閲である。
たまに犯罪者仲間が家族を装い連絡してくることがあるので、どんなメールでも目を通さねばならない。
前任者は厳しい男で、少しでも内容に怪しい部分があればメールを差し止めていたようである。また、家族ではないという理由で恋人からのメールも弾かれていた。
他人のプライバシーを覗く。
仕事だから仕方ないのだが、メールを読めば囚人に対しても段々詳しくなってもしまった。
この囚人には誰からもメールが来ないとか、この囚人には恋人と思わしき人物から何度もメールが来る、など…。
保存してある膨大に弾かれたメールが、ある一人の女性からであるとわかれば、その内容が気になってしまうのも同じ女として当たり前かもしれない。
あて先はウォルフという囚人。メールの主はカリュクスという女性。
三年と言う月日の間に届いたメールはどれだけあったか。
二人は家族ではないので、メールは全てウォルフには届いていない。]
(44) 2024/10/23(Wed) 18時頃