人狼議事

23 あの春の廃校だけが僕らの学校だった。


【人】 ラプター ニジノ

[呆然と立ち尽くしていたら、やたら遠くガシャンと杖の倒れる音がした。
 慌てて頬を抓る。痛い。当たり前だ。でもVRの世界でも同じ痛みを感じた。

 ――この世界はどちらだ?]

   …………ゃ、 いやっ、

[身体が小刻みに震え出す。
 あれほど精巧な廃校を再現できるVR技術。この個室だって、再現可能だろう。手に馴染む杖も、握ったスマホも、確かにそこにあるようだが、何より脚の感覚がVR内のそれに近い。

 ――胡蝶の夢。もはや、どうやって現実感を確かめれば良いか分からない。

 腕を掻き毟った。細い赤線が幾筋か、ちりちりと痒いような痛覚。
 首元に手をやった。あのチョーカーも石もない。
 ただ、そこに突き立てられた鋭い――痛みと、鮮血と、灼かれるような、]

   あ、あああぁあ――――!

[絶叫。そのまま昏倒し、胡蝶の夢を漂う。**]

(38) りしあ 2023/04/30(Sun) 22時頃

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