[視線を逸らす様>>37を、微笑ましいと思い乍ら、其の言葉の通りに微笑む。
友人の、此の素直な反応──と、少女は思って居る──が、何れ程自分を安心させて呉れる事か。]
ふふ。然うだったわ。
私、拐われるんだったわね。
[だから、口では然う返しても、怯える事は出来そうに無い。
其れから、心配そうな目線を感じて、ゆっくり頷いた。心配して呉れる彼女に報いる為にも、無理に繋がりそうならば、きちんと表明しようと思う。
然し、意を決して放たれた質問には。少し間を置いてから、首を傾げた。
少女は抑、貨幣価値に明るく無い。船内での払いは部屋に付いて居るので、現状特に困ってないが。通貨の数え方は判っても、物価の相場については多分に不安が残る。]
さあ──幾らなのかしら。
知らないけれど、安くは無さそう。
[さらりと言う。が、自惚れ、とは少し違う。単に、『旦那様』の御好み通りを用意する為に、恐ろしく手間が掛かって来たのを知って居る。
経費として、事前に支払われて居る分も有るだろう。]
真面目に払う事、無いと思うわ。
死んだ私の価値は、相応に下がるでしょうし。
(38) sleepingxalice 2022/05/17(Tue) 02時頃