ははん、お優しいだけじゃなく度胸もある。流石、大きなものを背負う方は器が違う。
[などと多少大げさに宣いながら、箱のうちのひとつをぱくり。そうして空になった小箱はカードに戻ることもなく、ポケットを箱の質量分だけ膨らませる。
腰にくくりつけられた竜革のカードホルダーからカードの束を引っ張り出すと、それこそ手品でも見せるように手元でシャッフルして見せた。
手元のカードの裏面には先程の小箱のカードと同じ魔法陣が金のインクで刻まれ、扇のように広げて見せる表面に、それぞれに異なる絵が描かれて。]
相手さんにわからなけりゃどっちでも構いませんが、僕のは後者の魔法ってやつですよ。
こいつは、まあ、ちょっとしたお近づきの印ってやつですが。火をおこしたり、何かを癒やしたり、はたまた破壊したり……カードの種類は様々でしてね。
必要を売って、そう、同じように使えそうな魔法があれば切れ端を買い取ったりもしてますねぇ。
これなんかいかがです?奇跡の軌跡って、演出魔法なんですがね。空にきれ〜な彗星が流れて、お祝い事の演出には最適ですよ。
[と、一枚引いたカードには青白い彗星が一筋。]
(37) 2022/05/02(Mon) 11時頃