人狼議事

23 あの春の廃校だけが僕らの学校だった。


【人】 ラプター ニジノ

―― 図書室 ――

[扉が閉まる音を聞いてから、ふぅ、と肩を落としてカメラを見上げた。]

 ワカナさーん。サービスショット届いたー?

[空元気の声の最後が闇に溶ける。しん、と静まり返った室内はいつの間にか夜に包まれていた。
 先程まで大和が寝転がっていた机にもう一度腰掛けて、左の靴を脱ぐと、するするとレギンスを捲り上げていく。]

 ……脚の悪い、妹。

 私、大和には怪我の話してなかったか。
 また誤解されたら……解くのめんどい……。

[むしろ誰に話したのか忘れてしまった。ひふみ、と指を立てて、悩んで、思い出せなくて、諦めた。
 痛々しい傷跡が綺麗に消えた左脚。ジャンプの要、羽ばたくための翼。アバターを捏ねて作った理想の自分は加算減算でなく"一年前の自分"。
 彫刻にもなりそうな滑らかな脚線美は踝まで、裸足は無数の血豆と歪み割れた爪が不揃いに並び、誰に見せられたものでもない。けれどこのお世辞にも美しいとは言えない足は、修正なんてしない。
 "願い"を書き換えようかとスマホを起動して、一人の脱落者を知る。**]

(25) 2023/04/24(Mon) 01時半頃

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