─ 昨日/医務室 ─
[欠陥品、と云う言葉>>12に、少女が動じる様子は無かった。別段、良い商品で居たいと思って居る訳でも無い。買い手の望み等、叶わなければ良いとさえ思う。
けれど。此れは態となのだろうと、何処か感じても居た。
逃げたいと思わせたく無いなら。『逃げる』等と云う概念自体、教えなければ良い話なのだから。
其れよりも。唐突に示された、其の宝石が気に為った。
"見"た事の無い、不思議な何か。
良い物か悪い物か、判別がつかない。
問う言葉は、人指し指>>13に封じられ、空気を震わす事は無く。
代わりに彼が続けた言葉を、聞き届けた後。一拍置いて、頷き、微笑んだ。
見返りに出来る物等、何も浮かびはしなかったけれど。一方的に奪うのでも、騙すのでも無い『提案』に、真摯さの様な物を垣間見た、気がした。]
(24) 2022/05/06(Fri) 20時半頃