──今までの人生で、一番多く見た色は何?
もしそう聞かれたら、即答できる自信がある。
白だ。
俺は、白に囲まれて生きてきた。
合宿参加者のみんなには完全にバレちまったけど、俺は身体が弱いなんてもんじゃない。
中学の途中まで、入退院を繰り返すどころか、入院しっ放しみたいな生活を送ってた。
星に興味を持ったのも、比較的調子のいい日に窓際に行って見られるからとか、そんな理由だった。
特に夜は、母さんも父さんも面会時間過ぎたら帰っちゃって、消灯まで暇だったし。
(暇なんて言ってられない体調の日の方が多かったけど)
一年中空調の効いた場所に居た俺にとっては、星たちの変化が季節の変化…みたいなとこもあった。
今思えば、室内の明かりが窓に反射しがちだったし、病院自体の立地も街中だったから、観測条件としては最悪に近かったんだけどな。
それでも、買ってもらった星の本と、実際に微かに見える星明りの位置が一致してることが嬉しくて、ワクワクしてたんだ。
(21) 2023/08/15(Tue) 05時半頃