─地上のどこかの街─
[仕事を片付けながら魔王城へと向かうことにした。溜めてしまうと後が辛い。三日月を半分に割ったような銀の刃が付いた、己の身長ほどもある大鎌を肩に担いで人間の街を歩く。
普段は死神らしく黒ずくめだが、宴に出る以上少しは着飾ろうと、銀糸の刺繍が施された灰色のベストとスラックスを着た。ネクタイは己の瞳と同じ深い赤。シャツだけは普段と同じく黒いままだ。
とはいえ今の自分の姿を見れる者は、この街にはほとんど居ないのだが。]
さて。あまり手間のかからない魂だといいな。
[屋根の上に登り、気配のする方へと屋根伝いに歩く。
今頃、魔王様達は前夜祭の真っ最中だろうか? 仕事でよく往生際の悪い魂を追い掛け回しているので、巻狩りに参加する気にはなれなかったが。天界との境となると、一体どんな獲物を狩ってくるおつもりなのやら。*]
(20) 2021/12/12(Sun) 20時頃