[だが、医療関係者や母親がどれだけ康生を守ろうと、人智を越える力の前ではどうしようもない。初戦の時と同じく、現れたハロに出撃の有無を訊かれた康生は、一も二も無く答えた。]
転送してくれ。 ……いいから。
してくれなきゃ俺、今ここで舌噛んで死んでやる。
[……こんな事を言う子じゃなかった。パイロット二人分の──否。そうでなくとも、命がどれだけ重いかなんて康生は嫌という程解っている筈だ。脅しにしたって、命を持ち出す様な子ではなかった。嫌な予感がする。]
[ハロは康生の希望を聞き入れ、私達はコックピットへと転送された。まともに動けはしないのが考慮されたのだろう、ベッドの上へ直接姿を現す。康生の姿は、酷いものだ。右脚は膝下を、左脚は完全にギブスで固められている。額の傷には包帯が巻かれていた。顔は日にち薬で腫れこそ引いていたが、赤黒い痣があちらこちらに残っている。こんな姿を見せれば、動揺した者も居たかも知れない。]
ケイ……?
[それでも康生は、彼と再会する道を選んだ。自分が居るのがコックピットのベッドだと気付くと、首を巡らせて彼の姿を探した。**]
(7) 2023/11/17(Fri) 01時頃