―現在:美術館前―
[田端は教授の隣にいました。
車に乗って帰ろう、そう言う教授に、自転車での事を説明しながらお茶でも飲みませんか、と宥めていた頃合いだったでしょう。
車に乗り込む手前のところで教授から目を離し、戻したところで教授の姿は消えていました。
そして頭の中に響く声に肩を跳ねさせます。>>0>>1
そして、起きた事態に納得しました。]
……良かったですね、教授。
[差し出しかけた魔法瓶のお茶を、そっと地面に溢します。
どうせすぐに渇いてしまうのでしょう。
次いで聞こえた男の声>>2に、ホッと安堵の息が漏れました。
同時に不安もざわりと胸に湧きますが、それはみなかった事にしましょう。
後輩二人が無事だと分かったのですから。
だから田端はそのまま、美術館の外にあるベンチに座ると空を眺めました。
他の誰かには昼の空が見えているかもしれません。
けれど、田端の目には満点の星空が映っていました。]**
(4) 2023/07/29(Sat) 00時頃