─七尾ちゃんと天体観測会─
その日は久々の登校日だった。
街は壊れて学校もかなり危うくて、それでもできる限りのところを使っていて。
学校もまたきっと、落ち着いたら取り壊してしまうんじゃ無いかなって思う。
そうして、新たな建物になるんだ。
でもきっとそれは悲しいことじゃなくて、喜ばしいこと。再生の証。
そんな日が来ることを願いながら、猫耳ヘルメットを被っての登校だった。
きっと命くんはクマ耳ヘルメット。並んで一緒に登校しよう。
周りの風景は痛々しいし、HRでは別々になっていたのかな。だとしたらすごく寂しいし、だけどそれくらい平気なんだからって笑ってみせる。
途中、見知らぬ男子に呼び止められて告白されたよ。
でも、もちろん断った。
「私は結婚前提にお付き合いしてる人がいます。」ってね。
そしてわたしは足早に立ち去って、命くんのところに逃げるように駆け寄るのだ。
──その人が別の世界線でわたしに何をしたのか、知らないけど、なんとなく怖かったんだもの。
(+10) 2023/08/21(Mon) 02時頃