26 卒業試験の共存試験【R18ペア】
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少
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全
時は来た。村人達は集まり、互いの姿を確認する。
パルックが無残な姿で発見された。
噂は現実だった。血塗られた定めに従う魔物“人狼”は、確かにこの中にいるのだ。
非力な人間が人狼に対抗するため、村人たちは一つのルールを定めた。投票により怪しい者を処刑していこうと。罪のない者を処刑してしまう事もあるだろうが、それも村のためにはやむを得ないと……。
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残り72時間です。
(0) 2023/07/23(Sun) 23時頃
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[ いくらなんでも正当防衛の範疇から外れるだろう抵抗を受けた煙からの質問には沈黙をもって答える。 倒すべき相手に捧げるのは純粋な集中と結果のみでいい。
ほとんど抱きしめる距離で凶刃の狙いを定める。 同時に、項垂れていた彼が振り返り、首を差し伸ばした。
その顔に眼鏡はない。]
(1) 2023/07/24(Mon) 08時半頃
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── …っ!
[ 色硝子を外した真紅の邪眼に捉われる。 吸血鬼特有の凝視能力については学んできていたが、これほど圧倒的な力に直面するのは初めてだった。
全身が鎖で縛られたように重くなる。 それでいて苦痛ではなく、まるで彼のために「待て」を命じられた犬になった気分だ。]
(2) 2023/07/24(Mon) 08時半頃
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[ だてに護衛なしで出歩いているわけではないと納得するが、むろん堪能している場合ではなかった。
抵抗しきれぬなら受け流す──
あえて全身の力を抜き、重力に任せる。 腕の中の煙もろとも倒れ込む中、こちらに向けられた彼の顔がなおも近づくのを見た。]
(3) 2023/07/24(Mon) 08時半頃
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[ 蠱惑的に薄く開いた煙の唇の奥には、玉髄にも似た牙が覗く。 美しいが、それが危険な武器だということを、同じ吸血鬼として認知していた。
反応できるものなら刃を引き戻して顔面を削いでしまいたいところだが、煙の術下にある今は難しい。 とっさに合わせ鏡のように口を開く。
迎え打つつもりはあったのだけれど、それが接吻けという形になったのは彼の狙いどおりだったのだろうか。 だとしたら強引な接吻けだ。 小さな痛みがあって、血が香る。*]
(4) 2023/07/24(Mon) 08時半頃
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[凝視の力が彼を捉え、もろともに床へと倒れ込む。 意図せず押し倒したような形になった。
触れあう直前に開いた彼の唇へ自らの唇を重ねれば、愛し合うもの同士の接吻けのようになる。 彼も本心では望んでいたのではないかと錯覚するほど。
口の端を牙で裂いて血を舐め取れば、朧だった記憶の線が繋がった。]
(5) 2023/07/24(Mon) 10時頃
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[彼もまた唇の中に牙を隠していたのは視認していた。 その牙に舌を押し当てて裂き、滴る血を彼の舌に塗りつける。
一連の動きを素早くやってのけた後、彼の体を突き飛ばすようにして離れ、起き上がった。 痛みを受ければ凝視の効果は途切れるから、まずは距離を離しておきたい。]
ようやく思い出したよ。 前にもこうしたことがあっただろう?
[血を奪い、与えた。 眷属と成すには遙かに少ない量だったが、確かに血を交わした事がある。]
(6) 2023/07/24(Mon) 10時頃
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[かつて、己が領地たる森の中で行き倒れている人間を見つけた。 森に人間が迷い込むこと自体はたまにあったが、これほど城の近くまで来るのは稀で、生きているのはさらに希有だった。
森の狼に追われたのか彼はいくつも怪我を負い、崖下の小さな窪みで身体を丸めて意識を失っているようだった。
このまま放置すれば、狼が彼を喰らうだろう。 それで別に構わなかったのだけれども、ここまでたどり着いた人間に少しだけ興味が湧いた。 彼の口へ自らの血を注ぎ与える。 吸血鬼と化すほどではないが、出血を止めて多少傷を癒やす程度の効果は発揮するだろう。 肌を染める血を掬って舐めたのはほんのついでだ。
その後、彼が城へ来ることもなかったので、すっかり忘れていた。]
(7) 2023/07/24(Mon) 10時頃
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あのときのおまえが同族になっていたとは。 すっかり逞しくなって会いに来てくれて、嬉しいよ。
[目を細めて笑みを浮かべる。 皮肉の気配などまったく無い。*]
(8) 2023/07/24(Mon) 10時頃
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[ 煙は牙以上に舌を用いて口腔を蹂躙してゆく。 筋肉質の粘膜が縺れあい、彼の血を注ぎ込まれた。]
…う、
[ 強い酒にも似た刺激的な血の味が脳裏を灼いて、鼻にかかった呻きが漏れる。 亢進剤を混ぜた血液パックなど比較にならない活力が駆け巡って、体が熱いくらいだ。 なんという年季の入った貴顕の血。中毒性すらありそうな。
敵にこんな糧を与えるなど、煙のあれは事故だったのか ? 狙ってしたように見えたが── ]
(9) 2023/07/24(Mon) 11時半頃
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[ 不意に体にのしかかっていた重しがとれて、動けるようになる。 煙が距離をとり、懐かしげに旧知を語るのを聞いた。]
── そうだった。
[ 話をあわせたのは、彼の油断を誘うための方便だ。 彼の血の味を体が喜んでいるのは感じる。だが、具代的な記憶は汲み出せない。
惑わされるな、と自身に言い聞かせる。 過去に何があったにせよ、所詮、今まで忘れられていた程度の関わりだ。]
(10) 2023/07/24(Mon) 11時半頃
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[ 手にした刃を下ろして、記憶の糸がつながったらしい彼が次にどう出るのか様子を伺う。 どのみち、この間合いでは切先も届かない。
先程の攻撃で仕留められたら、卒業試験はA判定でクリアといったところだったが、さすがにそこまで甘くはなかった。
こちらも吸血鬼だとバレてしまった以上、ハードルは上がったけれど、諦めるという選択肢はない。*]
(11) 2023/07/24(Mon) 11時半頃
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[久闊を叙す言葉に彼が同意する。 それを聞いて、淡く微笑んだ。
かつての彼は意識がなかったし、吸血鬼に変じたならば人間だったときの記憶は朧になることが多い。 覚えているはずがないのだ。
とはいえ、記憶に無くとも身体は別だった。]
今なら分かるよ。 おまえの中に私がいる。
[甘やかに囁いて力を送る。 凝視ではない。攻撃ですらない。 ただ、彼と自身の血を共鳴させた。
通常は血を吸った相手の居場所を探るための業だ。 しかし同族であれば向けられた響きを身体で直接読み取ることができる。 親子の絆を確かめる時にもよく使っていた。]
(12) 2023/07/24(Mon) 12時半頃
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[共鳴を維持しながら、手を広げて彼に歩み寄る。 無防備に、優雅に。
彼に撃たれた傷はまだ開いたまま血を流している。 溢れる血の香は彼への誘いだった。*]
(13) 2023/07/24(Mon) 12時半頃
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[ 煙の宣言と共に、喉の奥から応えるものがある。 やはり先ほどの血は仕込みだったのだ。 とはいえ、痛みや状態不良をもたらすものではなく、ただ、彼の力に共振しているだけのようだった。
そして、似た反応が、より深いところからも出ているのを感じる。]
── …、
[ 確かに、この身は過去にも彼の血を味わったことがあるようだ。 教官たちは知っていてナルミを選んだのだろうか。]
(14) 2023/07/24(Mon) 18時半頃
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[ 微笑を保ったまま、煙は無防備に、むしろ攻撃を誘うような足取りで近づいてくる。 特殊弾を喰らった傷はまだ塞がっておらず、だが、彼は痛苦の片鱗も浮かべてはいなかった。 紫煙に誤魔化されることのない魔血の香りが届いて、眩暈がしそうだ。ごくわずかな量ですらこれほどの影響力をもつ血…。もっと欲しい。]
ならば、おれの中でお眠りなさい。
[ 自分の唇を噛み、薬漬けの血の苦さで中和を試みる。 そして、刃の攻撃をフェイントに、煙の首筋を牙で狙った。 残りすべて、貰い受けると。*]
(15) 2023/07/24(Mon) 18時半頃
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[彼との共鳴に心地良く酔い、距離が縮まるのを身体の奥で感じる。 誘いに応じるよう前に出た彼の言葉を、至福の笑みで受けた。]
眷属の血を享けた者は、
[詩を吟じるように、涼やかな声で言葉を紡ぐ。 瞳を見つめたまま、彼が踏み込むのを視界の端に捉える。]
一度目は友愛。 二度目は信愛。
[切りつける刃を袖を払って迎え撃つ。 闇を凝らせた衣が刃に絡み、固い音を立てた。]
(16) 2023/07/24(Mon) 19時半頃
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[だがなお彼の踏み込みは止まっていない。 ふ、と短く気を吐く。]
三度目には服従を捧げると言う。
[首筋を狙う牙に右腕を差し出す。 食いちぎられそうな力に、血を硬化させて耐えた。 だが最初に溢れた血は彼のものになっただろう。]
おまえは何度目だい?
[砕けそうな痛みを意思で押さえ込んで笑う。]
(17) 2023/07/24(Mon) 19時半頃
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[同じ吸血鬼から血を三度飲めば、相手に服従することになる。 ……というのは単なる伝承だった。 仮に本当なら己などは子らのすべてに服従せねばならないだろう。 ただ、そういう吸血鬼がいるという噂は根強く、実在を匂わせる事例も聞き及んでいる。
いずれにせよ、己との絆を意識させる目的には、伝承の真偽などどうでも良かった。 彼が暗示に掛かりやすい性格ならなお良い。]
私に跪きなさい、愛しい仔。
[支配者然として、泰然と命じる。*]
(18) 2023/07/24(Mon) 19時半頃
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[ 煙は舞うように迎え撃ち、詠うように語った。 狙った首筋は右腕でガードされたが、牙が肉を穿つ感触にいっそ獰猛な気分になる。
血を吸い尽くしてやると豪語したものの、彼はその血を媒介に呪いを紡ぐのだった。]
── …ッ
[ 彼の昔話と体の奥の囁きを信じるなら、過去と、先ほどの接吻けと今回で三度の血を交わしたことになる。
始祖に近い古代種の血が胃の腑で湧き立った。]
(19) 2023/07/24(Mon) 20時頃
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[ 支配に慣れた、だが情愛によって命ずる声に、彼の右腕を咥えたままで膝が落ちる。
── 血の序列に従うべし。
盲目的な服従は《サンシール》において、反射レベルで叩き込まれてきた。 だが、彼は標的でもあるのだ。
びくびくと痙攣する四肢はまだ、この状況を覆そうと敢闘していて、傍から見ればまるで釣られた魚のようだろう。*]
(20) 2023/07/24(Mon) 20時頃
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[彼の体は素直に膝をつく。 そのさまは命令に従順な生まれたての仔にも見えた。 だが右腕に食らいついたままの牙と、抗おうと震える手足に彼の執念を感じる。]
怯えることはないよ。 大人しくおし。
[愛しさのあまり幼仔を諭すように語りかけながら、自らも腰を落とす。 噛まれたままの腕を上げて彼の喉をさらけ出させ、首筋に牙を打ち込んだ。 そのまま、容赦なく血を啜り上げる。*]
(21) 2023/07/24(Mon) 22時半頃
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[ 誰が怯えてなどいるものかと、気持ちは反発するけれど、言い聞かせるような彼の声音に、束縛を重ねられた。 ]
うう…っ
[ 彼は腰をかがめて頭の高さをあわせてきたものの、相変わらずナルミを中途半端に吊り下げられたままに留め置く。
そして、彼の顔が視界から消えた次の瞬間、喉を穿たれた。]
(22) 2023/07/24(Mon) 23時頃
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[ 吸血痕がないことを隠蔽の手段とも組織の誇りともしている《サンシール》の構成員にとって、それは何よりの屈辱となる烙印だ。
わかってやっているわけではなかろうが、彼を消す理由は積み増しされた。]
── ぐ、
[ いいようにされている悔しさに、くぐもった声が漏れるけれど、顔に朱が差すどころか、血を奪われた結果として肌が蒼白になり、知覚のレベルが落ちてゆく。 痛みがあれば、まだそれを支えにもできたろうに、彼の略奪は酩酊に誘うようですらあった。*]
(23) 2023/07/24(Mon) 23時頃
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美味しくない。
[思う様に血を奪っておいて、最初の一声がそれだった。]
なにを飲まされているんだい? 血に妙な苦みがあるよ。
これは、良くない薬だ。
[長く生きている分、いろいなものを口にしてきたけれど、彼の血はまるで毒を混ぜたような味がする。同族に食われないための防衛策ならばまだ良いのだが、嫌な感覚は残った。]
(24) 2023/07/24(Mon) 23時半頃
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[味はともかく、血を飲んだことで受けた傷はかなり回復していた。 まだ銃弾が体内に残っているのが厭わしいけれども。]
おまえは威勢が良いから、少し縛らせてもらうよ。
[彼の髪を撫でて囁き、闇を喚ぶ。 細い縄状になった闇がいくつにも枝分かれして、彼の体を包み込んだ。 そうして束縛しておいて、腕の硬化を解く。]
(25) 2023/07/24(Mon) 23時半頃
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私がおまえから奪った分、好きなだけお飲み。
[彼の中に流れる血を、自分の血で塗り替えたい。 想いの溢れるまま、彼に自らを与える。*]
(26) 2023/07/24(Mon) 23時半頃
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[ 意識が昏くなりかけていたが、美味しくないと聞こえた。 でも飲んだところを見ると粗食にも耐えられるのか、単なる悪食か。 食餌の心配までされては笑えない。
煙が闇を召喚したときは、身を固くしたけれど、どうすることもできはしなかった。 膝立ちのまま縛り上げられて目を閉じる。]
(27) 2023/07/25(Tue) 00時頃
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[ 今は耐えしのぶ時と自分を律していたが、間近で再び香る彼の血に、縛られた体が騒いだ。
三度の血の供与で支配下においたくせに、さらに血を与えようとは、何の目的があってのことか。
彼の血がもたらす活力は経験済みだったし、このままでは回復もままならないのだけれど、易々諾々と従うわけにはいかない。]
(28) 2023/07/25(Tue) 00時頃
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── う…
[ 頭ではそう思うのに、唇に血の滴が落ちてくれば、喉を鳴らしてしまうのだ。
彼を仕留めた暁にこそ本当に好きなだけ飲んでやると誓って、少しだけ、妥協した。*]
(29) 2023/07/25(Tue) 00時頃
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[闇に縛られて、彼は観念したかのように瞼を閉ざす。 だが彼の心はこの程度で折れはしないだろう。
襲ってきた彼の動きは目を瞠るものだった。 肉体だけでなく、感情を律するようにも訓練されている。 己の感覚的にはまだ幼仔といっていい年回りだろうに、暗殺者として申し分無い能力を発揮して見せた。]
おまえには素質があったのだろうね。 それでもこれほど力を蓄えるには、相当鍛錬したのだろう。
私を殺すことがおまえの存在意義だとでも教えられてきたのかい?
[幼仔を短期間で育て上げるには、それくらい強い動機付けが必要だと経験上知っている。 返答は期待していなかったが、躊躇いながらも喉を鳴らす姿を眺めるうちに、自然と彼の過去に思考が向かっていた。]
(30) 2023/07/25(Tue) 01時頃
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私は、真っ直ぐに私を見るおまえの目に心奪われたのだよ。それが殺意であれなんであれ、私を思うものに違いはない。
何度でも言うよ。 私はおまえが欲しい。
[差し向けられた刺客を口説くなど酔狂の極みだと言われそうだが、自分の心に嘘はつけない。 真摯に求めつつも、厳しく仕込まれてきただろう彼が言葉で頷くはずもないと分かっていたから、行動に移ることにした。]
(31) 2023/07/25(Tue) 01時頃
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満足したなら、そろそろ手を放しておくれ。 まずは続きをしようか。
[牙を外すよう促し、彼を横抱きに掬い上げる。 大きなソファまで運び、縛ったままで座らせた。*]
(32) 2023/07/25(Tue) 01時頃
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[ 煙の血はやはり格別で、すぐに体に力が戻り始めるのがわかる。 それがわかっていて、彼は先に拘束したのだろう。
暗殺の経緯について話が及べば、不可避に与えてしまう情報をできるだけ減らすべく、彼が心を奪われたなどという目を閉ざしておく。 動機についてはその通りで、煙もまたその手の人心把握に精通しているかと思われた。 忘れてはならない、彼は一大勢力を築く吸血鬼の長だ。
その彼もさすがに、ナルミが数多の候補者の中で脱落せずにいられたのは、画像データで見た彼と視線があって以来、運命のようなものを感じて懸命に追いかけてきたからだとまでは知るまいが。]
(33) 2023/07/25(Tue) 08時頃
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[ 支配の力が使える以上、暗殺計画についてもっと尋問してくるかと身構えるも、彼の話はおおいに逸れた。
この後に及んで、ナルミのことを気に入っているのだと、 殺意も思慕の一環とは酔狂にもほどがある。
ならばその一途なところをこちらも示すとしよう。]
(34) 2023/07/25(Tue) 08時頃
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[ 噛み裂くようにして彼の腕から牙を外す。
横抱きにされるのは初めてで、いつ落とされるかわからない不安定さを感じたが、縛られた身では、打つ手もたいしてなかった。 代わりに、飲んだ血に対して、その支配力を押さえ込もうと自己暗示を用いる。
すでに自分は吸血鬼だ。 親が誰かすら知らないけれど、血統が上書きされるはずはない。 ゆえに彼の言うことをきく必要はない、殺せ。*]
(35) 2023/07/25(Tue) 08時頃
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んっ……
[彼の牙が腕を裂いて離れる。 不意の痛みに甘く呻いた。
思うようにはさせないという彼の意思の表れと思えば、この傷すら愛しい。]
(36) 2023/07/25(Tue) 09時頃
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[揺らぐこともなく彼をソファに運んで、覆い被さる。 結局、彼はこちらの言葉になにひとつ応えなかった。 目も閉ざしたまま、反応を極力抑えている。 刺客としては賞賛すべき態度だ。
彼はそれをどこまで維持できるだろう。 嬉々として彼のシャツに手を掛け、破り去る。]
スーツを新しく与えるという話だったろう? やはり他も合わせて新しくした方がいい。 まずはすべて脱いでしまおうか。
[お互い口実に過ぎなかった経緯を持ち出して、スラックスにも手を掛けた。 ベルト部分は彼が抜き去っていたから手間は掛からなかったが、やはりこちらも生地を引き裂いてしまう。 彼を縛る闇は、主が望むものだけは易々と通したため、作業を妨げはしない。*]
(37) 2023/07/25(Tue) 09時頃
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[ 室内を移動しただけでナルミの体はソファに降ろされる。 煙はまだ通報するつもりはないようだ。 彼なりの余興を続けたいらしいが、拘束されている以上、進行はより一方的になる。]
そこまでする必要はない…っ
[ 律儀に主張し、蹴ったりもがいたりするのは、協力的だったなどと言われたくないからだ。 靴や身頃にまだ隠してある武器が見つかったところで、今更、説明はいらない。 ]
(38) 2023/07/25(Tue) 20時半頃
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[ むしろ、彼の血が呼び覚ます活力は、いささか強すぎ、動いて発散させなければ制御が難しいほどだ。
彼が勧めたように好き放題に飲むなど、怖くてとても試す気にならなかった。*]
(39) 2023/07/25(Tue) 20時半頃
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[縛られてなお彼は抵抗を見せる。 蹴ったり身を捩らせたりするその動きをも利用して衣服を剥いでいった。 端から見れば協力的だったと言われそうなほど。]
そんなに暴れて。愛しいこと。 おまえの身体に活力が満ちているのが分かるよ。 私の血と相性が良いのだろうね。
[露わにした肌に手を置いて、熱く滾る血の流れを感じる。 脱がせるうち、時折出てくる凶器の類は気にせず適当に投げ捨てたが、袖口から細い鉄の針を見つけて、自身の襟元に飾るように挿した。]
(40) 2023/07/25(Tue) 22時半頃
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[彼をすっかり裸に剥き、一歩離れて鑑賞する。 黒い縄に飾られた白い肌は新雪にも似て、踏み荒らしたい欲を掻き立てられた。]
こんな姿を見せられては、私も自制が難しくなるね。 この先おまえがどうなるか、もっと見たくなる。
[熱帯びた息で唇を濡らし、再び距離を詰めて彼に手を掛けた。 ソファの上でうつ伏せにさせ、背もたれに押しつけるようにして押さえ込む。 足は座面の上で膝を開くように闇で操った。]
(41) 2023/07/25(Tue) 22時半頃
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おまえとの希有な出会いを私がどれほど貴重に思っているか、幾晩をも費やして語りたいけれども、今のおまえに私の言葉は届かないだろう。 だからまず、触れあって確かめることから始めようか。
[囁く唇で背に触れる。 背骨の連なりを舌で辿り、熱の凝る場所を探った。*]
(42) 2023/07/25(Tue) 22時半頃
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[ 素肌に彼の掌を宛てがわれ、これまでと違う感触に気色ばむ。 ぶつかるでも掴むでもない、探るような手の動き。 その下で逸るものがある。
血に相性があるというのか── 煙の言葉を鵜呑みにしかけて、苛立たしげに頭を振る。 信じさせることで支配を正当化しようという魂胆に違いないのだから。
落ち着くためにも的確に人体の急所を狙って踵を落としたりするのだけれど、煙はしゃべりながら攻撃を巧くあしらって、ナルミを武装解除するのだった。 さりげなく戦利品もせしめている。]
(43) 2023/07/25(Tue) 23時半頃
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[ 自分で剥いておいて、自制が難しいとは、とんだ言いがかりだろう。 まして自制する気もないらしく、縛り上げたナルミに屈辱的な姿勢を取らせて眺め、息を逸らせている。]
本気か。
[ 顔を歪めて吐き捨てるが、事前に情報は得ていた。 標的は人種や性別、貴賤を問わず己が臥所に連れ込むと。]
(44) 2023/07/25(Tue) 23時半頃
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[ ゆえに、彼の油断を誘う手段のひとつとしてハニートラップも当然、選択肢にあった。 ナルミとしては、できることならその前の段階でケリをつけたかったところだけれど、ここに至ってはもはや、使えるものは全て使って任務を果たさなければならない。
睦言すら組織の道具であるのだ。]
── … !
[ 肌を這う舌の感触に、唇を噛んで小さく震えた。*]
(45) 2023/07/25(Tue) 23時半頃
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[舌先が触れたところから震えが伝わる。 演技でないとしたら、これはまだ摘まれていない実りだ。 暗殺術の一環として閨での技を教え込まれている可能性もまだあるが、それならそれで楽しめば良い。 とはいえせっかく面白いものを見つけたのだ。使わせてもらおう。]
おまえは針も使うのかい? それとも別の用途かな。
いずれにせよちょうど良い。 おまえに良いことをしてあげるよ。 毒など塗っていないね?
[確認しつつ、押し伏せた彼の髪を掻き上げる。 剥き出しにしたうなじに、ためらいなく針を突き立てた。]
(46) 2023/07/26(Wed) 00時半頃
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[人には危険だとされる経絡だが、吸血鬼ならば問題ないだろう。 ここに針をうつと、四肢から力が抜け、身体に熱が籠もる。 彼のように活の良い子を相手にする時にはちょうどいい。]
私の血を飲んだのだから、感じやすくなっているはずだよ。 初めてだと辛いかもしれないけれども、直に良くなる。
[彼の尻を手で押し広げ、後孔に指先で触れて検分する。 何をするのかもう分かっているようだったから、説明はしない。 代わりに、既に猛り立っているものを押し当てて、存在を知らしめた。
自身の衣は、前を引き開ければあとは肩に掛かるのみだ。]
(47) 2023/07/26(Wed) 00時半頃
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[ 標的とベッドを共にする可能性は計上されていても、煙の性技まで把握できているわけではない。 この状況で針などどうするのか予想がつかなかったが、すぐに自分の体で体験することになった。]
── っ?!
[ うなじを掻き上げる彼の指を感じた直後に体が弛緩する。 金縛りとも麻痺とも違う。 意識も知覚もあるのに、抵抗できない。]
(48) 2023/07/26(Wed) 08時頃
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[なすがままの肢体を検分され、息を詰める。]
いや、 だ
[ 良くなるのは、あなただけだろうと反発するけれど、避けようもない。 これから何をされるか理解はしているし、そうなった場合に備えての訓練も受けている。 あまり思い出したくないが、成果は出そう。*]
(49) 2023/07/26(Wed) 08時頃
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[動きを封じられて、彼の顔色が変わる。 拒絶の言葉も、今は誘いにしか聞こえない。]
おまえがどれほどを知っているか分からないけれども、 今宵はすべてを覆してあげるよ。
[宣言したのち、彼の腰を掴んで引き寄せる。 窄まった門を指で軽くほぐして広げ、そこに逆矛の先端を押し当てた。]
(50) 2023/07/26(Wed) 11時頃
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声は存分に上げるといい。 いくよ。
[声を掛けて、腰を押し進める。 針の効果で筋肉が緩んでいるとはいえ、前戯など無い蹂躙はまさにこじ開けるに等しい。 彼にとっては苦痛でしかないだろう欲望を、奥まで貫き通す。*]
(51) 2023/07/26(Wed) 11時頃
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[ たった一本の針の施術の結果、ナルミの体は否応なく煙の情欲に捧げられてしまう。 ]
…うっ
[ あられもなく暴かれた窄まりを指で弄られて、掠れた息が漏れた。 身動きがとれないというのに、感触はむしろ鋭敏なほどに彼の動きを汲み取る。 それも彼の血の効果らしい。]
(52) 2023/07/26(Wed) 21時半頃
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[ いくよ、と気軽な声をかけて、煙が押し入ってくる。]
ぐ…ッ
[ 弛緩していても、反射で筋肉が締まって、彼の侵攻を阻もうとするのが我ながらいじらしい。 むろん、それでどうなるものでもなく、煙の質量を奥まで突き入れられ、つながれてしまう。 ]
(53) 2023/07/26(Wed) 21時半頃
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[ だが、これしきで降参はしない。 快楽に溺れることなく任務を果たせるようにという指導の下、教官らに幾度となく蹂躙を受けてきた身だ。 驚きも快感も失われ、性交など肉の摩擦だけのことと了見している。
強い血のせいで調子は狂わされているけれど、多少、熱に浮かされたところで、鍛錬の成果が覆るなど信じるものか。
後は、彼が満足して油断するタイミングを待てばいい。 否、待つだけではなく、仕向けるのだ。
彼が促したように声を上げて、切ない表情を作ってみせよう。*]
(54) 2023/07/26(Wed) 21時半頃
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[彼を貫いたときの反応は意外なものだった。 いや、私のために育てられた刺客だと考えれば当然かもれしない。 手ひどく突き入れたものを、彼の内側は柔軟に受け入れる。 上がる声は苦鳴ではなく、甘い声だった。]
慣れているようだね。 たくさんされてきたのかい?
[身体を折り、彼の首筋を唇で啄みながら囁く。 抽挿を繰り返すたびに筋肉が締まるのが愛しい。]
(55) 2023/07/26(Wed) 22時半頃
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その様子では、達かせてもらっていないね? 声に甘さが足りない。
[感じているような顔を作っているが、振りだというのがすぐに分かる。 数多の相手と身体を重ねてきたが、中でも彼の反応は薄いものだった。 犯される切迫感もなく、穿たれる衝撃も無く、快楽に驚きも混乱もせず、もちろん蕩けも狂いもしない。 おそらくはなにも感じないようにと躾けられているに違いない。]
可哀想に。
[零した言葉は、本心からのものだった。]
(56) 2023/07/26(Wed) 22時半頃
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先におまえを達かせてしまおうか。 その方が身体が敏感になるからね。
[それがいいと微笑んで身体を離し、彼を小さな子供にするように抱き上げる。 下ろしたのは、ベッドの上だった。 両腕を束ねて縛り、ヘッドレストに繋いで彼を横倒しにする。 危険の無いように、首筋の針は取り除いてサイドテーブルに置いた。
自らも横になって彼を正面から抱き寄せる。 まずは唇を合わせ、濃密なキスから始めた。*]
(57) 2023/07/26(Wed) 22時半頃
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