14 冷たい校舎村10
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── 回想:チャイムが鳴る前/七星 ──
あーん。
[ 声につられて、 パカっと雛鳥のように口を開ければ。 次の瞬間、口内に優しい甘さが広がった。>>0:577
食べながら喋るのは不得手なので。 もぐもぐと暫くは口を動かして、 懸命にアイスを咀嚼しようとしていた。 飲み込んだら、七星にお礼を言おうと。 ]
(26) 2021/11/07(Sun) 11時頃
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[ 不調のスマホは再起動だな。 うん、再起動は知っているんだ。 以前、教えてもらったから。
だがアイスを食べ終え、七星にありがとうと言う。 そんな僅かな時間でさえ。 背後に迫り来る非日常は待ってくれなかった。
そこからの状況は秒単位で著しく変わる。 教室に飛び込んできた路子、和歌奈、虎次郎。 止まった時間を切り裂くように響いたチャイム。 それに促されるように、 壊れてしまっていたはずの真梛のスマホが ひとつのメッセージを吐き出した。 ]
(27) 2021/11/07(Sun) 11時頃
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[ ごくん。 ]
何やら受信したが。 送信元とメッセージ内容に覚えがない。
これが、すぱむというものだろうか?
[ ようやくアイスを飲み込んで。 鞄から取り出したスマホと共に、 首を傾ける。
そんな呟きに訂正はあったか。 皆、それどころではなかったかもしれない。 ]
(28) 2021/11/07(Sun) 11時頃
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七星、大丈夫か? 体調が悪いようなら、保健室に行こう。
[ まだお礼を言えていない彼女。 求め、視線を彷徨わせれば。 地面に落ちたスマホを気に求めず。 小刻みに震えていた。
その姿はいつかの真梛よりずっと寒そうに見えて。 跳ね除けられることがないようなら、 車椅子を動かし、彼女の身体を暖めるように 両手を伸ばしただろう。 ]*
(29) 2021/11/07(Sun) 11時頃
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─ 回想:春満 ─
[ 何がいけなかったのだろうか?
私が君の言いたい事を理解できなかったからか。 それとも、私が他者を害することでしか 成り立てない存在だからか。
だから君を不快にさせてしまったのか。>>609 ]
(30) 2021/11/07(Sun) 11時半頃
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[ 考えても、答えは出ない。
俺に頼らなくてもいいだろ。
向けられた言葉を飲み込み、噛み砕き。 去る背中に吐き出せたのは、一言だけ。 目を細め、口角を僅かに上げて。 笑みの形を保ったまま告げる。 君に届いたかは、わからないけど。 ]
(31) 2021/11/07(Sun) 11時半頃
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─── 迷惑をかけて、すまなかった。**
(32) 2021/11/07(Sun) 11時半頃
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/* ランダム残留だ!
(-16) 2021/11/07(Sun) 11時半頃
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/* ランダムで残留した人の動きを知りたい こんなところにいられるか! 私は過去ログの奥地へ旅立つぞ!!
実は村が始まる少し前から、 前作のログを参考に読ませて頂いているのですが…… まだ全然読み終わってないんです 読み応えすごひ……
(-17) 2021/11/07(Sun) 11時半頃
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─ 回想:自由素材 ─
[ 不知火真梛は真っ直ぐで正しい。
どうにもそんな認識を抱かれがちだが。 そうだな、せっかくだ。 私が悪い事をした話をしよう。
一緒に帰ろう。 駅前のクレープ屋さんに寄ろう。
そんなクラスメイト達の会話は、 真梛には無関係のものだった。 ]
(33) 2021/11/07(Sun) 12時頃
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お誘いありがとう。とても嬉しい。 しかし父が迎えに来るんだ。
[ 申し訳なさそうに微笑めば。 真梛の言葉と車椅子。 交互に見遣ながら、皆納得して、 ならば仕方ないと。
やがて誘いの言葉は死に絶える。 ]
(34) 2021/11/07(Sun) 12時頃
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[ 駅前のクレープ屋さん。 苺をベースにした何とかましましが美味しいらしい。 しまうまの一種だろうか? 楽しそうにはしゃぐクラスメイトに手を振って。 真梛も帰路につく。
メッセージを送るのは苦手だから。 迎えの合図は、スマホのコール音。 真梛からの着信を受ければ、父が迎えに来る。 わざわざ仕事を抜けてまで。 今日も真梛は誰かに迷惑をかけて生きている。 ]
(35) 2021/11/07(Sun) 12時頃
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[ 校門に着くと、スマホを取り出す。 そろそろ連絡をしないと行けない。
…… なのに思ってしまった。
ここで真梛が一人でも帰宅できると。 父に示す事ができたなら。 物事は良い方に転がるのではないか、と。 ]
(36) 2021/11/07(Sun) 12時頃
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[ 無言でスマホを鞄にしまう。 車輪を道路に滑らせた。
一人で進む道は、広く。 空はどこまでも青く透き通っていた。 小学生でも当たり前のように出来る事を。 真梛は始めて行うのだ。 胸の鼓動が近かったのを、覚えている。
これは真梛が2度目≠ノ行った。 悪い事の話だ。 ]**
(37) 2021/11/07(Sun) 12時頃
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── 回想:それ以外は食べる係 ──
成程。 では、目玉焼きは私が担当しよう。
[ おそらく他愛もない日常会話だった。>>0:523 深く踏み込む事も、広げる事も。 真梛には求められてはいない類の。
…… しかし真梛は残念ながら。 少々空気が読めないきらいがあるので。
たん、と。 動かないはずの足で床を叩き。 ほんの一歩だけ。君との距離を詰める。 ]
(49) 2021/11/07(Sun) 12時半頃
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私の足は動かないが。 手は動くから、卵の殻は割れるんだ。
しかし、それ以外。 潰してもいい料理は、和歌奈だな。
卵焼き。茶碗蒸し。プリン。卵かけご飯 ……
[ 折った指はすぐ足りなくなった。 たくさんあるなと笑って。 ]
(50) 2021/11/07(Sun) 12時半頃
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作れる物が多すぎて。 これでは君ばかり負担になってしまう。
[ 分担を見直す必要がある。
喫茶店メニューに目玉焼きはないし。 そもそも真梛は調理担当ではないが。
真剣な顔で呟くと。 試作メニューをぱくりと口に放り込み。
美味しい、と笑った。 ]*
(51) 2021/11/07(Sun) 12時半頃
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[ これはスパムではない。 何故ならリンクがないから。
…… 七星の推測通り、 理解できたのは5割程度だが。>>45 彼女の身体の震えは、それ以上に雄弁だった。
てきぱきと場をまとめながら、 七星の頭を撫でる路子。>>54 日常を崩さない姿に安堵して。 その横から、自身の存在を伝えるように。 真梛も七星にそっと触れた。
いつか3人で抱き合った体育倉庫を思い出す。 しかし感傷に浸る時間は長くない。 ]
(55) 2021/11/07(Sun) 13時頃
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いまいち状況を把握できていないが。 警察を視野に入れるような事態なのか。
なら一度外に出てみよう。
[ 場所を変えれば、スマホも繋がるかもしれない。 結論付ければ、真梛は教室を出る。 途端、場違いなBGMがはっきりと響く。 それが耳に馴染んだ物だと気付けば少々困惑して。 ]
(56) 2021/11/07(Sun) 13時頃
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[ 残念ながら昇降口は閉じていた。
登校時は確かに開いていた。 誰が施錠したのだろう? いや施錠だけなら、中から開けられるはずだ。
困惑は続く。 職員室に立ち寄ったが、路子のいう通りもぬけの殻で。 鍵の類は得られそうにない。
今度は廊下に面した窓に近寄ると、 グッと指先に力を込める。 ─── 開かない。 ]
(57) 2021/11/07(Sun) 13時頃
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………… 割るか。
[ 次の判断は早かった。 遺書。すなわち人命がかかっている。
何か重量のある物は、と視線を彷徨わせ。 下駄箱に置かれている傘立てを見つける。 近付いて、つるりとした質感を確かめるように そうっと指先を這わせて。
片方は車椅子を操作しないといけない。 何とか片手で持ち上げる事ができないか。 ふんっと、指の先で試してみる。 ]**
(58) 2021/11/07(Sun) 13時頃
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嫌な思いは別にしていない。 むしろ私の方こそ莉希を見誤っていた。
申し訳ない。 複雑な事情に関しては。 もし気が向いたら教えてくれ。
[ そんなやりとりを挟んだなら。>>0:480 それでおしまい。 君の気が向かない限り。 莉希が真梛に浮かべたわだかまり。 明るみに出る事はおそらくない。 ]
(101) 2021/11/07(Sun) 15時半頃
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[ めでたしめでたし。 それで良かったのだろうか?
表面上は、いいや。 内面にしたって、 負の感情を引きずる事はなかったと思う。
楽しかった文化祭。 スマホを向ける許可には>>76 うん。と首肯した後に指を2本立て。 真梛は笑顔を向かべて見せて。
それから、よく似合っていると。 莉希の装いと、 皆の猫耳を揃えた手腕を称えた。 ]
(103) 2021/11/07(Sun) 15時半頃
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[ 演劇部のステージ。 その上で見知った少女が>>78 スポットライトを浴びるのを見れば。 ]
莉希、見たぞ。 舞台の君は、美しいな。
[ 興奮から、ほんのり頬を紅潮させて。 いつかのように両手を取って、大きく振った。 ]
(105) 2021/11/07(Sun) 15時半頃
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[ 前も今も。 君と私の関係に問題はなかった。
だから結局私は、君の事を何も知らないままだ。 ]*
(108) 2021/11/07(Sun) 15時半頃
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/* とてもサンドイッチ!!
(-21) 2021/11/07(Sun) 15時半頃
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── 少し前 ──
悪戯電話を間に受けて通報したことで、 私が警察に叱られるなら。 状況としたらそちらの方がいいだろう。
[ 七星のストップには目を柔く細めて。 何でもないように微笑んでから。>>67 ]
飯尾教諭の連絡先は控えている。 あとは …… アドレス帳から呼び出すだけ、だ。
こらーだな。 ふふ、了解した。
(111) 2021/11/07(Sun) 16時頃
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[ 何かあったら狼も呼ぼう。>>89>>90 狼を呼ぶような何かを。 上手く想像できてはいないのだけど。
そして現在の真梛の電話は圏外のまま。 いまだに警察も飯尾教諭も呼べていない。
狼を呼ぼうかは少しだけ迷ったが。 とりあえず片手で傘立てを掴めば。 後は車椅子のモーターの力を頼ることに。
がったんがったん。 音を立てて、傘立てを引きずりながら、 比較的薄そうな窓に近寄り。
勢いよく叩きつけるべく。 座ったままの少々不自然な体勢で、 傘立てを僅かに浮かせた。 ]**
(112) 2021/11/07(Sun) 16時頃
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/* 電話ではないので悪戯電話と書いたのは私の誤字ですが。 もしやこの女、、、アプリやメールという単語をご存知でない?
(-22) 2021/11/07(Sun) 16時頃
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[ 持ち上げることができたなら。 躊躇うな。 真梛の腕力ではそう長くは支えきれない。 勢いを殺さぬよう振り下ろせば。 あとは重力が味方をしてくれる。 ]
雄火か。 …… 君とて、怪我をする可能性はあるだろう。
[ 時が止まったような空間で。 文化祭のBGMが流れているにもかかわらず。 制止の声はよく響いた。>>129 ]
(162) 2021/11/07(Sun) 19時半頃
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…… いや。そうだな。 君の方が力もあるし運動神経も良い。
うん。任せよう。
[ そのまま当初の目的を果たそうとしたが。 それが子供じみた言動だと気付けば。 大人しく場を任せるべく。 力を抜くと、傘立てに絡めた指を解いた。 ]
(163) 2021/11/07(Sun) 19時半頃
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[ 嗚呼、私は今日も役立たずだ。 ]
(164) 2021/11/07(Sun) 19時半頃
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七星に路子か。
施錠されている形跡はないのに、 入口が開かないんだ。 窓も同様なので、割ろうとしていたところだ。
[ そうして破る役を雄火に託したのなら。 真梛は程なくして合流した二人に対し、 状況を説明する役に回る。>>117>>154 ]*
(165) 2021/11/07(Sun) 19時半頃
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── 回想:幣太郎 ──
幣太郎はいつも当たり前のように 私の車椅子を運んでくれる。
私はそれをありがたいと思っている。
[ それだけでは、足りないんだろうか。>>159 ならば君の博愛精神は素晴らしいな。 そんな話はきっと平行線のまま交わらない。 ]
(168) 2021/11/07(Sun) 19時半頃
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[ 笑い事ではないと口にしながら、 笑みをこぼす姿は、少々ミスマッチで面白い。 ]
そのびっくりしたみんな≠フ中に、 幣太郎は入っているのだろうか?
[ 付け足したのは、ほんの好奇心。 彼が感情を表に出す姿を、 あまり見た覚えがなかったから。 ]
(169) 2021/11/07(Sun) 19時半頃
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クラス委員の議題か ……
ふふ。望むところだが、貴重な議論の時間を 私に割いてしまうのは頂けないな?
心配かけてすまなかった。 以降、気をつける。
[ ─── 線を引かれた。
と感じたのは、真梛の考えすぎだったかもしれない。 戯けた口調は親しみを感じる物だし 彼の表情も柔らかなままだろうから。
ただ何となく、話はこれで終わりだと感じたから。 真梛も笑って会話を閉じた。 ]
(170) 2021/11/07(Sun) 20時頃
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[ これは後日談の更に余談だが、
罰は教師と相談して。 それから1ヶ月ほど昼休みを利用し、 前任が荒れに荒れさせたという、 資料庫の整頓に取り組んで。
埃で死にかけるという得難い経験をした ]**
(171) 2021/11/07(Sun) 20時頃
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/* 幣太郎くんの婚約者の唯さん 好みですね!
(-28) 2021/11/07(Sun) 21時頃
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[ 窓際での一幕、その合間。 遺書かどうかまだわからないメッセージ。>>1 合間、制服のポケットから取り出して。 一文を指の腹でなぞってみる。
立ち続けるのに疲れるというのは、 どんな気分なのだろう? ]
(255) 2021/11/08(Mon) 00時頃
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[ 不知火 真梛が行った悪い事。>>37 その1度目≠ヘ、
・・・ 歩いて、道路に飛び出した事だった。 ]
(256) 2021/11/08(Mon) 00時頃
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[ 少し前からその兆しはあったらしい。
皆がその日を待ち望んでくれていた 記念すべき日に。
齢一歳に満たなかった不知火真梛に下された診断は 脊髄完全損傷で。
彼女を庇った母親は、即死だった。 ]
(257) 2021/11/08(Mon) 00時頃
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[ 真梛が乗せられたベビーカーのベルトは、 正規の手順で締められていたはずなのに。
あれは不良品だった。 いや。母親が締め忘れたのだ。
事故でベビーカーが破損してしまった事も 不幸の一つだった。 互いに主張し合えば、メーカー側との争いは平行線。 いまだに結論は出ていない。
裁判が長引く度に、 ただでさえ片親で子供四人を養うため、 朝早くから深夜まで働いている父。 その疲労は増していく。 ]
(258) 2021/11/08(Mon) 00時頃
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[ でも止めるわけにはいかなかった。 莫大な賠償金がかかっているのだから。 妻の死を食い物にしていると、陰口を叩かれようとも。
真梛の身体とこれからの生活を維持する為に、 それは必要なお金だった。 ]
(259) 2021/11/08(Mon) 00時頃
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[ お前のせいで妻を、母を失ったのだと。
家族から責められた事は一度もない。 父も兄も本当に出来た人達だ。 私も彼らのように真っ直ぐな人間でありたいと思う。
だから真梛は可哀想ではない。 いつだって可哀想なのは、真梛の周囲の人達だ。 ]
(260) 2021/11/08(Mon) 00時頃
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[ …… だからつい思ってしまった 私さえいなくなれば、全て丸く収まって。
この世界の歯車は、 もう少し美しく回るのではないかと。 ]
(261) 2021/11/08(Mon) 00時頃
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[ 2度目≠フ悪い事をした日。
期待と緊張を伴い、初めて一人で進んだ道の先。 交通量の多い交差点の前で、 信号が変わるのを待ちながら。 このまま前に進んだら、と。 不意に訪れたより良い未来の可能性。 示唆する声に、真梛は慌てて首を横に振る。
嗚呼、駄目だ。それは駄目だ。 事故で死ぬのは迷惑がかかる。 それは ─── 身を持って知っているだろう?
そうだ。死ぬなら、飛び降りがいい。 そこに深い理由なんてないけれど。 高いところから地面を蹴って、 不必要な自分が、この世界からいなくなるのは、 なぁ。どんな気持ちがするだろうな? ]
(262) 2021/11/08(Mon) 00時頃
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[ しかし階段の上は、真梛にとって遠かった。 何ともままならないと苦笑する。 結局未来は、甘美な夢物語のまま。
そんなことを考えていたものだから。 信号が赤から青へ色を変えても、 車椅子は暫く止まったままだった。 ]*
(263) 2021/11/08(Mon) 00時頃
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怪我はないか? 雄火でも破れないなら私では到底無理だったな。 お疲れ様だ。 路子の言う通り、他の方法を探すとしよう。
[ 傷一つ無い表面に、自身の顔を映すと。 真梛は次の場所へ行こうと決める。
…… どこへだろう? 愚問だった。 外に出られない以上。 真梛の居場所は、一階にしかない。 ]
(264) 2021/11/08(Mon) 00時頃
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雄火、路子、七星。 どういった状況かわからない。 くれぐれも気を付けてくれ。
不安ならあまり一人にならない方がいいだろう。
[ そう告げる、硝子に映った不知火真梛は 常のように微笑んでいて。 窓からくるりと背を向ければ、 そのまま振り返ることなく車椅子を走らせた。 ]**
(265) 2021/11/08(Mon) 00時頃
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[ ─── 優しいなあ。>>305
飲み込まれてしまった言葉は聞こえない。 真梛が反応できるのは届いた言葉に対してだけ。
それで良かったのかもしれない。 そこにどんな意図を孕んでいたにせよ。 真梛では否定しか返せなかっただろうから。 ]
君の目に私がそう映っているのなら。 とても嬉しいな、和歌奈。
[ 告げる唇にほんのり笑みを漂わせて。 何かを隠すように、真梛は静かに瞳を伏せた。 ]
(337) 2021/11/08(Mon) 20時頃
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[ 一歩だけ詰めた距離。
しかしその間には、どれだけ開きがあるだろう?
真梛は彼女を和歌奈≠ニ名前で呼び。 彼女は真梛を不知火ちゃん≠ニ苗字で呼ぶ。
呼び方一つ揃っていない。 思い出すのは、いつかの帰り道。 青信号を進む歩行者の中で。 君と私だけが取り残された。 ]
(338) 2021/11/08(Mon) 20時頃
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和歌奈。君も今帰りか。
[ 指摘されなければ、何事もなかったように。 周囲に倣って横断歩道を進んだろう。 しかし和歌奈の口調はからりとしたものなのに。 真梛のイレギュラーを見逃さなかった。
そう捉えしまったのは、真梛の後ろめたさの 現れだったかもしれないが。 つい言い訳めいた言葉を並べてしまったのは。 修行不足だと言わざるおえない。 ]
(339) 2021/11/08(Mon) 20時頃
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うん。はじめてだ。
普段は車で送迎されているんだ。 しかし、私も登下校くらいできるのだと。 今日はつい反骨心芽生えさせてしまってな。
[ しかし、結局疲れてしまって、 信号の前で少し休んでしまったんだ。 これでは他の通行人にも迷惑だ。 我ながら情けないな。
畳みかけるように、言葉を重ねた後。 ]
(340) 2021/11/08(Mon) 20時頃
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…… だから今日が初めてで、最後だ。 明日からはまた送迎を頼むとしよう。
ふふ。 君達は毎日、立って歩いているんだな。
[ 和歌奈はえらいなぁ。 そう言って笑いながら飛ばした手は、 褒める対象の後頭部を目指している。
しかし座っている真梛では、届かない。 君から距離を詰めて貰えないと、 ── 触れない。 ]
(341) 2021/11/08(Mon) 20時頃
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目玉焼きは練習しておく。 食べたくなったら呼んで欲しい。
[ ひたすらに空が青かった日。 交差点の雑踏の中で。 私の手は、君の頭に届いただろうか? 試食メニューを噛み砕きながら、 あの日の記憶も共に咀嚼しようと試みる。
…… 目玉焼きをリクエストされる日が来るなんて 真梛とて本気で思ってはいない。
しかし練習はするのだろう。 そこに深い意味を見出すこともなく。 単に、不知火真梛とはそう言う人間だから。 ]
(342) 2021/11/08(Mon) 20時頃
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うん、美味しい。 これは文化祭成功させないとな、和歌奈。
[ にこにこ笑いながら名を呼べば、 彼女も不知火ちゃんと返してくれるだろう。 今まで通り、これからもずっと。
それでよかった。 縮まったように見えたとしても、 他者との心の距離なんて、実際には測れない。
だから真梛は、意識の端で思うだけ。 ]
(343) 2021/11/08(Mon) 20時頃
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[ 誰のことも苗字で呼ぶ君と。 誰のことも名前で呼ぶ私。
果たしてそこに差はあったのだろうか。 ]**
(344) 2021/11/08(Mon) 20時頃
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/* 和歌奈ちゃんホストで忙しいでしょ! ほどほどになさいね! と言う気持ちと。 構ってくれてわーーーーいな気持ちのせめぎ合い
(-39) 2021/11/08(Mon) 20時頃
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/* 外で遊べない子だったから子供の頃はテレビっ子で 子役だった莉希ちゃんに憧れてた
と言う設定をさっき思いついた 流石に今からは遅いな……???
(-40) 2021/11/08(Mon) 20時頃
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[ よもつへぐい。 ─── 黄泉竈食ひ。
なんて単語を思い出したのは。
空腹と甘い香りの誘惑に負けた真梛が、 出店に並んでいたチョコバナナに ぱくとかぶりついてからだ。 ]
(383) 2021/11/08(Mon) 22時頃
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[ …… 食べてしまったものは仕方ない。
ふふっ。君は罪な果実だと。 もぐもぐと栗鼠のように頬袋を膨らませて、 声を出さずに真梛は笑う。
・・・・・・ 本当の文化祭では、 目前で売り切れて買えなかったから。
もし今目の前に広がる光景が 誰かの心残りで成り立っているのなら。 真梛の望みは達成したぞ。 よし!解散!! ]
(385) 2021/11/08(Mon) 22時頃
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…… とは、いかないよなぁ。
[ こくんと喉を鳴らせば。 飲み込んだバナナはどこに行っただろう?
遺書の主は自分ではない。 自分は立って疲れない。
そうでなくとも、あのメッセージの送り主は 心残りなんて求める必要はなかったはずだ。 ]
(386) 2021/11/08(Mon) 22時頃
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[ バナナを差していた棒。 ゴミはゴミ箱と彷徨っていれば、 どこかのクラスが行った お化け屋敷の前を通過する。 そういえば。少し入ってみたかったんだ。 ただ、中は暗いし、狭いから。 車椅子は断られて ─── ]
(387) 2021/11/08(Mon) 22時頃
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君はすごいなぁ。
[ ぽつり。 落とした言葉は、賑やかなBGMに溶けていく。
顔も知らないメッセージの主。 誰の耳にも届かないのを良いことに。 その行いを称賛する。 思いのほか、心残りがあった真梛と違って。 ]
(388) 2021/11/08(Mon) 22時頃
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立派に、やり遂げたのだから。
[ だから疲れてしまったのか?
なんて問いに、答える声はない。 ]**
(389) 2021/11/08(Mon) 22時頃
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/* 遺書をだいぶ誤読している気がする…! 逆の意味で読んでしまった 頭回ってないな、ごめんなさいー!
(-47) 2021/11/08(Mon) 23時頃
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/* 自分のロルを脳内から消去するだけのお仕事!
(-49) 2021/11/08(Mon) 23時頃
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