10 冷たい校舎村9
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でも、柊の居場所は本当にないんだろうか? いつも人で溢れているじゃないか 本当に、その好きな人たちの傍にしか 居場所というものは存在しないのか?
[ 炭蔵のような堅物よりも、 もっと近しい存在が大勢居るような気がする。
……噫、これは例えばの話であって、 本当のことじゃなかったんだったか。
パンケーキに添えるには、 少し重たいトッピングではあったな。 *]
(162) 2021/06/12(Sat) 18時半頃
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なぁに。
[鳩羽くん>>150に呼び止められて、わたしは振り返った。 鳩羽くんの頭からタオルがなくなって、 泣いてる顔、見えちゃった。
でもわたしは目を逸らすことなく、 鳩羽くんがいつもみたいに深呼吸するのを見ている。 一回、二回。癖なのかな。落ち着くのかも。 待つ間、向井くんみたいだなぁってわたしは思った。]
……。
[鳩羽くん>>151が笑ったからわたしはちょっぴり驚いて、 さっきまでの笑顔が一瞬なくなっちゃう。 細めがちな目を開いて、瞬きをひとつ、ふたつ。]
(163) 2021/06/12(Sat) 18時半頃
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うん。
[わたしはわたしがやりたいことやっただけだから、 お礼にどう返していいのか分からなくて、 明日の約束だけに返事をした。
鳩羽くんの足元を見る。 廊下は寒いから移動した方がいいかなとか考えたけど、 今はもう少し、鳩羽くんの側にいてあげてね。 タオルはたっぷりあるし、 鳩羽くんが毛布も持って来てくれたみたいだから。
わたしは心の中で向井くんにお願いした。]
(164) 2021/06/12(Sat) 18時半頃
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[歩き出す前にタオルの端と端をどうにか引っ張って、 わたしも顔を隠すタオルを取り払う。 お互いを覆いがなくなって、鳩羽くんがよく見えた。]
泣いてる顔も、悪くなかったよ。
[やっぱりわたし、寄り添うの得意じゃない。
鳩羽くんが悩んでること、何も力になれてないし、 笑わないと落ち着かないって言ってた人に 伝えることじゃないかも。
でも、わたしがそう思ったから。 善悪じゃない「悪くない」をわたしは鳩羽くんに贈る。]
(165) 2021/06/12(Sat) 18時半頃
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これ、ちょっとだけ借りるね。 ありがとう。すごくあったかい。
[驚きに外れた笑顔も戻して、これって袖を振って見せて。 今度こそわたしは歩き出す。]
また明日。
[この笑顔は嘘じゃないよ。 だってわたしは、鳩羽くんと会える明日を信じてる。 信じたいと、心から思っている。]*
(166) 2021/06/12(Sat) 18時半頃
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夜笑国 メイは、メモを貼った。
2021/06/12(Sat) 18時半頃
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── 現在・病院 ──
……ただいま。 いろいろ……うん、いろいろ。 外の空気、やっと吸えたな。
[ 最後の一文に関しては「よかったね」って、 そういうニュアンスだったんだけれど、 隣の九重にはなんのこっちゃわからないだろう。 まあいい。九重もそんなことは言わない。
そこまで口数の多いタイプではないし、 口を開けばよくわからないオカルト話の、 ちょっと不思議な女子……と思ってたけど、 精神世界について教えてくれたのも、 さっきのメールも、意外と面倒見いいんだなって、 慎一は静かに印象をアップデートしたところ。]
(+26) 2021/06/12(Sat) 18時半頃
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……九重も、番代も、 すごいことなってたから、焦った。
[ いろいろの断片を持ち出しながら、 慎一はあの校舎でのことを振り返る。
どちらも先に見つけた誰かが、 親切に張り紙をしてくれていたから、 「焦った」くらいで済んだ。感謝してる。
それで……世界の持ち主についての件、 「わかんなかった」って番代は言う。>>+25]
(+27) 2021/06/12(Sat) 18時半頃
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……うん。 でも、誰かに、 気づいてほしかったのかなって。 あの、いろいろさ。
[ 校舎に散らばったカッターナイフ。 誰かにとってはため息さえも、 手がかりになっていたとは知らないけど。
さすがに、後になって結び付けた点と点を、 勝手に人前で繋げてみせることはしないが、
でも、そういうことだったのかもしれない。 あの校舎が純粋に文化祭じゃなかった意味。]
(+28) 2021/06/12(Sat) 18時半頃
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で、問2。 それが誰かを答えなさい。って?
そんな問題が出たら、俺、 白紙で出して落ちたんだろうなあ。
……誰か合格してくれればいいんだけど。
[ 番代から出てきたたとえ話。>>+25
慎一は現代文も苦手だし、 200文字書いてる間に気が滅入る。
冗談めいた形で語ってみたって、 目の前の現実は何ひとつ変わらない。]
(+29) 2021/06/12(Sat) 18時半頃
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[ 夜のお菓子パーティー。女の子の秘密。 あの状況下で開かれていたと知ったら、 女子って強いなあって思っただろうが、 男の子の慎一がそれを知ることはない。
とにかく、慎一はもう現実にいて、 いつもどおりではない悲しい出来事が、 動くこともなく目の前に横たわっている。
だから、ベンチには腰掛けないままも、 その隣に立ってぼんやりと、 上着のファスナーを指先でなぞってた。*]
(+30) 2021/06/12(Sat) 18時半頃
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/* す、すみくらいいやつ〜〜〜〜 えーーちょっと泣いちゃう
(-35) 2021/06/12(Sat) 18時半頃
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/* 今日だけで多分10回くらい泣いてる
(-36) 2021/06/12(Sat) 19時頃
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あー、ごめんごめん。 慰めて欲しい感じなら言い直すけど。
[普段ならそれくらいは気が回るんだけど>>105 どうも今はあんまり嘘もつけないみたい。 黒沢も笑ってくれたから、気分は害してないと思いたいけど]
……ん、オッケ。 じゃあ毛布取りに行こうか。
[さっきまで話してたクラスメイトに カーテンってのは気が引けるのかもしれない。 そこまで考えつかなかったあたり、 俺の気遣いってどっか薄っぺらいんだよな。
黒沢と綿見って何となくあんまり 仲良くない印象あったけど いつの間にか仲直りしたんだろうか。 ともあれちょっと心配だったので保健室まで付き添うことにした。]
(167) 2021/06/12(Sat) 19時半頃
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…………うん。
[歩きながら相槌を打ったものの。>>107
そんな俺もどっちかっつーと綿見寄りっていうか さっきまで試してみたら どうなるのかなって考えてたなんて言えない。 ハンカチ巻いた手首を後ろ手に隠したりしつつ 礼には気にしなくていいよって笑って首を横に振る。
少し前のチャイムが、何だかもうだいぶ前みたいだ。 調理室を出て、保健室で毛布を失敬して その足でまた調理室まで逆戻り。
黒沢が見かけだけでも平気そうだったら さっき廊下で見たマネキンのこと…… 多分向井かな、って話もしながら廊下を歩く。]
(168) 2021/06/12(Sat) 19時半頃
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……俺、思ったんだけどさあ。
綿見ちゃんがもしまじで 自殺してみたんだとしても 絶望してとか、そういうのじゃない気がすんだよね。
[だってさっき会った時だって、 別に死にそうな感じじゃなかったじゃん。
いやそんなこと言えるほど綿見のこと知らないって 言ってしまえばそうかもしれないんだけど、 それ聞いてるとちょっと俺と思考似てるからさ。
ゆるーく低空飛行しながら ままならなさに折り合いをつけて生きてる感じ。 あんまり激情に駆られて死にそうなイメージないんだよね。 もしかしたらそう思いたいだけかもしれないけど。]
(169) 2021/06/12(Sat) 19時半頃
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ここの世界の主が殺したってことも ないんじゃないかな〜って、今は思ってるよ。 だって、どう考えたってこれ めっちゃ俺達のこと大事にしてんだもん。
[立ち止まって一面に貼られた写真を眺める。 色んな写真があるけど、どれもこれも楽しそうだった。
寂しくて、取り込もうとしてる。 昨日炭蔵に話した通りそんな可能性も考えてたけどさあ、 だったら首を裂いたり包丁で刺したり そんな物騒な殺し方するかなあ?って思うわけだよ。
そもそも呼ばれてきた約10人の中に、 あんな悪趣味な光景見て喜ぶ人いる? 俺は居ないんじゃないかなって思う。]
(170) 2021/06/12(Sat) 19時半頃
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それこそ死んだらここから 脱出できるんじゃないかなって ワンチャンかけて、の方が まだ有り得るのかなって思って。
[それで、結果としてどうなったかはやっぱり分かんない。
でも黒沢が悲しむ要素は ちょっとでも少ない方がいいかなって思って 俺はそんな風に言った。 今度は合格点を貰えたかな。*]
(171) 2021/06/12(Sat) 19時半頃
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── 涙の落ちる廊下・メイ ──
[ぐしゃぐしゃに撫でられたこと、 俺だって、嬉しかったんだぜ。>>159
褒められたりすんのは、慣れないし>>3:70 メイみたいにさ、>>3:132 頭を撫でてくれる母親は俺には居なかったから。
あ、でも親に撫でて欲しいって話じゃあなくて 愛情ゆえに頭を叩くねーちゃんは居るから それは満たされているんで、オカマイナク。
………ま、嬉しかったんだ、って 俺がこれから伝える「ありがとう」で メイに伝われば、いいんだけど、さ。 ]
(172) 2021/06/12(Sat) 19時半頃
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………………
[けどさ。こっちからもメイの顔が見えてさ>>165 メイから善悪じゃあない『悪くない』を聞いた時 なんて返すのが正解なのか、判んなかった。
いつもの鳩羽憐ならどうやって返したっけ? それすら、ちょっと判んなかった。
『 じゃあ良いって言えよ! 』 『 だろ?イケメンだからな!! 』 『 あっ惚れた?泣き顔に惚れた? 』
茶化した言葉、ぜーんぶ出てこなくって、 やっぱり、「日常」がどっかいっちゃったなあって。]
(173) 2021/06/12(Sat) 19時半頃
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………うん。
[だからその時返した「うん」は 自分でも、よくわからない返事になってた。 でも、もう、泣かなかったよ。
嬉しくてちょっと泣きそうだったけど ]
(174) 2021/06/12(Sat) 19時半頃
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[交わした「また明日」に手を挙げて見送る ひと回りもふた周りも大きいコートは、 昔のアニメに出てくる車掌みたいだったけど
この晴れない雲を突き抜けて、 月の見える世界に行けるんだとしたら 涙の聞こえない世界に行けるなら、さ
俺じゃなくてもいいからさ、 悩んでるやつ、連れてってあげてよ、
──── な。 ]*
(175) 2021/06/12(Sat) 19時半頃
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── 現在:廊下 ──
[ 鳩羽の後ろには、暮石の姿も見えた。>>124 視線を感じるが、前髪で目元は隠れていて きっと表情は読み取れなかっただろう。
ただ、先程まで教室に居なかった彼女の姿を見て 炭蔵は安堵していた。── 代わりに、 大凡の推測が脳裏に過ぎる。 ]
(176) 2021/06/12(Sat) 19時半頃
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[メイを見送ったあともさ、 俺しばらくずっと廊下にいたけど。 そんときさ、ユーガは教室から出てきてたかな>>104 それともどこか一度離れてから、 いつかまた、戻ってきたりしてただろうか。
もし姿を見かけるなら、 「ちょっと話す?」なんて声かけるかもだけど
昨日の俺とはまたすこしちがって、 今度は目を真っ赤に腫らした顔をみて、 ユーガがどう思ったのかは、わかんねえ。 ]*
(177) 2021/06/12(Sat) 19時半頃
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[ まず一歩。 廊下へと踏み出せば、辺り一面に 文化祭の時の写真が貼り出されている。 しかも、3-9のものしか見当たらない。
ここまで来ると、圧巻だった。 一枚ずつ思い出を辿るように眺めてゆけば 炭蔵は一枚の写真を手に取った。
暮石と同じく炭蔵が正面を向いて映っているのも、 全員が揃っている打ち上げの時の一枚だけだ。 ]
(178) 2021/06/12(Sat) 19時半頃
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[ この中の一人が欠ける。 それは、宮内府の人事差し替えとは異なり 替えのきかないものだと言うのに。 それは、炭蔵にとっては困ることだった。
ここまで来てようやく、 無自覚に自分の世界かもしれないという仮説は 炭蔵の中では崩れていた。
自信を持って言えるだろう。 此処は自分の世界ではない。 最初から、メールの文面的にも 自分には似つかわしくないものだと思っていたが。 ]
(179) 2021/06/12(Sat) 19時半頃
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[ 物思いに耽っていると、 暮石と鳩羽が毛布とタオルを抱えて歩く姿をみる。 遠目に、何かしている様子は分かるが、 この距離からでははっきりとはわからない。
炭蔵は、ゆっくりと、それでも着実に そのマネキンの方へと近づいてゆく。 ]
(180) 2021/06/12(Sat) 19時半頃
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架空惑星 レンは、メモを貼った。
2021/06/12(Sat) 19時半頃
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[ 辿り着けば、既にタオルと毛布で包まれた 何か≠ェ其処にはあった。 暮石も鳩羽は、もうそこから離れていただろうか?
辺りはまだ湿っていて、 廊下のあり得ない場所に 水溜りがあったことを想像させる。
中身を確認するのは炭蔵の義務なので、 九重、番代と同じように、 ぐるぐると巻かれたタオルを捲り、 誰であるのかを確認する。 ]
(181) 2021/06/12(Sat) 19時半頃
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なんだ、向井か
[ 炭蔵より5cmほど大きい筈の、 縮こまって小さくなった向井だった。 暮石と鳩羽が綺麗に拭いてくれたお陰だろうか。 首元に傷があるのが、探らずとも見えた。 ]
……がんばったんだな
[ 労うように濡れた髪を軽く撫でる。
その傷跡がまるで、溺れて息ができなくて 踠き苦しんだ後のようだと、炭蔵は思った。 必死に爪を立てて、耐えようとした、 向井なりの抵抗だったんだろう。 ]
(182) 2021/06/12(Sat) 19時半頃
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[ でも、そうだな。 炭蔵は流石にもう気付いている。 マネキンになった人たちの世界ではないことを。
だから、向井の世界じゃなかったことを喜ぼう。 それに鳩羽とは違うから、 この海の中に一雫追加することもない。
そうして、そっとタオルを元に戻していた。 *]
(183) 2021/06/12(Sat) 19時半頃
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/* >>181 ああああ、ユーガごめんんんいる・・・!!!
(-37) 2021/06/12(Sat) 19時半頃
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