10 冷たい校舎村9
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── 病院外 ──
シン!
[そうして病院の外の自販機に、 シンの姿が見えたなら、きっと駆け寄ると思う
よかった、無事だった。って。 へらっと笑った顔は、いつかの夏のように 心底嬉しそうな、顔をして。 ]*
(+61) 2021/06/14(Mon) 20時頃
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架空惑星 レンは、メモを貼った。
2021/06/14(Mon) 20時頃
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/* 乃絵ちゃんがクレープ食べてくれるの嬉しうれし。 そして鍵はかけていた方が面白かったかもしれませんね……? 校舎のことは乃絵ちゃんに委ねた方が楽しい。おぼえました。
(-42) 2021/06/14(Mon) 20時頃
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── 現在・病院前 ──
[ いつもみたいにおどけてみたって、 目の前に横たわる笑えない現実は変わらない。
子どもみたいに「ずるい」と言って、 変なところで胸を張った番代に、>>+10 慎一は笑っていられたんだけど。
場を離れてひとり、 冷え込む空気に晒されながら、 自販機を見上げるころにはなんだか、 もう、全然。ちっとも笑えなかった。]
(+62) 2021/06/14(Mon) 20時半頃
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[ 暗がりにぼんやり光る箱の前。 自販機のラインナップを上から眺めて、 財布の中の小銭の合計を数えて──、
……そう。たとえば、なんだけど。 校舎に迷い込んで間もないころ、 「慣れちゃった」と言った黒沢に、 もし慎一が「そっか」以外を言えてたら。
……あったか〜いカフェオレ。 缶入りのそれを見つけてボタンを押す。 がこんって音がして缶が落下してくる。]
(+63) 2021/06/14(Mon) 20時半頃
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[ 落第生の反省部屋。 そういう言い方ができるのは、 慎一にその自覚があるからだ。
これからはもっとちゃんとやる。 もう少しがんばってみたいと思う。 表向きは前向きな言葉を並べてみても、
今、この瞬間、胸の内側にあるのは、 「むなしい」だか「くやしい」だか、 あのとき視界に確かに存在したものに、 慎一は手を伸ばさなかった、という自覚。
……仕方ないと思っていたんだけどなあ。 慎一は自分のことで手一杯なんだから。 人の助けになれればどんなにいいかと夢見ても、 慎一の腕はいつもふさがってる。だから仕方ない。]
(+64) 2021/06/14(Mon) 20時半頃
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[ 他人の面倒を見るなんて、 慎一にはまだまだ早かったみたい。
でも、ほら。 少しずつ自分との付き合い方を学んだみたいに、 いつかはそれもできるようになるかもしれない。
今はまだ早かっただけ。 みんなより少し歩みはゆっくりでも、 ちゃんと前には進んでるからえらい。 そのうちきっとできるようになるから。
そう言い聞かせるようにしてきたんだけど、 正しくて、前向きな考えのつもりなんだけど、 慎一は今、どうしようもなく悲しい。
……つめた〜いコーラ。片隅に追いやられてた。 またボタンをひとつ押す。ガコンと音がする。]
(+65) 2021/06/14(Mon) 20時半頃
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[ ……いつか、じゃダメだった。 慎一はもうあの校舎には戻れない。 せっかく慎一のことも招いてくれたのに。]
(+66) 2021/06/14(Mon) 20時半頃
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[ ……あったか〜いミルクティー。 缶じゃなくてペットボトルのやつ。
慎一は缶飲料のあの飲み口の感触がどうも苦手で、 だから、缶が多いコーヒーよりダンゼン紅茶派。 今もそれを探してボタンを押す。これでみっつめ。
取り出し口はぎゅうぎゅうだろうなあって、 しゃがみ込んで、手を突っ込んで、まさぐって。
……ああ、取り出しにくいったらない。 全然引っ張り出せなくて、泣けてくるくらい。
「くそ」ってひとりごちながら、 一つひとつ順番にパズルみたいに取り出してく。 もどかしくって、涙が出てくる。ばかみたいだ。]
(+67) 2021/06/14(Mon) 20時半頃
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[ できることなら慎一は、 今すぐあの校舎まで飛んで帰って、 なにか、なにか言いたい。分不相応でも。 あの手首を、全然痛まない程度に握って、 一緒に帰ろうってここまで引っ張ってきちゃいたい。]
(+68) 2021/06/14(Mon) 20時半頃
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[ ……気づくのも遅いんだよなあ。慎一ってば。 手の届く小さな範囲に抱くくやしさも、>>2:272 「言えよ!」って叫びたくなる気持ちも。>>3:561
どれも遅すぎたので、雑の飲み物を取り出しながら、 ただひたすら、もう一度目の前に立ってほしいと思う。 慎一の視界にも入るとこに。両手を広げて届く距離に。]
(+69) 2021/06/14(Mon) 20時半頃
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[ ……ごめん、綿見。 もう少し頭を冷やしてから戻るね。 カフェオレ、ちょっと冷めるかもしれない。 番代は──、コーラが爆発したらごめん。
そんなことを考えながら、 ぼうっとひとりで自販機の前に突っ立ってた。 たぶん、少しの間。両手に飲み物を抱えて。]
(+70) 2021/06/14(Mon) 20時半頃
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[ ひとりでいるのはさみしい。 ラクなはずなのに、楽しくない。 そのうえ時にはひどく気が滅入る。]
(+71) 2021/06/14(Mon) 20時半頃
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[ ──なので、 そのとき声をかけてくれてよかった。>>+61
いつだって慎一はそう思ってる。 馬鹿げた量の買い出しのときも、 非日常めいた校舎の中、日常ぶってみたときも、 それから今、ひたすら自販機の灯りを眺めてたときも。]
(+72) 2021/06/14(Mon) 20時半頃
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── 現在・病院外 ──
……えっ、うわ、わっ、
[ ほとんど意識が内側に向いてたものだから、 慎一は唐突にかけられた声に驚いて、>>+61 落としそうになった飲み物のバランスを取ったとこ。
一瞬、ぽかんみたいな顔をして、 まじまじと10秒くらいは見慣れたその顔を見つめた。
いつもと変わらない顔。いつかみたいな笑顔。 混線しかけた脳内がゆっくりと整理されて、 帰ってきたのか、というところにやっと行き着く。]
(+73) 2021/06/14(Mon) 20時半頃
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──レン?
[ その瞬間、あの世界がどうなったとか、 いろんなこといったん全部さておいて、 慎一もつられたように笑う。いつもみたいに。
なんていうか──、 君の笑顔にはそうさせる何かがあるよね。 とは、慎一は口に出しては言わなかったが、]
……レン、おかえり。帰ってきたんだな。
[ 顔が見れて安心した。 ……ってのは隠しきれやしないだろう。]
(+74) 2021/06/14(Mon) 20時半頃
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で、その傷……、 またチャイム、鳴ったんだ。
[ 顔についてる真新しい傷のこと。 うすうす原因に想像はつくんだけれど、 そういうことだろうなと思いつつ聞いたりして。
中にほかのメンバーも来ていること、 それから、黒沢の母親がそこにいることも、 タイミングをみて伝えられるといい。*]
(+75) 2021/06/14(Mon) 20時半頃
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/* ちょうどソロル書き終わって落とすかー! くらいのタイミングだったので、書き足してこんな形に……
(-43) 2021/06/14(Mon) 21時頃
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── 3F階段前の教室 ──
[ 大丈夫と告げていたのを信じていたが、>>76 やはり目の前にすると落ち着かないようだった。 少しでも暮石の感情を逃がすことの 手助けになっているのなら、よかった。>>79
それから、暮石には どうにも弱みを握られてしまうものだ。>>80 けれど、ふたりとも同じ顔を しているんだから、おあいこだ。
泣き笑う暮石につられて、 俺も人差し指を口元に添えて笑っていた。 ]
(91) 2021/06/14(Mon) 21時頃
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[ 廊下に出れば、雪に埋もれた柊を発掘する。>>82 ごちゃごちゃと五月蠅く飾られた鳩羽の横に、 柊が寄り添うように置こう。
歪な顔をしたふたりが並ぶ。 暮石が声をかけるのを横目に、 俺は、何時間も前のことを思い返していた。 ]
……約束は忘れてないからな
[ ふたりと交わした約束を叶えるため、 俺は暮石と共に衣装部屋を後にする。 ]
(92) 2021/06/14(Mon) 21時頃
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── 3Fの果てへ ──
[ 鳩羽と柊を見つけることができた。 残すはあと一人。 俺たちの心当たりのある人だ。
暮石の言葉に、頷く。>>84 まともな作戦会議はできなくとも、 向かうべき場所は、同じだ。
俺ひとりで背負わなくてもいい。 心強い味方が隣に、未来にいる。 ]
……もしも、変なことを口走っていたら 構わず俺の背中を叩いてくれ
[ そうだ、果てに辿り着く直前。 作戦会議ならぬお願いを、暮石にしておこう。 ]
(93) 2021/06/14(Mon) 21時頃
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[ ─── ようやく、ご対面だ。
三階、一番端の教室。 音楽室に黒沢は居た。>>88
振り返る彼女は微笑んでいて、 それから自ら話し始めるのを静かに聞いていた。 俺にとっては、その光景は異様に見えたが 隣にいる暮石にはどう見えただろう。]
黒沢、探したぞ
[ 俺の第一声はこれだ。 こんな端っこにいるのは骨が折れたぞ。 ]
(94) 2021/06/14(Mon) 21時頃
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[ それから、 ]
この髪型、似合ってるか?
[ 幼く見えると言われた前髪を示す。>>78 仲間はずれの前髪の端を、 暮石がしたように自分でも流してみせる。
ご機嫌になっているともつゆしらず、 どうだ?なんて、黒沢にも同じ質問を。 ]
(95) 2021/06/14(Mon) 21時頃
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[ それから、 ]
そのクレープはどうした?
[ なんて、手に持っているクレープを指摘する。 ほら、確かクレープは完売だった筈だ。 女子が夜中に何をしていたのかなんて、 俺は全く知らなかったから。 ]
(96) 2021/06/14(Mon) 21時頃
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[ それから、 ]
……黒沢が言いたいのはそれだけか?
[ 頭を下げる黒沢を見て>>90、俺の眸は薄くなる。 俺が知りたいのは、そんなことじゃない。>>89 俺はあの日≠ゥら今までずっと、 黒沢の嘘に乗っかっているんだ。>>0:817
黒沢からのSOSを、ずっと、ずっと待っていた。 ]
(97) 2021/06/14(Mon) 21時頃
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[ 俺は、無意識の内にだろうか。
まだ絆創膏が貼られたままの、 左手首を握り締めていた。 *]
(98) 2021/06/14(Mon) 21時頃
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── 病院外・シン ──
[持ち過ぎじゃあなかろうか。>>+73 コーラにカフェオレ、ミルクティー。 つめた〜いもあったか〜いも抱えたシンが 自動販売機の前で、ぼんやりしてた>>+72 ]
あっごめ
[俺の声かけはシンにとっては 今日もイレギュラーだっただろうか。 荷物を取り落としそうになったシンにさ ごめん、って思わず声をかけた。
それからぽかんとした顔をしてさ、 こっちをじーって見つめるわけ。 ]
(+76) 2021/06/14(Mon) 21時頃
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[レン?ってシンが呼んでくれて>>+74 ああ、なんか理解してくれたんだな、って シンの中でなんか繋がったんだな、って それがわかっちゃって、うれしくって。 ]
おう。ただいま。
[多分いまはさ、 こんなウキウキした状況じゃあ決して無いんだけど。 でも目の前のシンは少なくともずぶ濡れじゃなくて マネキンなんかじゃなくて、息を吸える人間で。
だから、嬉しかったんだ、笑わせてくれよ。 ]
(+77) 2021/06/14(Mon) 21時頃
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傷… あ、そう、そうだった、痛ッ
[忘れてた。 車の中ではすっかり大事な話に気を取られてたし ノエの話聞いてからはそれどころじゃなかった 忘れてたけど、痛いんだった。]
(+78) 2021/06/14(Mon) 21時頃
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飲み物…… パシリ?
[中に居るであろう人物を思い浮かべる。 ひとみと、トシミと、マナと、リツ…… かな それにしては本数が少ないけど。
リツは自分で買いに来そう。 トシミはこういうの頼まなさそう。 ……ああなるほどなって勝手に理解したころには、 中に居たメンバーの話はきっと聞けたはず。 ]
(+79) 2021/06/14(Mon) 21時頃
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ユキも。帰ってきてるよ。 さっき電話した。
[残ってるのはユーガと、メイ。そしてノエ。 ってのは別にシンには言わなくても判るかな。]
中、入る? それともちょっとどっかで話す?
[あ、でもそれ持ってかないと、 女子たちに怒られちまうのかな。どうだろ。]
(+80) 2021/06/14(Mon) 21時頃
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