14 冷たい校舎村10
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猫耳……。
[の、片方。
文化祭の時、全員分作りたいと主張した平塚さんと激論を繰り広げて、 結局作らせてしまったのが懐かしい。 我らの予算が存分に注ぎ込まれて作られた、貴重な品である。]
なんだよ、すごいロマンチックなこと言うね。 ……誰かが卵に閉じ込めたのか? あの時の思い出を。
[>>68卵の中にあの日の教室が入っていたと、 そう表現されれば、そう思えてくるから不思議だ。 合っているのかどうかは、この校舎を作り上げた主のみが知るのだろうか。]
(97) 2021/11/11(Thu) 22時半頃
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[そうして雄火と別れて手洗い場を後にした時、 俺はチャイムの音を聞く。
チャイムの音で思い出すのは、 虎次郎が消えて、マネキンが増えた昨夜のこと。 まさか、と思うには十分だった。
心なしか早足で、廊下を進んでいく。*]
(98) 2021/11/11(Thu) 22時半頃
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今日は朝練、できそうにねーな。
[高校入学からほぼ欠かすことのなかったルーティーン。 今は、できそうにもない。]
同じところに、運んでやるか。ハル、悪ぃけど、手伝ってくんね?
(99) 2021/11/11(Thu) 22時半頃
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―― 望月病院 ――
[ お父さんは、車を病院の正面入口の前じゃなくて、 夜間入口の近くに停めてくれた。 あたしはありがとうってお礼を言って、 トートバッグを持って車を降りる。 お財布とかハンカチとか、 ラップに包んだ焼きおにぎりとか お味噌汁の入ったスープポットとかが入ってる。 スマホはすぐに気づけるようにコートのポケットの中だ。 帰る時は迎えに来るから連絡しなさいって言う父に、 あたしはもう一回ありがとうを言った ]
日食君。
[ 夜間入口を入ってすぐ、 自販機コーナーに日食君がいた。 思わずあたし、大きな声を出しそうになって、 慌てて口をふさぐ。 いけないいけない。ここは夜の病院だ ]
(+14) 2021/11/11(Thu) 23時頃
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[ メッセージは届いてたんだからさ、 無事なのはわかってた。 あたしだって、あの世界で死んだけど、 こうやって生きてるんだし。 だけどやっぱり無事な姿を見ると安心するね。 おかえりって言ってくれる日食君に、 あたしはうんって頷いた ]
日食君も。無事でよかった。 日食君、マネキンになってたんだよ。 あたしと路子ちゃんで運んであげたんだから。 感謝しろよな!
[ 血まみれになって云々はさすがに言わないけど、 恩はしっかり売る! 両手に花だったんだんだから! 意識はなかっただろうけど! そしたら、ジュース奢ればいい?なんて 自販機の方を向こうとするから慌てた ]
(+15) 2021/11/11(Thu) 23時頃
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なんでそーなるっ! ……そーだなあ。日食君といえば猫じゃん。 和歌奈ちゃんさ、きっとすぐ退院ってわけには いかないよね。 きっと退屈するだろうからさ、 選りすぐりの猫写真、グルチャに流してよ。 あたしも見るし。
[ 小6のあの日、飛び降りようかって言ったあたしを ひめちゃんは止めた。 飛び降りだと、あたしの生死を コントロールできなかったからだ。 飛び降りだと死ぬってひめちゃんは考えたんだろう。
和歌奈ちゃんは、望高の屋上から飛び降りた ]
(+16) 2021/11/11(Thu) 23時頃
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[ ……そーゆーことは今は考えない!! 和歌奈ちゃんは、ひとりじゃない。 ひとりじゃないから、大丈夫のはず。 みんなが一緒に連れて帰ってきてくれるはず。 なにしろあそこには、 「持ってる」路子ちゃんだっているんだし ]
(+17) 2021/11/11(Thu) 23時頃
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[ あたしはあの世界を夢だったとは思ってないし、 日食君もそうみたいだった。 こうやって話が通じるのが何よりの証拠 ]
……さて。先生来てるんだよね? 和歌奈ちゃんのご家族とか。 挨拶してくるよ。 日食君はまだしばらくここにいるの? なら、誰か来るかもしれないし、出迎えよろしく!
[ あたしはそう言って、病院の奥へと足を進めた ]*
(+18) 2021/11/11(Thu) 23時頃
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七星拳 ナツミは、メモを貼った。
2021/11/11(Thu) 23時頃
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─── 少し前、猫耳を発見した時に ───
閉じ込めて何がしてーのか。 けれど、ハッキリしたな。
[普通の人にとっちゃあ、ただの猫耳。 オレ達にとっちゃあ、思い出深い品。 こんなオカルトちっくな局面で、猫耳なんて不釣り合いなもんだしてくるんだから、間違いない。]
やっぱ、オレ達の中にいんだな。 この場所を作ったやつってのが。
[それが誰なのかは未だに分かんねーけど。]
(100) 2021/11/11(Thu) 23時頃
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/* わーい!真梛ちゃん見つけてくれてありがとー!
(-22) 2021/11/11(Thu) 23時頃
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少し、ほっとした。
(101) 2021/11/11(Thu) 23時頃
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[平塚さんのマネキンが体育館に。 夏見さんのマネキンが屋上の扉の前に。
——という情報を、不知火さんから聞いた。>>76]
(102) 2021/11/11(Thu) 23時頃
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そっか、わかった。
[廊下でばったり出会って、一通り必要なことを聞いた後、 少し動揺しながらも、事態を飲み込んで返事を返す。
やはり彼女は行動力が高い。 文化祭準備期間の失踪事件を思い出す。 足が不自由だから歯痒いのだろう、なんて、 勝手な思い込みを押し付けてた自分の甘さを改めて実感する。
今回は、帰れなくなっていなくて良かった。 突如現れたエレベーターのおかげでもあるのだろうか。]
(103) 2021/11/11(Thu) 23時頃
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屋上まで行ってくれたんだな。 ……なんというか、
[どうしてエレベーターが設置されたのだろう。 その理由を探すとやはり、不知火さんのためではないかという考えがよぎり、 もしかして彼女が——と、思ってしまえば、 言葉がどことなく濁ってしまう。]
探してくれて、ありがとう。
[感謝の言葉と、かつて勝手に心配したことへの罪悪感。 それらが混じったまま、教えられた場所に向かう。]
(104) 2021/11/11(Thu) 23時頃
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[>>100雄火と話して確信を深めたけれど、 この世界の主がこの中にいるのなら、 それは不知火さんかもしれなくて。
そうじゃないとしたら、おそらく、 不知火さんにも自由に校舎を動き回って欲しかったと、 そう思う誰かが、いる……?]
(105) 2021/11/11(Thu) 23時頃
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[手近なエレベーターに乗った。 俺は、学校の校舎を移動するなら階段で駆け上がったほうが早いと思っている。 両足が満足な者の、当たり前の思い上がり。
だから、待っている間はもどかしかった。 ランプを見上げれば、よくわからない猫のマークがついている。 ああ、俺たちの思い出にはどうにも猫の気配が濃い。
>>16エレベーターに乗れば、猫のようなボタンは気になるものの、 まず目指すのは不知火さんに教えてもらった屋上の場所。
やがて、音を立ててエレベーターは到着するだろう。 >>89そこに先客がいたかどうかは、扉が開くまでわからない。*]
(106) 2021/11/11(Thu) 23時頃
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── 体育館に向かう前 ──
[平塚を降ろすのを請け負えば、 真梛に謝られ、軽く息を吐きだした。>>84]
……んな、謝ることかよ。 やりたくてもできないってことくらい見りゃわかる。
わかった、体育館だな。
[微かなひっかかりを感じながら 俺は車椅子の横を通り過ぎ。 体育館に向かって歩き出そうとした、のだけど。]
(107) 2021/11/11(Thu) 23時半頃
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[聞こえた声に、思わず足を止めた。>>85]
……はぁ?
[何言ってるんだ? 怪訝な顔を隠さずに振り返り。 まじまじと見た真梛の笑う顔はいつもと違っていて。 こいつもそういう顔もするんだな、なんて ここにきて新しい発見をした気分になりながら。]
そんな、今更なこと謝らなくても…… っていうか、いつもみたいにへらへら笑って、 礼言ってたのはどうしたんだ。
[口にしてようやくそれが、 さっきひっかかったことだと気づく。]
(108) 2021/11/11(Thu) 23時半頃
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迷惑とか、今更なんだよ。 何を反省してるのか知らないけど、 それ反省する方向を間違ってるんじゃね。
[あの時、教室の喧騒に紛れてしまい>>1:32 聞きとることが出来なかったから。 俺はその真梛の態度に眉を顰めて、再び背を向けた。]
(109) 2021/11/11(Thu) 23時半頃
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平塚は、虎次郎んとこ連れてくつもり。 みんなに知らせんのは……頼んだ。
[任せた、と言いかけて。 少しだけ言い方を変えてから。 校舎へ引き返す車椅子と別れようか。*]
(110) 2021/11/11(Thu) 23時半頃
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/* あっ(何かに気付いた顔)
(-23) 2021/11/11(Thu) 23時半頃
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わかるわ……私だって寂しいし……、 それに、いくらマネキンとはいえ、 寒そうなところにひとりぼっちにしておくのはねえ。
[そう、いくらマネキンといえ、だ。>>93 ただ、和歌奈はあくまでだれそれのマネキン、と呼ぶけれど、 彼女はちゃんと名前で呼ぶ。 そういうところも優しいと思うなあ。
その微笑み>>94が心配で崩れないようになんとかしたい。 具体的には素早くやるべし――]
(111) 2021/11/11(Thu) 23時半頃
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わたし [そう、平塚莉希が死んでも ママは悲しまない。
天野莉希の死を、悲しむだけ。 だってそういう人なのだから。]
(+19) 2021/11/11(Thu) 23時半頃
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―― 屋上の扉の前 ――
[とはいえ、いざマネキンと向き合ってみれば、 思うところの一つや二つ、出てくるわけで]
ふふ、二人きりになれたね夏見ちゃん。
[ついでに二人きりならば、 意味ありげな笑みも隠さない。 とはいえ数秒も経てば引っ込めたが]
あのさ、ごめんね。 実は……夏見ちゃんがこの世界を作ったかもしれない、って、 私、ちょっと思ってたんだ。 ほんとにちょっとだけだよ。
(112) 2021/11/11(Thu) 23時半頃
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わたし [ 平塚莉希は 貴女の どこにいますか? ]
(+20) 2021/11/11(Thu) 23時半頃
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[文化祭が終わって春が近づくにつれ、 どんどん憂鬱になっていった。 進学するにしたって、ママが納得するところに しか行かせてくれない。 レッスンやオーディションだって再開する心算 だろう。
……また雁字搦めの生活に戻る?
ううん、この三年間だって、 糸は絡まったままだったよ。]
(+21) 2021/11/11(Thu) 23時半頃
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[ まるで操り人形のように ]
(+22) 2021/11/12(Fri) 00時頃
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……進路の話をした時のことを思い出すとさあ、 ひょっとしてその可能性はゼロじゃないかも、 なんて思っちゃって。
[実はお互いに気持ちを隠してたとか、>>2:351 あの時夏見七星に対して的外れなことを言ってたとか。 もちろん知らない。 だから、いずれこの疑惑が杞憂であるかどうか確かめたかったけれど、 そうするべき相手は、どうやら、 この世界のどこにもいないらしい]
正直、今はほっとしてるよ。ちゃんと。
[ふと小声で漏らされた言葉の本当のところは、 どこまでも自分本位だ。 普通の日常に帰るという理由を盾にして、 夏見ちゃんのココロを引っ掻き回す機会も、 その誘惑につられる機会も、なくってよかった]
(113) 2021/11/12(Fri) 00時頃
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/* はっ、落とす度に出ていたパスワードが脆弱ですがついにでなくなった!!!やった!!! 〆ロル落とす時もめちゃくちゃ邪魔だったんだあれ!!!
(-24) 2021/11/12(Fri) 00時頃
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[やりたいけど、やりたくないことだ、こんなの。 こんなことをしても、私の「このメンバーで何がしたいか」が解決されると思えない。 墨鳥くんとの昨夜のやりとりでも、そっちを考えないでよかった。
誘惑に抗えるかどうかはまた別の話だけど。 我ながらため息のひとつも出るというもの]
(114) 2021/11/12(Fri) 00時頃
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