10 冷たい校舎村9
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[鳩羽が電話に出るまで、たっぷり数十秒はかかったと思う。>>+24 一緒に帰って来てるって確信してた筈の俺だけど、 コール音を聞いてるうちにだんだん自信なくなってさ、
え?あいつまさかワンチャン帰り損ねてる? 失敗してそのまま逝ってたりしない? なんて頭に過り始めたころだったから、
スマホ越しに痛え、なんて 呑気な声が聞こえたときは やっぱりちょっとだけ安心した。]
(+28) 2021/06/14(Mon) 12時頃
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[ それから、暮石の疑問に小さく笑う。>>40 ]
あまり主張をしてこなかった暮石が言うんだ まさか狼少女だと思うことがあるか?
……それに、心当たりがない訳じゃない
[ まだ拾ったカッターナイフはあっただろうか? もし消えていないのならば、 ポケットから取り出して見せようとするだろう。
ないのなら? 自分で傷つけた左手首を暮石に見せる。 暮石のひっかかっていたことはわからないが、 黒沢の癖ぐらい気づいていただろう? ── と、言わんばかりに。 ]
(46) 2021/06/14(Mon) 12時頃
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無事無事。 五体満足で帰って来てますよーっと。
[とはいえ夢の中で飛び降りなんてしたせいか、 ちょっと重めの筋肉痛の時みたいに 全身の関節がじんわり痛い。 動けないほどじゃないけどさ。
口振り的にまだメッセージは 見てないようだったから 簡単に俺の口から説明する。
精神世界と閉ざされた校舎のこと。 黒沢が自殺未遂を試みて、病院に運ばれたこと。 それに、容体はあまり芳しくないこと。]
(+29) 2021/06/14(Mon) 12時頃
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[ そして髪留めの件については、 教室にあるらしい。>>42
そうだな、やっぱり辞めると言い出す前にと、 俺たちは自分たちの城である教室へと向かった。* ]
(47) 2021/06/14(Mon) 12時頃
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[ 教室にたどり着いた頃、 カッターナイフの無くなった綺麗な廊下に、 扉の外に靴跡が残されているのが見えた。>>4:496 ]
なあ、暮石 ……これは、多分そうだよな
[ そう≠ニいうのは、マネキンを示唆する。 暮石はそれを見た時、どんな顔をしていただろうか。 俺はちらりと表情を盗み見ようと視線を向けていた。
本当は、今すぐにでも辿りたかったが、 当初の目的の髪留めを先に回収しよう。 そう提案をして、教室の中へ踏み込んだ。 ]
(48) 2021/06/14(Mon) 12時頃
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[鳩羽と世界の主の正体誰だみたいな話は そういや(悪ふざけを除いて)しなかったけど 彼も何となく気付いていたんだろうか。 しんみりとした口調からは読み取れない。>>+25]
――……うん。
[頷いた後一拍前を置いて、少し迷って口を開く。 デリケートな話だけど、こんな事態だしいいかな。 いいよね。それに鳩羽だし。]
(+30) 2021/06/14(Mon) 12時頃
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副会長さあ、 見限られるのが怖いんだって言ってた。 見捨てられないように、頑張って、親切にして、 みんなのことを気にかけて、頑張らなきゃいけないんだって。
そう命令されてるからって。
[そうして頑張って頑張って、 ある日限界が来てしまった。
死ぬのが怖いって言ってたんだよ。 リスカは死ぬためのものじゃないって言った癖に、 自分でも死ぬつもりなんてなかった癖に、 それでも耐えられなくなってしまったんだ。]
(+31) 2021/06/14(Mon) 12時頃
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[ きっと、暮石が髪留めを探している間、 俺は黒板に並ぶ寄せ書きを眺めていた。 廊下に貼り出されている写真のように まるで卒業アルバムの裏表紙のように 思い出の一部に、感じていた。 ただ、文字の内容は物騒なものが多いけど。
辿るように文字を読んでいれば、 ふと、増えているものに気づいた。 ]
───…… 鳩羽の字だ
[ やたらと目立つ文字。>>4:497 教室にマネキンはない。 と、言うことは。外にあった靴跡は──…… ]
(49) 2021/06/14(Mon) 12時頃
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行こう、暮石 多分あの足跡の先に、鳩羽がいる気がする
[ 髪留めは見つかっただろうか? 足跡を辿るように3階へと向かおう。* ]
(50) 2021/06/14(Mon) 12時半頃
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[掌を握りしめる。 写真がぐしゃりと乾いた音を立てた]
………クソだよ。そんなん。 奴隷や所有物じゃないんだぞ。 俺、許せない。
[世界の主の正体を知って、俺の胸に過るのは。
虚しさでも悔しさでも、悲しさでもない。 どうしようもない怒りだ。]
(+32) 2021/06/14(Mon) 12時半頃
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[ともあれ、九重が教えてくれた病院名を告げれば 鳩羽はその足で向かうようだ。]
他の奴にはまだ連絡とってないからわっかんないけど…… 少なくとも九重ちゃんは無事。 この内容全員に送ってるみたいだから、 向かってる奴もいるんじゃないかな。
[なんて話をする。 俺もこのまま朝が来るまで じっとしてるつもりもなかった。
取り合えずまた後で、って告げて そのまま電話を切ろうとしたけれど]
(+33) 2021/06/14(Mon) 12時半頃
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[続いた言葉に瞬きをする。>>+27 ふ、と口元を緩ませて息を吐いた。]
……ただいま。レンもお帰り。 そんで、これからもよろしく。
[やがて来る「明日」を共にする悪友に向けて。 ちょっとだけ畏まった挨拶と共に笑った**]
(+34) 2021/06/14(Mon) 12時半頃
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── 電話・ユキ ──
[電話の向こうで語られるのは、 あっちの世界の話、ノエのこと。
なんでノエが、とかさ。 未だに俺は、思っちゃうの。 そんだけ深い話、してこなかったんだなあって。
だけど一拍置いて、語られたのは、 ノエの、悩み、デリケートな部分。>>+31 ……鳩羽だし、って前置かれたのはさ、 俺ユキに信頼されてる、っていう意味で いいのかな、それとも違うのかな>>+30]
(+35) 2021/06/14(Mon) 14時頃
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………はぁ?誰に。
[多分全部聞いたときのさ、その声音は トシミの人形、見つけたときと同じだったはず だからユキがこの声を間近で聞くのは、二回目。
………誰に。なんて。 話の文脈で、だいたい絞られるけど。 親か、それともいじめでも遭ってんのか。]
(+36) 2021/06/14(Mon) 14時頃
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うん。
[許せない、の声には、即答で同意を返す>>+32
死にたくなかったのに。 追い詰められて、耐えられなくて。 頭ン中があんなんになるまで、限界になるまで。 そこまで追い詰めたやつを、許せるわけなんてねえだろ]
(+37) 2021/06/14(Mon) 14時頃
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俺さあ、あん中にいる時 世界の主もなんか解決策を見出して 「死にたくなくなればいいなあ」なんて すげえ悠長にさ、考えてたと思う。
明日を一緒に生きれたらさ、 一緒に飯でも食うか、くらいの。
そんだけ、死ぬって、 自分から遠いことで、他人事だった
(+38) 2021/06/14(Mon) 14時頃
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そんなん、耐えらんなくて当然じゃん そんなん、酷すぎんだろ
そんなことが、現実で起きてるとかさ 全然、想像すらできなかったんだなって、
[言葉を切る。 ノエを追いやったやつへの怒りだけじゃない。 非日常から帰ってきたっていうのにさ、 相変わらず日常らしからぬ感情で、忙しい。]
(+39) 2021/06/14(Mon) 14時頃
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[病院の名前、教えてもらう。 他のやつらが多分無事、だということも。
順番に帰ってきているんだろうか。 最初にトシミから連絡が入ってるっつーことは あの世界を抜けた順に、この世界に戻ってる、 そう思っても良さそうで。
つうか今何月何日だ??まあいいや。
けど、まあ。 きっとユーガとメイは「まだ」なんだろう。 無事に帰ってくることを、いまは願うだけ。 ]
(+40) 2021/06/14(Mon) 14時頃
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ああ、うん。 ユキも、これからもよろしく。
[あらたまった挨拶、ひとつ 悪友であり、類友であり、戦友であり、級友であり。 なあもしよかったら、親友も名乗らせてもらっていいかな]
(+41) 2021/06/14(Mon) 14時頃
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[ちなみに電話を切る前にさ]
とりあえず病院行く、でいいよな それとも先、ノエんち殴り込みにいく?
[って言って「嘘だよ」ってすぐに撤回したのは まあ6割くらいは冗談だったかな。 ]**
(+42) 2021/06/14(Mon) 14時頃
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架空惑星 レンは、メモを貼った。
2021/06/14(Mon) 14時頃
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— 食堂 —
[不貞腐れたような炭蔵くん>>44の声にわたしは笑う。 一対一で喋ったことがなかった炭蔵くんに わたしがすぐ親しみを覚えたのは、 炭蔵くんの中身を見た気がしたからだ>>1:524。
ずっと、あの眸>>1:486をまた見たいと思っていた。
少し遠くからじゃ覗こうとしてもできなくて、 手を伸ばそうとしても届かなくて、 ようやく叶ったわたしの願いは、 炭蔵くんがわたしと同じ人間だって教えてくれる。
わたしもちゃんと人間なんだって教えてくれる。]
(51) 2021/06/14(Mon) 15時頃
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嬉しいよ、わたし。
炭蔵くんが同じ人間で。 ここにいたのが、炭蔵くんで。
[だからわたし、素直にその気持ちを伝えた。 今はたぶん、言って伝える場面だと思ったから。 向き合って一緒に深呼吸。一回、二回。 胸に手を当てると、鼓動も落ち着いていくのが分かる。]
(52) 2021/06/14(Mon) 15時頃
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そんな顔見せられたら、 わたしも一緒に頑張りたいって思うもの。
[完璧、というのが何事にも冷静沈着で 正解を選び続けることを言うのなら、 今の炭蔵くんは完璧じゃないのかもしれない。
でも、それがいいの。 わたしにはぴったり、大正解。
ここにはもうわたしたちしかいなくて、 埋もれられないどころか民衆でもなくなっちゃった。
王様と民衆じゃなくて、炭蔵くんとわたし。 再度繋がった視線>45は、 前だけを見つめているような気がした>>31。]*
(53) 2021/06/14(Mon) 15時頃
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[お互いの意思を確認した上での作戦会議>>30。 わたしは心当たりがある様子の炭蔵くん>>46へ 不思議そうな顔をする。
もし炭蔵くんがカッターナイフを取り出したなら、 わたしは懐かしそうに目を細めた。 わたしが聞いて>>1:138、炭蔵くん>>1:325が拾った。 はじまりの日のことだ。
もし見せられたのが左手首なら、 わたし、炭蔵くんの頬に指を伸ばしてつねったと思う。 自分で自分の手を傷つけるなんて、何してるの。ばか。
言いたいことは分かるけどね。 真実は、生クリームみたいに甘くない>>4:522。]
(54) 2021/06/14(Mon) 15時頃
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……わたしもあるよ、心当たり。
[乃絵ちゃんがわたしにだけ零してくれたこと>>0:718。 だからその詳細までは話さないけど、 わたしが聞こえなくなったため息を探すように 耳を澄ませたら、何かあることくらいは伝わるかな。]*
(55) 2021/06/14(Mon) 15時頃
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— 3-9教室 —
[最初に気づいたのは炭蔵くん>>48だった。 昨日までなかった足跡が、扉の外へ続いている>>4:496。 どうやら3階の階段を昇ったようだった。]
うん。
[分かっていたことだった。 何ならさっきまでそれを前提に話してた。 でも直面するとやっぱりわたしの身体は強張る。
九重さんを思い出した。ひとみちゃんも、向井くんも。 それが本当じゃなくても、人が死ぬことはやっぱり怖い。
炭蔵くんの視線に気づかないまま、わたしは教室に入る。 気づいてないから、泣きそうな顔も隠せなかった。]
(56) 2021/06/14(Mon) 15時頃
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[わたしは鞄からヘアピンを取り出すと、 炭蔵くん>>49の言葉に顔を上げた。
みんなでいろいろ書き込んだ寄せ書きみたいな黒板。 壁にはフォトフレームに収められた写真が並ぶ>>10。 廊下とは違い、今度は文化祭以外の思い出もたくさん。]
こういうのは、卒業式にやるものじゃん。
[お別れはまだ、ちょっとだけ早いよ。 わたしは一人呟いてから炭蔵くんの見ているものを見る。
『 じゃあな、いってくる! 』だって>>4:497。
その意味を知る人はここにはいない。 でも、わたしは返すためのコートを強く握りしめた。 こんな時でも深爪は、何の跡も残してくれない。]
(57) 2021/06/14(Mon) 15時頃
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[わたしは炭蔵くんに黒いシンプルなヘアピンを渡した。 そのままの足で、わたしは教壇をのぼる。
足元にはチョークが落ちていた。 縁から零れたというにはあまりにも遠く、 まるで、持っていた誰か>>4:498が落としたみたいだ。
わたしは屈んで、チョークを摘み上げる。 いつかのように、三本の指だけが白く染まった。]
……ねぇ、炭蔵くん。 頭の中の世界って、どれくらい頭の中だと思う?
[炭蔵くんはここで前髪留めるかな。 わたしはみんなの文字がたくさん並ぶ黒板を見ていた。 置いていく10円>>3:590だって 頭を振ったら耳から出てくる訳もないんだから、 問いの答えは想像に容易くはあるんだけど、それでも。]
(58) 2021/06/14(Mon) 15時頃
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ここに書いたら、伝わるかなぁ。
[楽しかった文化祭、目を惹く綺麗な文字>>1:317。 あの日黒板に書かれたのは、楽しいことだけだったね。]
(59) 2021/06/14(Mon) 15時頃
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[結局、わたしが待たせちゃったかも。 チョークを元に戻して、手を叩いたわたしは 炭蔵くん>>50と一緒に教室を出て行く。
教室には写真と寄せ書きと。思い出だけが、残った。]
……行こう、きっと待ってるよ。
[『一緒に帰ろう』 右肩上がりの癖のある文字は、無人の教室に佇む。
わたしたちは足跡に導かれるように3階へ進む。 みんなの待つ、3階へ。]*
(60) 2021/06/14(Mon) 15時半頃
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