10 冷たい校舎村9
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— 3F:音楽室前 —
[階段を駆け上がる際も、カッターナイフを踏みそうになる。 一歩間違えば樫樹くんのように滑って転がり落ちるかもしれない。 それは遠慮したいので、どこか理性を働かせて足を踏み出していた。]
ハァ、ハァ……。
[息が上がる。 廊下の向こう、音楽室の前で座り込む芽衣ちゃんが見えた。>>50]
あぶ、ない、よ。
[息を切らしながら、床のカッターに気をつけるように呼びかける。 彼女の様子は尋常じゃないけれど、無理もない。 あんなものを見てしまった後で。 私だって恐怖で叫んでしまいたかった。
さっき、剥き出しの刃を拾った時に軽く切った指の傷を、 反対側の手で撫ぜながら、芽衣ちゃんに視線を向けている。**]
(70) 2021/06/08(Tue) 02時半頃
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店番 ソフィアは、メモを貼った。
2021/06/08(Tue) 02時半頃
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── 20:50 ──
[その時俺は、1Fにいた。
購買でお茶を買おう、そう思って階段を降りたとこ 遠目に保健室から出てくるノエの姿が見えた>>40 そこで、この奇妙な日常に、異変が起きた。
聞こえてくるのは… 悲鳴。 それから、チャイムの音。
思わず足が、止まってしまった。 誰の。なんで。
今まで一度も鳴らなかった、チャイム。]
(71) 2021/06/08(Tue) 08時頃
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[踵を返す。悲鳴は、上から聞こえた気がする。 走り出した俺の足元に、増えるカッターナイフ ]
うおぁ、なんでだよ
[慌てて飛び退く。大丈夫、怪我はねえが。 今この道、通ってきたはずなんだけど。 カッター、全部道の脇に蹴っ飛ばしたんだけど。 なんで増えてんの。って疑問が湧いて。消える。
今はそれどころじゃなかったから。]
(72) 2021/06/08(Tue) 08時頃
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[今の悲鳴 ─── トシミの声に、似てる。]
(73) 2021/06/08(Tue) 08時頃
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[二段飛ばし、階段を駆け上がる。 廊下を向こう側に駆けてくメイの姿が見える>>49 ユーガたちとは違う階段だったのだろう>>44 俺はまあ誰かとすれ違ったかもしれねーけど なんにせよ、メイが出てきた教室のほう。
遠目だったからさ、 最初3-9かって思ったんだよ でも、3-10の入り口から、 すぐひとみがメイを追いかけてったから>>69 ああ、こっちなんだ、って。 ]
(74) 2021/06/08(Tue) 08時頃
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おい、なにが‥ ひっ
[見えたのは教室の中の光景で。 当然見覚えのある制服が、真っ赤に染まっている。 最初 ─── 当然のように、ヒトかと思った。 いや、違う。どこからどう見たって、トシミだった
思わず一歩後ずさった。 駄目なんだって、ホラー。まじで。]
(75) 2021/06/08(Tue) 08時頃
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[救急…車………とか、言いながらさ。 でも俺、息を飲んで、教室の中に入るわけ。 吐かねーように、口を押さえてさ。]
………人形………
[作り物の関節、白い肌。 でも、それは酷くトシミに似ている。 恐る恐る手を伸ばして赤色に触れれば、 ぬるり、とした血の感触が感じられて それはまだ、どこか温かいまま。
顔が酷く歪む。どうして。なんで。誰が。]
(76) 2021/06/08(Tue) 08時頃
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こんなことしたの、誰だよ
[自分でも驚くくらい、低い声が出た。 一切騒がず、一切喚かず、怒りだけを湛えた声 ]
………悪趣味、すぎんだろ。 悪ふざけにも、程があんだろ。
[これも?メールの送り主の仕業、ってわけ? あまりに非現実的な光景に、そうとしか思えなかった。 だとしたら、一人で死ねよ。なんて。 言っちゃいけねー言葉が頭を過って、飲み込む]
(77) 2021/06/08(Tue) 08時頃
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………じゃあトシミは?
[これは、人形。じゃあホンモノは? 見える範囲を見渡しても、トシミは居ない。
ホントはこの人形も、 このままにしておきたくねーんだけど
誰か居たなら「トシミ探してくる」って言って。 誰も居なかったなら 3-10の扉はきっちり閉めて飛び出すだろう。]
(78) 2021/06/08(Tue) 08時頃
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[最初、3-9に飛び込んで、 寄せ書きみたいになった黒板に一言
『 3-10で人形が殺されてる 』
人形って、殺されるのか、わかんねーけど。 トシミ、なんて書きたくなくて、人形にした。 俺は、先にトシミを探そうと、廊下を歩き出す。 誰かとすれ違ったら状況は伝えるつもり。]**
(79) 2021/06/08(Tue) 08時頃
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架空惑星 レンは、メモを貼った。
2021/06/08(Tue) 08時半頃
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― チャイムが鳴る前・渡り廊下 ―
[暮石と屋台の方を覗きながら 番代は先に戻っているのだと言う>>0:629 動揺のせいか酷く汗をかいていた彼女、 どことなく元気がないようだったので ちょっとだけ気にはなったけど。
上に行くなら皆いるだろうし、ってことで そのまま見送ることにした。 既にカッターは持ってるようだったし。
屋台を見ながら思ったことを口に出せば 暮石が考え込むような素振りを見せる。>>18 続いた台詞に一瞬、息を飲んだ。]
(80) 2021/06/08(Tue) 09時頃
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それは…………
[確かに、それはそう。>>19 文化祭の時死んだことが トリガーで止まってしまったなら、 「今日」まで動いている方がおかしい。
もしも「今日」死んでしまったのなら。 そうして、過去の楽しい文化祭が 送り主の拠り所になっているのだったら。
…小難しいことはよく分からないけれど 何となく辻褄は合う、ような気はする。]
………それは、なんつーか……… 切ないね。
[率直な感想をぽつりとつぶやいた。 だって、ものすごく現実で嫌なことがあって 思い出に縋るみたいにこの世界を作ったってことでしょ。]
(81) 2021/06/08(Tue) 09時頃
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…でも俺さ。
ちょっと分かる気もするんだー。 やなことあって、そこから先に進めない そこで時間が止まっちゃう感じは。
[まあ、でもそれだけあれば十分、なんて 浸れるほどの幸せな思い出はないかもな。 文化祭は楽しかったけど、普通に楽しかっただけだ。
そう言う意味ではちょっと羨ましいかもしれない。 なんて、不謹慎な話かな。]
(82) 2021/06/08(Tue) 09時半頃
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[レジとそれとどういう関係があるんだろう。>>20
視線を向けてもへらへら笑う暮石は、 のっぺりとした仮面で表面だけを覆い隠してるような そんな印象を受けた。 だって俺も似たような事よくするから。
ともあれそれ以上を話す気はなさそうで、 話は他の場所への探索へと移る。 部屋を一つ一つ見てみよう、ということで話は纏まり その場を離れようとした所でふいに暮石が振り向く。]
…………うん、寂しいね。
[何を思ってそう口にしたのかはわからないけど、素直に頷いた。
この文化祭の日に一人きり。 取り残されているのだとしたら、確かにそれは酷く寂しい。 独り言のように続いた台詞には、少しドキッとしてしまった。>>24]
(83) 2021/06/08(Tue) 09時半頃
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俺ら文化祭関係で集まって来たと思ってたけど、 そうじゃなくて、 寂しい奴らが呼び集められてきたってこと?
[選ばれし者。冗談みたいに番代はそう言ったけれど あながち間違いでもないのかもしれない。 心当たりはありすぎるほどあったから否定できなかった。 ここにいる皆、そうだって言うんだろうか。暮石も?
はあ。 またどこかでため息が落ちる。]
(84) 2021/06/08(Tue) 09時半頃
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…………寂しいやつを沢山寄せ集めても、 寂しさはゼロにはなんないのにね。
[自嘲するようにそう零し。 答えは期待してなかったから、 屋台に背を向けてその場を立ち去る。*]
(85) 2021/06/08(Tue) 09時半頃
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― 回想・文化祭と音楽室 ―
[春から始まった音楽室の30分は、 気楽で、奇妙な時間だった。
暮石とお互い何かを話すわけでもない。 気の向いた時だけ来て、碌に挨拶も交わさずに ただピアノを聞いて帰っていく。
約束とかそういう類のものではなかったし、 暮石も別に待っているわけじゃないと思ってたから 本当に好きな時にだけ来ることに、 罪悪感もなんもなかった。
ああ、でも、理由ももう忘れちゃったけど 偶々一ヶ月くらい間が空いたことがあった。 次に顔を見せた時に暮石が初めて 声をかけてくれたことは覚えてる。>>0:1036]
(86) 2021/06/08(Tue) 10時頃
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……どーも。
[やあ、何て言うからそんな風に返して、 何となく妙におかしいような気持ちで目を細めて。
よくへらへら愛想笑いを浮かべてる暮石だけど その時垣間見えた驚きや安堵は本心ぽかったって言うのかな、 その反応がやたら嬉しかったんだ。
明らかに異物でしかない筈の俺だけど この空間に受け入れて貰えたような気がした。 特に来る頻度が変わるわけでもなかったけど ちょっとだけ会話する機会は増えたかも。>>0:1037
って言っても、いい天気だねとか、 今日疲れたねとか、そんな他愛ない話だけど。]
(87) 2021/06/08(Tue) 10時頃
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[何も言わない、何も聞かない。 流れるピアノの音は静かに寄り添ってくれるようで いつしか勝手に居心地の良さを覚えていたんだと思う。
たった一人の観客として 存在を許されていることが嬉しかった。
だから、喩え暮石の寿命の指針に 使われているだけだったとしても、 俺は特に構わなかった。>>0:1038]
(88) 2021/06/08(Tue) 10時頃
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[打ち上げが終わって、次の月曜日。 暮石から聞かれたことに俺は驚いた。>>545 文化祭の時のことを指してるんだろうなって、 すぐに予想はついたから。
醜態を見られていたこともそうだし、 彼女がそれを覚えていて、 今ここで触れたことも。
多少騒ぎになっていたから 知っててもおかしくないんだけど、 皆あの時は忙しかったし、 過ぎれば忘れてしまってもおかしくないことだ。
ぽかんとしていたら暮石がなんでもないよって言う。>>545
…乗って、合わせても良かったんだけどさ。 その時の俺はやっぱりちょっと弱ってたのかな。]
(89) 2021/06/08(Tue) 10時頃
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…あんまり。 大丈夫じゃないかも。
[こんなこと言ったら暮石も困るかな。 いや、気にしないかも。どうだろ、分かんないや。
壁を背をして体育座り。膝に顔を埋めて。 暮石がいつも通りにピアノを奏でだせば やっぱりそれを黙って聞いていた。]
(90) 2021/06/08(Tue) 10時頃
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音楽ってさ、すげーね。 ちゃんと喜怒哀楽はあるのに、 聞いてると落ち着く。
[演奏が終わった時に、小さく呟いた。
この頃には俺も春より少し耳が良くなって ちょっとしたミスくらいなら 聞き分けられるようになってたけど それでも心地よいと感じていた。
ピアノが好き? って問いには答えて貰えなかったけどさ。 少なくとも俺はこの時間が、 暮石のピアノの音が好きだった。 …んだろうな、きっと。**]
(91) 2021/06/08(Tue) 10時半頃
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心外だな。 私が九重さんを殺したりするわけないじゃない。 みんなのこと殺すなんて、そんなことするわけない。
九重さんは帰っただけ。 マネキンとすり替わって、九重さんは帰っちゃった。 私、もうちょっといてほしかったのに。 こんなに急いで帰ることないと思わない?
大丈夫、みんなちゃんと帰れるよ。 心配しなくても、死ぬのは私だけだから。
(*1) 2021/06/08(Tue) 10時半頃
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/* 番代さんは正当防衛だと思う。
(-7) 2021/06/08(Tue) 10時半頃
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[ うん。 今にも泣きだしそうな顔を隠す間もなく、 向井慎一はそこにいる。見つけられる。>>44]
(92) 2021/06/08(Tue) 10時半頃
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── 現在・2階廊下 ── ユーガ。 かかと、切った……、 [ ひっかき傷程度にね。 というか、猫に引っかかれたほうが、 よっぽど深い傷ができると思う。 でも、今にも泣きだしそうな、 あるいは呆然としたような感じで、 慎一はやってきた委員長に報告をする。 気にしないでほしい。 不穏で大きな音がして、 鋭いものを踏んづけて、 ちょっとびっくりしているだけだから。]
(93) 2021/06/08(Tue) 10時半頃
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[ しきりに何かを指先でなぞって、 気分を落ち着かせるだけの時間もなかった。 だから──まあ理由なんてそれだけ。 成長したって言ったって、 慎一は昔も今もずっと些細なことで溺れる。 どうでもいいことで泣きだしそうになる。 それを息ごと飲み込む術を覚えただけ。 たまに、飲み込むことすらできなくなるけど。 まあでも、一回泣いちゃえば落ち着くかもね。 そっちも一回泣いとかなくて大丈夫? ……とは、慎一は聞いたりしないんだけど。]
(94) 2021/06/08(Tue) 10時半頃
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[ 別にため息のつもりもないんだけど、 慎一はよく息を詰めてるから、 ため込んで吐き出して「はあ」って言う。 声をかけてきた男の方を見るけど、 前髪が重たくっていけない。 その下で泣きそうだったりしない? 声が震えていたりはしない? しないんだろうなって慎一は思う。 勝手にそう信じている。 君が炭蔵祐駕だから。 だから、震えを押し殺した声で言う。 慎一もなるだけ表に出さないようにと。]
(95) 2021/06/08(Tue) 10時半頃
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そ、それに、声…… 声したから……、 [ 別に声の主を探してたというより、 慎一が不安だったから、 みんなの姿を探しただけなんだけど。 どっちともとれる言い方をして、 周囲を見回してみれば、 その場所は見つけられたかな。 人の声や出入りする音で少し騒がしい。 慎一は耳ざといほうであるから、 ふいとそちらに顔だけを向けた。 歩き出すのは、まだ少し躊躇うように。**]
(96) 2021/06/08(Tue) 10時半頃
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―― 現在:廊下 ――
[ 毛布を抱えた私の機動力は低い。 聞こえた悲鳴も声が遠くて、どこから聞こえたのか よくわからなかった。 でも、鳩羽君のうろたえた声が聞こえて>>72 その後階段を駆け上がっていくのが見えたから、 ああ、上の階なんだっていうことはわかった。
カッターナイフ塗れの廊下に、 絶対に毛布を落とすわけにはいかない。 だから私は毛布を慎重に抱えて、 あっという間に見えなくなった鳩羽君を追いかける。 上履きの底の耐久力を信頼して、 足元はあんまり見てない。 というか、毛布を抱えてると見えない。 時々、ばきっと踏んだ替え刃が折れる音がした ]
(97) 2021/06/08(Tue) 10時半頃
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