28 僕等(ぼくら)の
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[縁士と康生が花火について愉しそうに話している。>>3>>11
僕は歩みを止めてツッコミを入れた。]
そういやコウ、花火の時めちゃくちゃテンション高かったなーー去年。
僕は花火より眼をキラキラさせてるお前のが印象深いよ。
でもあんまりはしゃぎすぎて火の扱い間違えるなよ?
縁士は大丈夫そうだけど。
(19) 2023/08/11(Fri) 07時頃
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[康生は天文部員で、去年一緒に合宿に参加した。 彼とは学年、クラスも同じだから親しい友達だーーと、僕は思っている。
だからコウ、とあだ名で呼んでいるわけだ。
そんな康生は、続く僕の呼び掛けに甘えて来た。>>12
こういう素直さは彼がみんなから好かれる所以だろう。 そう、僕とは違う。]
いいよ。それだけで大丈夫?
僕は手を差し出して彼の荷物を受け取り、一度右肩に掛けようとして、止まる。]
ーー…。
[すぐに左肩にかけ直した。軽いもの以外は左に持つ。
中学はずっと野球をやっていたし、体力には自信があった。左だけしか使わずとも、このぐらい楽勝だ。]
(20) 2023/08/11(Fri) 07時頃
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[そんな風にしつつ、前方にいる永の背中に軽く頷いた。見えるわけではないが、特に返事を求める風でもない答えだったから。>>@2
そろそろ目的地が見えてくる。
生い茂る木々が減り、開けた場所に出れば雄大に広がる田舎特有の空が僕らを再び出迎えるだろう。
溶け落ちる蒼と、受け入れる橙の比率は刻々変化している。 >>@2>>13
女子はロマンチックに感じたりする光景だろうか。]
急がなくていいよ。 転ばないように歩いて。
[僕はそう後ろを歩くメンバーに声を掛けた。康生と同様に>>14]
(21) 2023/08/11(Fri) 07時頃
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[副顧問の加賀先生がしんがりを務めるなり荷物を持ってくれたら良かったのだが、彼は目的地にて悠然と僕らを待っている。>>@9
生徒の自主性を重んじる方針のようだ。
歳はいくつなんだろうか。 僕は知らない。見た目は若く見えるが。
どこか兄に似たタイプにーー僕は感じている。]*
(22) 2023/08/11(Fri) 07時頃
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"私も合宿参加したかったな"なんて、そんな本音は言っちゃいけないんだろう。 今年は母さんの十三回忌があった。 それにはお父さんやお寺さんの都合が一番優先されるし、合宿の日程が決まった方が後だったから、私はどうしても参加できなかった。 夏休みに学校の制服に袖を通して向かう、あまり馴染みのないお寺の空間。 前に来たのはまだ小学生の頃だっけ。 あの時は普段とは違う真っ黒な服だったから特別な気がしたけど、制服で来るとなんだか日常の延長線上みたいでちょっと複雑な気がした。*
(23) 2023/08/11(Fri) 07時頃
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─合宿前・部室にて─
「あー、私も合宿参加したかったなあ…。」
だからその本音は部室でだけ放たれていた。 ちゃんと部員には不参加の理由は伝えた上で、でも行きたいんだとアピールするみたいに。 実際行きたい。みんなで夜空を見上げる事なんて滅多にない事だから。 だけどお母さんも、お母さんを亡くしたお父さんも蔑ろにできるはずもない。 だからその本音だって、ほんの小さな呟きだった。*
(24) 2023/08/11(Fri) 07時頃
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/* メモでもお伝えしておりますが、参加者07枠です。 よろしくお願いします。
(-19) 2023/08/11(Fri) 07時頃
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ーー合宿前/部室ーー
[その時の僕は椅子に腰掛けて、天文とはまるで関係ない推理小説を膝に載せ、頁を捲っていた。
珊瑚の呟きを耳にしたのは偶然>>24。僕に話し掛けたわけじゃないだろう。が、僕は本から顔を上げる。]
……仕方ないよね、家の事情なら。
[僕のように顧問から強いられ参加する者もいれば、彼女のように事情で来られない者もいる。
世の中の皮肉。]
珊瑚は、合宿何が楽しみだったの?
[この質問はある種、僕が合宿にわくわくしていないのが透けるものだったかも。
僕は彼女の端正な横顔を眺めている。]*
(25) 2023/08/11(Fri) 07時半頃
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─合宿前・部室にて─
「みんなで夜に集まって空を見上げることかな? あっ、花火とかも楽しかったよ。」
>>25部室にいた恵一くんからの質問に、私はパッと振り向いて笑顔を見せた。 恵一くんと柊木くんは今年は別クラス。 去年は確かみんな合宿に参加していた筈で、花火とかもみんな楽しんでいた筈。 そうそう、あの時は乾先輩もいたんだった。 >>9今は海外留学中の、乾匡先輩。 先輩がいたから恵一くんのことは下の名前で呼んでいたけど、だからか彼も私のことを下の名前で呼ぶ。 部活内での兄弟はどんな感じだったかな。 不仲では無いと思ってるんだけど。
(26) 2023/08/11(Fri) 07時半頃
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「ほら、うち父子家庭だからさ。 父一人子一人だから余計に夜に出歩くなんて お父さん心配しすぎちゃうんだもん。 気持ちはわからなくないから強く言えないし。 でもそんな恵一くんは合宿楽しみじゃ無いの〜?」
むう、と眉を寄せ少し頬を膨らませて不満そうに問いかける。 うりうりと足先で彼の脚を突っついた。*
(27) 2023/08/11(Fri) 07時半頃
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[康生にとっても、彼──乾恵一は親しい友人だ。部活に学年、クラスまで同じなのだから、仲良くなるのは自然な事だった。先程は彼の事を「恵一」と呼んだが、あだ名で「ケイ」と呼ぶ事の方が多いくらいだ。どうやら、何かを頼む時や改まった場では「恵一」、気安く呼ぶ時は「ケイ」と、康生なりに使い分けているらしい。きちっと線引きされている訳ではないから、本人にしかその違いは解らない。]
[そんな彼が話に加わった>>19事で、康生のテンションはまた一段上がった。去年の花火について、より鮮明に思い出したからという理由もありそうだが。]
だってさ、あんなに綺麗で楽しかったの初めてだったし! ケイだって楽しかっただろー? 花火!
[火の扱いについて言及されると、「ぐぅ」と言葉を詰まらせた。]
(28) 2023/08/11(Fri) 08時頃
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も、もう間違えねーし! 束ねて持つのも、覗き込むのもダメ! 去年言われたこと、ちゃんと覚えてるってば!
[去年の康生は、花火に見惚れるあまり覗き込みそうになったり、「一度に火ぃ点けたらもっと綺麗なんじゃね?!」と束ねた花火に点火を試みたりと、まるで子供の様なはしゃぎ方をしていた(実際、子供ではある訳だが)ただ、純粋に知識が無かったのと、はしゃぎ過ぎていたのが原因だ。悪気あっての行動ではなかったから、落ち着いてからきちんと反省した。だからこそ、一年経った今も、注意された内容を覚えているのだ。]
(29) 2023/08/11(Fri) 08時頃
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サンキュ、助かるぅ〜! や〜、残りはちゃんと持ってくよ。 ちょいキツいくらいの方が、鍛えられるって言うし! ケイは細いのに力強いってか、体力あるよなぁ。 俺だったら、そんな片方にばっか掛けてたら絶対よろけるもん!
[自分で言い出して持った荷物を、意地を張る事無く人に預けるのは、中々できる事ではないだろう。男であるなら、尚更に。気にしない程に康生が素直なのか、体力的に厳しい自覚があったのか、それとも甘えさせてくれる彼との関係>>20故の事か。もしかしたら、全てがあっての事かも知れない。]
あ! カガセン見えた! ってことは、あともうちょいだな! お〜い! 待ってろよー、今行くからな〜!
[振り返り、後続が居れば「そうそう、焦らず行こうぜ!」なんて声を掛けただろう。その視線を前に戻せば、悠然と待つ副顧問の先生の姿が見えた>>@9。紫煙をくゆらせる彼に、荷物を預けた事で空いた片腕をブンブンと振り、声を張る。体力自体は無いのに、振る舞いだけは元気だ。テンションが上がっているのだろう。後でへばらないと良いが。*]
(30) 2023/08/11(Fri) 08時頃
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─回想・去年の合宿の花火─
去年の合宿では、花火が盛り上がってたなあ。 特に柊木くんがはしゃいじゃってたんだよね。色々危ないやり方をしては、先輩たちや先生に叱られたり注意されたりしてた記憶がある。 私はそれを遠巻きに見て、あはは、あぶないよ〜って笑ってた。 手持ちでシューッと勢いよく光が散る花火も素敵だけど、私は普通に楽しんでたよ。 線香花火をどれだけ長く保たせる事が出来るか、を女の先輩たちと地味に競ってたりね。 あ、でもね、ちょっとだけ被害を被ったのも覚えてる。
「ゲホッ!? ケホケホッ、 ちょ、まって、風上やめ…ゲホゲホッ!!!」
>>29花火を纏めて、そこに火をつけると煙も凄くて、たまたま風向きがこっちが風下になって煙のせいで激しく咽せたんだった。 咽せながら風上に避難して、そのまま戦線離脱したちょっぴり苦い思い出。*
(31) 2023/08/11(Fri) 08時半頃
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/* 実際にそれで喘息みたいになって医務室行きになったのは小1の頃の私です(真顔
(-20) 2023/08/11(Fri) 08時半頃
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─合宿前・部室─
…………。
[その呟き>>24が漏れた時、康生は珍しく黙り込んだ。]
[……と言うよりは、落ち込んだ様にさえ見えたかもしれない。我が事の様に眉を下げ、しゅんとした様子になったのだから。]
[法事に、片親。いつも大体明るい康生だが、その話題には康生を黙らせるに足る理由があった。康生は、学校で家族の話を殆どしない。話したくない訳ではなくて、どう説明して良いか分からないというのが正確な所だろう。家を行き来する様な友人であれば、戸建てに住んでいる事と、一人っ子である事、康生に面差しの似た母親が健在な事は見知っている可能性がある。 ……逆に言えば、それ以上の情報が無い訳だが。]
[望遠鏡を磨いていた手はいつしか止まり、胸元に当てられていた。考え事をする時の、いつもの仕草だ。これをすると落ち着くのだろうか。憂いを帯びていた表情と思考は徐々に調子を取り戻し、去年の思い出へと移って行った。]
(32) 2023/08/11(Fri) 09時半頃
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……あん時はほんとゴメンな、瑠璃川。 俺、はしゃぎ過ぎて周り見えなくなってたし、風上に立っちまったらどうしたらいいのかも知らなくて。 迷惑掛けちゃったよな。
[高校生にもなって、花火をした事が無い人間の方が珍しいだろう。だから、幼児に対して教える様な花火の取り扱い方の説明なんて、事前には無かった。その結果、康生は見事に「花火でやってはいけない事」を片っ端からやってしまったのだ。]
[花火自体は綺麗だったし、思い切り楽しませてもらったけれど、康生にとっても、若干の苦い記憶ではあるだろう。「今年こそは正しく楽しむ」と心に誓った所で、一緒に参加する事は叶わないのだから。**]
(33) 2023/08/11(Fri) 09時半頃
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ーー合宿前/部室ーー
でも望遠鏡を覗き込む時は、視界は独りずつ、だよね。
みんなで見上げる夜空ーーという事?>>26
花火は、うん。コウが今年もまた盛り上げるだろうからーー きっと愉しくなるだろうね。
[それは当たり前かもしれないのに僕は質問した。 溢れるような彼女の笑みに向けて。
そう。去年僕は兄と共に合宿に参加した。 兄は厳しい時は厳しいが、優しさもあるメリハリある性格。 僕は普通に兄に甘える事もあった。
ただ、それは合宿最終日までの、ことだ。 以来僕らはーー。]
(34) 2023/08/11(Fri) 09時半頃
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お父さんは珊瑚が大事だから心配なんだろうね。 言わない珊瑚は、優しいと思うよ。
うちの両親は男の子二人ってのもあるから、そういうのないけど。
[実家は小さな洋食レストランを営んでいる。名前は『どんぐり亭』。学校の近くにある。
彼女は父親と来たことがあったりするだろうか。]
……そんなこと、ないよ。 ーーいや。>>27
[コツンと僕の脚に触れたのは彼女の爪先か。 僕は眼をぱちりとさせ、破顔する。
康生も珊瑚も、明るくて屈託なくて。
まるで澄みきった青空のようで。 眩しい。眩しすぎる。]
(35) 2023/08/11(Fri) 09時半頃
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ーー珊瑚が来れないからだよ。 だから、そんなに楽しみじゃないんだ。
[それは半分は本当で、半分はーー嘘。 僕は眼を細めて、彼女の輝きに応えた。]*
(36) 2023/08/11(Fri) 09時半頃
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/* 瑠璃川ちゃん、人生のほとんどが父子家庭だ〜〜〜 しかも死別・・・つらいね
柊木家は、逆に柊木(父)の葬式を正式には上げてません 柊木(息子)の心臓移植手術が同時並行してたってのもあるけど、それ以上に母子の見解が「(父は)まだ生きてる」で一致してるからです 法律上は死んでるとしても、心臓が元気に動いてるのに「死んだ」って思うのは難しい 「命を貰った」のではなく「共に生きる」とするなら、葬式なんてあげられないんですよ
(-21) 2023/08/11(Fri) 09時半頃
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ーー現在ーー
勿論楽しかった。>>28
コウが束ねて持った沢山の花火を覗き込んで、危うく前髪を焦がしそうになったのが一番。 >>29 でもほんと、今年はコウにめって注意をしてくれた>>29兄さんもいないしーー去年いた元三年生の先輩たちもいないから…ね。
気をつけて。 独りの身体じゃないんだよ。
[勿論今年の合宿には、去年二年生だったメンバーが三年生になり参加している。
ただ、この兄と同じ学年(現三年生)の部員は人数が少なく。 旧三年生の卒業で部員が大量に減ったのだ。
独りの身体ではない、は親友的な同性に使うには変な言い回しだが、僕は気付かない。]
(37) 2023/08/11(Fri) 10時頃
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うん。僕は中学までは野球やってたからね。 体力は割りと。>>30
ーーコウ、身体鍛えたいの? なら僕と後でトレーニングする? じっくりしごくよ。
[クスクス笑う。 本当に、いつも彼の快活さには癒される。
加賀先生を見つけて激しく手を振る様子も彼らしい。]
カガセンは漂流して助けを求めてる訳じゃないから、急がなくて大丈夫だよ。>>30
[まるで救助に向かうみたいな彼の言葉にまた、僕はにやけてしまう。いつも彼はこうして、僕を笑顔にするのだ。]
(38) 2023/08/11(Fri) 10時頃
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ーーコウ。ほら。
[僕の右手は空いている。重たい荷物を担ぐのはあれだが、彼の手を握り、一緒に歩くぐらいは可能だ。
後ろを振り向き、彼に右手を差し出す。
少しはへばりそうな彼を助けられるだろうか。]*
(39) 2023/08/11(Fri) 10時頃
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─合宿前・部室にて─
「ん?いーっていーって! 楽しかったからだろうし若気の至り? アホな事はやってみたくなるもんね。」
>>33柊木くんに謝られてしまったけど、私は全く気にしてなかった。 だからパッと笑顔になって片手を振る。 アホな事と一刀両断はしてしまうけどね。 はしゃいで馬鹿なことをするなんて多分若者の特権なのだ。 柊木くんが小さな頃に花火をやった事がない、は多分知らないこと。本人に言われたりしなければ。 柊木くんは明るくて親しみやすい男子だ。 >>32だけど法事の話をしたときに見せた顔は、参加者が減ったからなのかなんだかシュンとした、悲しげな子犬みたいな顔。 確かにここまで参加者とか部員とか減るとか思ってなかったしね。気持ちはわかる。
(40) 2023/08/11(Fri) 10時頃
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「今年はみんなで楽しんでね。 花火もさ、適度に楽しく。 火と煙に気をつけて水バケツは必ず近くに。」
なんて、笑顔だけど真面目なトーンで伝えておいた。 多分今年は正しく楽しめる筈だもの。 私も来年はね、ちゃんと参加できるから。
(41) 2023/08/11(Fri) 10時頃
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「視界は一つでも、綺麗なのを見つけたときに 他の人に教えたり、教えて貰ったり。 それで覗かせてもらうことも楽しいし、 その前にあの星座はー、ってみんなで上向いて 指差しながら確認するのも楽しいかな。」
>>34確かに夜空の楽しみ方は人それぞれだから、と私は恵一くんの質問にもサラリと答える。 わいわいやりながら見上げる空気。これは一人では味わえないものだから。 でも、合宿最終日に乾先輩と恵一くんの間に何かあったのかな。 私は、今のところそれを知らない…はず。 だからこうして、先輩と彼の仲を何も疑問には思ってないのだから。
(42) 2023/08/11(Fri) 10時頃
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>>35そう言えば乾兄弟の実家は『どんぐり亭』という小さな洋食レストラン。 小さい頃はしょっちゅう行ってたし、誕生日にはここでいつものに加えてデザートを頼める特別な日だった。 お父さん忙しくて家事が疎かになってたからね。 だけど、段々私が家事を担うようになってからは通う回数が少なくなっていった。 洋服だって自分で洗濯して綺麗にできるし、料理も今では一般的なものは普通にできる。 でも、どんぐり亭のオムライスとミルクレープは今でも大好きで、誕生日の日にはそこでお祝いしているんだ。 だからといって、乾兄弟と幼馴染なのかと言われたら違うと思う。 お父さんは人に頼る事が苦手だったし、私はそんなお父さんを助けようと努力してきたから。主に家事を、ね。
(43) 2023/08/11(Fri) 10時頃
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それにしても、恵一くんよ。 >>35>>36笑顔でそういう事言うと、私は心配になる。
「そうだよね、今年、私手伝えないからさぁ…。 ご飯関係、大丈夫だよね、恵一くんいるし。 そんなに私の美味しいご飯が恋しいですか…。」
去年は自炊もあったけど、誰だったかなお米を洗剤で洗おうとした人。 手を切りかねなかった人。 それとも今年は自炊は無くなってたのかな。 せっかくだからって合宿の時に持っていった焼き菓子は概ね好評だったし、自炊した時は今まで培ってきた家事スキルが大いに役立った。 今年は部活外の人も参加すると聞いてるけど、そのあたりどうなんだろう。 私は大真面目に腕組みしながら唸ってしまった。*
(44) 2023/08/11(Fri) 10時頃
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