10 冷たい校舎村9
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[ かえってどうしたらいいかわかんなくて、 バカみたいに納得したふりすればいいかな。 でも、慎一は別に演技派じゃないんだよなあ。
繰り返された「大丈夫!」に、 慎一はちょっと困って「うーん」と言う。]
じゃあ、ここにいたほうがいい? ……黒沢は、どっちのほうがラク?
[ 送り主を探すという目的があるんだから、 ここでじっとしてても仕方ないんだけどね。 一旦、正直に答えてくれることに賭けて聞く。*]
(564) 2021/06/07(Mon) 21時半頃
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── 少し前:2F廊下 ──
ああ、あり得ない
[ 暮石の言葉に頷いていた。>>523 メールが届いた時に覗いた日時。 それは、確かに今日だった。
仮定や推測をどれだけしても、 炭蔵は答えを中々出せないでいる。 但し、あの時── 「ひとみちゃん事件」のように 後悔≠セけはしたくないと、思っていた。 そのほんの微かな決意を 暮石が気づけたかは、分からない。 ]
(565) 2021/06/07(Mon) 21時半頃
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[ 遺書、と同意をする暮石が、 あまりにも熱い視線を送ってくるので、>>524 つい申し訳ない気持ちになり、 前髪を少しだけ撫でつけるような仕種をする。
それから、その例えではダメだ。 炭蔵は断じて不良ではない。 だからといって、暮石や黒沢のように、 全うな例え話を思いつきもしないので、 享受しておいてやってもいい。 ]
(566) 2021/06/07(Mon) 21時半頃
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[ そして、暮石が機嫌がいいとか悪いとか、 普段の姿を知らない炭蔵は区別はつかない。 ただ、答えを聞いて新たな知見を得たような顔をする。 ]
確かに、 古い記憶の中にいたとしても、 新しい記憶の中には結局存在できずに、 その時点で時は止まってしまうものな
[ 誰かの記憶の中に生きる≠ネんて 都合の良い台詞だと、炭蔵は思う。
他人が判断するものでもない、 ── とも炭蔵も思っていた。>>528 ]
(567) 2021/06/07(Mon) 21時半頃
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[ それから、死者の定義についても。 暮石にとっては、生きているだけではダメらしい。 心臓が動くか動かないかを基準にしていた為、 生き方≠ノついては思考が及んでいなかった。
でも、そうだな。 言わせてもらうのならば、 ]
俺も言葉は拙い方だから上手くは言えないが、 俺も悔しいと思ってしまうだろう
行動しないのが悪いとは言わないが、 後悔するぐらいなら、少しでも何かをしたい ──… そう、考えている
[ 本心だ。 けれど、言葉尻がやや弱々しかったかもしれない。 ]
(568) 2021/06/07(Mon) 21時半頃
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少なくとも文化祭までの炭蔵は 行動しなかったことはなかった
行動して後悔することも、なかった
(569) 2021/06/07(Mon) 21時半頃
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[ 気付く機会がないなら? ── 手を届かせたい範囲なら、 気付けるように行動すればいい。 と、以前までなら短絡的にそう告げていただろう。
炭蔵の場合、クラスメイトは手を届かせたい範囲だ。 特に、今この校舎の中にいる少数なら尚更だ。
しかし、いくら王様を気取った委員長でも 腕の数は二本しかない。 ……掴める数は、同じなのだ。 ]
(570) 2021/06/07(Mon) 21時半頃
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── 現在:渡り廊下 ──
[ 校舎の中から出られない。>>532 その事実を共有して、互いの眸を隠している。
そうして、笑い出す暮石の顔と 紡ぎ出されるラク≠ニいう言葉。>>533
と思えば、開かれた眸に映るのは諦念だ。
あまりにも感情の揺れが大きく、 先程まで隣を歩き続けてきて近くに感じていたのに、 炭蔵は自分と暮石の間には、 見えないベニヤ板があるんじゃないかと錯覚する。 ]
(571) 2021/06/07(Mon) 21時半頃
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[ 同じ返答をする暮石から逃げるように背を向けた。 これ以上、眸を見続けていてはダメかもしれない。
そう、思っていたのに。>>534 ]
……検討しておく
[ よく見える。確かにそうだろう。 長い前髪を弄りながら、日本人特有の返答をした。 ]
(572) 2021/06/07(Mon) 21時半頃
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[ そうして、屋台の方には番代と柊がいて こちらに手を振っている。>>520>>559
特に番代が教室を出て行ってから、 こうして姿を見掛けられただけで、 やはりホッとしている炭蔵がいた。
そして手を振り返すことは性に合わない為、 軽く片手を上げて挨拶をする。 そして、昇降口などの情報を聞けば、 こちらも簡単に2Fの窓から下は見ない方がいいこと 渡り廊下から外に出れないことも伝えただろう。 ]
(573) 2021/06/07(Mon) 21時半頃
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[ そして、番代と暮石、柊を交互に見て、 ひとりではないのなら≠ニいう理由で その場を離れることに決めた。 ]
分かった。 お前たちも気をつけるようにな ……あ、護身用にいるか?
[ これまでの校舎の様子なら、 外へ出られないだけで大きな危険はないだろう、 そうタカを括っていた。
と、一歩足を踏み出したところで、 ポケットからカッターナイフを取り出して問う。 足元にはまだたくさん散らばっているから、 拾い放題だっただろうけど。 *]
(574) 2021/06/07(Mon) 21時半頃
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/* 私がどっか行くから留守番してて!ってお返事しそうになったけど、誰もいない教室に待機させるのは酷いですね!反省します!
(-112) 2021/06/07(Mon) 21時半頃
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/* _(›´ω`‹ 」∠)_←今こんな感じ
ちゃんとクラスの輪の中に拾ってくれてるの、本当ありがたいなぁ…何とか2d中に返したい…!
(-113) 2021/06/07(Mon) 21時半頃
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―― 現在:教室 ――
[ マジメで自己チューでやくたたず仲間。>>562 ますます友達がいなさそうなラインナップに なってしまって、私はちょっと笑った ]
向井君、私のことえらいって言ってくれるのに、 全然頼りにならないなって、思って。
[ やっぱり全然えらくないでしょって言ったけど、 向井君はえらいって言ってくれる。>>562 正気を保ってるのは、えらい。 私も、向井君も、えらい。 ……そうなのかな。そう思っても、いい? ]
(575) 2021/06/07(Mon) 21時半頃
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[ 鳩羽君を見習ってみたけど、 やっぱり私じゃ駄目だったみたい。>>563 困った顔をした向井君に、 私は申し訳ない気持ちになる ]
……私がちょっと出てくる。 留守番してるって言ったけど、気になってきちゃった。
[ チャイムが鳴ってから、私は一歩も教室から出てない。 この教室の外が文化祭仕様だというのは なんとなくうかがい知れたけど、 この教室のドアから垣間見えるだけで、 ちゃんと確かめたわけじゃない ]
(576) 2021/06/07(Mon) 21時半頃
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向井君は、向井君のしたいようにして。 留守番してくれてもいいし、 気になるところがあるなら見に行ってくれてもいいし。
[ 黒板に、 「留守番してなくてごめんなさい。 ちょっとだけ様子を見てきます。 黒沢」 一応そんな謝罪文を残して、 私は教室を出ることにした* ]
(577) 2021/06/07(Mon) 21時半頃
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— 現在:渡り廊下・屋台前 —
[炭蔵くんを見送って、ひとみちゃんはどうしただろう。 わたしは上靴の爪先を地面に当てる。
とん、とん。
体温で溶けた雪はタオルで拭われて、 濡れたタイツも袋をしっかり縛って鞄の中。 わたしの足元は朝から生まれ変わって 真っ白な靴下に包まれている。]
(578) 2021/06/07(Mon) 22時頃
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ん?
[声が聞こえて振り返ると、まだ柊くん>>560がいた。 先に屋台を見に来ていた様子の2人とは、 簡単な情報交換を行った。
わたしから伝えたのは、 2階の窓を開けない方がいいこと>>535の他に、 他の教室の中も文化祭の時みたいになっていたこと、 わたしたち以外の人は誰もいなかったこと。 装飾だけじゃなく食べ物もそのままあることは、 チャイムが鳴った時からする匂い>>#1で分かるかな。]
(579) 2021/06/07(Mon) 22時頃
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んー……ちょっと、ね。
[柊くんと音楽室以外で話すのはちょっと新鮮な気分。 わたしは屋台とこっちを交互に見る柊くんを捉えてから、 一ヶ所を指差して視線を定めてもらおうとした。]
見えるかな……あそこにね、入れ物があるの。 わたしたちがレジで使ってたやつ。
[硬貨が混ざらないようにビニールテープを貼った>>0:624 お金を管理するためのプラスチックケース。 わたしたちが立っているのがお客さん側だからか、 様々な物品に隠れて全容まではよく見えない。]
(580) 2021/06/07(Mon) 22時頃
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さっき、炭蔵くんが言ってたんだよね。 「文化祭で止まったままの校舎」って。
それならどこで止まったんだろうって思っただけ。 あの中、ずっと変わり続けてた訳だし。
[そんな細かい部分、きっと誰も気にしない。 空っぽかもしれないし、何かが入っているかもしれない。 それだけのものだ。
それでも気にかかるのは、 わたし>>0:1187が嘘を吐いたからで。
罪悪感なんか持つはずがない。 万が一にでも足りないなら、 わたしはまた嘘を吐こうと思っているくらいだ。]
(581) 2021/06/07(Mon) 22時頃
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なんとなく、そう思ったの。 ごめん、今必要ないことだったね。
[そのために、今度は柊くんに嘘を吐いた。 わたしはへらへら笑って、柊くんを見上げる。]
他どこ見てないかな? 何も分かんないんだし、調べられることは調べないと。
[話の切り替え方、ちょっと強引だったかな。 だからわたしはまた笑って誤魔化す。
わたしは手ぶらで、10円は手元にない。 だったら考えるだけ無駄だし、考えること自体無駄だ。
わたしは頭を振って気持ちを切り替える。 柊くんと話している間に竦んでいた足も落ち着いた。]
(582) 2021/06/07(Mon) 22時頃
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文化祭、懐かしいね。
[わたしは小さく呟いて、屋台を眺めて目を細めた。 しんみりするようなデザインではないんだけどね。
わたしは思い出に背を向ける。柊くんはどうするかな。 特に何もなければ、その場を離れようとするつもり。]*
(583) 2021/06/07(Mon) 22時頃
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/* ケースの中身は何でもいいくらいの気持ちです。 細かく決める必要ないかなってしている。 あとでお賽銭したいだけなので(???)
やりにくかったらすみません……!
(-114) 2021/06/07(Mon) 22時頃
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── 現在:1F階段下 ──
[ まともに屋台を見もしないで、 炭蔵は来た道を引き返していた。
道中、一人でいる九重とすれ違う。 ]
一人で大丈夫か? ……どうした、顔色が悪いぞ。 保健室にでも行くか?
[ どうにも彼女の顔色が悪く見えた。 だから、いつも通りに手を差し伸べる。 いつもなら、その手をとってくれただろう。 なのに、九重はそれを振り払った。 ]
(584) 2021/06/07(Mon) 22時頃
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[ 九重は、突然ぶつぶつと喋りだす。 声が小さくて聞き取りにくいが、 耳を澄ませていると、
「昇降口が開かない」って言う。 それから、「どこの扉も開かない」って言った。
それから、九重はぽつぽつと 精神世界≠チてやつの話をする。 ]
(585) 2021/06/07(Mon) 22時頃
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[ 炭蔵にとっては、非常に不可解で 到底信じられるようなものではない。
ただ、誰かの死が引き金になっている という九重の顔が、妙にリアルで、 まるで、呑まれそうな感覚に陥る。 ]
(586) 2021/06/07(Mon) 22時頃
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[ 気付けば、九重はどこにも居ない。 ]
(587) 2021/06/07(Mon) 22時頃
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[ 炭蔵は神妙な面持ちで再び歩み始めた。 昇降口に寄れば、開けようとした残骸があり>>235 皆が口々に言っていた 「昇降口が開かない」が確信に変わる。
そうして、階段を昇ろうとすると、 ]
鳩羽、さっきぶりだな ……何してる?
[ 階段の下から二段目。>>505 誇りを持った文化祭実行委員の姿を見つける。 *]
(588) 2021/06/07(Mon) 22時頃
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── 回想:無断欠席の鳩羽 ──
[ 反抗期でも、喧嘩でも、 鳩羽の中で行動に移さないといけない 何らかの変化があったのだろう。 そう推測できる炭蔵は、 答えがどうであれ気にしていない。
逆に気になるのは、 ]
何かおかしかったか?
[ 咎めているというのに、>>144 微笑んでいることが、理解できない。 ]
(589) 2021/06/07(Mon) 22時頃
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[ 今後はしない、と口約束。>>145 その後の柊に唆されて非行の階段を昇るとは、 想定もしていない炭蔵は、 それだけで満足していたんだったか。 ]
俺は、ないな。思ったこと。 学校は来るべき¥齒鰍セし、 悪いことをして得があるとは思えない。
── ただし、これは俺の見解で、 鳩羽にとってむしゃくしゃしたことを 否定しているわけではないぞ
(590) 2021/06/07(Mon) 22時頃
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