8 Solo Assembly Letters
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[こうして、グラーツィアがガブリエルを訪ねに行き、ベーコンサラダに関しても(少なくとも暖琴からは)安全性が証明され、いまにも競馬レースという試合が始まろうとしていた中、セシルはひとり、「雨に打たれている洋館」>>#5の絵に触れた。 キリトに敢えて一礼はせず、そっと場を辞する、この主催である。]
(84) sakanoka2 2021/04/22(Thu) 15時頃
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――バグ退治の終了したピアノの間――
[窓から月明かり降り注ぐ、ピアノのそばのマシン、そのさらにそばのテーブル。 そこに便箋を一枚広げて、セシルはペンを走らせた。
選手たちと直接顔を合わせることが叶ってなお、セクレタリアトにこうして手紙を綴っていたのは、彼女たちが競技場に出て行ったからというのもあったが――。 直接口で伝えるにはいささかこそばゆい内容だったから、という方が大きかった。
セシルは少し迷ってから、己が持ち歩いていたポストの投函口へと封筒を入れた。 直接の手渡しも考えたが、渡す機を逸する、ということも案じられたから。
彼女のすぐそばにポストの姿は見えなかったが、ポスト以外のものが手紙を運ぶこともある、というのはセシルも知っていた。 実際にきちんと届くか否かは(誤配の事例に直面している身でもあるが故に)定かにいは知れなかったが――。 まさかレース中に手紙が降ってくる、なんて可能性までは、セシルは考えていないのだった。]
(85) sakanoka2 2021/04/22(Thu) 15時頃
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[それは主催側からの手紙としておなじみの、装飾の無い生成りの封筒と便箋。 封筒の表には、黒いインクで「セクレタリアト」と宛名書きされている。 そのさらさらとした筆跡は、これまでのセシルの筆跡よりも、幾分かくだけた印象を与えるものだ。]
(-81) sakanoka2 2021/04/22(Thu) 15時頃
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セクレタリアト
まず、こちらからの手紙への返信、ありがとう。 この手紙を書いている今は、僕だけが目を通している状態だが、グラーツィアにもきちんと見せておくよ。
大会自体は確かに中止にはなってしまったけれど、それでもレースの集いは実現して、良かったと僕も思う。
(-82) sakanoka2 2021/04/22(Thu) 15時頃
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ここからは『ラプソディ・パーティ』の主催としてではなく、僕個人としての手紙になるのだけれど――。
グラーツィアがどんな基準で君たちを呼び寄せたか、それは僕にも判らない。彼女は『面白そうだったから』としか答えてくれないからね。 それでも、その『面白そう』の中に君がいたということ自体が、僕にとっては嬉しかった。
だって、疑い合い、血を流し、命を奪うだけが「戦い」ではないことを、速さを競う世界の駿馬である君が示していると思えたから。 勿論、君の世界の「戦い」がそれだけではないってことも解ってはいるし、他の選手たちの「戦い」を否定する訳でもないけれども。
そんな、感謝っていうのもおかしいかもしれないけれど、そんな感じの嬉しさを伝えたくて、この手紙を君に送ることにした。
セシル・グレース
(-83) sakanoka2 2021/04/22(Thu) 15時頃
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追伸
もし万が一、君の世界で、グラーツィアに似た妖精と出くわすことがあったならば、芸術関係の人間(いや人間でなくても)には近づけさせないことをお勧めする。 彼女はリャナンシーの中でもとりわけ乱暴なリャナンシーだから、命まで取られずとも、気苦労の絶えない日々が予想できるからね。 彼女が君に送った手紙も、多分そういう類のものだったと思っている。
(-84) sakanoka2 2021/04/22(Thu) 15時頃
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[グラーツィアの姿が見えないのをいいことに、かなり好き勝手な追伸をつい付け加えてしまっていたセシルであった。 ――付け加えてから、そういえばあの妖精の姿をセクレタリアトは知っているだろうか、という疑問が湧いたのだけれど]
( ………、いや、もしかしたら。 選手たちには、どこかで僕らのことが 垣間見えていたのかも )
[暖琴のあの一言>>16を改めて思い出し、大分遅ればせにそう推察した。 推察してから――まさかものすごく情けない様を見られてしまっていたのでは、という居心地の悪さが出てきてもしまったが。
ちなみに、この時セクレタリアトに宛てた手紙に記した内容の一部が、彼女の方からセシルに問おうとしていたこと>>2:-56の一部への答えになっていたことには、勿論セシルは気付いていない。]
(86) sakanoka2 2021/04/22(Thu) 15時頃
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[さて、ここで宴会場に再び戻ろうかと考えて――。 思い立ったように、セシルは二通目の手紙に取り掛かった。
相手はそれこそ、文字通りに直接面と向かったならば、互いに大変ぎこちなくなることが予想できる相手である。 故に現状、手紙で言葉を伝える、以外の選択肢が思いつかなかった。黙ったままでいるという選択も採れたが、それはそれで、気まずい。]
(87) sakanoka2 2021/04/22(Thu) 16時頃
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[それは主催側おなじみの、装飾の無い生成りの便箋――だが。 封筒も何もない三つ折りにされただけの便箋で、宛名書きも差出人名も綴られていない。 その本文は黒いインクで、いささか読みにくいほどに速い筆致で綴られている。]
(-85) sakanoka2 2021/04/22(Thu) 16時頃
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不祥事をしでかした身で言うのもあれだけれど。 僕のことは気にしないで、と言っても難しいとは思う。 ラブレターを見られた居た堪れなさは僕にも想像できるから。
それでも、君には胸を張っていてほしい。 無二の友を裏切ってでも、人類を、あるいは世界を敵に回してでも護りたい相手への手紙だっていうなら、なおさらだ。
とにかく君は、無事にマーゴと記念日を過ごすこと。 もしも記念日に間に合わなかったとか、無事に帰れなかったとか、そういうことがあったら僕らに殴り込みしに来ていい。 グラーツィアみたいな超越的な手合いは、そちらの世界にもおそらくいるんじゃないかな。
(-86) sakanoka2 2021/04/22(Thu) 16時頃
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[「無二の友を裏切って、人類を、世界を敵に回しても」という文言は、本当にキリトがそういうことをしたと考えて書いた訳ではない。 これは、単純に。 セシル自身に、そういうことをしてまで護ろうとした人がいた、というだけのことだ。 ……その結果がハッピーエンドかと聞かれたならば、答えはNoになってしまうけれども。
こうして、一筆認めた後]
ポスト。 できるだけ早く。速達だ。
[もとよりタイムラグつきで届くのが仕様のこのポストが、果たしてどの程度「速達」を果たしてくれるかは謎だったが――。 「キリトへ、キリトへ、キリトへ―――」としっかりと念じてから、セシルは手紙をポストに放り込んだ。]
(88) sakanoka2 2021/04/22(Thu) 16時半頃
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――再び、ようせいさんのいない宴会場――
[こうしてぬいぐるみ大のポストと共に戻ってきたセシルは、蒼褪めてはいないものの未だ気まずさの残る面持ちで、宴会場の片隅に控えるのだった。]
(89) sakanoka2 2021/04/22(Thu) 16時半頃
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/* ちなみに延長はあと1回残っていますので、もうちょっと必要!という方がいらっしゃったらお伝えください。 企画村予定表を見る限り、村枠的には大丈夫なはず……!
ただ、もう1延長すると、wikiでお伝えしていた「最長でリアル10日間予定」からオーバーすることにはなるので、スケジュール的に長引かない方がいいな……!という方もお伝えくださいね!
(-87) sakanoka2 2021/04/22(Thu) 16時半頃
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セシルは、>>-88琴ちゃん了解です! ありがとう!
sakanoka2 2021/04/22(Thu) 18時頃
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/* 全員問題なさそう&あったら嬉しいご意見もありましたので、さくっと1延長しちゃいました! というわけで今夜は無理しないでね!! 勿論明日も明後日朝も無理しないでね!!
(-94) sakanoka2 2021/04/22(Thu) 21時半頃
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――月明かりの倫敦――
[選手たちに姿を見られていたと判っていながら一言も“声”を寄越さず、置き手紙の挨拶文で済ませてしまうという、相手が御使いでなくとも十分に無礼なこの妖精。 主催を見分けた根拠>>99を耳にして『えらいえらい』と褒め言葉零してみせる程度には、やはり不遜だった。]
『それにしても、キミはまるで、 ・・・・・・ ・・・・ ヒトみたいに喋るしかできないのだね? そなたの心に直接語り掛けているぞ〜とか 御使いならできると思っていたのだが』
[相変わらず「声を発して」告げる御使い>>101に対して、非常に呑気な言葉を紡ぐ。 グラーツィアは、相手が本当にテレパシーなど「できない」と考えてこんなことを発した訳ではない。 煽りともいえるこの発言は、けれど、大して深く考えずに紡いだ刹那の享楽でしかなかった。]
(106) sakanoka2 2021/04/23(Fri) 10時半頃
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[――そう、これはまるで、「もっと嫌ってみろ!」とでもいうかのような、戯言。 事実、少し低く下がった声で放たれた一言>>102>>103に対しても、妖精の顔色には微塵の陰りも見られなかったのだから。 そんな、言葉通りに「楽しんでいく」といわんばかりの余裕を見せるこの妖精だった。
天に放られたカード、御使いの掲げた腕、 静電気どころでない規模の、閃光と轟音。 それらに直面してなお、余裕――慢心は変わることなく。
天より裁きの白雷が妖精に下されても>>104、 叫び声ひとつその場に響き渡ることはなく、 白いドレスと黒いヒールで立つ女のカタチが崩れることもなかった。]
(107) sakanoka2 2021/04/23(Fri) 10時半頃
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[――――、が。]
『ん? んんんんんんんん? これは新手の電気療法というやつかな? バグ修正で弾きっぱなしだった身体の 凝りが取れたような気がするよ!』
[そんな戯言を、相変わらずの笑顔で悠然とのたまう妖精。 その髪は、真っ黒に焦げた、ふわっふわでちりちりのパンチパーマと化している。 黒いカーディガンも白いドレスもところどころ焼け焦げており、顔や手足は黒い煤まみれ。 まるで漫画のように、身体から黒い煙をぶすぶすと立ち上らせる無残な姿で、グラーツィアは軽く両肩を回していた。]
(108) sakanoka2 2021/04/23(Fri) 10時半頃
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『いやあ、裁きというのは良いものだね! こんな愉快にして慈悲深き礼に 感謝しよう、ガブリエル!』
[この世界の創り手という立場にある妖精は、無残な姿のまま、テレパシーめいた声で平然とそう言ってのけた。 それまで形一つ変えていなかった笑みは、「にぱっ☆」という効果音でもつきそうな、実に満足げな笑みへと変わっていた。
……なおこの妖精、自分の今の姿について解った上でこうのたまっているという余裕ぶりである。]
(109) sakanoka2 2021/04/23(Fri) 10時半頃
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『さて、宴会場でベーコンサラダでも―― おや? キリト、キミも来ていたのか。 この倫敦の観光かい? それともワタシと同じく約束の会合かな?』
[キリト>>98の気配に、ガブリエル>>105に遅れる形で、煤だらけの笑顔をぱっと向ける。 たった今思いっきり丸焦げになりました、と言わんばかりの姿で平然と佇むこの人外。 彼に掛ける言葉も相変わらず、テレパシーめいた形で発せられるものだ。
なお、ガブリエルに手紙で薦める程にセシル手製のベーコンサラダを主張するこの主催だが、選手が食べないなら食べないで特に問題ないと思っている。 “セシルがベーコンサラダを振舞う”というところまでが、この妖精の約束だ。]
(110) sakanoka2 2021/04/23(Fri) 10時半頃
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――一方、宴会場では――
…………、……遅い。
[キリトもまた絵の中に入り込んだ>>97のを見届けた後、セシルはひとりその場に留まっていた。 そのキリトが向かった先である『月明かりの倫敦』に、グラーツィアも行ったっきりだった。]
( これ絶対やらかしてる。 やらかしてるっていうか、絶対、 裁かれてるに決まっている……。 )
[予想できる事が事だった故に、自ら倫敦に赴いてガブリエルに弁明なりグラーツィアを回収なり――ということはセシルには出来ずにいた。 手紙を送るということも一瞬考えたが、瞬時に送れるものでなければそれこそ後の祭りやも、と過り、手は動かない。
なお、薄紅色の封筒の中の“ラブレター”については、グラーツィアには一切見せていない。 故に、そちら方面でグラーツィアがキリトに何かしでかす心配は、セシルは特にしていなかった。]
(111) sakanoka2 2021/04/23(Fri) 11時頃
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[「なにより」と告げる御使いの、その玻璃のごとくみえる目だけは笑ってはいない>>123。 冷めたいろを前に、焦げたて熱々の妖精は、視線の色も含めて能天気に笑み続けていた。]
『そうだなあ、後で一応きちんと見ておくとしよう。 治療ついでにファッションコーディネートまでしてくれるとは、至れり尽くせりというやつだな!』
[自分の姿を解っていて、「お似合い」か否かには触れない辺り、この妖精なりに一応それなりの自覚はあるらしい。]
『うむうむ。「土足で心に呼び掛けない」御使いの気遣いと慈悲深さ。 大会の主催たるもの学ばないといけないな〜』
[傍から聞いても本気とは思えないようなのんびりとした口調で、しかもしっかり「心に呼び掛ける」形で、うんうんと言わんばかりに頷いてみせて]
(129) sakanoka2 2021/04/23(Fri) 15時半頃
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・・ 『……とはいえ、主催をキミたちが担当して 大会を開く機会があるならば。 その時はぜひ、ワタシも参加したいものだ。 ああ、その可能性を夢見ようじゃないか!』
[「主の恩寵ある」世界への招待が何を意味するのか>>124。 御使いのひそやかな決意>>-101までは知らずとも。 異なる世界をこうして繋ぎ合わせたグラーツィアに、まるで見当がついていない、ということはない。 彼女なりに理解した上で、偽りなくこう言ってしまう辺りが、戯言を好み、刹那的で、そして「乱暴な」妖精だった。]
(130) sakanoka2 2021/04/23(Fri) 15時半頃
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[そうこうしているうちに、この人外ふたりに気づいたキリト>>116。 通りすがりの観光客のほうだという彼に向き直りながらも、くるりとおどるカード>>125をも横目に捉え――。 その上で、「にぱっ☆」という効果音つきの笑顔をみせた。]
(131) sakanoka2 2021/04/23(Fri) 15時半頃
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『ああ、とても熱々で魅惑的なデートだったよ! しかしお邪魔ということは無いのだよ、キミ。 ワタシはグループ交際でもWデートでも大歓迎だからね!』
[人外ふたりの証言は思いっきり食い違っている>>126。 たったひとつの真実は一体どこにあるのか。 それを見抜くのは、キリト、薄々でもこの状況を解っているキミの目に掛かっている――!
(なお、雷火で丸焦げになったという点において、「熱々」という言い回しは、妖精なりに告げた真実ではあった)]
(132) sakanoka2 2021/04/23(Fri) 15時半頃
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『さて、キリト。どういたしましてだ。 通りすがりのばったりついでに直々に感謝して貰えるなんて、主催として鼻が高いというものだよ』
[「十分非日常を味わった」という言葉>>117をスルーする形で、満面の笑みで(焼け焦げた)胸を張るこの妖精。 この姿を前に溜飲を下げられた、ということまで気付いた素振りはグラーツィアからは特に見られないが。 仮にキリトの内心を全て見通していたとしても、多分この妖精、平然とした笑顔でいる。]
(133) sakanoka2 2021/04/23(Fri) 15時半頃
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[そして、このけろっとした妖精は――]
『この世界の観光旅行の思い出――、 彼女とのアッツアツなデートの時の 自慢話にでも加えてくれたまえ!』
[大変爽やかな笑みで戯言を吐いた。 繰り返すが、グラーツィアは、誤送された件の“ラブレター”を一字たりとも読んでいない。 つまり、本当にただの素で、戯言を吐いた。
そんなこの丸焦げちりちりの妖精は、意味がわかると怖いお誘い>>127をキリトに持ちかけるガブリエルを前に、やはり特に何をするでもない余裕の佇まいを見せている。 なお仮に、倫敦に散ったポストが如くグラーツィアが吊るされたとしても、キミたちの元の世界への帰還に支障は(多分)ないから大丈夫だ、問題ない。]
(134) sakanoka2 2021/04/23(Fri) 15時半頃
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――一方その頃宴会場では……――
……っ、 ダメ、だ。 僕には、この東洋の神秘は、 ダメだった、みたい、だ――。
[涙目のセシルが、それでもなんとか頑張って、小粒納豆1パックを完食していた。 (遠目だったが故に、ヴィクトーリアがデアドラに薦めた納豆がどれだったのかをよく解っていなかった)
このセシル、納豆の匂いを誤魔化す目的で、しそダレではなくからしを 大 量 投 入 した結果、余計に甚大なダメージを喰らっている。 そしてキリトがしたのと同じように、紅茶を口に含んではみたものの、何とも言えない感触は残り続けていたという。]
(135) sakanoka2 2021/04/23(Fri) 16時頃
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[そんなセシルは、倫敦入りしたグラーツィアがまさかの別件でやらかした>>134とは知らぬまま (そして速達が確かに速達されていた>>118ことも、また知らぬまま) 涙を拭ってから、「雨に打たれている洋館」の前に立った。]
そろそろ“終演”の頃、かな。 主催者として、きちんとした挨拶は した方がいいとは思うけれど――。
[グラーツィアはそういうのには拘らないかも、とセシルは考える。 まるでナンセンスな児童小説のオチのように、何の挨拶も締めくくりもなく、気が付いたら元の世界に帰還していた――そんな“公演の終わり”だってやりかねない、と。 実際のコンサートでそれをやったら、観客はぽかんとするだろうけれども。]
ああ、遅れないようにする方が大事だ。
[グラーツィアが未だ不在の今、セシルは単身、元バグ対策本部へと。]
(136) sakanoka2 2021/04/23(Fri) 16時半頃
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[ひとつの楽譜を前にして、ピアノの鍵盤を押し、ペダルを踏み――“元の世界への帰還のタイマー”を設定する。 これにより、どこかしらのタイミングで、選手たちは自動的に、それぞれの元の世界へと帰還する。 勿論そのタイマーの時刻よりも前に、主催たちの合図によって帰せる可能性もあるけれども。
……競馬レースの最中に「夢落ち」めいた帰還が生じたらクレームものかな、とは一応セシルも考えていた。 それこそキリトの世界以外の“世界どうしを繋げられる”存在の力を以て主催たちへの殴り込みが決行されることも考えられたが――。 それでも、そうなったらそうなったで致し方ない、と。]
(137) sakanoka2 2021/04/23(Fri) 16時半頃
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[なお、自動帰還にせよ、主催側による手動帰還にせよ。 いつかの手紙>>3:-24に綴った通り、この世界で過ごした時間に関わらず、元の世界への帰還時にはたった1分しか経っていなかった、とすることは可能である。 自動帰還タイマーでも、“元の世界での1分後”の時間軸への帰還、として設定はしてある、が――。 この設定がきちんと正常に作動するかは、実際に帰還してみないと分からない!
こうしてやるだけのことをやってから、セシルは再び、宴会場の片隅に戻っていく。]
(138) sakanoka2 2021/04/23(Fri) 16時半頃
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