10 冷たい校舎村9
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[ ……もし、これが慎一だったら。 きっとこの場所はもっと騒がしい。
どんなに大事な仕事が入ってたって、 父も母も全部放り出してここに駆け付ける。
どこか別の場所にいたんだとしても──、 なあ、黒沢が搬送されてどのくらい経つっけ。
そんなこと聞けやせずに、 慎一はじっと番代のことを見下ろしていた。
人の家族について憶測で何か言いはしないけどさ、 たぶん、慎一の目はひどく動揺に泳いで、 似たものを感じ取ったことを番代に知らせるだろう。]
(+209) 2021/06/15(Tue) 21時半頃
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……俺、やっぱり向こう行ってる。
[ 他人がいても気まずいだろうとか、 そんな殊勝で冷静な心掛けじゃあなく、 たぶんその瞬間、そこにいたくなかっただけ。
鏡もないんじゃ見えやしないが、 きっと、慎一は顔をひどくゆがめてそこを立ち去る。*]
(+210) 2021/06/15(Tue) 21時半頃
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おう、ただいま。 えっと…… いや、なんでもない。
[そこに居たのは 物言わぬ人形なんかじゃあなくて>>4:+66 ちゃんと生きているマナだったから、さ。
無事帰ってこれてた喜びだとか、 そりゃあ… >>4:395 言いたいことは山程あったんだけど。 ま、それはあとでいっかな、って。
お嬢様、カフェオレ温めておきました。 お陰様で俺のポケットもほかほかしていて、 俺は、じゃ、またあとで、って売店に向かうんだ]
(+211) 2021/06/15(Tue) 21時半頃
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[そしてこちらもまあ 無事、売店は開いていたわけで。 (どうしても開いてるわけがねえって? じゃあ絆創膏の自販機があったことにするからな!) 調達するのは絆創膏だけ。
んで暫く廊下にあった大きな鏡に向かって 俺は格闘することにする。 眦の傷、そんなに大きくなくてよかったな、って。
あっちの世界はさ、 日常なんかとは随分かけ離れていたけれど 確かに、夢なんかじゃないって思い知らされる。]*
(+212) 2021/06/15(Tue) 21時半頃
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架空惑星 レンは、メモを貼った。
2021/06/15(Tue) 21時半頃
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[ 私が父に捨てられたもの。 捨てさせられそうになったもの。 ひとつひとつ拾い上げるみたいに、芽衣が頷いてくれる。 楽しかった。>>219 いらなくなんかなかった。 必要なくなんか、なかった。
そう、私は守りたかったの。奪われたくなかった。 自分の命を捨ててでも、守りたかった。 わかってくれて嬉しい。 芽衣はわかってくれる。友達は、わかってくれる。 私の大事なもの。必要なもの。 私に必要ないのは、むしろ ]
(229) 2021/06/15(Tue) 22時頃
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[ 芽衣は、私に心残りをあげたかったって言う。>>220 全然ダメって言う。>>221 そんなことない。全然ないよ。 むしろ私、芽衣の納得のいく演奏を聴いてたら、 心残り、なくなっちゃってた。 でも、芽衣は自分の演奏に納得がいってなくて、 聴いてもらいたかったって、言うから。 ……そっちの方が心残りになっちゃう。 でも、そんな迂闊な、2人を期待させるようなこと、 言えなくて。 私はそんなことないよ、って 首を横に振ることしかできなくて ]
(230) 2021/06/15(Tue) 22時頃
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[ そして、私の投げつけた質問に、>>212 真逆の答えが返ってくる ]
(231) 2021/06/15(Tue) 22時頃
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[ 炭蔵君の返事に、私は笑った。>>216 きっと涙目で、目じりは赤いけど、笑っちゃう。 ああそうだったなって思う。 自分ならこうする、ってはっきり言うけど、 私の選択を否定しない。 炭蔵君は、公平な人だった。>>0:650 そうだった。私、そのことを知ってた。 こんな時でも炭蔵君は変わらない。
変わらないなって思ったのに、 炭蔵君の話はそこで終わらなかった。>>217 命令じゃなくて、わがままで、お願い。 父に命令されるばかりだった私に、 炭蔵君は命令しない ]
……炭蔵君がわがままを言うなんて、意外。
(232) 2021/06/15(Tue) 22時頃
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[ 芽衣の答えに、私は笑った。>>224 これ以上なくシンプルに言い切られちゃった。 シンプルだったけど、芽衣がその二文字を口にするのに、 決意が必要だったこと、知ってるよ。 だって、友達だもの。わかるよ。 今までずっと私を否定せずに受け止めてくれた芽衣が、 私に突き付けた初めてのNOだもの。
まだちょっと歩み寄れただけの綿見さん。>>225 59点のクレープ。 辛いだけじゃないかもしれないこれからの未来。>>227 芽衣は一生懸命、私に心残りを積み上げようとする。 私の中に、もうそれしかない?>>228 ]
(233) 2021/06/15(Tue) 22時頃
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……わたし。 私、は、
[ 父に何か諦めさせられるたび、 私の中が空っぽになっていく気がした。 私の中に、まだ何か残ってる? ]
私、は、自由になりたい。 もう、父に雁字搦めにされるのは嫌。 見限られるかもしれないって怯えるのも嫌。 私は、……捨てられる前に、捨てたい。
[ 私が本当に捨てたかったのは、自分の命じゃない。 父による支配だった。 恩知らずと言われようと、私は、あの人と、 もう家族でいたくない ]
(234) 2021/06/15(Tue) 22時頃
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芽衣のピアノが聞きたい。 みんなと一緒にいたい。 みんなともっと仲良くなりたい。 みんなと、これからも、思い出が作りたい。
[ 私、もう空っぽだと思ったのに。 ひとつわがままが出てきたら、もう止まらなかった。 ぼろぼろ、涙と一緒にわがままが止まらない ]
みんなの未来の中に、私もいたい……。
(235) 2021/06/15(Tue) 22時頃
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[ 差し出された手は二本で、>>228 私の手も二本しかない。 左手を差し出すのは、特に勇気がいった。 そして右手にはクレープが握られたまま。 ここで格好よく両手を差し出せたらよかったんだけど、 やっぱり私、格好つけられないみたい。 だから私、ちょっと待ってね、って二人を待たせて、 べそべそ泣きながら涙トッピングのクレープを食べた ]
……私のわがまま、全部叶えてくれるって、約束して。 そしたら、帰る。
[ 少しくらいって炭蔵君は言ったけど、>>194 なにしろ私、生死の境をさまよってるんだよ? 少しくらいなんかじゃ気が済まない。 うんとわがままを言うけど、それでも叶えてくれる? 約束してくれるなら、私、2人の手を取ってあげる* ]
(236) 2021/06/15(Tue) 22時頃
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― 綿見と ―
そっか。だろーなとは思ってたけど、 やっぱ姿見るとほっとする。
え、あ、そう!?ごめん。 ついつい気になっちゃって…… でも恥ずかしがってる綿見ちゃんなんて レアだからちょっと役得。なーんて。
[勿論なんか変な気持ちで見てたわけじゃない、が、 確かにちょっと不躾だったかも。>>+192 謝罪を交えつつ、軽口を叩く綿見に笑いかける。 元気そうで何よりだ。]
(+213) 2021/06/15(Tue) 22時頃
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[続いて、黒沢の容体に水を向ければ ちらりと綿見の視線が集中治療室に向く。 まだ状況は何も変わっていないようで、 笑っていた顔を物憂げに曇らせた。]
………そっか……
九重ちゃんが来てるのは聞いたけど、 番代ちゃんも来てるんだ。
[番代家の厳しい門限を知っている身としては よく親が許可してくれたなって思ったけど、 それだけ必死に頼みこんだのかもしれない。 やっぱり皆、じっとしていられないのだ。]
(+214) 2021/06/15(Tue) 22時頃
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/* やったー!かえってくるー!
(-86) 2021/06/15(Tue) 22時頃
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/* のえちゃ
(-87) 2021/06/15(Tue) 22時頃
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架空惑星 レンは、メモを貼った。
2021/06/15(Tue) 22時頃
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/* お返事書くのに1時間くらいかかってるよ……信じられない。昔はもっと早かったのに!老化!圧倒的老化!
(-88) 2021/06/15(Tue) 22時頃
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[他の奴も来ているんだろうか、 なんて思考の端に過った所で ちょうど鳩羽が戻って来たか>>+191
おっすおっす、って軽く手を上げて挨拶し 飲み物俺の分はねーの?とか、てかその傷どしたん、とか ちょっとした戯れ(ウザ絡みとも言う)をしたのち 売店に去っていく友人を見送る。]
(+215) 2021/06/15(Tue) 22時頃
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/* ウザ絡み見ながら、今日日中動き回りすぎたせいで体力ゼロなので、ちょっと早寝するかもです。
みんなお疲れ様。またエピでね。
(-89) 2021/06/15(Tue) 22時頃
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……忙しいだけ、なら、いいんだけど。
[>>+208可能性を考えるならいろいろある。 元々父親はいなかった、とか、いろんな事情もあるだろう。 私は乃絵ちゃんの家庭については知らないんだから、 どう足掻いても余計な推測になってしまう。
私の両親だって、私が自殺未遂を起こしたなんてことがあれば、 絶対に、全速力で、何があっても駆け付けてくれるという確信がある。 だから、そうじゃない家庭について想像を巡らせる能力が足りていない。]
(+216) 2021/06/15(Tue) 22時半頃
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[だけど、だけどね。 もし父親が来ない理由が、 乃絵ちゃんが自ら命を絶とうとした理由と何か関係があるなら、って。 少しでも思ってしまったせいで、歯止めが効かない。
>>+209無言で視線を向け合えば、 同じ発想に至ったかどうか、目に走った動揺を感じ取った。
そのまま向井くんを見送って、 心の中に引っ掛かったその違和感と向き合いながら、 過ぎていく時間を待ち続けるだろう。
ポケットの中に重みを与えているコーラ缶の、 プルタブ部分を指でなぞる動きを繰り返す。
……うん、少し落ち着く。*]
(+217) 2021/06/15(Tue) 22時半頃
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[んで、聞かれた話の続き。>>+194 校舎内で綿見とあんまりじっくり話す機会は無かったけど、 そう言う風に思うってことは、 やっぱり彼女の中でも何か変化があったのかな。 そこまでは分からないにせよ。
何せ、成り行き上とは言え、 唯一俺の中学時代のごたごたを零した相手ではある。 ちょっとだけ気恥ずかしいような気持ちで 眉を下げて苦笑を浮かべた。]
………うん、
(+218) 2021/06/15(Tue) 22時半頃
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なんてゆーかさ、あっちでいろいろ話して、 人の話も聞いてみてさ、 俺視野狭かったんかなーって。思って。
過去言われたことは変わんないし、 俺がやらかしたことも変わんないし、 新しい彼女が出来たわけでもないけどさ。
[現実が何か大きく変わったわけでも、 根本的に解決したわけでもない。
…俺が実の親に棄てられた事実が 変わるわけじゃない。けれど。]
(+219) 2021/06/15(Tue) 22時半頃
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[乃絵ちゃんの質問>>231に、 わたしたちはわたしたちなりの答えを出した。]
(237) 2021/06/15(Tue) 22時半頃
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/* 黒沢の発言にほっとしつつ!ワガママくらい聞くよ〜 そして、樫樹くんの方は大丈夫かしら。快方に向かってるとのことでしたが少し心配。ご無理なさらず、でもお話しできたらうれしいです。
(-90) 2021/06/15(Tue) 22時半頃
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[炭蔵くんのわがままとわたしが積み上げる心残りが、 乃絵ちゃんの中に届いたのかな。 乃絵ちゃん>>232>>233はわたしたちの答えに笑った。
さっきあんなに首を振っていたのに>>230 もしかしてって期待しちゃいそうになる気持ちを堪えて、 わたしは手の差し出し続ける。]
(238) 2021/06/15(Tue) 22時半頃
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……うん。
[乃絵ちゃんが願いを口にした。 最初はいらないモノのこと>>234。 次に欲しいモノのこと>>235。
後者の話を聞いた時、わたし、指先が震えちゃった。
夢じゃないかな。 わたしが言って欲しいって思ったこと、 聞こえてるだけじゃないかな。
でも乃絵ちゃんの目からはぼろぼろと涙が溢れていて、 わたしは鼻を啜りながら笑った。 今度は強がりなんかじゃない、本当の笑顔だった。]
(239) 2021/06/15(Tue) 22時半頃
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[乃絵ちゃんはちょっと待ってねってクレープを食べる。 わたしはわたしたちの手を見て、炭蔵くんの顔を見て、 それから乃絵ちゃんを見て、からりと笑った。 何だか、ちょっと力が抜けちゃったね。
——わたしたちはみんな、二本の腕を持っている。
涙味のクレープがなくなるまで待って改めて。 わたしたちは、真正面から向き合った。]
……全然上手じゃないけど、いい?
[わたし、嘘つくのあんまり気にしないんだけど、 今だけは何の嘘も紛れ込ませたくなかったから、 乃絵ちゃんにひとつだけ尋ねた。 願い事には、わたしのピアノが含まれている。]
(240) 2021/06/15(Tue) 22時半頃
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絶対叶えるよ。約束する。
一緒にいよう。思い出作ろう。 ピアノも弾く……いつか、いつか。 ……ううん、未来のことは分かんないけど。 わたし、がんばるから、
乃絵ちゃんも、そこにいてほしい。
[わたしは差し出した手をもっと前に伸ばす。 いつの間にかわたしの目からは涙が消えていた。]
(241) 2021/06/15(Tue) 22時半頃
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[わたしは、わたしの宝物で、友達を迎えに行く。]*
(242) 2021/06/15(Tue) 22時半頃
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