27 【crush appleU〜誰の林檎が砕けたの?】
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―― 現在:駐車場→美術館内 ――
[ いつまでも駐車場にいたって仕方ない。 骨谷先輩や銀先輩に挨拶だってしたいし、 柊くんに肉じゃがだって作らないと。
そんなことを思いながら、 俺は駐車場から美術館内へと足を進めた。
エントランスを通ったけれど、 大藤先輩とはすれ違ったかもしれないし、>>262 もし会えていたのなら、 いくらかは会話をしたかもしれない。
いずれにせよ、俺はそのうち エントランスを離れて、館内を歩き回ることになる。 ]
(263) 2023/07/30(Sun) 15時頃
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……?
[ それは倒れている姿だったのか、>>251 はたまた後ろ姿だったのか、 絵画の前だったかもしれないし、 もしかしたら、少しは移動していたかもしれない。>>249
いずれにしても、見慣れない赤茶けたマント姿に、>>249 それが誰なのか分からずに、 俺は訝しみながら近寄ったんだけど、 ]
(264) 2023/07/30(Sun) 15時頃
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え、銀先輩?
[ 周りには他に人がいるようには見えず。>>253
先輩がなんでこんな時代がかった格好をしているのか 分からずに、俺は銀先輩の名を呼んだ。
もし、先輩がまだ床に横たわっていたり、 座っていたりしたのなら、 心配して俺もしゃがみ込み、 「大丈夫っすか?」と声を掛けたと思う。 ]**
(265) 2023/07/30(Sun) 15時頃
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─エントランス─
[エントランスには木の色調とシルバーグレーのフレームが 植えられた緑に調和を取られ優しい色をしていた。 人工的に作られた建築物だというのに、 自然を限りなく取り入れられ、丁度よく伸びた樹の葉が木陰を作っている。
樹の足元には赤い林檎が九個横たわっていた。 うち一つは、腐って落ちたかのように、身を溶かし落ちた衝撃に潰れている。
一人。 まるで『死』だなと思った途端。 赤々としていた林檎が時を遡るように浮かび上がり 瞬きの間に間に、その樹にぶら下がり揺れている。 樹についた実は三つ。]
面白い展示だな。
[誰にともなく呟く。]
(266) 2023/07/30(Sun) 15時半頃
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― 美術館長室 ―
[銀の前から消え、男はまた美術館長室に戻る。 蓄音機によると、 ああ、さっきの選曲はそういえば 彼女を不機嫌にさせたこと、思い出した。
少し思案し、ガブリエル・Fのレコードを出して、 丁寧に円盤乗せると、針を置いた。
そして、重厚な仕事机に座ると、また帽子を深く被り、 瞑想をする]**
(267) 2023/07/30(Sun) 15時半頃
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聞こえているか? 見ているんだろ?
[田端が会ったと、念じれば会えると言っていたように思う。 黒い天使に届くのならと、少ない言葉数をエントランスに落とす。 福原の耳にも届いていただろう。>>263]
自分は誰が死んでようが構わない。
[それが自分でも、このゼミの誰かでも 厭だと駄々をこねたところで、事実は変わらないはず。 なら抗うだけ無駄だ。 受け入れることが最善策というもの。 しかしこの言葉は、誤解を孕む言葉だろうか。
‟どうでもいい”
そう、思われるだろうか。**]
(268) 2023/07/30(Sun) 15時半頃
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/* ほんとうにほんとうにほんとうにすまない 絡めてないところが多すぎるウッウッ
(-63) 2023/07/30(Sun) 15時半頃
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/* 大藤先輩とも話をしたいけれど仁科め
(-64) 2023/07/30(Sun) 15時半頃
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[>>252>>253 どのような形にせよ、失われたのだ。
男の掌がフード越しに触れる。 頭上から振ってきた声は、穏やかな響きを帯びて。 ぼんやりと、意外だな、と感じている。
臥する今の銀に、返す余裕はなかったが、 男の言葉は届いていた。
間もなく、気配はなくなったのだろう。*]
(269) 2023/07/30(Sun) 16時頃
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――B1/廊下――
オレには、命が燃えてるような 空に見えます。
[昼は生者の世界、夜は死者の世界。 その狭間で、オレはそろそろ白昼夢から 目覚めようとしている。
タカナル先輩には、まだ宵の闇は訪れていないのだ。 各々が見る夢の継ぎ接ぎだとしたら、 虹彩に映る光景も、感じる味も、違ってもおかしくない。]
(270) 2023/07/30(Sun) 16時頃
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……フられれば、慰めてくれるし、 死んでいなければ、喜ばれるし。
研究室のみんながいい人ばかりで、 だから申し訳なくて、ちょっと辛いです。
[タカナル先輩の笑顔は、メグココちゃんみたいに 裏表がなさそう、とは思えないのだけれど。 相手が先輩だからか、宣告に付随する 肩の荷の重さと本音が、小さく零れた。
差し出された手を取る。 少しだけ、この手で握るカップのことを考えながら。 袖布のダメージに怯えはしたが、オレからは 握り返す腕に目立つ外傷は見当たらなかった。 夢だから?――彼が語らないなら、聞きはすまい。]
(271) 2023/07/30(Sun) 16時頃
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……病院?
[そういえば、死んだのが誰か気になって、 目覚めた後のことなんて、 全く考えが及んでいなかった。
全員が災害に巻き込まれた。 たった一人だけが、死んでしまった。
生き残った全員が、五体満足だなんて、 黒い翼は一言も保証していない。 そうだ、美術館でみんな眠って夢を見ているのではなく、 ある種の昏睡状態なのでは――? 世界の耐久度の話もあったけど、 覚醒に個人差があるのも、それで納得がいく。]
(272) 2023/07/30(Sun) 16時頃
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[生きている、だけで喜んでいていいわけない。 オレが真っ先に心配したのは、勿論 両腕が無事なのかどうか、だ。]
アリババとやらに、確認したいことが増えたな。
[夢の中のスケッチブックを持ち帰るのが無理なら、 脳内にイメージを焼きつけておくくらいしか、 オレにできることはないけれど。]
(273) 2023/07/30(Sun) 16時頃
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分かりました。 タカナル先輩の親類の方に、 名乗ればいいんですね。 多分叔父さん……覚えておきます。
[自分の死後の話に及んでなお、 気遣いを見せる先輩に少し戸惑う。 「両親はすぐ来ない」と淡々と語られ、 お金持ちの家庭で想像する、 複雑な事情の一端を垣間見たり。]
ありがとうございます。 オレは芸術方面はからっきしなんで、 ジイさんを惜しむ人の期待には 応えられるか分からないですけど。
(274) 2023/07/30(Sun) 16時頃
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……勿論、本当はちゃんと 生きた先輩に案内されて、お宅に伺いたいと 思ってますからね。
[何故か、タカナル先輩の言動には 生への執着が薄すぎる気がして、不安になる。 ノっ君に感じたものとは別種の、 諦念よりはまるで他人事みたいな危うさは何なのだろう。
励ましの言葉を曖昧な笑みで誤魔化す オレの視界に、小さな黒が舞った。 また例の死神の羽根かと思ったそれは、 蝶のかたちをしてちらちら鱗粉を散らす。]
(275) 2023/07/30(Sun) 16時頃
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――回想――
[タカナル先輩にジイさんのことを話して数週間。 もう一度研究室で会った際、オレは 拙作の一つであるカップを持参し、 先輩に見て貰うことにした。]
これ、ジイさんの骨を混ぜてつくったんです。 ボーンチャイナは、昔は牛の骨灰を混ぜてたけど、 今は成分的に、人骨からでもつくれて。
……死体は、石と違って法律上 ややこしい手続きが必要なんですけど、 ジイさんの遺言にあったから。 親父には、放っておけって言われたんですけどね。
[作品としては、芸術的な見処もなく、 無地でシンプルな型の試作品のようなもので、 あの骨谷雷門の後継者と期待していたなら 肩透かしを食らっただろう。]
(276) 2023/07/30(Sun) 16時頃
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― 美術館長室→エントランスへ ― >>268
[響いてきた声に目を開けた。 帽子を被りなおして、首を緩く振ると、 さてに、と立ち上がり、
美術館長室を出ると、 エントランスへ歩みを進めた。
さて、たどり着いた時、そこにはまだ大藤 はいただろうか。 一緒に回谷も見るだろうか]*
(277) 2023/07/30(Sun) 16時頃
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――美術館二階
[銀がひとりになってから、 どれくらいの時間が過ぎたか。
そも夢の中で、時間の概念が どれ程の意味を為すのか。 思考など放棄してしまいたかったのに、 人は案外無にはなれないものだ。
ぼんやりとしながらも、 取り留めのないことを考えていた。]
(278) 2023/07/30(Sun) 16時頃
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…………福原くん? ……大丈夫ではないわ。
[>>264>>265 近くに座り込む後輩に、 顔だけ上げて短く答えた。 動くと、重たいマントがごわついた音を立てる。]
福原くんは大丈夫?
[鸚鵡返しに口にする。 カフェでは明るい姿を見せ、食事のみならず 保冷剤まで用意してくれた福原。 西門が姿を消し、骨谷と銀が夢から覚めると 伝えられた今ではどうあったろう。
生気を欠いたままの表情で投げた問いは、 気遣いゆえというより、殆ど反射で口にしたもの。*]
(279) 2023/07/30(Sun) 16時頃
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もともと、花器や壺や絵皿ならいいんですけど。 食器とか茶器とかが、一度も盛り付けられることなく 展示されて飾られてるのを見ると、 可哀想に感じてしまうんですよね。
誰にも触れられない、使われない、 鑑賞されるだけの陶磁器も、 みんなが褒めるから、価値はあるんでしょうけど。
オレは、ちゃんと使って貰えて 誰かの役にたつ器が焼きたいんです。
[オレの転機はジイさんの死と遺言だった。 人骨でつくる茶器の魅力に取り憑かれてしまったのだ。 芸術的価値と機能性利便性と、どちらが正しいかなんて 人の考えは多種多様だから、オレの信念を知って タカナル先輩が興味を失っても、それは仕方がない。]
(280) 2023/07/30(Sun) 16時頃
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[ジイさんの古馴染みや顧客は、 みんな揃って棺桶に片足突っ込むような年齢だ。 どこからか、遺骨を混ぜたカップをつくったと聞きつけて、 大半は気味悪がったけど、自分も是非、 なんて奇特な好事家も居たりして。
以来オレは、いつかは生業にするつもりで、 細々と小遣い稼ぎをしている。
自分が亡くなった時には。 配偶者が亡くなったから。 ペットの遺骨が持ち込まれることもあったし、 事故で切断した自身の四肢の骨もあった。
様々な骨で、人柄を拝聴し故人を偲んで オレはカップを焼いた。 石を、骨を、砕いて粘度と混ぜて、捏ねて、 思い出を"役に立つ器"に生まれかわらせる。
オレが生涯を捧げようと思った、使命だった。]
(281) 2023/07/30(Sun) 16時頃
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[だから、この中でたった1人、 命が失われたのなら、
――オレはその骨を、記憶を、命を、 砕いて、砕いて、砕いて、
彼の人の存在の名残りで、器をつくりたい。**]
(282) 2023/07/30(Sun) 16時頃
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/* 死んだら骨谷センパイにカップ作ってもらえるのか〜… それはちょっと見たいぞ
(-65) 2023/07/30(Sun) 16時頃
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/* 早く帰りたい…暑い… にしても、帰ったあとでPCの前に座る体力が残っているか自信がない…涙
(-66) 2023/07/30(Sun) 16時頃
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/* うん、変態だな。
肩書から、化石大好き考古学マニアか、とにかく 骨が好きで骨でなんかするPCにしたかったんだ。
骨格や死体愛好家だとアレだし、 筋肉→骨になっただけで前村キャラと あんま変わらない気がしたから、一捻り。 https://karapaia.com... 気持ち悪がるPCも居てくれてよかったんよ。
(-67) 2023/07/30(Sun) 16時頃
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/* >>282すき
(-68) 2023/07/30(Sun) 16時半頃
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/* ていうかさあーーー先輩さあーーー しれっと愛らしいとか言わないでくださる!?!?(言ってません) 勘違いするでしょ!!!!
(-69) 2023/07/30(Sun) 16時半頃
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/* いや先輩は現時点でこころに矢印があるとは思ってないしこころもそう思ってるんだけどでも脈ないわけじゃないよってことだと受け取るけどいいですよね!?!?PLがちょろいから...思わせ振りなことされると好きになっちゃうから...
(-70) 2023/07/30(Sun) 16時半頃
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―現在・女子トイレ―
[自身を「可愛くない」と言い始めたのはいつだったか。]
「「可愛いは作れる」」ものよ」じゃない」
[ステレオに聞こえた音声に振り返ると、田端先輩がいた。 「可愛らしい」と言われて、言葉通りに認識――しきれずに言葉に詰まる。 く、と髪が引かれる感触に鏡に視線を戻せば姉は結い始めたようだ。]
そう、で しょうか
[鏡の自分のすぐそばに美しい人がいる。 姉の優しい手つきで、髪は編まれていく。 鏡でしか見えないのに、梳かれる感覚とくいくい引っ張られる感覚を感じるから、鏡の中で起こっている通りに見た目に変化が出ていることが感じ取れた。
懐かしい感触だ。 姉は子供の頃からおしゃれというかおませというか、よくわたしの髪を結いたがった。 年子だったから、少しでも構ってお姉さんぶりたいのもあったかもしれない。]
(283) 2023/07/30(Sun) 17時頃
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[姉に髪を結われるのが好きだった。 子供の頃は。 すごく可愛くしてもらえたと無邪気に喜んだ。
成長するにつけ、周囲は勝手にも女性の評価基準に美醜を取り入れ始める。 別段そこまで自分を醜いとは思っていなかったが、美しすぎる姉のそばにいると、親戚も学校でも、必ず見た目の評価が口に出されるようになった。
男子は無遠慮に「仁科のハズレの方」など言っていた。 言霊とでも言うのか、だんだんと自分のようなものが着飾るのは恥ずかしいことのように思えた。
中学生くらいの頃から、姉が髪を触ることを時折断るようになった。 かわいくないから、と。
私は一方的に拗ねていたのだ。]
(284) 2023/07/30(Sun) 17時頃
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