3 ディアス家の人々
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すぐにわかりますよ。
[満足を示す彼の首筋に、軽く唇で触れる。 漂う香りはどちらにも等しく作用するから、 ―――もう、忍耐など振り切れていた。]
ここ。 思い出して。
[尾の名残に掌を置き、掠れた声で囁く。 呼びかけられたものが、彼の内側で目を覚ました。 最初の夜からずっと彼の中を占めている闇が、柔らかく震える。*]
(-2) nekomichi 2021/01/15(Fri) 00時半頃
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ここからはもう、夜の時間。
[闇の目覚めと同時に、纏う気配を変えた。 横たわる背中へ、まるい尻へ、柔らかな内股へ、つま弾くように指先を走らせる。]
もっと良いことを、しよう。
[体を折って囁きかければ、彼の背に髪の先が触れる。 香油を纏った指を菫門に差し向ければ、抵抗もなくとぷりと沈んだ。*]
(-4) nekomichi 2021/01/15(Fri) 09時半頃
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全部、私に任せて。
[伸ばされた手を取り、腰の上に束ねてゆるく押さえ込む。 その間に、沈めた指を曲げ、感じる場所をまさぐりはじめた。]
良くしてあげるよ。 もっと―――ずっと、
… ここ、欲しい?
[彼の悦びの源泉に指先が届く。 幾度か撫でるように愛でて、誘った。*]
(-6) nekomichi 2021/01/15(Fri) 11時半頃
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[主は軽妙な答えで追求を躱し、その場を離れる。>>2:26 その間ずっと、笑いの気配が漂ってきていた。]
仮面はすなわち、神降ろし、ですから。 舞踏会の華やぎに紛れて、私にもなにか降りたのでしょう。
[仮面の下なれば、神も魔も人の世に混ざるのだと、風雅な言葉で真の一端を語る。]
(0) nekomichi 2021/01/15(Fri) 12時頃
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では。あなたのお許しを得て。
―――今宵、楽しみにしております。
[彼の指先を取り、唇でついばんでから手を放す。 少し先にいた、豪華な羽根飾り付きマスクの男性に声をかけ、彼の元へ向かわせてから、人の波の中に消えた。*]
(1) nekomichi 2021/01/15(Fri) 12時頃
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[香りに蕩かされて、彼の体も言葉も素直だった。 指を動かせば、肉襞が絡みついてくる。]
じゃあここ。
それと、ここ。
[二本目の指を入れ、同時に動かした。 強く、弱く、緩急をつけて擦る。]
まだ足りない、 だろう?
[囁いて握っていた手を放し、彼の腰を引き寄せた。]
(-8) nekomichi 2021/01/15(Fri) 13時半頃
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[膝立ちにさせた彼の後背に顔を寄せ、二本の指で広げた場所に舌を差し込む。 淫靡な水音をたてて舐め、中をまさぐった。 存分に舌先で堪能したあと、周囲を舐め上げて唇を離す。]
もっと欲しい? ここにぴったりのもの。
[指の動きを再開させながら、誘う。]
言って。
欲しい、 って。
[妖艶な声が甘い香りをかき回した。*]
(-9) nekomichi 2021/01/15(Fri) 13時半頃
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[腰を引き上げた手に、硬いものが触れた。 彼の熱が集まる場所は、もう脈打ち、勃ちあがっている。]
ここは後で。 先にいってしまったら、もたないからね。
[そこも香油を纏った掌で優しく擦る。 先端も親指の腹で円描くように捏ねながら、中へ闇を送り込んだ。 出せぬよう漏らさぬよう、粘度のある闇が細い管を遡り、内側を満たす。 のみならず、闇は中で密やかにのたうち震えるのだ。]
(-12) nekomichi 2021/01/15(Fri) 15時頃
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おまえの望むままに。
[求める言葉を言わせて、愛おしさははち切れそうになる。 自身の滾る熱を彼の足に触れさせ、彼自身の陽根とも擦り合わせたのち、香油と唾液で光る媚洞へ収めた。
日々開発され、指と舌で広げられた内側は、少しの隙間もなく侵入者を包み込む。 動かせば柔らかく震え、絞りたてるように奥から窄まった。]
中はもうこんなに熱くなって、とろとろに溶けているよ。 もっと欲しい、と吸い付いてくる。
ほら、動いてごらん。 自分で、欲しいところに擦り付けてみて。
[浅く腰を使いながら、もっと深いところへおいでと誘いかける。*]
(-13) nekomichi 2021/01/15(Fri) 15時頃
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[そそのかされた彼が、腰を揺らし、自らを捧げる。 初々しい仕草に微笑み、手を添えて動きを助けた。
今まで内側を埋めていた手は前に伸ばして胸乳を探る。 彼の恍惚をさらに深めるべく、あかい珠を指先に捉えた。]
いい――― たまらない 。
[悦びを紡ぐ声は彼の吐息と絡まりあう。 彼も己をもめくるめくような波に投げ込んで、もろともに蕩けた。]
(-16) nekomichi 2021/01/15(Fri) 16時半頃
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ああ……いくよ―― っ、
[今宵は自らの欲望に手綱を掛けず、感じるままに駆けた。 彼を高め彼に高められて、この夜最初の悦びを放つ。 なおも衰えない槍先でかき回せば、淫猥な水音が高く反響した。]
まだ、 もっと欲しい。
[濡れた声を彼の背に滴らせる。*]
(-17) nekomichi 2021/01/15(Fri) 16時半頃
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[この身の下で咽び身悶える彼は、蜜に溺れた蝶のよう。 進めば戻れないと知ってか知らずか、さらなる蜜を求めて羽を震わせる。 花たる自分は彼に蜜を注ぎ、一緒に溺れてしまおうか。
壁を乱打した嬌声が反響を残して消え、なお求める声は強欲にも全てを望む。 溢れるほどに愛を注ごう。愛しきものよ。]
湯の中でしようか。
[一度結合を解き、彼を抱き上げて湯に運ぶ。 合間に、唇や額や首筋や胸元に、キスの雨を降らせた。]
(-20) nekomichi 2021/01/15(Fri) 18時頃
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[湯船に入れば腰を下ろし、彼を背中から抱き寄せる。 溢れた湯が小さな津波を起こし、浴室の香りがかき回されて新たになった。]
全部してほしい? 感じすぎて、もっとだめになるよ?
気持ちいいこと以外、なにも考えられなくなって、 頭の中が真っ白になってしまうよ?
[先ほどの彼の言葉を繰り返して、この先を示唆する。 足を開かせた彼の中へもう一度己を送り込み、再びの結合を果たす。 再開された営みは、先ほどより激しいものだった。]
(-21) nekomichi 2021/01/15(Fri) 18時頃
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[浮力を利用して彼の体を弾ませ、入り口から奥までを立て続けに突き上げる。 より深く、より密着させて、彼の快楽の道を往還した。
片手では彼の封じられた熱を握り、貫くのと同じリズムで擦り締め付ける。 時折先端をつまみ鈴口をつついて、中の闇を震わせた。
もう一方の手では胸の先を転がしひねり摘まんで刺激を加える。 腰奥で生まれた快感を全身へと響かせる経路が開かれていく。]
愛している。 おまえの、全てが欲しい。 もっと、深いところまで、全部みせて。
[甘く囁く言葉は絶え間なく、時折は首筋に唇を這わせてリップノイズを立てる。 戯れに噛みついた肩にはほんのりと赤が滲み、香りに背徳の官能を加えた。*]
(-22) nekomichi 2021/01/15(Fri) 18時頃
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私の正体が気になる?
[不安の色を示す彼に囁きかける。 知ってはいけない秘密を、密やかに明かすように。 けれどもそれも、甘い香りの中に溶ける。]
いずれわかる時が来る。 今はただ、感じて。
[彼の快感の在処を全て捉えて刺激する。 魔性の与える愛撫は優しく、暴力的で、容赦がない。]
(-27) nekomichi 2021/01/15(Fri) 22時頃
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奪ってなどいない。 与えているだけだ。
感じているだろう? 気持ちいいだろう? 今はそれでいい。
[抗議のような言葉を紡ぐ口を、手で塞ぐ。 中指を押し込んで、彼の舌を愛でる。 言葉だって必要ないと。]
(-28) nekomichi 2021/01/15(Fri) 22時頃
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――― これやわが深みの炎
[不意に詩情を動かされたかのように吟じる。 日のある内、書き留めた彼の詩に添えるように]
また永久の秘密の徴、われと聴く 激しき恋の凱歌に沈みにし色。
[言葉の残りは、彼の肌に直接染み入らせた。]
(-29) nekomichi 2021/01/15(Fri) 22時頃
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おまえのような者との出会いは、 千年に一度の奇貨。
おまえが欲しい。 おまえを愛したい。
その思いで、私は焦げ付きそうだよ。
[湯よりも体温よりもなお熱い息を吐いて、彼のうなじに口付けた。*]
(-30) nekomichi 2021/01/15(Fri) 22時頃
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[口を封じられて、彼の眦が色を刷く。 指に加わる圧力を、止めはしなかった。
望めば真珠の歯列は肌を破るだろう。 貴種の血が舌を伝い、喉奥を下るころ、彼の下肢を塞いでいた闇を溶かして開放した。]
これはおまえが望んだことだよ。 全部、してあげよう。
[囁きは声の形をした毒。あるいは媚薬。 あらゆる責め手が連動し、彼を快楽の頂へと押し上げていく。 幾度も繰り返し注がれるのは魔性の精。 彼が頂を極め、果ての果てへと押し流され、なおも開いた扉の前で意識を手放すまで、この夜の媾いは途切れることなく続いた。*]
(-33) nekomichi 2021/01/15(Fri) 23時半頃
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[外の世界で太陽が地平線にキスしようかという時刻。 朦朧とした彼を、危ういところで魔力の眠りにつかせる。 気を失われては、記憶を飛ばせないところだった。
深く眠る彼の体を清め、ベッドに運んで寝具に収める。 浴室を片付けるころには陽光が窓を叩いていた。 夜の時間は終わりだ。]
早く、私の領域に連れ去ってしまいたいこと。
[そうすれば、不躾な陽光などに邪魔はさせないのに。]
(-35) nekomichi 2021/01/16(Sat) 12時頃
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[眠る彼の横に座り、額に手を置く。 少し、無理をさせすぎただろうか。 人間は脆いということを、つい失念してしまう。
私の血を少し呑んだようだから、あるいは治癒の力を発揮するだろうか。 あるいは、それも追いつかないほど体力を消耗させたかもれしれない。
早く目覚めて欲しい、とも思うが、魔法の眠りは自然に目覚めないと、記憶を覆い隠す効果は得られない。 ベッドに入ったのがあの時間だ。 昼まで起きてこないかもしれない。 そんなことを考えながら、飽かず彼の顔を眺めていた。*]
(-36) nekomichi 2021/01/16(Sat) 12時頃
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[日が傾き周囲が暗くなってくれば、仮面舞踏会の雰囲気も少し変わる。 演奏の賑やかさ、人々の華やかさは変わらないながら、なにか得体の知れないものが紛れ込んでいるような、こことは別の世界の扉が開いているような、そんな幻想的で、怪しげな空気が漂いだす。]
お待たせいたしましたか、殿下。
[正面から近づきながら、彼に声を掛ける。 伸ばした指は、杖持つ彼の手に、羽根のように触れた。*]
(22) nekomichi 2021/01/16(Sat) 16時頃
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[血のつながりを響かせて辿った先に、花の枝を手にした彼がいる。 白い小さな花は、薄暮に甘く香っていた。]
その香りがお好きですか?
[微笑んで、彼の手を取って、引き寄せる。]
今宵は寝室に、その花を散らしましょうか。
[忍びやかに、秘密めかして、囁く声は艶を帯びた。]
(26) nekomichi 2021/01/16(Sat) 21時半頃
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[彼を先導し、舞踏会の空気から逃れて向かったのは、結局は彼の私室だ。 扉を閉めれば、華やかな賑わいが遠くなる。]
今宵は楽しまれましたか?
[仮面を外す前に、問いかける。]
最後に一曲、私と踊ってくださいますか?
[引き寄せた彼の手に自分の手を乗せて、誘った。*]
(27) nekomichi 2021/01/16(Sat) 21時半頃
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[寝具の中で彼が身じろぐ。 目覚めるかとも思えたが、そのまま潜ってしまった。]
私はここに。我が主。
[呼ぶ声に応えたが、指示にはいくらか戸惑った。 確かに日は高いけれども、彼の目は光を捉えないはず。
だか現実に、彼は陽光を避けるような仕草をしている。]
(-39) nekomichi 2021/01/16(Sat) 23時頃
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[あるいは、濃密に交わり、幾度か血を与えた結果、一時的に我が眷属に近い体質を得たのだろうか。 だとすれば面白い。 そんなことを思いながら、窓の外の雨戸を閉め、厚いカーテンを引いて、僅かな日光も部屋に入らぬようにした。]
今、紅茶をお持ちしましょう。
[喉の渇きを訴える彼の為、立ち上がる。 しかし、続く問いに上半身を振り向かせた。]
(-40) nekomichi 2021/01/16(Sat) 23時頃
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昨夜は入浴の途中で寝てしまわれたので、私がベッドに運びました。 きっとお疲れなのでしょう。 体調に、変わったところははございませんか?
[なにひとつ間違ったことは言っていない。 だが全てではない。 彼が入浴中に寝てしまったのは、情交を繰り返した為だというのは、私の記憶の中にのみ残ることだ。*]
(-41) nekomichi 2021/01/16(Sat) 23時頃
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刺激に飢えている?
[顔を出した主の言葉を、おうむ返しに聞く。]
あまり外にお出にならないので、肌が弱っているのかもしれませんね。 このまま吸血鬼になってしまわれたなら、――私の血を吸っていただきましょうか。
[低い笑い声は柔らかい。 スープを求められれば、用意のために部屋を辞した。]
(-44) nekomichi 2021/01/17(Sun) 10時半頃
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[厨房でコンソメスープをもらってくる。 ほとんど具の入っていない、濃い黄金色のスープだ。 部屋の前までカートで運び、そこで仕上げを施した。
薬指をナイフの先で突き、ほんの一滴、スープに血を垂らす。 くるりとスプーンでかき回せば、濃い赤は金色に混ざって溶けた。]
(-45) nekomichi 2021/01/17(Sun) 10時半頃
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スープをお持ちしました。
[部屋に入り、枕元へスープを運ぶ。]
ちょうどコンソメスープがございました。 いかがですか。
[匂いが届くように彼の前にスープ皿を置く。 了承があれば、ひとさじ掬って彼の口に注いだ。*]
(-46) nekomichi 2021/01/17(Sun) 10時半頃
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