19 メタルボディの共存試験【R18ペア】
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[ついに沈黙した彼の頭を抱え、瞼を閉じさせる。 それから、少しの間途方に暮れた。
彼を、どう再生したものだろう。 人間であれば話は簡単なのだが、機械に己の技が通用するものだろうか。
暫し悩んだ末に、伝手を当たることにした。 自分の力が及ばない分野は、専門家に頼るのが正しい。
彼の頭を抱いたまま、いくつかの場所へ連絡を取る。 話がまとまれば、後は早かった。]
(2) 2022/10/11(Tue) 12時半頃
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― ルウポリス某所 ―
[都市の中に紛れて建つ研究施設に、彼は運び込まれていた。 最先端が集う都市は、いろいろと都合がいい。
彼のボディの修復も順調に進み、いくつかの機能の追加や、ドゥライミ側からのモニター機能の削除などが行われた。
プログラムの解析と書き換えには時間が掛かる、という話だったが、それを待つ気にはなれなかった。 早く会いたい。 思いが募ればこそ、自分の手で目覚めさせようと思う。 相手が機械であれ、できるはずと確信していた。]
(3) 2022/10/11(Tue) 12時半頃
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[準備を整え、台に横たわる彼の傍らへ立った。 彼は外装も修復され、人間と変わらない姿を取り戻している。 その胸元は外装がひらかれ、彼の動力源であり、まさに心臓部でもある機構が剥き出しになっていた。]
目覚めなさい。 私の愛しい子。
[甘い囁きと共に、掌を短刀で突く。 溢れる血を、彼の心臓部へと注ぎかけた。]
(4) 2022/10/11(Tue) 12時半頃
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[それは人を魔へと変える秘術。 だが、機械は魔になるだろうか。 前例は知らない、けれども。
魔が機械の身体を手に入れることはある。 ならば、逆もあってしかるべきだ。 こと、彼のように複雑で精緻な、限りなく人に近いものならば。]
おまえは私のものだよ。 私はおまえの主。おまえを愛し、守り、慈しむもの。 さあ、目覚めなさい、瑛羅。 私の瑛羅。
[名付けの呪を儀式の鍵として、彼の唇に捺す。 魔性の血は金属の色を変えながら、機械の隅々まで浸透していった。*]
(5) 2022/10/11(Tue) 12時半頃
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[声に応えるように彼が瞼を開く。 その瞳がこちらを見たように思ったが、開いた口から言葉は発せられず、唐突に音楽が流れ出した。
これはどうしたことだろう、と疑問に思いながら様子を窺う。 その時ふと、彼を修復した者に、「使用者情報を入力して」などと言われていたことを思い出した。
何のことだろうかと軽く聞き流していたが、そういえば彼にまだ名乗ってもいないことに気がつく。 つまりそういうことか。]
(7) 2022/10/11(Tue) 17時頃
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[衣服を身につけない彼の肌は、滑らかで美しい。 人間と見分けのつかない柔らかな肌を両手で撫でながら、彼の耳元にそっと唇を寄せる。]
愛しい子。 おまえの主となるのは――
[ふたりの間にのみ伝わる音に、己の真名を乗せる。 髪を撫でで、瞳を覗き込んだ。]
今は黍炉と名乗っている。 そう覚えておいておくれ。
[付け加えたのは、この街での名だ。*]
(8) 2022/10/11(Tue) 17時頃
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[彼の声で名を呼ばれると、心が弾む。 早く動くところが見たい。 名前に続く電子音と、そのあとの言葉に破顔した。]
おまえはもう資産ではないよ。 私も、おまえを所有するのではない。
おまえは私に属するもの。 私の庇護下にあり、私に従うもの。
いずれはおまえにも自由意志が芽生えるだろう。 そうなるように種を蒔いたのだから。 それまでは、私の言葉を規範としなさい。
[道理を言い聞かせるように、魔の理屈を語る。 人が決めた法など無意味と言っても良かったが、いずれ彼自身がその判断を下すことに期待して、今は触れずにおいた。*]
(10) 2022/10/11(Tue) 18時半頃
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では起きて。 抱きしめさせておくれ。
[マスター、の響きが心地良い。 たまにそう呼ばせるのも良いだろうと思う。
彼を立たせて身体に手を回す。 とても金属やその他のものでできているとは思えない弾力と温かさだ。]
おかえり。
[無事に彼を蘇らせたという喜びを込めて、短い言葉を贈った。*]
(12) 2022/10/11(Tue) 23時頃
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[こちらに答える彼の声も態度も、最初に出会ったときと同じだった。 データ障害とやらも残らなかったようでなによりだ。
彼を腕から解放し、傍らの衣服を差し示す。 元々身につけていたものは破れてしまっているが、それと同じ見た目のものを再現してあった。]
目覚めたばかりですまないけれど、少し私の仕事に付き合っておくれ。 おまえを連れ去る前に話した私の目的は覚えているかい?
[彼の記憶を確認するように話を振る。]
(14) 2022/10/11(Tue) 23時半頃
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おまえを失ったことで怖じ気づいたのか、この一ヶ月というものアルサラーンはすっかり姿を眩ませてしまっていてね。 ようやく居場所を突き止めたところなのだよ。
改めて彼を処分しに行くところだったのだけれども、おまえも一緒に来てくれるね?
[今度こそ、襲撃になるだろう現場へ、食事にでもいく気軽さで誘った。*]
(15) 2022/10/11(Tue) 23時半頃
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[タキシード姿になった彼の全身を、目を細めて鑑賞する。 礼装は彼のほどよく締まった体と無駄のない動作を引き立てて美しい。 乱してしまいたくなるのだけが難点か。]
よく似合うよ。 こちらはどうかな。
[他の姿も見てみたくなって、合わせて用意しておいたカンドゥーラや浴衣、猫耳の着ぐるみなども勧めてみた。]
(19) 2022/10/12(Wed) 12時頃
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[そんな着せ替えタイムを堪能する中、彼の口から出た疑問に、おや、と声を零す。]
覚えているものと思ったけれども、違うのかい? 機械でも記憶の混濁は生じるのかな。 ……ああ。データの、巻き戻し?が起きたのかな。
[協力者から事前説明されていた用語が胸に落ちる。 事態は理解したような気がするが、ならば彼の疑問は当然だろう。]
(20) 2022/10/12(Wed) 12時頃
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細かなことは省くけれども、 私は当初、おまえをアルサラーン氏当人と思って接触し、 紆余曲折あって、おまえと一戦交えるに至った。
その過程でおまえとふたりきりになりたくてね。 私の領域に連れ込んだ、というわけだよ。
[ざっくりと経緯を説明した後、少々言葉が足りないのを感じて付け加える。]
形の上では、アルサラーンの所有物であるおまえを強奪し、破壊したということになるかな。 けれども私は魔物だからね。 人間の法に守られない代わり、法で裁かれることもない。 おまえももはやこちら側に立っているのだから、何の問題もないよ。
(21) 2022/10/12(Wed) 12時頃
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人を手に掛けられないとしても、機械を相手にすることはできるだろう? 私はまだ、最新の技術には疎くてね。 おまえの手を借りたい。
おまえと巡り会う契機になったこの仕事を、おまえと共に完遂したいのだよ。 ついてきておくれ。
[記念というには物騒だが、この愛しい機械を私のものにするためには相応しい共同作業になるだろう。*]
(22) 2022/10/12(Wed) 12時頃
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愛しい子。 おまえは私が思うよりもずっと素直で聡いね。 私への心遣いも嬉しく思う。
人はそれも機械的な反応だと言うかもしれないけれど、私はいずれ、おまえが己の魂を見いだすと思っているよ。
[瑛羅の言葉をひとつひとつ頷きながら聞き、喜びと共に答える。 彼は間違いなく、私のものなのだった。]
(27) 2022/10/12(Wed) 23時頃
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来歴が分からないということは、おまえが作り出されてから、先ほど目覚めるまでの記憶が無いようなものかな。
プライベートデータとやらは、ドゥライミ財閥に自動的に送られていたということかい? 彼らがおまえの最後の行動を知り得るなら、少し対応を考える必要があるけれど――
[そこまで言ってから、ああ、と思い出したような息を吐く。]
とはいえ、あの場所に普通の通信は届かないそうだからね。 さほど心配はないかな。
(28) 2022/10/12(Wed) 23時頃
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[差し伸べられた手に自らの手を乗せる。 エスコートを当然とする貴人然として。]
おまえと共に行くことは、私の喜びだよ。 私たちの旅立ちを祝して、おまえの古巣に別れを告げに行こうか。
[そうして彼の腕を引き、自分もろとも闇に包み込んだ。*]
(29) 2022/10/12(Wed) 23時頃
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[闇を抜けて訪れたのは、ルウポリスでもっとも高いビルの足元だった。 通称、ステラタワー。 高さは四桁を超え、先端は今は雲の中だ。]
標的は、このビルの高層階にある特別室に籠もっているそうだよ。 困ったことに、部屋の周辺には魔物避けの仕掛けがあるようで、今のように直接空間を渡って侵入するわけにはいかない。 正攻法でいくしかないね。
[ふたりがいるのは、近くのビルの屋上だ。 決して低いビルではないが、ここから見上げてもステラタワーは遙かに高い。]
(31) 2022/10/13(Thu) 20時頃
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正面突破も悪くはないけれど、騒ぎが大きくなりすぎるからね。 途中までは穏便に行きたいものだけれど、 ―― おまえと一緒なら、どこまでいけるだろうね?
[瑛羅が持つ機械操作の能力と、アルサラーンの顔とで、どれだけセキュリティーをすり抜けられるだろうかと、彼に聞いてみる。*]
(32) 2022/10/13(Thu) 20時頃
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