32 Zug Zwang
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[だが、青年の望む永遠の眠りさえ ここで与えられるのは仮初めのものでしかない。 誰にも邪魔されない永遠の眠り、 二度と醒めない永久の眠り ──肉体の真なる死。
それがこのままでは決して得られないと 気づいてしまった今は、
ひとつ。 青年に叶えたい願いが生まれていた]**
(=0) 2023/12/19(Tue) 23時頃
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[白銀の盤は青年にとって、 好んで眺めたいものではない。 かつて死地に選んだのは、自分が殺した者たちを 悼むのに相応しい場所と思ったからだ。 それが人の血で彩られていることも、 持ち主が好んで作り上げていることも 激しい嫌悪を呼び起こすもので。 共に眺めても心が荒むだけのものだ]
(=1) 2023/12/20(Wed) 14時頃
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[もし青年が最後の1マスを彩る権利を得たら 迷わず盤の持ち主を選ぶだろう。 最後に持ち主の命を捧げて完成する、 持ち主には決して使えないチェス盤。 美しい物語だ、と青年は思う。 もしそうして完成することがあったなら そのときこそ青年も理解するだろう。 白銀の盤がいかに“綺麗”かを。 けして訪れない可能性の話]
(=2) 2023/12/20(Wed) 14時頃
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[そんな事はどうでもよかった。 ただ何故か 裏切られた心地がした
変えたくもない人間への評価を 揺さぶる様な気を起こさせておいて 結局俺を陥れるのか と ]
(=3) 2023/12/20(Wed) 22時頃
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[もし彼の目の前で犬を殺して見せて 彼が絶望の淵へと落ちてくれるなら、 突き落としてやろうかという思いも 浮かばないでもなかったが。 ここは生者にとってはアバターとして立ち寄る 現実に準じた夢の世界。 そう思えばこそ、何をする気も起きはしなかった。 何をしたところで、彼らは現実に戻っていく。 そこに青年が起こした行動の影響は残りはしない。 であれば、何をするのも無意味。 青年の頭に浮かぶ考えはどうしてもそうなるのだ]**
(=4) 2023/12/20(Wed) 22時半頃
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[過去に受けたいじめや暴力から発症し、 未だに精神的負荷を受け続ければこうして 平常を蝕むそれは
心的外傷後ストレス トラウマ フラッシュバック
そう呼ばれている。
…少しの時間さえ置けば収まるだろう。
さて。 残る時間は、後 ]*
(=5) 2023/12/20(Wed) 23時頃
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[少なからずの罪悪感とともに 抱いてしまった思いがあって、 青年は己の記憶が消えやしないかと願った。 それが不可能なことはわかっていても]
(=6) 2023/12/20(Wed) 23時半頃
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[記憶を消すことは叶わずとも、 せめて絶対に知られたくないと青年は強く願った。 彼に可愛げを見出してしまったことは]**
(=7) 2023/12/21(Thu) 00時頃
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[やはり、会うべきではなかったのだろう。
知りたい事は解決に及べず。 或る種の親近感の様なものを抱いていた相手の 知りたくも無い様な 感じたくも無い様な ……いいや、知っていた筈だろう 嫌な面を再認識する羽目になり。
ただ絶望だけを手に入れる。 最悪の状態。]
……ツーク・ツワンク
[一人、呟く。 可能であればパスを取りたい局面。 ……可能であったのだから、取れば良かったものを]*
(=8) 2023/12/21(Thu) 07時半頃
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[当時、青年は実母と二人暮らしだった。 貧しいながらも平和な暮らしをしていた。 幼児に分かる範囲では、の話だが。
その暮らしを壊したのが青年の父親だ。 ある日唐突に家を訪れ、青年を連れ去った。 突然に実母と分かたれ、別の女性が“母”になった。
父のことは立派な人だと聞かされて育ったが まず実母と離されたことを恨み、 道具めいた扱いをされていると気付いて嘆き。 ようやく働き始め、貯蓄を得たら父の元を離れて 実母を探そうと思っていたところで 命を懸けてこいと指示され、完全な失望に至った]
(=9) 2023/12/21(Thu) 12時頃
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[当初は、父への復讐を果たせたなら、 その後は実母を探して共に暮らそうと思っていた。 だがあのゲームを経た今、 実母と合わせる顔がなかった。 そもそも敗者としてここに囚われ永遠の眠りを 強いられている以上、不可能なのだが。 会う道が存在しないことは、 青年にとって、いっそ救いですらあった]
(=10) 2023/12/21(Thu) 12時頃
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[青年はかつて彼に尋ねた。 なぜ参加者の血で盤を埋めたがるのかと。 その結果聞いた答えと、今日ここで聞いた話とで 彼が相当に人間嫌いなのはよくわかった。 その中に、どうやら自分は途中まで 含まれていなかったらしいことも。 だが、青年もまた、動機はどうあれ “こんなゲームに参加するような人間”なのだ。 そのことを青年は強く思い知ってもいる]
(=11) 2023/12/21(Thu) 12時頃
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[彼が人間を疎む理由の詳細まではわからずとも、 複数の人間に酷な目に遭わせれたのだろうと 想像することは容易かった。 だが、いかに悲惨な目に遭わされようと ゲームを主催するという形で 人間たちへの報復を試みるさまは受け入れ難かった。 かつて青年が彼に感じた反発は 人間とはそういう者たちばかりではないと 思いたいがためだったはずなのだが、 今青年が思うことは少し違っていて、 こうして起こされることがなければ そんなふうに変わることも無かったろうと思えば 八つ当たりじみた怒りも湧きはする]
(=12) 2023/12/21(Thu) 12時頃
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[その一方で、彼が青年の願いだけはほとんどを叶え そしてこれからも叶える気でいたと知った今、 それを信じていないと表明したときに 心外だと言いたげに言い返してきた姿を見た今。 そこから彼が自分を起こしたことを考えてしまえば、 憎みきれないものを感じてしまうどころか 懐いた仔犬のごとき従順ささえ見出しかけて 握り拳を窓ガラスに叩きつけた。 どうあれ彼に抱く嫌悪は変わらず存在はし続け、 彼の手は取れないと感じる思いもそのままで、 相容れる道が無いのはわかりきっている。 それでも彼を踏み躙ったことには 罪悪感が芽生えてしまい、相反するいくつもの思いが どれもやり場の無いものとして溜まっていった]
(=13) 2023/12/21(Thu) 12時頃
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[或いは無意識に重ねた部分もあるかもしれないが。 自分が____事など当に諦めきっている。]
(=14) 2023/12/21(Thu) 21時半頃
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[しかしながら一度彼の印象が変わってしまえば、 荒れる姿に思う内容すら変わるのを感じた。 ・・・ 己の行動ひとつでそれだけ心を乱してくれるのか、と ある種の満足感さえ覚え、 そんな自分の思考に嘆息する羽目にもなった]
(=15) 2023/12/21(Thu) 22時半頃
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[元々が清濁入り混じっていた彼への思いは 今やますます混濁してまとまらない。
千々に乱れる思いをどちらかに振り切って、 反対側の感情には目を塞いでしまえれば 楽になれるのだと青年は自覚してはいた。 好くにしろ、嫌うにしろ、 どちらかひとつを選べれば。 何日も何十日も時間があれば、 どちらが現実的で望ましいかも含めて ゆっくり考えられるだろうに、 そんな時間が許されていないのも事実で]
(=16) 2023/12/21(Thu) 22時半頃
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[結局俺に向けられていた感情は分からない。
ただ、『味方』という言葉に 振り返るよう乞う様なあの声掛けに ずっと何かを期待されている様に感じていた。
そんなもの誰にも届く筈が無いと 自分が捨て去った願いと重なるようで ・・ それを他でもない俺が無視し、 切り棄てようとしたのだという意識に いつまでも引き摺られ苛まれもしていた。
これで楽になるのだろう。
―――そうだと信じ込もう と。して。 ]*
(=17) 2023/12/22(Fri) 01時頃
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[自ら死を望み、「心中でもいい」とまで言った者の 飲み物に毒がないと信じられたと もし青年が知ったなら、 彼がさらに可愛らしく思えてしまうのだろう。
そのことに屈辱を伴いながら]
(=18) 2023/12/22(Fri) 09時頃
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[『お前こそ、そんなに俺が好きだったのか。 それは残念な思いをさせたな』 あのとき彼に言い返された言葉に、 当時の青年は腹を立てもしなかった。 そうだろうか、と疑問を感じはしたが。 今思い返しても苛立ちのひとつも湧きはしない。 だが今は、そうだったのかもしれないと思いもする。 『好き』の一言で括られると えも言われぬ不快感が渦巻きはするが、それでも 彼に向ける思いの一部は好意の類であろう、と 今の青年は認めないわけにはいかなかった]
(=19) 2023/12/22(Fri) 09時頃
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[彼への好意に類する思いに目を向ければ、 彼に抱く嫌悪や軽蔑心が苦痛だ屈辱だと騒ぎ立てる。
逆恨みめいた思いや疎ましさに目を向ければ、 それを拒んで彼への愛着を語る心もまたあって。
その両方の折り合いがつくのが殺意なのではないか。 だからやけに真っ直ぐに彼に向くのではないか。 だからこれだけ捨て難い思いなのではないか。 そう思い至ってしまえば、青年は 自分の思いの屈折ぶりに改めて嘆きたくなった]
(=20) 2023/12/22(Fri) 09時頃
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[今度こそ知られぬまま眠ろう、 あとほんの数時間のことなのだから。 青年はそう己に言い聞かせる。 その間、知られぬように耐えればいいだけで、 ……もし耐えきれずに漏らしても そこにいるのは彼と愛犬だけだから]**
(=21) 2023/12/22(Fri) 09時頃
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[あの時『孤独』だろうと 俺に知らしめんとしたその言葉は、 俺からしてみたら青年自身にこそ 当てはまる言葉に思えていた。
生き方を指すのではなく 『孤独』という自体そのものが あの時の青年を指し示していたかの様で
今も変わらずに、 ………寧ろ、当時以上に『孤独』に映り
当惑する。 容を得た罪悪感が 意識に踏み入ろうとして ]
(=22) 2023/12/22(Fri) 13時頃
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[―― 黙れ、と扉を閉める。
どうにしろ、 何かをしてやる理由なんて無いのだと。 無い筈だろと言い聞かせるように 意識の扉を頑丈に塞ごうと。 ]**
(=23) 2023/12/22(Fri) 13時頃
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[彼が常の平静さを取り戻したように見えれば、 青年の内には名残惜しさが芽生えた。 取り乱し声を荒らげる姿も、 必死に犬を守るべく隠そうとする仕草も それはそれは愛らしいもので。 当時意識に昇らぬよう勤めていても いざ過去の光景になってしまうと、 もっと見ていたかったという思いが浮かぶ。
彼が願われれば死ぬ気さえ起こしていたことなど 青年には知る由も無かったが、知っていたなら さぞかし愛おしく思ったことだろう。
この他に何が彼の心を乱せるだろう、どうやって 動揺させようかと、そんな思考まで巡り始め、 それら全てを今すぐ消し去ってしまいたかった]
(=24) 2023/12/22(Fri) 14時半頃
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[「狂ってる」 その表現が的確なものとして青年の心に馴染んだ。 狂ってしまったのだ。 そう思えばいろいろなことに納得できる気がして。 それがいつからなんて考える気は無かった。 彼に可愛らしささえ感じ始めたのは、 きっと狂気の果てに至ってのことなのだろう。 そう思ってしまえば諦観の中、 やけに和やかな安堵感が青年の心に染み渡った]
(=25) 2023/12/22(Fri) 14時半頃
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[もう、どこにも戻れはしないのだ。
ありとあらゆる意味で]
(=26) 2023/12/22(Fri) 14時半頃
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[青年は孤独ではあるのだろう。 実の母親と引き離された後、父は言わずもがな、 新たな母親にもまともな愛情を注がれず。 人当たりのいい好人物として育ってはきたし 極端な虐げを受けたわけでもないが、 距離の近い友人や恋人などいたためしがない。 ゲームに参加するに至って、やっと 気安く話せる参加者が数人できたが、 それも互いに素性を知らぬ間柄ゆえだったのだろう。 その彼らの誰とも話さないことを望み、 誰も来られない場所で独り眠ろうとさえした]
(=27) 2023/12/22(Fri) 14時半頃
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[実際には眠りに就く前に 数人と対話することになったし、 思いを分かち合えたはずの相手もいるのだが。 こうして起こされたことで 考えを改める機会を得てしまった。 それでも青年が実感することは無いかもしれない。 己の孤独を。 仮に実感したとしても、わざわざ そこから逃れようとすることもないだろう。 元々、既に終わったはずの命。 今与えられたのも一時の幻想でしかないのだから]**
(=28) 2023/12/22(Fri) 14時半頃
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[必要の無い事は口にしない。 それはGMとしての公平さを保つ為であり プレイヤーとして弱点を晒さない為であり 伝える必要が無いと判断したからだ。
余計な事等口にしない。…絶対に。]
(=29) 2023/12/22(Fri) 19時半頃
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