27 【crush appleU〜誰の林檎が砕けたの?】
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──蝉時雨が、聞こえた。
(0) anbito 2023/08/06(Sun) 02時頃
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─ 現実 ─
[あまりにも眩しい光に瞼を開く。 夢見た祝福の光でも夏の太陽の光でもない。 無機質なLEDが温度もなく降り注ぐ。
時間などわからない、白い壁に囲まれた空間。 まるで四角く切り抜かれたその中央に寝かされ 規則正しく生を刻む無常な68回のBPM。 昏睡状態が長かっただけで、 怪我という怪我は一つもなかった。
後に看護師に聞いたのは、居た場所が良かったということ。 カメラだけが四角い窓から降った瓦礫に埋もれ、台無しになってしまったこと。
「本当に運が良かったですね。」
多くの命を守る為に働く人間は、そう言った。]
(1) anbito 2023/08/06(Sun) 02時頃
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[あの世界では聞こえもしなかった蝉が 煩いくらいに鳴いている。 陽が出ているからだろうか、 それとも街灯の明かりを勘違いしてか。
傷ひとつない手を伸ばす。
天井の光にさえ触れられないその手に、 在った筈の指輪はない。 ただ、伸びた影が、落ちる。 身代わりになる事さえ赦されなかった影が。
机に並べられた、畳まれた衣服の中。 白い箱を捻じ込んだポケットには、 柔らかな保冷材が入っている。]
(2) anbito 2023/08/06(Sun) 02時頃
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そうか。
[目を閉じた先は余りに遠い。
本当に数秒前、自分は柄にもない恰好をして つい先程、この手の中にあった愛らしい命は
二人で誓う夢を見て、皆に祝福される夢を見て──]
(3) anbito 2023/08/06(Sun) 02時頃
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(4) anbito 2023/08/06(Sun) 02時頃
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[瞼を閉じる。 暗い闇の向こうにある四角い窓が 海に揺蕩うように揺らめいていく。
煩いほどに蝉が鳴いていてよかった。
声にもならない嗚咽など、全て掻き消してくれるから。]
(5) anbito 2023/08/06(Sun) 02時頃
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[夢から覚める瞬間、ほんの一瞬だけ 現実と幻想の境界線がほどけて、溶けて、 参列していたみんなの気配を感じた。
『どうか、この良き日にさようなら。 また逢う日まで。』
この先に二人が並び続く未来は、ない。
この世界 には。
誰かの懸念を、誰かの心配を、誰も望まぬ選択を 選ぶことでみんなを傷つけるのだとしても。 遠くに行ったアイツを、独りにしておくわけにいかない。 約束も運命も決まっている。 両面裏の硬貨のように、砂粒一つから空の星まで、きっと。]
(62) anbito 2023/08/06(Sun) 19時頃
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[本格的に身体を動かすには少し時間を要した。 長い間眠っていた弊害も多少あるし、何より検査が多かった。 脳波だ心音だMRIだ、実験動物かのように隅々まで確認され 驚くほど何もなく、幸運だ奇跡だともてはやされた。
両親は泣きながら、生還を喜んでいた。 こんなに想ってくれているのに やがて裏切るのだから 自分は本当に人でなしなんだろうなと思う。
ごめんな、母さん。 ごめんな、父さん。
出来の悪い子供で。]
(63) anbito 2023/08/06(Sun) 19時頃
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[スマホを触る頃には多くのメッセージが来ていた。 一つ一つ既読を付けていきながら、最終的に開いたのは研究室グループ。 ゆっくりと打ち込む文字は、やはり少ない文字で。]
『大藤、無事だ。 みんなありがとう。』
[あの式はきっと、いや絶対に。 遠くへ行ってしまった回谷の最期の素晴らしい『現実』になったはずだ。 その感謝を、言えぬ回谷の代わりに。]
(64) anbito 2023/08/06(Sun) 19時頃
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『福原は優しいな。 大丈夫だ。』
[そして一つ、個別にメッセージを返す。 辛くない訳はないが、それは研究室のメンバーと同じ。 自分が特筆して辛いわけではない。 例え回谷にとって自分が特別の存在だったからとしても、その逆としても 哀しみや辛さの分量は人其々であり、きっと変わらない。 友人を、同級生を、先輩を、後輩を。 『回谷こころ』を喪ったという辛さは変わらない。
──そう、あってほしい。 彼女ならきっとそれを願う気がして。]
(65) anbito 2023/08/06(Sun) 19時頃
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─ 仁科の居る場所 ─
[全員の顔を見ておこうと入院着のまま足を向けた、 最初の場所は仁科の所だった。 田端の所は、追加で説教を喰らいそうな気もしたし 高祈の所は、行くなれば最後だろう。 『話しましょう』と約束をした、後輩の元へ。]
話に来た。 言葉で伝えるのは、苦手だけどな。
[305号室のドアを叩けば、その扉は開け放たれるだろうか。 あの夢の最後の、途切れ途切れではない確かな声が 病室の外から中を窺う*]
(66) anbito 2023/08/06(Sun) 19時頃
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暗黒舞踏 オトサカは、メモを貼った。
anbito 2023/08/06(Sun) 19時頃
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ここから先はあの事故から四十九日後
回谷こころがこの世界からいなくなったその先の 誰も知らない、少しだけ寂しい話だ。
(136) anbito 2023/08/07(Mon) 05時頃
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─ 道程 ─
[準備に使えるのは本当に短期間で いつもゆっくりと生きていた自分にとっては 割りと目まぐるしい日々だったように思う。 実際は何日かかっても何年かかっても 回谷は待っていてくれるんだろうけど 人は死ぬと四十九日で三途の川を渡ってしまうらしいから その日までには、と色々な『身辺整理』が必要だった。
まずは大学。 中退の手続きは意外と面倒で 紙切れ数枚だけでどうにかなるものではなかった。 会ったこともない学生指導員との面談があり やたらと引き留めてくるのを押し切った。 理由としては『海外に写真を学びに行きたい』と述べた。 休学を進められたが、帰ってくる気がないことを伝えると しぶしぶといった風に了承を得た。]
(137) anbito 2023/08/07(Mon) 05時頃
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すまんな。 大学を辞めたから、明日からもう来ない。
[大学最後の日、研究室に立ち寄ってそう落とした声は 別段明るくも暗くもない、やはり『いつも通り』だった。 福原がいつだかに思ったように >>119>>120 嘘を吐かない誠実な人間であれば、 何か違ったのかもしれない。
目的の為なら嘘も吐く。誤魔化しもする。 平等であるべき、兄弟を決める運命のコインを 噯にも出さずイカサマにしたように。
今もそう、普段と何も変わらない様相でいる。]
(138) anbito 2023/08/07(Mon) 05時頃
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遠くに行く。 見たい景色があるんだ。
[理由を問う声があれば、それだけを口にした。 正しくは『撮りたいものがある』ではあったが 果たして向かう場所にカメラを持ち込めるかどうかはわからない。
病院で目覚めてからこの日までには 研究室の全員と何らかの話はしただろう。 それは他愛もない話であったかもしれないし 核心をついた話であったかもしれないし 時には説教されたかもしれないし 引き留める言葉があったかもしれないし なかったかもしれないけれど。]
(139) anbito 2023/08/07(Mon) 05時頃
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青空は高く、夏の日差しが水面にきらきらと反射している。 真っ向から勝負を挑むような、黒のシャツ。 黒い髪は汐風に揺れ、あの日のように汗が肌を伝った。
一歩、ゆっくりと進む。 砂に足跡が刻み込まれ、 その歩幅は少しずつ広がっていく。
アイツがどこで足を滑らせたか >>5:8 知っていればこうして走って助けに行けたかもな。
そんなことを考える自分の足を、波が絡めとっていく。 生きろと押し返す。 浮かぶたくさんの人間の顔。
(140) anbito 2023/08/07(Mon) 05時頃
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海に飲み込まれていく身体は、重く 肺を満たしていく潮は只管に苦しかった。 声を上げないように、出来るだけ苦しい死に方を選んだ。 だってきっとアイツも「助けて」なんて言えなかった。
息を奪われ、声も奪われ、 藻掻く苦しみながら見上げた世界は真暗で、真黒な、深い色。 暗室の色にも似て。 ロータリーの光の届かない場所にも似て。>>5:-75
沈みゆく意識の中で最期に見たのは
『生きる』という輝かしくも美しい四角が ゆらゆらと揺れて滲み離れていく そんな景色だった。
砂浜に残った足跡も、漣に消え──…
(141) anbito 2023/08/07(Mon) 05時頃
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辿り付いた場所で、目を開ける。 濡れた髪を掻き上げれば、肩には黒蝶が留まっていた。 伸びた道は、ひとつ。 その道の先に、待っていてくれる人が居る。
ゆっくりと、ゆっくりと。
あの日のような柄にもない恰好はしなかった。 これからずっと一緒にいるなら仰々しい衣装は必要ない。 まあ、割と恥ずかしかったし。 白い清楚なワンピースのすぐそばに 黒のTシャツスキニーの長身が立つ。
カメラはやはりこの手にはなかった。 だからもう写真を撮ることは叶いそうもない。 ならば、この眼に焼き付けて行こう。
アイツらの『生-みち-』も、自分達の『死-みち-』も。
(142) anbito 2023/08/07(Mon) 05時頃
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手を伸ばす。 やっと、ちゃんと触れられた手を引き その身体を抱きしめる。
あの時は恰好つけて、 I do. なんて言ってしまったけど。 今ちゃんと伝えよう。
頬に手を添え、その唇に優しく顔を重ね。 わかりにくくても、ふと微笑んで。
(143) anbito 2023/08/07(Mon) 05時頃
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─ 大学の研究所 ─
[「大藤久影は海外へ旅立った。」 そんな話が噂のように広がり、消え始める頃。 大学の研究所の本棚から、白い表紙のアルバムが見つかる。
他愛もない、美術的価値もない風景が並び ただ一枚、どこかの美術館のロータリーを映した 四角きりとられた窓が暗闇に浮かぶ写真の裏。
「じゃあな」
それが、生きた『大藤久影』の最期の言葉。]
(144) anbito 2023/08/07(Mon) 05時頃
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夏の終わり。 法師蝉が泣いている。**
(145) anbito 2023/08/07(Mon) 05時頃
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暗黒舞踏 オトサカは、メモを貼った。
anbito 2023/08/07(Mon) 05時半頃
暗黒舞踏 オトサカは、メモを貼った。
anbito 2023/08/08(Tue) 14時頃
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