15 青き星のスペランツァ
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[ライジはひとりで逃げ出した。 オレンジ色の二足歩行機に飛び乗って。 助けを求める仲間を置いて。 左腕をなくしたのはその時だ。撃たれてちぎれ落ちた腕は、仲間と同じように崩れた。
そこからどうやって脱出したのか、よく覚えていない。 ただ、もはや追ってくる者はいなかった。 誰もが"最後の一人"になろうとしていた。
そして、全員が崩れて砂金になった。
調査船『スペランツァ』に拾われたのは、その後のこと。]
(87) 2021/11/14(Sun) 01時半頃
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― 三日目・日没後 船外 ―
[僅かに煌めく、青灰色の瞳と目が合った。>>78 今度は目を逸らさない。見つめ返す細く黒い瞳には、星の光も船の灯りもほとんど入らない。]
"海"か。 ……そうだな、おまえも見ておくといい。 綺麗だったぜ。
[実際、風景を楽しむどころではなかったのだが。 ハロの回収を終えて、半ば呆然としている時に見た水面は、確かに美しかった。]
…………。
[青灰色の光が消えて。自分も目を閉じる。 ゆっくりと何度か、鋼の色をした髪を梳くようにしてから、手が離れる。金属の指先では、やはり髪の柔らかさも何も感じられなかったけれど。今はこれが自分の手なのだから、一度は直接触れておきたかった。]
(88) 2021/11/14(Sun) 01時半頃
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……あー、
[調査船に乗っている理由。>>79 それは、きっかけという意味なら、単純に拾われたからだ。他に行く宛もなかった自分を、相棒の二足歩行機ごと迎え入れてくれたからだ。 今も『スペランツァ』に乗り続けている理由は、]
この船には、色んな星から来たクルーが乗ってるよな。 生まれも育ちも考え方も、みんな違う。でも、うまくやってる。 おれは、……おれの、生まれた星は。そうじゃなかったから。
[故郷、と口に出そうとして、言い淀む。 間違いなく生まれ故郷ではある。けれど、自分があの星をそう呼ぶのは、違うような気がしていた。>>56]
姿かたちも文化も違う奴らが同じ船で暮らしてるっていうのがさ。 多分、おれにとってはわりと希望なんじゃねえかな。
[背後を振り仰ぐ。 星空に黒々と聳える『スペランツァ』のシルエットを見上げて、だから乗ってる。と答えた。 ――希望、あるいは憧れ。そして、後悔でもある。*]
(89) 2021/11/14(Sun) 01時半頃
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― 三日目・夜/タラップ付近 ―
[長靴を引きずるようにして、タラップを登ってくる影。 細い目をした仏頂面には、多少疲れが見えるかもしれないが、普段とそう変わらないと言えばそうでもある。 タラップの上に伸びる特徴的な影>>101に気付いて、視線を上げる。]
……キランディ。 具合はもういいのか?
[その右腕を見ながら声をかけた。 男の様子は普段通りと言えばそうだが、比較的新顔のキランディは、グローブをしていない剥き出しの義手を見たのはもしかしたら初めてかもしれない。**]
(109) 2021/11/14(Sun) 04時半頃
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― 三日目・探索に出る前 ロビー ―
……だよな。 そもそもの環境が安定してるってのは、それだけで貴重だ。
[活動するのに特別な器具も装置も必要ない(クルーの大部分にとって、の話だが)星は、これまでの調査履歴の中でもレアだった。だからクルー達の期待も大きかっただろう。
煙草――ドラッグらしいと聞いた気はするが、どちらもやらないライジには違いがよくわからない――の青い光を見る。 時折揺れるそれを見ながら、本物の海の話を聞く。 だからこのイワノフという男は、引退後に船乗りになることを選んだのだろうか、と思う。宇宙に無数に存在する星を渡るように、海をゆくことを。]
(115) 2021/11/14(Sun) 13時頃
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……真っ暗か。
[深海の話。深い深い水の底の、重さと暗さ。堆積した過去とさびしさ。 引き結ばれていた口元が僅かに緩む。どこか安堵したように笑み、呟く。]
ああ。そりゃあ……いいな。
[一切の光が届かない場所ならば、砂金も砂粒と同じ。 もしもいつかが来るならば、そんな場所がいいと思っていた。]
いい話が聞けたよ。 ありがとう、"キャプテン"。
[彼が時々やっている敬礼を真似て、腕を上げてみる。多分あんまりうまい真似ではない。自覚もあるので、苦笑しながら肩を竦める。 それから改めて、いつも通りに軽く片手を挙げて、男はロビーを後にした。*]
(116) 2021/11/14(Sun) 13時頃
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― 三日目・夜/タラップ付近 ―
よかった。 謝るようなことじゃないだろ、別に。
[おれは運んだだけだし……と口の中でもごもご言う。 実際、ライジの二足歩行機でなければ腕の腫れはもうちょっとマシだったかもしれない。勿論、あの状況では他に選択肢はなくて、そう考えるのも意味のないIF>>71なのだけれど。 右腕に嵌るギプスは、タプルが処置してくれたものだろう。返ってくる返事>>111が普段の口調であることに、少しだけほっとする。 あの時>>3、キランディの様子はあまりに普段と違っていた。この笑顔も、特徴的な口調も、何かを覆うためかもしれないと思う。自分の口数が多くないのと同じように。]
え。
[付き合ってくれ、の誘いに間の抜けた声が返る。 イエスとかノーとかの前に、まさかそんな声がかかると思っていなかったので、完全に虚を突かれましたという顔だ。僅かに開いた目を何度か瞬く。]
あー……礼なんて別にいいんだけどな。 ……いや。おれでいいなら、付き合うよ。
[視線をタラップの床に落として、頭を掻く。 それじゃあ談話室でいいか、と指をさして、歩き出す。もう夜も遅いし、人気もあまりないだろう。*]
(117) 2021/11/14(Sun) 13時半頃
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― 三日目・日没後 船外 ―
そっか。 あいつ、楽しそうだったもんなあ。
[海で遊んでいたハロのことを思う。探査機水没未遂の前までは、楽しそうな声も聞こえていた。]
そうだな。夜明けの海はきっと……綺麗だろうな。
[水面に光が当たれば、複雑に揺れるさざ波がきらきらと輝くだろう。 美しい光景だろうと思う。眩しすぎるとも。
義手を握る、小さな手>>112を見ている。 熱も、きっと自分より柔らかいだろう肌の感触も、感じない。握り返すべきか、力加減に迷っているうちに、ケトゥートゥが立ち上がる。]
(123) 2021/11/14(Sun) 14時半頃
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[頬に触れれば、荒れ気味のがさがさした男の肌の手触りが返ってくるだろう。 伸びてくる指先を追って視線が動くが、されるがままになっている。人肌よりは低く、金属よりはずっとあたたかい温度。]
ま……名付けた奴はそういうつもりでつけたんだろうさ。 "希望"にも、色々あるだろ。
[いいよネ、という言葉に、いいよ。と頷く。 それは誰かにとっては目的で、別の誰かにとっては夢や憧れで。 生きる場所だと言う誰かも、いるかもしれない。]
……、
[安心したと少し笑う顔>>113に、笑顔は返せなかった。それほど器用ではない。多分、少し困ったような表情になっただろう。 昼間見た、深い青に沈んでいく石ころ>>35が、ずっと。頭の中にある。]
そろそろ戻ろうぜ。 冷えてきたし、風邪でも引かれちゃ困る。
[これからも一緒に、とは言えないまま立ち上がる。 『スペランツァ』の灯りを背景に、男の輪郭は完全に影になった。*]
(124) 2021/11/14(Sun) 14時半頃
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─ 三日目・夜/談話室 ─
お、おお……
[押しが強い。受け取らざるを得ないという圧がすごい。>>125 こうやってこられると弱いところがあるので、キランディのことは正直苦手な部類だった。嫌いというわけではなく、船内の雰囲気を明るくする姿は寧ろ好ましいものであるのだが。
そうして、談話室に着いて。 強そうな酒が出てきたなあとキランディの手元を見る。怯む様子はない。]
なるほど、耐性ってのも難儀なもんだな。 ……おれも同じのでいいぜ。ストレートで。 あー、開けるぜ。ちょっと貸して……
[ボトルを軽く捻って開けて、渡す。片腕で酒を注ぐのは、やや心配そうに見守った。琥珀色が揺れるグラスを受け取れば、少しその表面を見つめる。]
(129) 2021/11/14(Sun) 16時頃
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おれは指示通りに動いただけだから、どっちかっつーとアリババの功績だな。 ……多分、けっこう参ってると思うから……後で行ってやるといいんじゃないかな。
[飛行機のポッドの中で揺れていた姿を思う。いや、どうだろう。まだ少し時間が必要かもしれないが。 礼、と言われると少し悩む。グラスを傾ける。呑むペースはゆっくりだ。]
そうだな……それなら、他のクルーのこと、頼むよ。 アンタはまだこの船に来て日が浅いが、皆のことよく見てるからさ。
[つまり、今まで通りでいいということだ。 そんなわざわざ頼むまでもないことを、礼として提案した。*]
(130) 2021/11/14(Sun) 16時頃
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― 三日目・日没後 船外 ―
[誰かの肌に、じかに触れたのは久しぶりだ。他人の温度がどのくらいだったかなんて、もう覚えていない。自分のものさえも。 だから知らなかった。今まで撫でたことも、きっと手を引いたことも何度かあっただろう彼の温度は、今日初めて知った。]
いいや。 でも、おまえは温かいよ。ケトゥートゥ。
[そう答える。この温もりを覚えておきたいと思う。 覚えておいてくれたらいいなあ、とも。]
(138) 2021/11/14(Sun) 17時半頃
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[ケトゥートゥの気持ちは、少しは落ち着いたのだろうか。多分、上向いてはいるのだと思う。青灰色の目を見て、そんな気がした。いいことだ。 弟分には元気でいてほしい、というのは心からの願いだ。彼だけではなく、他のクルーについても。]
……そうか。 気をつけろよ。
[彼だってそれなりの期間、調査船に乗っているのだ。そう危険なことはしないだろうとわかってはいても、かける声にはやはり心配の響きが乗る。 それでも、少しひとりにした方がいいんだろうと思い、ついていくことはしない。]
おやすみ、ケトゥートゥ。
[片手をゆるく振るいつもの挨拶を返して、男は船の方に戻っていった。*]
(139) 2021/11/14(Sun) 17時半頃
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― 四日目の朝・格納庫 ―
[探索最終日の朝、男の姿は格納庫にあった。 相棒の二足歩行探査機の整備を終えて、ドームの中でモニターを見ている。 表示されているのは、ハロが死んだ落石現場、そのすぐ近くの"海"。マップデータにはこれまでの調査結果が反映されて、ある程度の水深予測も出ている。
"海"の中でも、とりわけ深い場所。 周囲の水面より濃い青を湛えた穴。 地球において、ブルーホールと呼ばれるような地形。岸からほど近い位置にあるひとつを、目的地に設定した。*]
(140) 2021/11/14(Sun) 17時半頃
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─ 三日目・夜/談話室 ─
飲めるというか、おれもあんまり酔えない質でね。
[いや、飲み過ぎれば二日酔いなどはしっかり来るのだが。酔って記憶がないとか、感情が極端になるとか、そういうことはない。]
ああ、それがいいと思う。
[きっとアリババの繊細さについても、キランディは自分より先に気付いていただろうと思う。
ペース早いな……と相手の飲みっぷりを眺めながら、思い出すのは昔の仲間と飲んだ時のこと。大酒飲みのデリクソンに随分飲まされたっけ、と懐かしく思う一方で、消えない後悔がちくりと胃の辺りを刺した。]
(145) 2021/11/14(Sun) 18時半頃
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[ふと止まった手>>142に、キランディの顔を見る。 こちらを覗き込む薄い色の瞳と目が合って、僅かに息を呑む。目を逸らしがたい何かを感じて、そのまま見つめ返してしまう。]
誰だって、いなくなる時はいなくなる。 そういう時はいつか来るもんだろ。
[気圧されたように、少しだけ早口でそう呟いて。]
……"死神"。 アンタはあの時、そう言ってた。
[あの時断片的に聞き取れた言葉のひとつ。 謝罪の言葉と、恐らくは誰かの名前であろう音に混じって聞こえたそれを、ぽつりと零す。 きっと普段なら聞こえなかったと誤魔化していただろう。あるいは、酒のせいかもしれなかった。*]
(146) 2021/11/14(Sun) 18時半頃
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─ 三日目・夜/談話室 ─
[逃げられないな、と思う。>>148 誰かに話せば止められると思った。から、誰にも言わなかった。でも、誰かにくらいは、言っておくべきなのかもしれない。観念したように、引き結んだ口を開く。]
……おれは、できることなら。 いつ死ぬかは、自分で決めたいと思ってる。 どこで死ぬかも、だ。
[それは、危険も伴う調査船に乗っている者としては、そぐわない言葉だったかもしれないが。決めたいと思っていても、そうできるかはわからない。いつ、どこでなんて、それこそ誰にもわからないことだ。
だから実際、望み通りにはならないだろうと思ってはいた。けれど、]
いい場所を見つけたんだよ。
[視線を外して、グラスに口をつけた。]
(155) 2021/11/14(Sun) 20時半頃
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[――種族レベルで。そう聞いて、黒い瞳が揺れる。一瞬だが、明らかに動揺した様子を見せる。]
……それは、アンタの種族の話か。
[種族が皆死ぬ、すなわち滅ぶということ。]
アンタがどうこうしたんじゃなければ、……いや、
[天変地異の類とか、疫病だとか。そういうもので皆死んでしまったのなら、運が悪かったんだろう。そう言おうとして、言葉に詰まる。 多分、そういうことではないのだ。自分と同じように、ケトゥートゥが言ったように、誰かに何かを言われて納得できることではないのだろう。 けれど、もしも。]
……もしも、"何か"が一方的に奪っていったなら。 それは全部その"何か"のせいだ。 もしもそうなら、それは絶対にアンタのせいじゃない。
[それだけは否定しなければならない。 思い過ごしなら別にいい。が、種族と聞けばどうしても、自分達が何世代にも渡って行ってきた所業が浮かんでしまう。 そんな連想のせいか、珍しく少し強い口調になったかもしれない。*]
(157) 2021/11/14(Sun) 20時半頃
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[滅びゆく故郷を逃げ出して、調査船『スペランツァ』に拾われて。 それぞれ別の星から来たクルー達と共に過ごして、様々な星を訪れるうち、宇宙の広さと"人"の多様さを知った。
その度に、自分達が『キジン』で行っていたことは間違いだったと思い知らされた。
あの砂金の山が元々何だったのか。 それがどんな相手で、何を考えて、どう生きていたのか。 おれはもっと早くに、目を逸らさず考えるべきだった。
目を逸らし続けたことも、仲間を見捨てたことも。 おれの弱さで、罪だ。]
(158) 2021/11/14(Sun) 21時頃
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― 四日目の朝・格納庫 ―
[オレンジ色の機体を撫でる。 何回も塗り直した塗装は、元の色とは少し違う。パーツもかなり取り替えたし、エンジンや駆動系にも手を入れた。旧型故、仲間にも随分手間>>0:65をかけさせてしまった。
そうでもして使い続けるのは。 こいつが故郷にいた頃からの相棒で、 他の命の尊厳を踏み躙った罪の共犯者で、 仲間を見捨てて逃げた弱さを見ていた、証人だからだ。]
行こうか、相棒。
[そう声をかけて、操縦席に飛び乗った。 唸るような低い駆動音。 旧型特有の乗り手を一切考慮しない振動。
やっぱり、乗り慣れた機体が一番いい。**]
(159) 2021/11/14(Sun) 21時頃
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ライジは、二足歩行機で平原を"海"に向かって走っている。*
2021/11/14(Sun) 21時頃
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─ 三日目・夜/談話室 ─
[キランディの普段と違う口調に、え。と視線を上げる。 が、言われた言葉>>160に、また視線をグラスの中に戻す。覆す気はないくせに、叱られた犬のような顔をした。]
……わかってる。 それに、悪いとも思ってる。
[弟分のケトゥートゥとナユタも。 案外繊細なアリババも、やさしいタプルも。 墓守のヨーランダも、律儀なイースターも、新顔のチキュウも。 かぼちゃ頭のジルも、"キャプテン"のイワノフも。
きっとそれぞれ、悲しませることになると思う。怒るやつもいるかもしれない。 でも、一番怒ってるのは目の前のこいつじゃないか?]
(174) 2021/11/14(Sun) 22時半頃
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アンタの種族のことは、おれは知らない。 でも、……そう、おれの一族は、別の種族にとって"死神"だった。
[身に覚えがある。だから真っ先に浮かんだ、そのような意味のことを言う。 "キランディ"のこと>>162を聞く。そういうことか、と得心がいった。]
……ああ、そうか。 アンタは、"キランディ"をずっと背負ってるのか。
[それなら、おれが何か言うことじゃないな、と。 それ以上踏み込むことはしない。きっとそれは、"キランディ"と彼だけの間のこと。]
…………。
[それから、口の中の酒を飲み込み、グラスを置いて。そろそろと立ち上がる。 観念しました。というように腕を下ろして、薄紫の瞳を正面から見た。*]
(175) 2021/11/14(Sun) 22時半頃
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― 四日目の朝・"海" ―
[オレンジ色の二足歩行探査機が"海"の淵を走っている。
一歩を大きく、跳ねるように。 機体姿勢の安定も何もかも放り投げて、ただ加速度をつけるために。
眩しすぎると思った夜明けの"海">>123は、思った通り――思った以上に、きらきらと輝いていた。夜にしようか、とも思ったけれど。ケトゥートゥが見に行くと言っていたから、やっぱり自分も見ておくことにした。]
……綺麗だな。
[輝く"海"の色は、ライジの中ですっかりおぞましいものとなってしまった、眩むような金の輝きとは違っていて、美しかった。
この時間にしてよかった、と思った。]
(178) 2021/11/14(Sun) 23時頃
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[アリババからの通信がある。>>165>>167 音声だけの通信。カメラはすべて切ってある。映像データは、また次に来た時にでも無人機か何かで撮ってくれ。]
おはよう。
[普段通り、淡々とした声で返す。]
なあ、アリババ。 多分だけど、"当たり"を引いた気がするんだ。
[後でデータでも見といてくれよ、と。 それだけ言って通信を切った。]
(179) 2021/11/14(Sun) 23時頃
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……そろそろか。
[空を飛ぶ影>>171には気付かないまま、操縦桿を大きく捻る。"海の"外周を回っていた機体がその勢いのまま、跳躍して水面に飛び出した。
大きな水飛沫が上がる。 オレンジ色の機体が、輝く泡と共に沈んでいく。
ひときわ深く、濃い青の中に。 水源の奥、"海"の深淵>>0:84に。
もしも発信機のデータを見ている者がいたら、機体の深度位置がぐんぐんと下がっていくことに気付いたかもしれない。]
(180) 2021/11/14(Sun) 23時頃
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[旧型探査機のドームは、衝撃には強いが水没には無力だ。
あっという間に中は水で満たされる。 冷たい水が鼻腔を、口腔を、器官を侵していくのを、ただ受け入れる。 光の届かない深さまでくると、"海"の中は随分暗い。 伸ばした手の先すら見えない、暗く冷たい闇。それでもまだ降下は止まらない。
真っ暗なさびしい場所へ、どこまでも落ちていく。]
(181) 2021/11/14(Sun) 23時頃
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[溺れるのが先だったか、水の重さで肺が潰れるのが先だったか。
その瞬間、人のかたちが崩れ落ちる。 金属の義手に纏わりつくように、ドームの中に砂金が舞った。
多くの人間を欲に狂わせた金色も、 この光無き水底で輝くことはない。
薄れゆく最期の意識は、そのことにただ安堵していた。**]
(182) 2021/11/14(Sun) 23時頃
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─ 三日目・夜/談話室 ─
[そう、お互いに最後の一人で、過去に関わりはなくとも、きっと立場は真逆だった。 もっと長く、深く関わっていたら。それはどうしたって仮定の話になるけれど。]
……マユラ。
[告げられた名前を、ゆっくりと発音する。 忘れていいと言われても、首を横に振る。]
覚えておくさ。 使わないんなら、おれが持ってってもいいぜ。
[これから行くのは、そういうところだから。 冗談のようにそう言って薄く笑う。ここまでのやりとりで初めて見せた笑みだったかもしれない。]
(188) 2021/11/14(Sun) 23時半頃
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……、
[それから握られた左の拳を見て、ぎゅっと口を引き結ぶ。 やめないのかよ、と思いながら腹筋に力を入れる。素直に殴られはするが受け身を取らないとは言っていないのだ。]
(189) 2021/11/14(Sun) 23時半頃
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……!?
[なんか構えが高いなとは思った。]
〜〜〜〜っ、顔、かよ……
[ぶん殴られた頬を押さえる。いやあんま痛くない。ケトゥートゥに殴られた時と同じくらいの威力だ。そういやこいつ、めちゃくちゃ軽かったな……そう思いながら、キラ……マユラの方を見る。]
……拳、大丈夫か?
[なんか骨も軽そうだし、うっかり折れてたりしないか心配になってきた。
――そんな風に、いくらかやりとりがあったかもしれない。 そうして夜は更けていって、開けた酒の瓶が空になる頃には、お開きになっただろう。
それが、最後の夜。**]
(190) 2021/11/14(Sun) 23時半頃
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