15 青き星のスペランツァ
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[キランディの通信機からは、暫く抵抗する様な物音が続いたものの、不意に静まる。その反動か、探査機という屋内へ場所が移ったからか。錯乱しているであろう口から漏れる微かな呟きも、聞き取れるものとなるだろう。]
……オレが、関わったから ごめん、ハロ。ごめん………ン。助け、られなくて ……ーチ…リム、約束……けど やっぱり、オレは、死神……。 キランディ……、…………。
[その意味を全て解した者は、恐らく一人も居なかっただろう。彼は、自分の来歴を人に語った事は無かったから。]
[一つ、確かなのは。精神的負荷と負傷、それとその後の無理が祟り、キランディがこの場で意識を失い、この呟きも途絶えた事。それだけだ。]
(24) 2021/11/13(Sat) 04時頃
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キランディは、気を失っている。**
2021/11/13(Sat) 04時半頃
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─ 三日目・日没後/医療処置室 ─
[医療処置室へ運ばれた時点では、キランディはまだ目覚めていなかった。]
[右腕は完全に折れているし、無理に動かしたのだろうか腫れも強い。所謂、橈骨・尺骨骨幹部骨折というやつだ。側頭部の方は位置が位置なのでそれなりに出血しているが、ライジの言う通り(>>44)深くはない。念入りに検査しても、これといった異常は見られないだろう。] [全体的に、落石に巻き込まれた────否、自ら突っ込んで行ったにしては、奇跡的とも言っていい軽傷だ。飛んでいた為、衝撃の大部分はいなせたのだろう。それはつまり、その瞬間。ハロが地面に居た(>>3:150>>3:151>>3:153>>3:156)事をも意味していた。]
────……此処、は?
[粗方、処置が終わった頃だろうか。キランディは薄く目を開いた。酷い悪夢を見ていた様な気がして……腕の痛みに、それが現実だった事を思い出す。]
(51) 2021/11/13(Sat) 18時半頃
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[けれど、先程までの錯乱に近い状態とは打って変わって、キランディの心は凪いでいた。] [傍に居るのは、タプルだろうか。姿を認めると、小さく謝罪の言葉を述べる。]
……ごめんなさい、取り乱して。 きっと、驚かせちゃったわね。 アリババちゃんと、ライジちゃんにも、後で謝っておかなくちゃ……。
[緊急信号は、全員に届いた筈だ。本来なら、発信する必要なんて無かったのに。ハロの最期は、しっかりとこの目で見ていたのだから、万に一つが無い事だって理解していた。理解していたのに、誰かに縋ろうとしてしまった。その行為が徒に場を混乱させたであろう事は、冷静になった今なら察しが付いた。*]
(52) 2021/11/13(Sat) 19時頃
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─ 三日目/医療処置室 ─
[なるべくいつも通りに見える様、微笑んで。差し出された紅茶へと手を伸ばす。]
……ありがとう。頂くわ。 却って、気を遣わせちゃったわね。
[以前の行動(>>3:9)に気付かれてるとわかれば、苦笑も滲む。労わるつもりで、こうして心労を掛けていれば世話は無い。心労だけではなく、実際に手を煩わせてしまった事は、ギプスが嵌められた腕を見ても明らかだ。]
……駄目ね、アタシ。 タプルちゃんに手間を掛けちゃわない様、出来るだけ怪我しないでおこうと思ってたのに。 本当に、ごめんなさいね。
[きっと、あなたは酷く繊細だ。例え手の施しようが無かったとしても、命を救えなかった事を悔いているに違いない。ハロの事には触れまいとすると、自然と話題は自身の負傷へと移る。] [キランディの骨は、人型でありながら鳥類と同じトラス構造をしている。事前に生態データを提供しているとは言え、種族最後の生き残りであろう自分の治療は、それなりに手間だったのではないだろうか。過去は語ってないから詳細までは知られずとも、類例の少なさから、稀少な種族だという事くらいは察されているかも知れない。*]
(62) 2021/11/13(Sat) 21時頃
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ふふっ。 もしかして、思ったより稀少な機会だったかしらん? もっとじっくり、寝顔を拝んでおけば良かったかも♡
[可愛かったわよん♡なんて、軽い口調に釣られて言ってみせる。紅茶に、チョコレートに、その振舞いに。滲むあなたの優しさが、今はただ有難かった。]
ライジちゃんには、お礼も言わなくっちゃね。 アリババちゃんにも……他に誰か来させてちゃったら、その子(>>26)にも。 …………、……。
[戻るべき場所、と聞いて少しだけ遠い目をする。キランディもまた、故郷を喪って久しい。この船とも取れる言い回しにしてくれた気遣いには気付いたから、すぐにまた微笑んで見せたけれど。自分がこの船に戻ってもいい存在なのか、判断が付きかねているのが実情だった。これがハロであれば確かに、戻るべき存在だっただろうに。]
(67) 2021/11/13(Sat) 22時半頃
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…………ねぇ、タプルちゃん。 一つ、我儘を言ってもいいかしら? 今夜は、此処を使わせてもらっても?
[こういう時、一人になりたいと願う者(>>48)も居るだろうが。少なくとも、自分は違う。今一人になったら、『キランディ』が崩れてしまう気がした。] [そうでなくとも、昨夜ハロと共に眠った自室(>>3:49)へは帰りたくない。方々へ礼と詫びをせねばならないから、外出許可は欲しいけれど。兎に角、自室に戻って休む気は無かった。*]
(68) 2021/11/13(Sat) 22時半頃
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─ 三日目/医療処置室 ─
あらん♡ 寝顔なんて、誰しも無防備なものよん? でも、そういう所が可愛いのよねん。タプルちゃんは♡
[くすくすと笑えた事に、自分でも安堵する。これならきっと、大丈夫だ。まだ『キランディ』で居られる。この船の一員で、皆の仲間として。いつも通り過ごせる。 ────過ごしていいのだろうか。本当に?]
あらあら、取って置きをサービスしてくれるのん? タプルちゃんってば、本当に優しいのね。 ……アタシなら、大丈夫。大丈夫よん♡ でも折角だから、クッキーは頂いちゃおうかしらん?
[片手で淹れるのは慣れないから、お茶のお代わりもお願いする事になってしまうだろうけど。今は、あなたの優しさに甘えさせてもらおう。あなたにとっても、少しは休息になる事を願いつつ。]
[暫くそうして、軽口を言い合いながらお茶をして。頃合いを見計らって、あなたの提案通りに一度処置室を出る。部屋に籠ったりしているのでなければ、会える人には会い、礼を言っておきたかった。] [夜更け前には戻り、此方で休ませてもらう事になるだろう。]
(77) 2021/11/14(Sun) 00時頃
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キランディは、タプルに見送られ、医療処置室を後にした。温かい気遣いに感謝しながら。**
2021/11/14(Sun) 01時頃
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― 三日目・夜/タラップ付近 ―
[座標を確認するに、探し人は船外に居る様だ。ただ、自分はあまり夜目の利く方ではない。行こうかどうしようかと、少し迷って……タラップの下方に、人の姿(>>81)を認める。自分の目ではシルエットしかわからなかったが、ああして敬礼をするのは“キャプテン”くらいのものだろう。]
こんばんは、キャプテン♡ 今日は、驚かせちゃってごめんなさいね?
[努めて、いつも通りの口調で話し掛ける。右腕のギプスまでは誤魔化せないけれど。緊急信号は、全員に届いていた筈だ。敬礼をしていた方角を見るに、事情も概ね察してはいるだろうと当たりは付いた。*]
(84) 2021/11/14(Sun) 01時半頃
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― 三日目・夜/タラップ付近 ―
[青く輝く瞳に、煙草型ドラッグの光(>>99)。双方が見えた事で、“キャプテン”が此方を向いたのが鳥目の自分にもはっきりと分かった。しかし、見れば見る程に似た色をしている。あれは、生まれつきのものだろうか? もしかしたら、ドラッグによって変質してしまった結果なのかも知れない。綺麗で哀しい青い星。]
ええ、アタシはいつでも元気よん♡ ちょっと怪我しちゃっただけ。 ライジやタプルが手当てしてくれたから、これもすぐに良くなるわん♡
[あなたが妄想に囚われてる時でも、そうでない時も『キャプテン』と呼び続けるのは、自分くらいかも知れない。敢えてその理由を挙げるなら、自分もまた『キランディ』を演じてるからだ。そう呼ばれて扱われる方が楽なのを実体験として知っているから、そうしてるだけ。例えそれが、あなたを正気から遠ざける事であったとしても。]
(100) 2021/11/14(Sun) 03時頃
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自分を……、…………。 ──そう、ね。努力はしてみるわ。 こうして、キャプテンが気遣ってくれるんだもの。 言う事聞かなきゃ、バチが当たっちゃうわん♡
[自分を責める気持ちは、後から後から湧いて来る。けれど、いつまでも悔いているのは『キランディ』らしくないのだ。真っ直ぐ、明るく、前向きに。そう在ろうとする自分と“キャプテン”であろうとするあなたは、何処か似ているから。会話があってもなくても、こうして一緒に居られる時間は案外と気に入っている。自分の方だけかも知れないけれど。]
[そのまま、恐らくは待ち人が通り掛かるまで。何を話すでもなく、揺れる青い光を見つめていた。**]
(101) 2021/11/14(Sun) 03時半頃
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― 三日目・夜/タラップ付近 ―
[掛けられた遠慮がちな声(>>102)に視線を向ければ、かぼちゃ頭に灯った光。幾ら夜目が利かなくても、一目でジルだとわかった。その傍らに膝をつき、視線を合わせる。] [伸ばし掛けた手が、一度は彷徨う。本当は、触れるのが怖かった。アシモフに、ギロチンに──ハロ。命を落としたクルー達は皆、小さくて可愛らしかった。あなたやタプルは、どうしたって其方側だ。(真実がどうであれ)自身が死神体質だという疑いを拭いきれない青年にとって、あなたという命に触れるというのは酷く怖ろしい事で。] [けれど、暖かい光はその恐れすらゆるゆると溶かした。改めて手を伸ばし、黒く柔らかな毛皮をそっと撫でる。確かな温もりと命が、掌から伝わって来た。]
……お礼を言わないといけないのは、アタシの方よ。 ありがとう、ジルちゃん♡ こうして、出迎えてくれて。
[誰もが自分を労わり、慰めようとしてくれている。わかっているからこそ、怖い。喪うのも、自分を曝け出すのも。] [そんな臆病ささえ、あなたの灯は照らし出して消していく。静かに、静かに。**]
(104) 2021/11/14(Sun) 04時頃
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― 三日目・夜/タラップ付近 ―
[素直に喜ばれ(>>108)抱き上げたい気持ちはあれど、残念ながら右腕にはギプスが嵌っている。今はこうして、左手で撫でる事しか出来ない。夜の闇に溶ける様な毛皮は、視認こそ難しいものの、確かな温もりと艶やかさを湛えて其処に在る。]
ごめんなさいね。 もっと早く、顔を見せればよかったわ。 …………ただいま、ジルちゃん。 ……ただいま。
[口に出して、漸く実感が湧く。意識を失ったまま戻って来たものだから、自分でもまだ帰ってきた気がしていなかったのだ。帰って来られたし、こうして受け入れてもらえている。 ……なら、少なくとも今の自分の居場所は、間違いなくこのスペランツァなのだろう。そう思っていいのだと、オレンジ色の光が後押ししてくれる。独りではないのだと。]
[無意識に口をついた二回目の『ただいま』は、もしかしたら、共に帰る事が出来なかったハロの分だったのかも知れない。**]
(110) 2021/11/14(Sun) 05時頃
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― 三日目・夜/タラップ付近 ―
[表情の細部までは伺えなかったけれど、引き摺る様な足音(>>109)はライジのものだ。其方を向けば、金属質の反射光が目に入る。部位的に、恐らくは義手。まさか、今日急にそうなった訳でもあるまい。常にグローブを着けていた覚えはあるから、あれは単なる作業用ではなかったのだろう。 ……となれば、外されている理由にも、凡その推測は付いた。]
ええ、お陰様でねん♡ ……本当に、迷惑を掛けちゃってごめんなさいね。 タプルちゃんからも聞いたわ。 処置も、輸送も……ライジちゃんがしてくれたんでしょう?
[ハロの事も、とは流石に言えない。少し気まずくなった空気を払う様に、笑顔を見せる。]
ねぇ、ライジちゃん。ちょっと話さない? お礼は何がいいか、聞いておきたいし……。 アタシ、今日は何だか飲みたい気分なのよ。 付き合ってくれないかしらん?
[片手でもお酌くらいは出来るから、と言い添える。場所も、自分の部屋や安置室でなければ何処だっていい。ただ、お礼が言いたかったし、聞いておきたい事も無い訳じゃない。]
[イワノフやジルがまだ居るなら、別れを告げて。ライジと共に艦内へと向かうだろう。]
(111) 2021/11/14(Sun) 06時頃
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─ 三日目・夜/談話室 ─
アタシがしたいのよ、受け取って頂戴♡ そ・れ・に、ライジちゃん『で』じゃなくて、ライジちゃん『が』いいのよねん♡
[強引な事を言いつつ談話室へ来れば、いかにも度数の高そうなウィスキーのボトルを出して来た。]
耐毒性が高いのか、度数低いと酔えないのよねアタシ♡ この腕じゃ、明日は探索に出ようったって止められちゃうでしょうし。 そう言えば、こうして飲むのは初めてだけど、ライジちゃんってイケる口かしらん? 水割りにするか、もっと度数低いのも確かあったと思うけど、どうするん?
[希望を聞けば、それに沿った酒類を用意する。両手が使えないので、開封は頼む事になりそうだが。互いのグラスが満たされれば、静かに飲み始めた。]
……辛い事、全部任せちゃったわね。 ライジちゃんにも、アリババちゃんにも、感謝してもしきれないわん♡ ね、お礼は何がいいかしらん? アタシに出来る事だったら、何だってしちゃうわよん♡
[口調は冗談めかしているが、割と本気だ。そうするだけの恩義は感じている。誰かに縋って、本当に駆け付けてもらえた事なんて、もう永い間無かったから。**]
(125) 2021/11/14(Sun) 15時半頃
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― 三日目・夜/タラップ付近 ―
ふふっ、そうねん♡ 飛べはするからって探索に出たら、流石に怒られちゃいそうだわん♡ キャプテンの言う通り、暫くはお手伝いに専念する事になっちゃうかもん♡
[元々、探索要員としてスペランツァに居るのだ。研究や分析・整備といった得手がある訳でもない。詰まる所、自分に出来そうなのは本当に『お手伝い』レベルの些事だろう。] [青い光が、一つだけになる。僅かに、間を置いて]
──そう。そう、ね。 アタシも同意見よ、キャプテン。 もう、誰にも死んでほしくないわ。 死神役なんて、真っ平御免よ。
[そんな本音を滲ませた所へ、待ち人(>>109)が通り掛かる。あなた達へと別れを告げ、ライジと共に艦内へと入って行った。(>>111)**]
(133) 2021/11/14(Sun) 17時頃
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─ 三日目・夜/談話室 ─
あらん、ライジちゃん結構飲めるタイプなのねん♡ 嬉しいわん♡ これからも誘っちゃおうかしらん?
[ボトルを開けてくれた事にも、明るく礼を言う。今の所は、いつも通りの“キランディ”だ。左腕は利き腕でこそないが、負傷している訳でもないので、酒を注ぐ手付きも危なげのないものだ。]
……そうね。アリババちゃん、あれでいて繊細だもの。 アタシが取り乱しちゃってたから、きっと余計に心労を掛けちゃったわ。 明日にでも、元気な顔見せなくちゃねん♡
[けれど、座標を見るにアリババは自室から動いてない様子だし、夜も大分更けて来ている。もう休んでいるかも知れない。明日の朝以降にした方が無難だろうと結論を出す。]
(141) 2021/11/14(Sun) 17時半頃
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[此方は、それなりのペースで杯を重ねていたけれど。提案された“礼”に、ふと手を止めた。]
……まるで、これから居なくなっちゃうみたいな事言うじゃない。 何か、変な事考えてるの? それともアタシ、妙な事でも口走っちゃった?
[あの時の事は概ね記憶してるつもりだけれど、大岩が持ち上がってからの事については、大分曖昧だ。自分を抑え込んだ力強い腕(>>29)がライジの物だったのだろうというのも、消去法による予測でしかない程度には。けれど、自分が何か口走ってしまっていた方がまだマシだ。]
[誤魔化しは許さないと言わんばかりに、じっと双眸の奥を覗き込む。普段から何かを隠してる様な気配はあったし、自分も人の事は言えないから詮索する気は無かったけれど。流石に、勝手に後を託す気で居るなら話は別だ。**]
(142) 2021/11/14(Sun) 17時半頃
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─ 三日目・夜/談話室 ─
ふふっ、強さが近い子が居てくれるのは嬉しいわん♡ 折角なら、同じお酒を飲みたいじゃない?
[飲みながら、あなたの目が何処か遠くを見ている事に気付く。心が読める訳ではないから、詳細までは分からないけれど。何かを懐かしんでいて、けれど楽しいばかりの思い出ではなかったのだろう。ライジの表情は硬いままだ。]
[逸らされるかと思ったが、意外にも視線は交わされたままだった。だから、あなたの動揺も感じ取れた。一歩踏み込むべきか、退くべきか。誤魔化しが通じないのは、此方も同じ。]
いつかは、ね。 さっきの口ぶりだと、アタシよりは早いってわかってる様に聞こえたけど?
[迷った末に、一歩踏み込む事を選んだ。今、此処で逃がすのを良しとしなかったのは、自分なのか“キランディ”なのか、青年にはわからずにいる。]
(148) 2021/11/14(Sun) 19時頃
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[出された単語に、思わず眉根が寄る。小さく息を吐いて、揺らぎかけた視線を持ち直した。]
……余計な事、言っちゃってたわね。 アタシね、自分がそうじゃないかって思ってるの。 だって、此処に来るまでに関わった人、みぃーんな死んじゃってるんだもの。 それこそ、種族レベルでね。
[普段なら、決して口にはしなかっただろうそれを零してしまったのは、やはり酒のせいか。或いは、今日の出来事のせいか。ずっと抱えていた荷物を、今ひと時だけでも下ろしたい気分だったのは確かだ。]
[その行為こそが、死神の鎌に成りえるかもしれないとは知らず。*]
(149) 2021/11/14(Sun) 19時頃
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[惑星アーラは、辺境の星だった。然程、資源が豊かという訳でもない。だから最初に侵略者達が現れた時、アーラの民は彼らの目的を計りかねていた。資源的に貧しく、翼持たぬ者には暮らしていくのが困難な星ではあるが、それでも生物が暮らしていける環境ではある。彼らが此処を気に入ったと言うのなら、明け渡して出て行くのもいいかも知れない。 ……そんな意見が、大勢を占める程には。けれど、それは誤りだったのだと、すぐに気付かされた。]
[────侵略者達の目的は、アーラの民そのものだったから。]
[背に色とりどりの羽を持つ、有翼人種。地球の旧い思想にある、天使と呼ばれるそれに限りなく近い生き物。それらは、その姿で在るだけで価値があったのだ。]
[意図に気付いてからは抵抗したものの、武器と呼ばれる物は持っておらず、元より数が多かった訳でもない。男は殺され、状態が良い者は剥製にされた。女子供は皆捕らえられ、好事家に売り飛ばされた。その殆どが劣悪な環境に送られた様だから、恐らくは皆、生きてはいないだろう。]
(150) 2021/11/14(Sun) 19時頃
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[自分達は幸運にも──或いは不幸にも──少しだけマシな扱いを受けた為、生き残った。黒翼と言えなくもない紫の羽を持つ自分と、純白の翼を持つ“キランディ”。その組み合わせが、何故だかいたく気に入られたのだ。] [巨大な鳥籠の中で、空を恋しがって塞ぎ込む自分を“キランディ”は常に明るく慰めてくれた。『アタシが、いつか必ず“自由”にしてあげるわん♡』と。その約束は、文字通り命懸けで果たされた。]
[その日から、自分はずっと逃亡者だ。与えられた“自由”を喪わない様に。月日は流れ、自分達を飼っていた好事家も流石に寿命を迎えただろうが、それで自分の商品価値が下がる訳でもない。加えて、この目立つ風体で逃げ延びる為に、出来る事は何だってした。その方面で自分を追う者だって居るだろう。]
(151) 2021/11/14(Sun) 19時頃
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[本名では到底生きて行けず、いつしか“キランディ”と名乗り、思い出の中の振舞いを真似る様になった。“キランディ”の魂は、薄汚れた自分の元なんて、とっくの昔に去ってるだろうが。]
[それでも“キランディ”への憧れ、ああなりたいという想いは募るばかりだ。多くの人と死に別れ、辛い想いをして、手を汚しても“自由”で在り続けようとするのは、それが“キランディ”に託されたものだから。]
[此処に居るのは、“キランディ”になりたかった一羽の青年だ。*]
(152) 2021/11/14(Sun) 19時頃
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─ 三日目・夜/談話室 ─
[開かれた唇。いい場所を見つけたのだと、逸らされた視線。改めて問うまでもない。ライジはもう、決めてしまったのだ。自分の死に場所を、この星にする事を。] [これまで、こうしてきちんと向かい合って話した事は無かった。もっと早くにこうしていれば、考えを変えさせる事は出来ただろうか。 ……いや。自分に口を出す権利なんてありはしない。『“自由”で居られくなるくらいなら死んで“自由”になろう』と考えてる時点で、結局は同じ穴の狢なのだ。ただ、ライジの方が先に終わりを決めてしまっただけ。]
今更、言うまでもないだろうけど。 皆、悲しむよ。 ……オレだってね。
[これが最期なら、もう綺麗に取り繕ったりしてやるものか。そりゃ、キランディのまま諭せたらよかったけどさ。こんなでも、男だからわかるんだよ。アンタが、止めて欲しくない事くらい。]
(160) 2021/11/14(Sun) 21時半頃
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……けどさ。アンタはそんな事もう何百回だって考えた筈で、それでももう逝くって決めたんだろう? だからオレは止めないけど、その代わり…………立てよ。 腹は立つから、一発殴らせろ。
[やっぱり、自分は酔ってるのかもしれない。でもこんな話、素面で聞いたって殴りたくなってたと思う。オレが何人に死なれてると思ってんだ、バカ。あっちで、ハロやギロチンに怒られてしまえ。まだ近くに居るだろうから、既に耳元で怒りまくってるかもしれないけど。自分が殴った所で大した威力にならない事はわかりきってるから、尚更腹立たしい。]
(161) 2021/11/14(Sun) 21時半頃
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[強い口調に、目を伏せる。どうして、ライジがそんな事を言うのかわからない。自分が、関わってきた人達の死体の山の上に立っている事実は、変わらないだろうに。]
……そうだよ。オレの種族は、もうオレしか居ない。 知ってたかの様に言うね? そんな有名な話でもないと思ってたんだけど。
[種族が滅ぶなんて、ありふれた話だ。ありふれた話なだけに、原因は多岐に渡る。略奪は、仮定にしたってまず最初に挙がる原因ではないだろう。ライジは、惑星アーラの話を知ってたのだろうか。それとも────。]
…………仮にそうだとしても、さ。 “キランディ”が──オレ以外の最後の一人が死んだのは、どうしたってオレのせいなんだよ。
[諦めていれば、嘆かなければ。命を擲たせる事なんてきっとなかった。*]
(162) 2021/11/14(Sun) 21時半頃
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─ 四日目・朝/??? ─
[きっとアンタは、誰にも知られたくはないだろう。オレだって、誰にも言う気は無い。そんな裏切る様な事をしてまで、アンタの“自由”を奪いたくはないから。]
……けど、これくらいは許してくれよな。
[こっそりと艦を抜け出して、高く高く空へ舞う。万が一抜け出してると気付かれても、自分の座標がバレていたとしても、目的を悟らせない程の高所へ。]
[遥か遠くに見えるのは、豆粒の様なオレンジ色。海の方へと向かうそれを、見失わない様に視線で追った。進路上には、一段と濃い蒼が在る。]
[────きっと、あそこだ。最期まで、目を逸らせてなんかやるものか。*]
(171) 2021/11/14(Sun) 22時頃
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─ 三日目・夜/談話室 ─
[“死神”だったと言うライジに、何かすとんと腑に落ちた心持がした。きっとこいつは、あっち側の人間だったんだろう。] [だからと言って、恨む気持ちは湧いてこなかった。そもそも直接襲われた訳でもないし、互いに素性は明かしてなかったんだから、騙した騙されたの話でもない。襲って来たのがライジの一族であったと仮定してみても、自分にとってはあまりに昔の事過ぎて、今更恨みを掘り出す方が難しい気もする。] [何より、スペランツァのクルーであるライジ・チリガネ個人には、世話になってばかりなのだ。恩も返せぬままさっさと死のうとされてる事には腹が立つが、それ以外には無い。 ……いや、もう少し長く接せば何かしらあったかも知れないが、それも向こうが終わりにする気満々なのだから、考えるだけ無駄だ。全ては、IFにしかならない。]
……そういう事。オレは唯の、マユラ。 忘れていいよ。もう二度と使わない名前だし。 新しい名前を付けてもらう当ても、ちゃんとあるからさ。
(183) 2021/11/14(Sun) 23時頃
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[立ち上がったあなたに合わせて、マユラと名乗った青年もまた立ち上がる。]
そんな犬みたいな顔するなよ。 やりにくくなるだろ。やめないけど。 ……そんじゃ、歯ぁ食いしばれ、よッ!
[左手で拳を握り、頬を狙って思い切り振り抜く。手加減をしたつもりはないけれど、人を殴った経験自体がほぼ無い。利き手でもないし、片腕が固定された状態では動きも制限される。加えて体重が無いから、その一撃はケトゥートゥの全力パンチと大差無い威力しか出なかっただろう。*]
(184) 2021/11/14(Sun) 23時頃
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─ 三日目・夜/談話室 ─
[二度と使う気は無かったし、名乗る気も無かった。それなのに名乗ってしまったのは、死ぬ気しかないコイツが悪い。でなきゃ酒のせいだ。もしかしたら自分のせいも少しあるかもしれないけど、今日は色々あり過ぎて参ってるんだよ本当に。]
……いいけど、一文の得にもなりゃしないよ。 持って来たいって言うなら、止めないけど。
[笑うライジに対して、自分は憮然とした表情になってたんじゃないかと思う。“キランディ”なら、まずしない顔だ。互いに、らしくないなと思う。] [顔に来るとは思ってなかった癖に、随分と余裕のある態度だし、此方の拳の心配までしてくる始末だ。それにまた、腹が立つ。]
平気に決まってる。 こんなので折ったりなんかしてみろよ、タプルを驚かせるじゃ済まないだろ。
[右腕を折ってる身で言う事じゃないが、どれだけ脆いと思われてるんだろうか。]
……もういいよ、バカライジ。 アンタなんか知らない。何処へでも、好きにいっちゃえ。
[杯を重ねて、最後の夜を過ごす。別れた後は、処置室へ戻り、そのまままんじりともせずベッドに座っていた。] [ライジを示す座標が、動き出すまで。*]
(193) 2021/11/15(Mon) 00時頃
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─ 四日目・朝/??? ─
[予想通り、オレンジ色は速度を上げて、蒼の中心へと飛び込んだ。大きく上がったであろう飛沫も、この高さからだと小さなものにしか見えず。輝く泡もやがて消えれば、水面は平穏を取り戻す。どれだけ目を凝らしても、目立つ補色である筈のオレンジは見えない。]
[発信機のデータは、敢えて見なかった。其方は、きっと誰かが見てるだろうから。自分は、自分だけは、最期の最後までこの光景を見ると決めていた。] [この様子だと、きっと『成功』したのだろう。してしまったのだろう。その身体が、バイタルがどうなったかまでは知らないい知りたくもないけれど。]
…………バーカ。
[それは、誰に向けた物だっただろうか。ライジだったかも知れないし、“マユラ”にだったかも知れないし、先に死んでしまったハロやギロチンやアシモフ、或いは今頃大騒ぎしているであろう他のクルー達へだったかも知れない。] [緩みかけた涙腺を、昨夜殴りつけた左拳で雑に拭って。気付かれない内にと、静かに地上へ戻る。]
[これから、何食わぬ顔をしてスペランツァへ戻らなければならない事を思うと、吐き気がした。 ……自業自得でしかないけれど。*]
(194) 2021/11/15(Mon) 00時頃
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