19 メタルボディの共存試験【R18ペア】
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[ 黍炉は提案を受け入れただけでなく、さっそく役作りに取り掛かったようだ。]
あなたは、親しげな演技がとても上手い。
[ 笑みを浮かべてしなだれかかる黍炉にあわせるよう、映画俳優のような白い歯を見せる。]
(5) 2022/10/14(Fri) 00時頃
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[ 下の階層では、財閥の御曹司の姿を認めても、むやみと声をかけてくる者はいない。ましてや、美人の連れがいる場合には。
オフィスの奥へと進む電子機器の暗証番号ロックは機械同士のやり取りで通過する。 要はハッキングだ。
どうしてそういう技能が備わっているのか覚えていないが、おそらくは企業スパイめいた任務も過去にあったのだろう。
さて、この先、アルサラーンの姿を認めて、話しかけようとする種類の人間が一番、やっかいと言えた。 こちらはアルサラーンの部下の顔も名前も覚えていないのだから。*]
(6) 2022/10/14(Fri) 00時頃
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[ 黍炉が唇を合わせながら、いくらでもこうしたいと囁く。]
それがあなたの望みなら、いつでも最優先しよう。
[ 今すぐにもと頷いてみせるが、黍炉の悪ノリだったようだ。 引き続き、標的の元へ向かうべく、警備網にひっかからないよう演算しながら先へ進む。]
(10) 2022/10/14(Fri) 22時半頃
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[ 電子音とともにエレベータの扉が開き、向こう側にいた人間に、アルサラーンの名で呼びかけられる。 その態度からして、なかなかに親しい間柄と推測された。 とはいえ、目の前にいるのが偽物だとは気づいていないらしい。
とっさに割って入った黍炉を抱き寄せて守りつつ、諌めるような黍炉の甘やかな声に耳を寄せる。]
見ての通りだ。今夜は忙しい。
[ 仕事の話はしないようにしながら、話しかけてきた相手に短く答え、エレベータから降りると、相手に顎をしゃくって、立ち去るよう示唆する。*]
(11) 2022/10/14(Fri) 22時半頃
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[ 危ういところをいくつも共に擦り抜けることで、黍炉の動きにもだいぶ順応できてきた。 最上階を前に、役割を再提示されて、しかと頷く。]
任せてくれ。
[ 先ほど、がどの時点かはいつくか候補があったものの、まずは黍炉の目的を果たすことからだ。]
開けていいか。
[ 静かに膝をたわめる。*]
(14) 2022/10/15(Sat) 00時半頃
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[ もう偽装は不要だろうが、黍炉の笑みはこれまでと変わらずに向けられる。
与えられた情報を受諾した合図に頷き、駆け出していって、破城槌さながら、非常扉を枠ごと奥へと押し破る。 そのまま扉の質量で保安ロボットのひとつを圧壊した。
流れるように壁の消火器を手に取り、もう一体のロボットへ噴射して目眩しする。
そうして、黍炉が中へ入る時間を稼いだ。*]
(17) 2022/10/15(Sat) 22時頃
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[ 連携はこの上なくうまく行った。 空になった消火器を鈍器代わりに保安ロボットのメインシステムを破壊する間にも黍炉が残りのロボットを処理する。 まさに風か影のごとく、音のない突撃だった。
二人はそのまま合流することなく、新たな敵に対峙することとなった。
先を急ぐ黍炉への射線を遮るように立ち、彼らのボスの声で言う。]
そこまでだ。武器をおろせ。
[ さすがに躊躇わず引き金を絞る者はいないようだ。*]
(20) 2022/10/15(Sat) 23時頃
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[ 背後に空気の流れを感じる。 指先に備えられた副カメラで黍炉が奥の部屋へ入るのを確認した。
直後に、標的の声が発砲を命じ、自ら率先して機銃を撃ち出したようだ。
銃声は、その場の緊張感を急上昇させた。 つられるように銃口を上げる者、前進しようとする者。]
『RRRATATATATA』
[ 機銃の音をコピーし、重複させて流す。 警備員たちは誰が何処から撃ってくるのかと混乱し、身を守ろうとした。
その隙に素早く後退し、奥の部屋へ駆け込む。]
(24) 2022/10/16(Sun) 00時頃
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望みのままにするといい、マスター黍炉。
[ 自身への着弾には頓着せずに割って入った。 入り口近くに置いてあったコートハンガーを手に取り、バトンのように軽々と回転させてみせる。
それで弾丸のすべてが防げるというものではなかったが、圧倒的な力を示すデモンストレーションだ。*]
(25) 2022/10/16(Sun) 00時頃
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[ これまでの相手と違い黍炉を明確に容赦無く攻撃してくるアルサラーンは、間違いなくこの機体と同じ顔、同じ声をしていた。
けれど、黍炉が両者を間違えることはないと演算結果は弾き出す。 それはとても── 行動選択肢を広げる要因だろう。 ]
ありがとう。
[ 最上級の信頼の言葉を与えられ、こたえる。]
(29) 2022/10/16(Sun) 08時半頃
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[ 部屋の防災設備を稼働させ、シャッターをおろして部屋を隔離した。 これで廊下からの増援はしばらく阻止しておけるはずだ。
遮蔽から飛び出す黍炉に並走して走り、アルサラーンの注意を引きつけて銃口を黍炉からそらす。
次の瞬間には、黍炉は標的に到達していた。
ミッションクリア。
後は黍炉が目的を果たすだけ── となったところで、外部からコードが届く。
自壊命令。
機密が詰まったアンドロイドを敵の手に渡さないために、そういった対策が仕掛けられているのは当然といえた。 本来ならば、損傷率が進んで修復不能になった時点で発動されるものだが、アルサラーンにとっては、もはや早急に廃棄すべき対象になったのだ。]
(30) 2022/10/16(Sun) 08時半頃
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── アルマゲドン・モード起動。 警告。当機体は30秒後に自爆します。
[ 宣言を発しながら、黍炉がアルサラーンの手から弾き飛ばした銃を拾い上げる。 まだいくらか残弾があった。 ]
(31) 2022/10/16(Sun) 08時半頃
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[ 天井の張り紙、対の香炉、目玉模様── 室内にある魔物避けの仕掛けの可能性のあるものを次々と破壊してゆく。
その間もカウントダウンは進んでいくけれど、照準が狂うことはなかった。]
マスター黍炉、離脱を勧奨する。
[ 弾倉が空になった銃を下ろし、黍炉を見つめて告げた。*]
(32) 2022/10/16(Sun) 08時半頃
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[ アルサラーンが頽れたのを見て何か言いかけたが、呼びかけられて、すぐに視線を黍炉に戻す。
残された時間は多くないが、あの空間転移の術を使えば、最後の0.001秒でも黍炉は安全な場所へ飛べるだろう。 ゆえに重ねて離脱を促すのではなく、問いかけの答えを体内に探した。]
動力部を暴走させるようだ。
[ 胸郭── 人間ならば心臓があるあたりに手を置いて答える。]
ここが熱い。
(36) 2022/10/16(Sun) 18時頃
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[ それから、黍炉の左腕から滴る血を指先で拭って、唇に塗る。]
大丈夫、あなたの一部は俺と共にある。
── 愛している。
[ できることなら覚えていてほしいと、莞爾と微笑んでみせた。*]
(37) 2022/10/16(Sun) 18時頃
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やってくれ。
[ すべてを任せて闇に抱かれる。
何が行われているのか分析を試みるけれど、処理速度が格段に落ちていき、体幹を保っていることもできなくなって、黍炉に凭れかかっていた。 ]
…機械の世話をする など、 魔物と いうやつは──
[ 黍炉と過ごした短い時間の記録が散発的に呼び出されてくるのも、エネルギー枯渇のせいだろうか。]
(41) 2022/10/16(Sun) 20時頃
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[ 黍炉が懸命に手を尽くしてもなお、激しい熱量と痙攣が込み上げてきて中枢を揺さぶった。 ]
…っ
[ 機体の軋みが喘ぎのように漏れるけれど、ギリギリのところで引いてゆく。 幾度、その波をやり過ごしたろう。]
マスタ…黍炉、 濡れて る
[ その状態と、辛うじて自爆に至らずにいられることに、因果関係はありそうだった。
首筋に噛み付く黍炉の頬を、ゆっくりと撫でる。*]
(42) 2022/10/16(Sun) 20時頃
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[ 黍炉が限界に近いところまで自身を追い込んでまで、瑛羅を助けようとしているらしいことがわかる。 その選択が、望まれる結果に辿り着くといい。
抱き締められれば、いまだ動いていると伝えるべく抱擁を返し、黍炉の胸に顔を伏せて、飲むようにと指示されたものを啜る。
おそらくは血であろうが、瑛羅から奪ったとは辻褄のあわない話。 ましてや糧とは。
けれど、機体のどこかに共鳴するものがあるのを感知して、ゆっくりと目を見開いた。]
(46) 2022/10/16(Sun) 22時半頃
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[ 呼ばれている。繋がっている。巡り渡る。]
ああ、そうだ── 、
おれのすべてはあなたのもの。 破壊など、させはしない。
[ 黍炉の尽力によって破滅的な出力が抑えられた今が、奇跡の瞬間だった。 それを検知し、打ち込まれた自壊のアルゴリズムを停止させるべく、自身によるハッキングめいて、もうひとつのシステムを構築してゆく。
それは不思議な状況だった。
分裂── 否、自我の生成── 魂の萌芽というべきか。]
(47) 2022/10/16(Sun) 22時半頃
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黍炉、共にここから出よう。
[ 回す腕に力をこめて、唇の触れる距離で囁いた。*]
(48) 2022/10/16(Sun) 22時半頃
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