10 冷たい校舎村9
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[ それで。 全部悟った。 頑張っているけど、 頑張っていたけれどどうにもならないって。
本当はそんなことありえる訳もないし、 ずっと鳴り響く実態のない声なんて 私の思い込みの幻聴だって一蹴すれば それまでの話なんだ。
…………私、諦めたく無かったのかな なんてことは、思うけれど。 うるさいうるさいあの子の声は、 もう私を追い詰めることしかしない。]
(136) 2021/06/08(Tue) 14時半頃
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[ もう互いに罵り合う事しか出来なかった。
あの子ならきっと出来るんでしょう、 私の分まで持ってるんだから。]*
(137) 2021/06/08(Tue) 14時半頃
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── 現在/食堂 ──
[ 無心でクレープを作っていた。 こんな状況下でおかしいのかもしれないけど、 こんな状況だからこそ、というところはあって。
さっきの。鳩羽くんとのやりとりを ぼんやりぼんやりと思い返す。]
(138) 2021/06/08(Tue) 14時半頃
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[ 文化祭だけが楽しかったということ>>1:654、 ……それ以外には、何かしら苦しかった、って。 それ以外に楽しい事が何も無かった、って。 きっと息苦しいだろうなとは、思う。
楽しいことをしていて罪悪感を抱くってことも 無いわけでもない、……のは、経験則として。]
こっちは一緒に楽しんでるつもりだったけど、 実はなんにも楽しめてなかったっていうのは。 堪えるとこは、あるね。……
(139) 2021/06/08(Tue) 14時半頃
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でも、まあ、……そこまで私達が背負うことは それほどないと思うよ、優しい鳩羽くん。
[ 人が抱え込めるものは限度があるから。 他人の荷物まで頑張って背負いまくって こちらが潰れてしまうこともある。]
考え過ぎない方がいいんだよ。 しょうがないことが多いから。
[ そんなことをぽつりと、諦めたように零して、]
(140) 2021/06/08(Tue) 14時半頃
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[ ──── で、現在。 目玉商品のグロいクレープはちょっと自重した。 手元に完成したのはおかず系クレープが幾らかと 材料のあったチョコバナナなどなど。
ラップをして冷蔵庫に入れて、 クレープがあります、なんてメモ書きもひとつ。
教室周辺の喧騒はまだ知らない。 持って行った方が良いだろうか。 悠々と、焼き立てをひとつ頬張りつつ。]**
(141) 2021/06/08(Tue) 14時半頃
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[そんなに手先が不器用ってわけでもないのに 震える指先じゃカーテンを剥ぐのにも四苦八苦して ああやっぱ俺動揺しているんだなって どこか他人事のように思った。
がちゃがちゃ金具と悪戦苦闘していると 後ろから足音が聞こえてきたから ばっと振り向いてその姿を見る。>>124]
………副会長。
[扉、閉めてから作業すればよかったなって 困惑している彼女の様子に今更思い至る。
何があったの、疑問も無理はないけれど、 俺も生憎その答えを持っていない。 浮かない表情で首を横に振った。]
(142) 2021/06/08(Tue) 14時半頃
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── 現在・2階廊下 ── …………。 [ 「保健室」というワードが聞こえて、>>115 慎一はとっさに首を横に振っていた。 騒ぎ立てるほどの怪我じゃないことは、 慎一が一番よくわかっている。 ただ驚いただけ。ヘーキヘーキ。 それを口にできればいいんだけど、 そこまでの余裕はなかったので、 ボディランゲージに頼った次第だ。]
(143) 2021/06/08(Tue) 14時半頃
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[ ……別に慎一だって、 何も転んで擦り傷を作るたびに、 こんな顔をしているわけじゃない。 普段なら「いてー」とか、 「やっちゃった」って終わらすはずが、 カッターの刃なんて危険なものが、 床に無造作にばらまかれていたせいだ。 それがいつしか増えたりするせい。 誰かが悲鳴みたいな声を上げるからだ。 ……つまりこの世界のせいだよ。 ってことにしたいんだけれど、 どうやら泣きそうなのは慎一だけだなあ。 炭蔵も、やってきた黒沢も、>>98 目に涙をためてるわけでもない。]
(144) 2021/06/08(Tue) 14時半頃
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[ そうこうしているうちに、 黒沢にも保健室の件が伝わって、 「怪我したの?」って聞かれて、>>122 ……平気ですと言うタイミングを失った。 慎一がもう少し落ち着いていればな。 炭蔵が「連れて行く」と言う前に、 「驚いただけです」って言ってれば。 ……なんでかな。 そのとき急に少しだけ落ち着いた。 心の中がすうっと静かになる感じ。 慎一よりも背の低いふたりが、 普通に会話をしているのを聞きながら。]
(145) 2021/06/08(Tue) 14時半頃
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……あーー、うん。 今度は気ぃつける……。 [ 気を付けてね。かけられた言葉に、>>122 慎一っぽい返事だったと思うんだけど、 やっぱり、あんまり元気は出なかった。*]
(146) 2021/06/08(Tue) 14時半頃
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[ 頼りになる人たち。ちゃんとした人たち。 それを目の当たりにするとき、 慎一の心はときどきすうっと凪いでいく。 慎一は、誰かに頼りたいんじゃなかった。 何も誰かを支えに生きたいんでもなくて、 ……あの目には何が見えているんだろう。]
(147) 2021/06/08(Tue) 14時半頃
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── 現在・保健室へ ── ……マジで大した怪我じゃないよ。 消毒液借りて、バンソーコーもらうだけ。 [ 3年10組を通り過ぎる際、 慎一は予防線を張るように言う。 声の震えはほとんどおさまっている。 明るく元気とまではいかないけれど。 あの叫び声が気にならないわけじゃない。 10組から漂うあわただしい空気に、 通り過ぎながらちらっと中を覗けたなら、 ナニカにふわっと布が被せられる様子とか、 そんなものくらいはチラッと見えただろうか。]
(148) 2021/06/08(Tue) 14時半頃
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[ ひとりでも平気だよ。 そんなニュアンスを含ませつつも、 頭からさっきの悲鳴が離れなくて、 ふと炭蔵に向けて言葉を吐いてしまう。] ……九重が、ここ、 誰かの頭ん中だって言ってた。 [ まさか騒ぎの中心にいるのが、 九重──のような人形とは知らず、 ただ慎一は少し悲しいなって思っただけ。]
(149) 2021/06/08(Tue) 14時半頃
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学校が文化祭なのは、 大事な思い出だから……として、 カッターナイフが落ちてたり、 あんな悲鳴が上がったりすんのな、 ……頭ん中で。かわいそう。 [ そのことを考えると、 慎一の足取りは余計に重たくなる。 突っかけた上履きは歩きづらいし、 地面に擦り付けるようなやり方で、 不格好に保健室への道を歩いてく。**]
(150) 2021/06/08(Tue) 14時半頃
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わかんない。
[マネキン?と言われれば、今度は首を縦に。 見ればわかる以上のことは何もわからない。]
………平気?座ってた方が良くない? 俺一人でもこんくらいなら出来るし。
[カーテンを外す俺の意図を察したらしい 黒沢は手伝ってくれるようだ。
足は震えているようだし、 図太くも何でもない女子に こんな手伝いさせちゃうの気が引けたけど、 平気だと言うのならば強くは止めない。
カーテンを受け取って改めて問われた言葉>>125に ううん、と再び否定の意を示した。]
(151) 2021/06/08(Tue) 15時頃
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わかんない、し、何があったのかも知らない。
…副会長も、さっき、悲鳴、聞いた…よね。 それ聞いて10組に来たらこうなってた。
[俺よりも先に何人か来ていたっぽいが 時間にしてそんなに差はない。 多分状況はそこまで変わらなかったんじゃないかなって予測。]
あとさ、上。閲覧注意ね。 びっしり御札貼ってあんの。なんか。 関係あんのかどうかはわかんないけど。
[視線は向けずに上を指さす。 あんまり進んでみたいものじゃないよねって。]
(152) 2021/06/08(Tue) 15時頃
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[―――そんな会話の最中だっただろうか。 樫樹が10組にやって来たのは。>>133]
えっ、あっ、おい樫樹!
[覗き込んできたかと思えば謝罪と共に走り去ってしまった。大丈夫かあいつ。マジの死体だと勘違いしてそうな感もある。 ポカンと見送ったのち、困ったように黒沢を見て]
……立ち入り禁止とか、入口に貼っとくべきかな。
[取り外したカーテンを人形に被せながら呟く。 もう遅いかもしれないけど。**]
(153) 2021/06/08(Tue) 15時頃
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[ 私は全然ちゃんとなんかしてないんだけど。 向井君の目に、ちゃんとして見えたなら、>>147 それはきっと、喜ぶべきことなんだろうと思う ]
(154) 2021/06/08(Tue) 16時頃
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―― 現在:3-10教室 ――
[ 柊君は今でも私を副会長って呼ぶ。>>142 もうとっくに後輩たちと代替わりして、 今の私は副会長じゃないのに。 そんなことを考えたのは、きっと現実逃避だった ]
ううん。何か、してたいから。
[ 座っていた方がって柊君は気を使ってくれた。>>151 さすがにこんな時まで気を使わせてしまった、なんて 落ち込んだりはしない。 でも、今は動いた方がずっと良かった。 じっと椅子に座っているなんて、 そっちの方がずっとしんどい。 何か没頭できることがある方が良かった。 カーテンを外すなんて、 没頭できるほどのことでもないし、 実際割とすぐに終わってしまったけど ]
(155) 2021/06/08(Tue) 16時頃
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[ 柊君がここに来たのは、 私が来る少し前だったみたい。 マネキンだっていう意見は一致したけど、 柊君もそれ以上のことは知らないみたいだった。>>152 と思ったけど ]
上?
[ 上って言われて、反射的に見上げそうになって、 閲覧注意って言葉に慌てて止める。 そういえば、このマネキン、上を見上げてる。 視線の先に何が……ってすごく気になるけど、 閲覧注意とか、お札とか聞いちゃうとすごく怖い ]
(156) 2021/06/08(Tue) 16時頃
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えええ……すごく気になるんだけど……。
[ 鳩羽君のラピュタほどじゃないけど、 柊君の言い方も気になる。 他の言い方があるかというと、 私も思いつかないんだけど。 でも、ホラーは正直得意じゃない。 すごく気になるけど、見ない方がいいんだろうな。 血を流してる九重さんのマネキンだけで十分だ ]
(157) 2021/06/08(Tue) 16時半頃
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これが、九重さんのマネキン、だとして、 九重さんはどこにいるのかな。
[ 朝、教室に集合した時会った九重さんは、 断じてマネキンなんかではなかった。九重さんだった。 なぜかマネキンが現れたけど、 人間の、本物の九重さんはどこ? 柊君、どこかで見かけた?なんて聞こうとした時だった ]
(158) 2021/06/08(Tue) 16時半頃
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樫樹君!?
[ 柊君が名前を読んだのと、>>153 ごめんという声に私が振り向いたのは>>133 多分同時だった。 ショッキングな光景だもの。ちらっと見ただけでは 人間かマネキンかなんて判別も できなかったかもしれない。 無理もないもないと思う。 柊君と顔を見合わせた ] 注意書きはあった方がいいかも。
[ そういう時に字を書いてくれるの、 樫樹君が適任なんだけどな。 走り去ってしまった書記の様子を思い浮かべた。 無理強いは良くない ]
(159) 2021/06/08(Tue) 16時半頃
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[ 廊下から、大した怪我じゃないって向井君の声がしたら 油断は大敵だよって声をかけておいた。>>148 消毒はするみたいだから、大丈夫だと思うけど ]
(160) 2021/06/08(Tue) 16時半頃
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柊君は優しいね。 よく気が付くし。
[ マネキンがカーテンに覆われる。 最初の数枚は血を吸ってしまったけど、 枚数を重ねれば血もほとんど見えなくなった ]
私、こんな状況目撃したら、 なんとかしなきゃとは思うけど、 何したらいいかわからなかったと思う。
[ とっさにカーテンを外そうなんて、きっと思えなかった。 マネキンをカーテンで覆って、 入口に注意喚起の貼り紙を思いつく柊君は、 よく気が付く人だ** ]
(161) 2021/06/08(Tue) 16時半頃
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── 現在:2F廊下──
[ 首を振るだけの、それこそ子供のような向井に>>143 やっぱり炭蔵は大丈夫だとは思えない。 騒ぎ立てるつもりではなく、 ただ本当に心配しているだけだ。
もし大丈夫だと強がり続けるのなら、 一度見せてみろと言ったりもする。 ]
お前が大丈夫だと言っても、 俺が大丈夫じゃない。
[ 淡々と、嗜めるような言葉を紡ぐ。 ]
(162) 2021/06/08(Tue) 16時半頃
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[ 例えばこれが、 泣き出しそうな顔じゃなくても、 近頃の向井のように簡単に終わらそうとしていても、 きっと保健室という案は変わらなかっただろう。
黒沢と言葉を交わしている内に、>>122 どうやら喋れるようになったらしい。>>146 表情も先程よりも落ち着いている気がして 炭蔵は少しだけホッとしていた。 ]
……黒沢も、足元には気を付けろ
[ 付き添いが大勢だと、 向井は嫌がるだろうから、 隣を確認するのは、つい黒沢に託してしまう。>>123 ]
(163) 2021/06/08(Tue) 16時半頃
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[ ただ、足元についてを指摘しているにも関わらず 彼女の長袖の下、例の癖を思い出して 視線を左手首に向けてしまっていた。 ]
(164) 2021/06/08(Tue) 16時半頃
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── →保健室へ ──
[ そんなに声を張らなくてもいいのに、>>148 炭蔵は予防線を張ることを知らないで、 ただ震えもなく話せるようになった事実に、 安心していたのだったが。
ほんの、ほーんの少しだけ大きいだけで、 大差のない向井のやや上にある視線の先を、 同じように見ていた。 ]
……あとで確認しないとな、
[ あの布の下には何が隠されているのだろう。 いや、その前に布に染み渡る赤色が、 炭蔵を妙な気分にさせる。 ]
(165) 2021/06/08(Tue) 16時半頃
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