1 冷たい校舎村(別)
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………… 楽しくなる必要なんて、あるの?
[ ごめんね、わかんないの、ほんとに。 ]
(676) 2020/11/15(Sun) 23時半頃
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意味のわかんない世界に閉じ込められて 友達が酷い目に合うの見させられて みんな悲しくて怖い思いまでしてるのに あたしたちが、楽しむ必要なんてあるの?
せっかくだから楽しんでこ、って ここは、遠足でもフェスでもないよ?
(677) 2020/11/15(Sun) 23時半頃
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[ 悲しんでたって仕方がないの?本当? あたしは、友達が死んだら、悲しいよ。 友達が痛い目、苦しい目にあったら、辛いよ
世界のルールが変わらないからって言っても じゃあせっかくだから自分なりに楽しもう、なんて そんなふうには、思えない。
あたしにヒナコの心の声は聞こえない>>641 ヒナコにあたしの心の声は聞こえない ]
(678) 2020/11/15(Sun) 23時半頃
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……勿論、 実際みんなで雑魚寝するのとかさ、 購買のお菓子タダ食いするのとかさ、 楽しい、って思った瞬間だってあるから それはみんなに感謝してるよ。
学校、あのときは楽しかったなあって、 思い出話に花咲かせたりしたしね
でもさ、あたしは帰りたいよ この世界で慣れたくなんてない。 あたしなりに楽しもう、なんて思えない。
(679) 2020/11/15(Sun) 23時半頃
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……… あたしなりに楽しみたい、って それって、まるで、この世界に、
[ 言葉を途切れさせて、ヒナコを見て、 それでも口をもぐもぐしてたヒナコが、 突然口を開くなら、>>642 それで、立ち去ってしまうなら。 ]
(680) 2020/11/15(Sun) 23時半頃
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[ あたしは、ヒナコを追ったりしないよ。 ねえ、ヒナコ 友達が辛かったこととか痛かったこととか 現実でみんながどうなってしまったのかとか そういうことを払拭しようとしてまで、
悲しみを仕方ないって割り切ってまで
あたしたちが この世界に取り込まれる必要ってあるのかな
あたしはやだよ。 こんな不自由な世界に、 あたしの生き方を縛られたくなんて無い。 ]
(681) 2020/11/15(Sun) 23時半頃
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[ 大きな溜息もうひとつ。 あたしは暫く、パンケーキと向き合うわけ。
パンケーキ、美味しいけど、 やっぱりみんな揃ってないと、 あの日の月うさ亭じゃないと、意味ないんだよ ]**
(682) 2020/11/15(Sun) 23時半頃
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─ 回想/" 立派な大人 "なんて ─ [ 前日 ─── 否、この精神世界が二日経ってると言うのなら 其れの前の日。 僕は久しぶりに母と話をした。 僕の大学進学を機に、父と母は離婚するらしい だから、大学で下宿をするようになれば もう此処には帰ってくるな、だって。 『 あなたを見る度に 責められてる気がして もう耐えられない 』 そんなこと言われたら 僕も、分かったって言うしかなかった。 ]
(683) 2020/11/15(Sun) 23時半頃
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[ 母が僕を避けていた理由だって分かってた。 自分が目を離したせいで 僕が溺れて 仲の良かった近所の男の子を 死なせてしまったんだって 母は母で、ずっと自分を責めてたんだ。 ]
(684) 2020/11/15(Sun) 23時半頃
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[ でも" 立派な大人 "になれば 昔みたいに 家族みんなで笑える日が来るって 僕は ずっと信じてたんだ
ねぇ、どうすれば良かったのかな 胸にぽっかり穴が開いたみたい。 ]
(685) 2020/11/15(Sun) 23時半頃
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[ バカみたい ───
" 立派な大人 "、なんて ]*
(686) 2020/11/15(Sun) 23時半頃
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─ 食堂 ─ ううん …… ちょっと 過剰に反応しちゃったなって [ 麗ちゃんまで謝りだすから>>645 手を引いたまま 僕はもう一度ぺこり だけど引いた手は、引っ張り返されて>>647 ]
(687) 2020/11/15(Sun) 23時半頃
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…… うん、うれしい 僕だって麗ちゃんに同じ事思ってるんだって 知ってくれたら、もっと嬉しいかな ……… だから " また今度 " 僕の話を聞いて、ね? [ ズルいかな。ゴメンね。 手を引っ張って、言葉通り繋いで? みんなの中にご案内したら 麗ちゃんの分も喜んで焼きましょう。 それから、追加のトッピングを 購買から貰ってくるねって食堂を出て。 ]
(688) 2020/11/15(Sun) 23時半頃
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[ それが此の世界での別れ、でした。 ]*
(689) 2020/11/15(Sun) 23時半頃
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── PM8:50 ── ……… あれ ここは、どこ ? [ 僕が先程いた場所と、全然違う。 きょろきょろ辺りを見渡せば 何処かの廊下なのは 間違いない。 窓の向こうは闇。 昼白色な筈の蛍光灯は 緋色で薄暗く灯され 廊下を妖艶な道へと変えていた。 ]
(690) 2020/11/16(Mon) 00時頃
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『 Ladies and gentlemen! 』 『 さあさ、皆様 ご照覧あれ! 』
(691) 2020/11/16(Mon) 00時頃
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[ 突如、何処からか 声が鳴り響く。 いえ、声と言うよりかは 無機質な機械音。
何となく察した。 ああ、今回は僕なんだな、って。 ]
(692) 2020/11/16(Mon) 00時頃
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『 今宵、山村 咲良嬢が挑戦致しますのは 』
『 立派な大人への道 !! 』
(693) 2020/11/16(Mon) 00時頃
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[ ドンドン、パフパフと 安っぽい楽器の音が 廊下中に鳴り響く。 " 道 "と言うからには、 この下品な廊下を突き進めという事だろうか。
くだらない趣向。まるでゲームみたい。 ]
(694) 2020/11/16(Mon) 00時頃
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『 剣を取り 数々の困難を乗り越え ! 』 『 無事ゴールに辿り着けるでしょうか !! 』 『 時間制限のペナルティには気をつけて ! 』
『 それでは ! スタート !! 』
(695) 2020/11/16(Mon) 00時頃
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え、……… 剣 ? [ 床を見れば、洋風の小柄な剣が落ちていた。 えっと ─── これって、本当にゲームなんじゃ ? どうにもやる気が起きなかったけど 剣を拾い上げ ブンと振ってみた。 ]
(696) 2020/11/16(Mon) 00時頃
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[ 思ったよりも剣は軽かった。 でも僕は、 剣よりペンを持つタイプの人間なんだけど。
それでも " 時間制限 "という言葉に押されるように 僕の足は一歩、二歩 前に進む。 何よりも、僕には 此処で死ねない理由がある。 そうすると廊下の向こうから姿を見せたのは 同じ剣を持った ひとりの女の子。 ]
(697) 2020/11/16(Mon) 00時頃
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あなたは ……… [ 覚えがある。小学校の時の同級生。 何度も僕に 「 プールに行こう 」と遊びに誘ってきて 何度も断ってたら、 最後には わんわん泣いていた子だ。 勉強の邪魔になるから断っていたけど 僕も心が痛かった記憶がある。 ]
(698) 2020/11/16(Mon) 00時頃
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[ なるほど、と僕は得心する。 此処に出る敵は 立派な大人になる為に 僕が不要だと 文字通り切り捨てていったモノ。 二度、三度 振りかざしてくる剣を避けながら 女の子の腕を軽く斬れば パシュという音と共に 姿は消えた。 ]
(699) 2020/11/16(Mon) 00時頃
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[ それから ─── 僕が中学の時、 通学路で合計3回も告白してきた男の子 僕が孤立しているから、と 何度も相談の時間を作ってきた先生 母が料理を作らないのを知ってか 何度も僕に料理の作り方を教えようとする 近所の優しいおばさん 僕は襲ってくる" 敵 "を次々と倒していく。 きっと此処は 此処だけは僕の心の世界。
僕が" 邪魔だ "と感じて 小学から中学、幼い頃に関わった人から 順番に現れている気がする。 もう少しで、廊下の突き当り つまり ゴールなはずだけど。 ]
(700) 2020/11/16(Mon) 00時頃
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[ なんだか、とても嫌な予感がした。 ]
(701) 2020/11/16(Mon) 00時頃
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…… 花内、さん [ 現れたのは、今でも見知った顔。 彼女だけじゃない ─── 後ろから姿を見せたのは ゆりちゃん、回谷さん、蛭間さん、 愛崎さん、ミルフォードさん 雛川さんに、麗ちゃん、莉子ちゃん 此処に閉じ込められた みんなの姿。 ]
(702) 2020/11/16(Mon) 00時頃
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[ 数が多くても、剣を横に ひと振りすれば 一度に倒すことは出来るだろう。 それよりも 僕は──── ] ちがう!! みんなを邪魔だなんて思った事は……
一度だって ……… !! [ 声を張り上げて 僕は、空虚へ叫ぶ。 ]
(703) 2020/11/16(Mon) 00時頃
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[ みんなは僕に" たのしい "をいっぱいくれた。 其れは、僕の大切な宝物で。 決して" 立派な大人 "になるのに 邪魔になるものじゃない!! ] ……ッ !! [ 誰かの剣先が、僕の右腕に突き刺さる。 僕はがむしゃらに剣を振りながら パシュ、パシュ、パシュと ─── 其れは、みんなが消えるまで。 ]
(704) 2020/11/16(Mon) 00時頃
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[ そして傷口を抑えながら やっと辿り着いた廊下の突き当り ─── 其処は、行き止まりだった。 ]
(705) 2020/11/16(Mon) 00時頃
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