10 冷たい校舎村9
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[ 女の甲高い声が聞こえてきた。
炭蔵祐駕も年頃の男子で、 もちろん知識もあれば興味もある。 但し、その相手が母親ではない。
炭蔵なら、正しくないと判断した筈だ。 全てが正しい筈だった父が、正しくないことをした。
このことだけで、祐駕には衝撃的だった。 ]
(266) 2021/06/10(Thu) 22時頃
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[ 祐駕は正しくないことは正しくないと 言える人間になるよう育てられてきていた。
だから、ちゃんと声をあげたんだ。 こんなことは間違っている、と。 ]
(267) 2021/06/10(Thu) 22時頃
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ほら、俺は何も悪くないだろう? 正しいことをしただけなんだ **
(268) 2021/06/10(Thu) 22時頃
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── 現在:1F教室→ ──
[ 目の前にあるのは死体じゃない。 人形、だろ?>>249
ただ、目に見えるものの方が どうしても優先されてしまうのは 祐駕もおんなじだった。
そうそう、メールの文面。 恨んでたなら、恨み節のひとつくらい 利かせてもらわないと。>>250 ]
みつけて欲しいのなら、 もう少しわかりやすいヒントが欲しいものだよな
(338) 2021/06/11(Fri) 01時頃
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[ 鐘がひとつなるごとに一人なら、 タイムリミットまであと7回分くらいはあるだろう。
でも、見つけて、謝って、 それから─── ? その後は何をしたらいいだろうか。 やっぱり答えが、分からない。 ]
……確かに、単独行動は危険だ。 鳩羽のそれは、名案だな。
[ 「もしも殺されている」という仮定が正しくなくても 悪くはない案だと、炭蔵は思う。 ]
(339) 2021/06/11(Fri) 01時頃
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俺は、一度教室に帰って 伝達事項を追加して来るよ
じゃあまた、21時前にな。
[ そう告げて、炭蔵は3-9を目指すことになる。
すぐそばに階段があったから、 1Fのもうひとつの現場を見るのは、 まだまだ、後になるだろう。* ]
(340) 2021/06/11(Fri) 01時頃
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── →3-9 ──
[ 炭蔵祐駕は、黒板の前に居た。 自分の書いたメモから、 いくつも並ぶ文字を眺めている。
触れれば消えてしまいそうな、 白のチョークで書かれた文字たち。 その下にもう一つ、追加のメモを残す。 ]
『 樫樹を見た人はいるか? 』 『 1F喫茶店、マネキン一つあり 』 『 21時の少し前、一度集まらないか 』
……こんなものだろう
[ チョークの粉を払い、自分の席に腰をかけた。 **]
(341) 2021/06/11(Fri) 01時頃
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[ この席から見る景色は悪くなかった。 教卓に立った時に見る景色も嫌いではなかったが、 民衆の中に埋もれるこの自分だけの席も好きだった。
こうして、同じように授業を受けていた誰か。 ( 自覚なしの自分の可能性もあるが ) その誰かが、死にかけている。
責任感が強いと、背負いがちだと思われるだろうが、 やはりこの教室内の誰かの命が脅かされるのは、 自分の力量不足だったのではと思ってしまう。 ]
(342) 2021/06/11(Fri) 01時頃
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[ だからといって、 自分のことを自分できちんとやっても、 どれだけ自分のことを助けても、 手助けしてくれなかった神様に縋るなんて そんな真似は、したくない。 ]
(343) 2021/06/11(Fri) 01時頃
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自分を助けられるのは自分だけだ 少なくとも、今はそう思っている
(344) 2021/06/11(Fri) 01時頃
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── 現在:→渡り廊下 ──
[ 炭蔵祐駕は、3-9を離れて屋台の前へ来ていた。 道中に誰かとすれ違うことがあるのなら、 すれ違うたびに、樫樹は見たかと尋ねていただろう。
そうして、たどり着いたのが、 あの日、綿見にこき使われて作らされたクレープ店。
……の、つもりだったのだが、 並ぶ屋台が全てクレープ屋になっている。 これでは、どれが自分たちのものだったのか、 判断がつかないじゃあないか。 ]
(345) 2021/06/11(Fri) 01時半頃
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[ どうしたものか、と思案していると、 カランコロンと物が落ちる音がする。>>290
使用済み≠フ一本があって、 ……一本だけじゃ、ない。 幾つも混じっているのが見える。 流石に拾い上げる気にはなれなかった。
そして、物音の先に見知った背中を見つける。 ]
(346) 2021/06/11(Fri) 01時半頃
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柊、こんなところに居たのか ……なあ、樫樹を見掛けはしなかったか?
[ 手首の傷は、見えただろうか? いや、見えてないからこそ、 樫樹の話を真っ先にしていたのだろう。
もしも、見えたなら? 手首を掴んでどうしたのか問い質すだろう。 炭蔵のささくれ程度の小さな傷よりも、 さくっといってしまった、 その深そうな傷は何だ、と。 **]
(347) 2021/06/11(Fri) 01時半頃
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── 現在:廊下 ──
[ 片手を振り返しながら近づいて、 ]
ああ、おはよう いや、あー…… 樫樹に似たマネキンが増えていた 今は、向こうの教室へ寝かせてあるが
[ 何かあったか、と問われれば、>>384 炭蔵らしくもなく言葉を一度詰まらせて、 親指で喫茶店をしていた教室を示しながら、 事実を柊へと伝えていた。 ]
(402) 2021/06/11(Fri) 11時頃
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[ それから、ふと目に留まる流血。 自分がやった時は躊躇いもしなかったが、 こうも他人のものを目にすると焦るらしい。 向井の気持ちが、少しだけ分からないでもない。
無理矢理手首を掴んで、見えるようにすることも、 男子相手になら、抵抗なくできた。 ]
……笑いごとじゃないだろう
[ これまで柊を表面的にしか見れていなかった。 だからいつものように笑う姿を見て、>>386 はあ、と溜め息が出る。── 悪い意味じゃないぞ? ]
(403) 2021/06/11(Fri) 11時頃
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興味本位でやって、 本当に死んだらどうする
[ そんなこと言う資格もないのだが、 誰かが飲み込んだ台詞をつい口走る。 ]
ほら、貸してみろ ……手首を切って死ぬ時は、 出血多量のショック死だって 大体相場は決まっている
[ 失血する量ではないにせよ、 流血が止まらない手首に、 ポケットから取り出したハンカチを巻き付け 簡単な止血を試みようとするだろう。 ]
(404) 2021/06/11(Fri) 11時頃
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[ そんな理由で、試してみたくて、自殺を試みた?>>390 ── いや、それなら遺書を送るのもおかしいか。
そもそも、炭蔵視点では、 柊は何かを限界に感じてしまうほど、 要領の悪い男のようには見えていなかった。
それこそ、堅物の炭蔵とは対極にあり 柔軟性があり、女心も操れる、 そういう男だろうと思っていたから。 ]
(405) 2021/06/11(Fri) 11時頃
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樫樹と九重、手伝ってくれるなら助かる。
……なあ、昨日の夜は 簡単な説明しかできなかったが 柊、お前はどう思う。この状況について
[ 捜索の人手が増えるのは有難い。>>401 例を述べて一歩足を進めながら、 ふと、そんなことを尋ねてみた。
精神世界≠フことだ。>>108 その柔軟な頭が何を考えているのか知りたかった。 ]
(406) 2021/06/11(Fri) 11時頃
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鳩羽は、俺たちのことを恨んでるから 此処に閉じ込めたんじゃないかと言ってたが ……柊は、あのメールの文面に心当たりはあるか?
[ 恨んでるのか、それとも見つけて欲しいのか。 何方にしても、推測の域を出ないことばかり。
柊から見える炭蔵は、 きっと冷静に見えているだろう。 でも、内心はそうでもなかった。
炭蔵がそうであるように、 柊もまた、笑顔の下に何かを隠してるんだろうか? 否定して欲しいと願いながら、 「お前はこの世界の主か?」と暗に尋ねてもいた。 *]
(407) 2021/06/11(Fri) 11時頃
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── 現在:廊下 ──
[ なるほど、オカン≠ニいうのは こんな気持ちなんだろうか。>>408
他人事みたく笑う柊を見て、 炭蔵はまたひとつため息が溢れそうになる。
それでも、素直に手を差し出してくれたから、 反抗期の息子を持つオカンよりはマシか。 ]
(427) 2021/06/11(Fri) 14時半頃
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すぐには死ねないだろうから、 しばらくの間苦しいだろう 痛みは、少なからずあるだろうが
[ 可愛い女子でなくて悪かったな。>>409 せめて頭の中で、 〜炭蔵祐子として女装コンに出たとしたら〜 を、想像しながら補完しておいてくれ。
それか、応急処置に過ぎないから、 保健室にでも行けば誰か女子がいるだろう。 頼めばやってくれるんじゃないか? ]
(428) 2021/06/11(Fri) 14時半頃
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[ それから、精神世界とメールの送り主について やはり、恨んでいる$は薄まりそうだ。>>411 見解同じく、文面とは意図が合わない。
送り主が柊でないと否定もしてくれて、>>412 炭蔵はちょっとだけ安堵する。 ]
確かに、柊らしくはないな 送るなら、もっと砕けた文章で、─── ?
[ しかし、何も言わないという言葉に、>>413 炭蔵の中の柊像が、やや揺れる。
人に囲まれている印象のある男だったから、 送り相手も大勢いるだろうと思っていた。 誰かに頼る術も、拠り所も、SOSも、 多く持っているような男だと思っていた。 ]
(429) 2021/06/11(Fri) 14時半頃
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意外だな、何も言わないのは。 ……だが、だれだか分からないメールの主は、 やはりSOSを出してるように感じてしまうな
[ 柊がどうしてそう考えるのか、 それは炭蔵の想定外のことで予測がつかない。
何も言わずに死ぬ、 ……よっぽど切羽詰まっているか、 炭蔵たちに言うほどの感情はないか。 そのあたりだろうか、と思ってしまった。 ]
(430) 2021/06/11(Fri) 14時半頃
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なるほど、新しい見解だ もどかしくてどうしようもない気持ちが、 俺たちをここに呼び寄せた……の、だろうか
ならば、人形になって減っていくのは、 呼び寄せられた側へのタイムリミットではなくて、 世界の主へのタイムリミットの可能性もあるかもな
[ 新しい仮説を、>>414 神妙な顔をしながら聞いていた。 ただ、その先に続く問いに、>>415 炭蔵はまた答えを出せなくなってしまう。 ]
(431) 2021/06/11(Fri) 14時半頃
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[ 「ずっと一緒にいて」 そんな言葉を投げかけられたら、 炭蔵ならどう返事をするのだろうか。
だれが相手であろうとも、 叶えてやりたいと思う、その願いを。 しかし、向井と鳩羽と、 背負ってるものも二つほどある。
折り合いをつけるのが下手な炭蔵は、 どちらかしか選べなくて、 でもどちらも選べないでいる。 ]
(432) 2021/06/11(Fri) 14時半頃
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─── 俺は、死んでしまうのは駄目だと思う 此処が永遠に続くとも限らない だから、断る……かもしれない
[ これまでなら迷うことなく断っていただろう。 ]
柊だったらどうする? 可愛い女子がねだってきたりしたら
[ 前半は本気で、 後半は少し空気を和らげたくて足した。 言うこと、聞いてあげてしまいそう。 それが、炭蔵の印象だった。 **]
(433) 2021/06/11(Fri) 14時半頃
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── 現在:廊下 ── [ なあ、炭蔵祐子になっても絶対笑うなよ?>>510 女の子としてちゃんと扱ってくれ。(?)
ともあれ、無事に処置できたなら、 手首を失わずに済んだ柊を見て、 軽く小突きたくなるのを抑えた。 女子になる以前に、オカン度が加速しそうだ。 ]
(547) 2021/06/11(Fri) 20時半頃
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[ それから、苦笑する姿にまたひとつ、>>511 炭蔵は不思議そうな顔をする。 ]
柊でも考えるんだな、文章
[ 全く考えていないとは思ってないが、 もっとナチュラルに言葉選びができるもんだと、 当然のように思っていたから浮かんだ疑問。 ]
(548) 2021/06/11(Fri) 20時半頃
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……あとから、死んだって 知らせを聞かされるぐらいなら 何でも良いから一言欲しいけどな、俺は まあ、ひとそれぞれだろうが
[ 炭蔵だったら何と打つ? たった一言選ぶなら──… ともあれ、知らないところで、 何か起きてるのはやっぱり癪で つい口を挟んでしまった。 ]
(549) 2021/06/11(Fri) 20時半頃
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[ メールの内容についての意見交換をして、 世界の主の気持ちを少しでも理解したかった。
だから、何気なくとも、>>513 ひとつひとつの問いを考えたかったのだ。 ]
……ああ、 俺もその台詞は言ってそうだ
[ 足元の安定しない炭蔵は、 自分への評価に対して少し笑った。]
(550) 2021/06/11(Fri) 20時半頃
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