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──観覧車前──
[そろそろ夜、と言って差し支えない暗さに園内が包まれる頃、観覧車前に辿り着いた。 入り口に向かうと、ふわふわした雲のようなものを食べている雛子を見つけて>>1:286、ゆるく手を振りながら近づく。 最初の私服とは打って変わってド派手なレンタル衣装を身に着けているので、”どなた?”なんて言われないだろうか、と考えつつ。]
お待たせ! わたあめ食べてるの? 何それ、星がいっぱい散りばめられててかわい〜。
[そう言うと、上品な手つきで端っこを少し摘まんで、一口食べた。甘ーい!と嬉しそうな顔をする。]
よーし、んじゃこれ食べ終わったら乗ろうか。**
(5) 2023/11/19(Sun) 00時頃
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―― 前日:メリーゴーランド『銀河の海賊』──
[メリーゴーランドに乗って、何周くらいしただろうか? 緩やかに止まってはふたたび回る白馬。音楽だけは途切れる事がなく流れ続けていた。 この、巡る浮世を少し離れた世界からぼんやり見つめていられる乗り物が、あまりに自身の在り様とマッチしてしまっていたのかもしれない。とにかく居心地がよく、結構な間、乗っていた気がする。 途中、果たして何周目だったか。フェンスの向こうで、誰かが手を振っているのが見えた。 二度見しようと振り向くが、流れてしまい。 またその地点に戻った時に、聞こえてくるのは女性の声。>>2]
写真!? どーぞどーぞ!!
[咄嗟に返事をするが、その間にも白馬は巡って行く。 ふたたびその女性が居た地点に戻る頃には、目視も出来た。黒髪の、随分と変わった格好をした女性だ。もっとも綺羅之介も、人のことを言えるほどまともな服装はしていないが。 女性がカメラ、もしくはアポロらしきものを構えている姿も確認したので、次にその地点に来た時には軽く投げキッスをして見せた。]
(12) 2023/11/19(Sun) 00時半頃
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[おそらく、一般人ならここはピースサインとかになるのだろうが、すっかりファンサが板に付いているキラにとっては、この方が被写体として自然なポーズだった。 写真を撮られつつ、2周くらいはしただろうか。 女性に手を振って合図をしつつ、ようやくメリーゴーランドを降り、彼女がいた場所へと歩いて行った。]
写真撮れました? ていうか…… さっきデバイスで挨拶見たけど、密星さんですね?
[回転する白馬の上から見ただけでは確信が持てなかったが、こうして地上?で会ってみると、”アポロ”の一斉送信で写真を見た女性に違いなかった。]
まだ3人くらいしか会えてなくってね。 密星さんはるくあちゃんの学校の先生でしたっけ。 僕は……、彼女の知り合いです。
[写真を撮ってきたのだし、今はサングラスもしていないから、正体バレしているかもしれないな、とは思いつつ、そんな軽い自己紹介をした。]*
(13) 2023/11/19(Sun) 00時半頃
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──前日・観覧車──
[雛子に差し出された綿あめを、おいしーね!とキャッキャしながら食べ終えると、観覧車の乗り場まで上がった。受付ロボットにアポロで手続きをして、ゴンドラに乗り込む。 ゴンドラは何種類かあったが、紫色の空に黄色い星が散りばめられたイラストが描かれているものを見て”あ、これ僕と雛子ちゃんカラーっぽい!”と指差し、乗り込んだ。
二人を乗せた観覧車は、ごくゆっくりと上に登って行く。]
うわー…… これ、一番高いところは相当だね?
[そう言って天辺を覗こうとすると、身体の大きなキラが動いたせいかゴンドラが軽く傾いた。慌てて、行儀よく席に座り直す。]
(15) 2023/11/19(Sun) 00時半頃
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[座り直してみても、心なしかキラ側に傾いている感じもしたが、これは並んで座る乗り物ではないだろうと気にしない事にした。結果、向かい合わせになり、あらためてまじまじと目の前の雛子を眺める。普段は歌舞伎座の男衆とばかり会っているものだから、高校生の女の子は小さいんだな、などと考えながら。 煙崎るくあは、雛子よりもう少し背があっただろうか。
しばらく黙って見ていたが、不意に口を開いた。]
雛子ちゃん、灰羅さんが犯人で安全じゃなくても構わない、なんて言ってたけど。 犯人のこと、怖くないの?
とんでもない極悪人かもしれないじゃない。
[それは少し前に雛子が言った事>>1:157への、純粋な疑問だった。]*
(16) 2023/11/19(Sun) 00時半頃
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―― 前日:メリーゴーランド『銀河の海賊』 ――
[密星さんが自己紹介した後、”キラさ……”と言いかけた辺りで、まぁそうだよね、と察する。 ごめんなさい、と素直に言われたので笑って。>>34]
いえいえ。写真撮られるって事は、そうかな〜、とは。 最初は一応隠すつもりでサングラス付けてたんですけどね… レンタル衣装着てみたら、もう無粋な感じがして…まーいっか、と。
[言いながら、肩を竦めるジェスチャーをする。 正体を明かしてしまえば、”知り合い”という説明も浮いてしまうので。]
るくあちゃんは熱心に観に来てくださってたので……、顔も良く覚えてまして。ちょっとした縁でLINEだけ交換したんです。友達になったというわけでもないので、知り合いと表現したのは嘘ではなくてですね……。
[敢えて言い訳っぽく説明して、また笑ってみせた。]
(40) 2023/11/19(Sun) 03時頃
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成る程、保健室の先生! でもそっか……、るくあちゃん、先生にも僕のこと話してくれてたんだ。 嬉しいな………。
[余韻を、憂いを持たせてしまうのは、彼女が帰らぬ人だから、に他ならないけど。 それ以外にも、とても複雑な感情があって。何とも言えない表情になる。 少しの間のあとに、そういえば、と手を合わせて小首を傾げた。]
じゃあさっきの写真は? るくあちゃんにお供えするためだったり?
[話をした温度で、目の前の人が自分のファンなのか、単に綺羅之介についての知識を持つ人なのかは、何となく分かる。この先生はおそらく、煙崎るくあから話を聞いただけの後者なのだろう。]
(41) 2023/11/19(Sun) 03時頃
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……ここに来てるのはるくあちゃんと親しかった人ばかりなんでしょう? どうせならみんなで記念写真でも撮れたらいいのにね……なんてね。
[殺人犯を捜すために閉じ込められているというのに。 随分と呑気で、リアリティのない事をあっけらかんと言い放った。 そんな調子でしばらく立ち話をした後、薄暗くなっていることに気付いて、場を離れようとする。]
観覧車に乗る約束してるので、行きますね。 そろそろ暗くなりそうなので、お気をつけて。
[そうして人懐っこい笑顔を見せると、大振りにぶんぶんと手を振って、密星さんと分かれた。]*
(42) 2023/11/19(Sun) 03時頃
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── 2日目・ホテルの一室 ──
[目が覚めたら、園内ホテル503]室のベッドの上だった。 ぼんやりしたまま、ベッドサイドの時計を確認する。朝8時。 モーニングには間に合いそうだ、と考えつつ、ごろんと寝返りを打った。
──結局、帰れなかったな。 マジで閉じ込められたのか……。
そういえば着てきた服、レンタル衣装屋に取りに行かないと。 どうせ使えないけどスマホも。
昨夜は、観覧車に乗ったあと雛子とホテルまで一緒に歩いてきて、ロビーで分かれた。 姿は見ていないが他の招待客もおそらくこのホテルで夜を明かしたことだろう。
のろのろと起き上がると、乱れ切ったバスローブを引き摺って顔を洗いに行く。]
(63) 2023/11/19(Sun) 12時頃
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[洗顔して、ふわふわした白いタオルで水分を拭き取り、鏡の中の顔をじっと見る。 化粧をしていなくてもまだ、母に似た印象の残る顔立ちだった。年齢を重ねて行けばいずれはその面影からも離れていくのだろう。 備え付けの化粧水を手に取って、ぺちぺちと顔マッサージをする。]
はー……
[らしくもなく、ため息をひとつ付いて。
それしか無いので昨日のレンタル衣装に着替え、1階のカフェにモーニングを食べに行った。他の招待客とは出逢えるだろうか。**]
(64) 2023/11/19(Sun) 12時頃
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──2日目・ホテルのカフェ──
[モーニングカフェの会場に来ると、まず、昨日会えなかった女性の姿が目に入った>>66。デバイスの自己紹介に写真は添えられていなかったが、他の女生とは全員会っているから、消去法で菊水という名の先生だと分かる。 視線を送っていたから、目くらいは合っただろうか。少し話したい気もしたが、女性が一人でモーニングしているところに図々しく隣に座るのも無粋だなと考えて、会釈程度にとどめた。]
オムレツとサルシッチャ、あとサラダを貰おうかな。 あ、飲み物はアイスティーで。
[給仕ロボットに告げると、間もなく食事が運ばれてくる。 ギャラクシー何とかではなく普通の食べ物だったので、普通に美味しくいただいた。
こんな風にのんびり朝の紅茶を飲んでいると、まるで普通のオフのようだ。 いや、昨日は実際普通のオフだったのだが。]
(71) 2023/11/19(Sun) 13時頃
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[まだ2日目、と言えるのだろうか。 そろそろ、本気で此処から脱出する事を考えたほうがいいのだろうか……、
しばし、飲みかけの紅茶を前にして、頬杖を付いていた。]**
(72) 2023/11/19(Sun) 13時頃
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[そういえば、とアポロを手に取る。 昨夜、キャンディから何か送られて来てたな、とメッセージを確認した。夜は疲れていたのか、部屋に付いてシャワーを浴びた後、直ぐに眠ってしまったのだ。
カフェからぽちぽちと返事を打った。]
(76) 2023/11/19(Sun) 13時半頃
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(一斉送信)
キャンディおはよ。昨夜は寝てしまってたよ。 僕は見かけなかったけど……サバゲーの他に何処行ったんだろ。 今日は地面見ながら歩いてみるね。*
(*8) 2023/11/19(Sun) 13時半頃
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──前日・観覧車──
[>>98自分はどうなっても構わないから、誰も怖くない。という答えは、これまでの彼女を見ていたら、半ば予想は出来ていたものだったけど。 ”そっかー。”とだけ呟いた後、しばし黙って、ゴンドラの外を見た。
園内を見下ろせば、宇宙を模した夜景はとても綺麗で、夜空にも満点の星。 観覧車とプラネタリウムを兼ねたような、贅沢な空間が出来上がっていた。
天辺まで上り切った時だろうか。 不意に、花火が上がる。 否、花火の動きをプログラミングされた、ドローンだった。]
わー、見て。きれい……
[花火の音がけたたましく鳴り響いた時に、 音に紛れて、小さな声で、ぽつり、と。]
(103) 2023/11/19(Sun) 14時半頃
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────ごめん、犯人は、僕。
[呟いたけど、おそらく、雛子には聞こえなかっただろう。]
(105) 2023/11/19(Sun) 14時半頃
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[やがてゆっくりと降下する観覧車の中、会話は途切れて、黙って景色を見ていたけど、居心地の悪さは無かっただろう。 一番下に辿り着いて、雛子に手を貸しながらゴンドラを降りる。]
お腹もすいたし、ホテルに行って、ご飯食べよっか。 今日は出られそうもないし……。
[そうして、マップを見ながらホテルに辿り着いて。晩ご飯を食べた後は、部屋を別々に取って、そこで解散するだろう。]
観覧車付き合ってくれてありがと。楽しかった。 おやすみ。
[笑顔で手を振った。]**
(106) 2023/11/19(Sun) 14時半頃
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──回想──
[大昔の女形役者は、日常生活でも女のように過ごしていたと言うが、現代では勿論そんな事もなく。綺羅之介も普通に暮らしていた。 とは言え端々の所作や口調に、研究を重ねた女性っぽさは滲む。学生時代ならもう少し気を付けていたかもしれないが、完全に役者としての生活を始めてからは、特に何かをセーブすることもなくなった。 ただ、女っぽいのはあくまで仕草や話し方だけ。肉体は鍛え抜かれて、一肌脱げば並みの男よりは余程筋肉質で逞しい。 リアルの己はとてもアンバランスで。舞台上で完全な女として生きている瞬間のほうが、人間として地に足が付いているようにすら思えた。 容姿に恵まれた役者だ。そういったことに誘われた経験が無いわけはなかったが、近付いてくる女性は当然、”中村綺羅之介”しか見ていない。そうして空っぽの内面のまま求めに応じて、何も得ずに終わる。『恋愛感情』を特定の誰かと交わしたことは一度も無い。
綺羅之介は、リアルの自分なんて別に居なくてもいいな、と常々感じていた。]
(112) 2023/11/19(Sun) 15時頃
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[LINEに登録されているファンの女の子たちからのメッセージ。人数はそう多くは無いが、インスタやXを眺める感覚で、皆の日常、綺羅への想いの籠った呟きをただ見ていた。彼女たちの熱量は、眩しい。それらが自分に向けられていることも意識出来ず、ただ、道端の綺麗な花を眺めるような眼差しで、淡々と視界に入れていた。
煙崎るくあは、長文こそ送ってこないが。 時折、気にかかる呟きを、ぽつり、と送って来る───。
----------キラ様 ----------私、…………し にたい
……何度目のメッセージで目にした一文だっただろうか? 自宅のベッドで横になっている時に、それを見て。
初めて。 返事をした。]
(113) 2023/11/19(Sun) 15時頃
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『しんじゃだめだよ? めっ。』
----------!! ---------お返事……!!
---------- ……ど うして?
[まさか、どうして?と聞き返されるとは思わなかった。いや、どんな返事を期待したのかと言われると、分からないのだが。ともかく、煙崎るくあのこの返しにより、メッセージを続けざるを得ない展開になってしまった。]
『うーん。死ぬの痛そうじゃない? それに、周りの人が悲しむよ? だからだめ。』
(114) 2023/11/19(Sun) 15時頃
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---------- ………
----------そうですね。
----------それでも……私。
[どうしてこんなこと、僕に向かって呟いたのだろう。 綺羅之介はたまたま……いや、自覚的に、致死量の毒物を所持している。具体的に使う予定を立てていたわけではなく、お守り替わりに。]
(115) 2023/11/19(Sun) 15時頃
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[そして、何かを書きかけては、迷って止めた。 まるで、友達の悩み相談に乗って、LINEをしているような感覚。どんな言葉を掛けたらいいのか、分からなくなる。ただ、己の周囲で、『死』を求める台詞を発した人を見たのは、初めてのことだった。───リアルでは。
綺羅之介は舞台の上で何度も死んでいる。自害したり、心中したり、殺されたり……。その疑似的な死を以て、虚構の中に閉じ込め、保たれていたものが。るくあのメッセージで、リアルに輪郭を帯びて来た。
───リアルで、しにたい。 こんな風に、口に出してくるひとがいるなんて。]
(116) 2023/11/19(Sun) 15時頃
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[どうしてそんなこと、僕に向かって呟いたのだろう。
返事をしないから、心を動かさないと思われていたのか
それとも、救済してくれる神様のように思っているのか
───君と同じようなことを 僕も考えているとは、思わなかったのかな。
渦巻くものは、とても文章にはならなくて。 僕は、そのLINEを打ち切ることにした。]
(117) 2023/11/19(Sun) 15時頃
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『……ま、今日は寝てしまおう? 夜は、考えごとをするには向かないんだって。 僕も寝るから。ねっ。
………そうだ。明日はオフだから、 どこかのブックカフェに行こうかな〜。 それじゃおやすみ。』
[少しの間の後にそう送って、やり取りを強制終了した。 煙崎るくあからは、いつものように礼儀正しい”おやすみなさい”が返ってきていただろうか。
そして彼女は、間違いなく明日、「あの」ブックカフェに来るだろう。 これは約束ではない。 僕は、今の気分を呟いただけだから───。]**
(118) 2023/11/19(Sun) 15時頃
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──回想・ある日のカフェ──
[中村綺羅之助は、ファンの女の子と個人的に会うことはない。 煙崎るくあと会ったのも、カフェで遭遇した1回きり。
そう。今日ここに来ているのは、中村綺羅之介ではない。]
歌川綺羅。 僕の本名。……今日、君と会ってるのは、歌川。いいね?
[そう言ってそっと人差し指を唇に当てると、煙崎るくあは頷いた。 仄暗いブックカフェの片隅、壁に向かってお話しできるカウンター席に並んで座って。彼女は心なしか、とてもおしゃれをして来ている気がする。約束したわけじゃないけど、これってデートに入るのかな? 僕は紅茶を、彼女はほうじ茶を飲みつつ、少し雑談をした。 舞台の話なんかじゃなくて、僕の学生時代の話とか。ほんとうに一般的な雑談。
どれほど話をしても、 僕には、彼女が死にたい理由が分からなかった。]
(146) 2023/11/19(Sun) 17時半頃
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───君から見たら、僕は幸せそうに見える?
[確か煙崎るくあは、わからない、と答えただろうか。]
そうだね。他人のことなんて、わからない……。
だから、君に届く言葉が、君に必要なものが何なのか、僕にも分からなくて。 ──だから。
[カウンターの下で、そっと彼女の手を取った。 そうして、自分の手の中にあった包みを静かに握らせて、彼女の細い指が閉じるように、両の手を上から重ねた。傍から見れば口説いているようにしか見えなかっただろう。 彼女の耳元に唇を寄せて、息声で囁く。]
───僕のお守り、あげるよ。
(147) 2023/11/19(Sun) 17時半頃
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死にたいんでしょ?
これがあれば、いつでも死ねる。 そういうお守り………。
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(148) 2023/11/19(Sun) 17時半頃
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[静かにそれを受け取った煙崎るくあの眼の色は、なんとも言えない光を帯びていた。 彼女は、綺羅を、やはり神様だと感じただろうか。 それとも悪魔に見えただろうか。 推しに引導を渡された? 僕は何も、死ねと言っているわけじゃない。]
要らなくなったら僕に返してね。
それ……昔の悪い友達経由で手に入れたものだから ひとつしかないんだ。
(149) 2023/11/19(Sun) 17時半頃
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[ひとつしかない、死への鍵。 それを彼女が、この僕、綺羅之介に返すことがあるとは……思っていなかったけれど。
彼女が大人の女性であれば他にも何か、ひと押しするための行動を付け足したかもしれないが………高校生だ。僕たちは清らかな秘密をひとつ共有するにとどまった。
僕は彼女が、仲間だと感じた。 中村綺羅之介ではなく、歌川姓の僕。
きっかけさえあれば きっと この世から飛び立てる。]*
(150) 2023/11/19(Sun) 17時半頃
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(一斉送信)
キャンディの落とし物見つかったんだね、良かったーー!!
みんな上を向いて歩けるね👍
(*21) 2023/11/19(Sun) 18時頃
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