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【人】 陀羅尼 サラ (22) 2020/11/13(Fri) 01時頃 |
【人】 陀羅尼 サラ (23) 2020/11/13(Fri) 01時頃 |
【人】 陀羅尼 サラ (24) 2020/11/13(Fri) 01時頃 |
―― げんじつせかい ――
[ 目を開けたら、私の部屋だった。
机の上に広げられた塾の宿題を枕にして、
私は眠ってたみたい。
なあんだ。やっぱり夢だったんだ。
あまりにも生々しかったから、
夢じゃないって信じちゃってた。
でも、目が覚めてみれば、
夢以外の何物でもない ]
[ こんな格好で寝たら肩が凝っちゃう。
私は思いっきり伸びをして、
あ、今何時かなってスマホに手を伸ばした。
スマホに表示されるのは、
現在時刻とメールのお知らせがいくつも。
メール来てたんだ。気づかないくらい寝ちゃってたのね。
なにかなって、私はタップして―――― ]
[ そのまま、スマホを落とした ]
[ ごとんっていう音にはっとして、慌てて拾い上げる。
信じられない気持ちで、もう一度見返した。
何度読み返しても結果は変わらない。
夢の中で届いたメールと同じ。
ただひとつ違うのは、送信者名がバグっていないこと。
遺書にしか思えないメールの送信者は、、ヒナだった ]
あれは、ただの夢でしょ?
[ そう思った。そのはずだった。
でも、夢で見たのと一字一句同じメールが届くなんて、
そんなことある?
それとも今いるここも夢の続き?
夢なら早く覚めてほしい ]
[ そういえば、届いてたメールは1通じゃなかった。
他のメールも確認しないと。
担任のたつみ先生から、メールが来てた。
ヒナが病院に救急搬送されたって。
病院の住所と名前が書いてある。
最寄りの救急病院だった。
残りのメールはメアから。
「誰か帰ってきた?」
「まだ?」
「私、病院に行くね」
「病院についたよ」
そんな一言だけのメールがたくさん届いてた ]
[ ねえ、「帰ってきた?」って何。
それって、まるで、まるで、
あの夢が、夢じゃなかったみたい。
私、帰ってきたの?
私、精神世界にいた?
ヒナの精神世界にいたの? ]
とりあえず、病院に行かなくちゃ。
[ 行ってどうこうなるものじゃないけど、
でも、家でじっとしてるなんて、
そんなこととてもできなかった。
私は、あの世界にいた9人と、
たつみ先生にメールを送る ]
『今から病院に向かいます』
[ 立ち上がって、部屋着なことに気づいた。
クローゼットを開けて、少し考えて、
私はミモレ丈のゆるふわスカート
形に残る、文化祭の思い出の品。ヒナの作品。
普段着にするには少し甘すぎるけど、
冬に着るには少し薄すぎるけど、
着れないこともない。
地味目の上着を持ってきて、
分厚いタイツを履けばきっと大丈夫。
今日は大雪じゃないし ]
[ 部屋を出ると、廊下で妹にばったり会った。
妹はあの日から、私と顔を合わせると、
申し訳なさそうな顔をする。
そのくせ、口元は笑ってるの。変な顔。
この子が何を考えてるのか、
やっぱり私にはさっぱりわからない。
でも、もしも普通は相手の気持ちがわかるものなら、
この子に私の気持ちがわかるとしたら、
人間的に問題があるのは私よりもこの子が上だと思う。
私のプライドが傷つくと承知の上で
やったってことでしょ?
それって相当性格悪いわよね? ]
[ でも、本当にわからないの。
理解できないし、変わってると思う ]
桃香って変な子よね。
[ そう言ったら、妹の眉が奇妙に歪んだ ]
昔から、私のお下がりは嫌だって、
散々駄々をこねて
新しいものを買ってもらってたじゃない。
でも、彼氏は私のお古がいいのね。
[ 矛盾してると思う。理解できない。
心底不思議でそう言ったら、
何か喚きだしたけど興味がなかった。
うっかり相手をしちゃったけど、
私、今はそれどころじゃないの。
喚いてる妹は放置して、私は両親の部屋に向かう ]
[ ノックをして顔を覗かせたら、
母は寝てたけど父はまだ起きてた ]
先生からメールが来て、
友達が病院に救急搬送されたって。
私、行ってくるね。
[ 私がそう言ったら、父は読んでいた本を閉じた。
眼鏡を外してベッドから降りる ]
お父さん?
[ 首を傾げたら、もう遅い時間で危ないから、
車で送ってくれるって。
玄関で待っていなさいって言われて、私は素直に頷いた ]
ありがとう、お父さん。**
メモを貼った。
【人】 陀羅尼 サラ ─ 回想/文化祭準備 ─ (115) 2020/11/13(Fri) 20時頃 |
【人】 陀羅尼 サラ (116) 2020/11/13(Fri) 20時頃 |
【人】 陀羅尼 サラ (117) 2020/11/13(Fri) 20時頃 |
【人】 陀羅尼 サラ (118) 2020/11/13(Fri) 20時頃 |
【人】 陀羅尼 サラ (137) 2020/11/13(Fri) 21時半頃 |
【人】 陀羅尼 サラ (138) 2020/11/13(Fri) 21時半頃 |
【人】 陀羅尼 サラ (139) 2020/11/13(Fri) 21時半頃 |
【人】 陀羅尼 サラ (162) 2020/11/13(Fri) 23時半頃 |
【人】 陀羅尼 サラ ─ AM9:00 ─ (164) 2020/11/13(Fri) 23時半頃 |
【人】 陀羅尼 サラ (165) 2020/11/13(Fri) 23時半頃 |
[ 父の運転で、病院に向かう。
助手席に座って、私はまっすぐ前を見てた。
私、どうして病院に向かってるのかな。
そんなことを考える。
家でじっとしてなんていられなかった。
行かなくちゃって理由もなく思った。
でも、でも、ね、
メアの話が正しければ、あの精神世界を閉じるために、
誰か一人残らなくちゃいけない。
だとしたら……ヒナは、助からない。
きっと今頃、ヒナの治療にあたってるお医者さんたちは
ヒナを助けるために力を尽くしているのに。
ヒナは、多分、助からない。
そのことを、私は知ってる ]
[ そして、もし、もしも、ヒナが助かったとしたら、
その時は、別の誰かがあの世界に残ることになる。
誰かが、ヒナの代わりに命を落とす。
私、何を祈ったらいいんだろう。
みんなで帰ってはこれないって知ってても、
みんな帰ってきますようにって願うの?
そんな、決して叶わないお願いごとに意味ある?
でも私、
私が残るから、みんなは帰っていいよとは言えなかった。
一人残って、あの世界を閉じる役目を引き受けてもいい。
そんな風には思えなかった。今も思えない。
帰ってこられてよかったって思ってる ]
……お父さん。
[ 口数の少ない父は、黙って運転してくれてる。
真っすぐ、暗い道の先を見つめたまま、
私は父に話しかけた ]
私、自分のこと、なんでも持ってるって思ってた。
何も欠けたところがない勝ち組だって。
でも、私、大事なところが欠けてる。
そのことにやっと気づいた。
[ 多分、自分に欠けたところなんかなくて、
自分のことを勝ち組だって思ってた。
それこそが、私の欠陥だった ]
[ 出来のいい姉と出来の悪い妹。
両親のいいところを全部もらった私と、残りかすの妹。
そんな風に本気で思ってた。
でも違った。
私は、普通の人が当たり前にできることが、
どうやらできないらしい。
私は欠陥品で、
プライドなんか粉々に砕けて、
それでも、
あの世界にたった一人で残ろうとは思えなかった。
だからきっと、
こんな感じでこれからも生きていくんだと思う。
人の気持ちをわからないまま。
空気を読めないまま。
無神経って言われても ]
ごめんね、こんな娘で。
私、自分のこと、出来のいい人間だと思ってたのに。
[ 自嘲の笑みを浮かべた私に、
思いがけない父の言葉が降ってきた ]
「お父さんな、会社で、
トンビが鷹を生んだなって言われてるんだぞ」
[ 思わず、え、と聞き返して、思い当たる。
私の家庭教師の生徒は、父の同僚の娘さんだった。
私が家庭教師になってから成績が上がったって、
ご両親にも喜ばれてたんだった ]
「でも、そんなことは関係なく、
お前は、父さんと母さんの大事な子供だ」
[ 「そんなことは関係なく」
その言葉に、思わず目を見開いてしまう。
言葉を探すように、父は少したどたどしい口調で、
「桃香は」と言う。
なんでもよくできた私に比べて、
出来がいいとは言えない妹。
姉へのコンプレックスで潰れてしまわないように、
両親は二人とも大事に思っていることが伝わるように、
気を遣っていたつもりが、
甘やかしすぎて増長させてしまった。
父はそんなことを言った ]
[ 甘えて、甘やかされて、すべてを許されていた妹。
私はあんな風にはなりたくなくて、
ひたすら上を目指してた。
私、もしかしたら、そうしたら愛されるって思ってた?
甘えられない代わりに出来のいい娘でいることで、
両親の自慢の娘でいようと思った?
わからない。
人の気持ちがわからない私は、
自分の気持ちすらよくわかってなかったみたい ]
……お父さんとお母さんは、
私の自慢の、大事なお父さんとお母さんよ。
[ 病院に到着した。
父は夜間出入口の前に車を停めてくれる。
迎えに来るから連絡しなさい、と言われて頷いた ]
ありがとう。行ってきます。*
[ 目の前は真っ白。 ]
[ 操縦士の指示通りに動く、
ただただ海を征く船でありたかった。 ]
[ 残念だね。
志帆は人間だし、こころもあるし、
時には指示に逆らいたくなることだってあるんだよね。
澱のように、黒い気持ちが溜まった結果なのよね。 ]
『理帆ちゃんはいいなぁ!』
[ 言いたくても言えなかったんだもん。
だけど、言える立場じゃないのはわかってる。
言えないよ、理帆ちゃんには。 ]
──現実世界──
[ ジェットコースターから飛び降りたみたい。
心臓がばくばくしてる。 ]
ぇ……、
いま、の、なに?
[ ねえ、なんなの。
暗闇の中、枕元を探して携帯を立ち上げる。
光がとても眩しくて、目を細めた。
日付と時間を確かめていたら、不意に目に入ったの。
手首に不自然な線のようなもの。 ]
[ 携帯からの光じゃ全然足りないから
リモコンを探り当てて照明のスイッチオン。
……蚯蚓脹れ。
パジャマを捲ったり覗いたりしてみれば、
至る所が赤く盛り上がっている。
精神世界でナイフをあてたところと見事一致です。 ]
帰ってきたの?
[ それとも追い出された? わからない。
目を丸くして考えてみるけど、なんもわかんない。 ]
[ 呆然として、携帯に再び手を伸ばせば、
メールの通知に気がついた。
古い順から一通目。琴子。
二通目、担任。三、四、五……通目、めあり。
めありで通知がいっぱいになってたから、
めありのから開こうね。
……めありぃ。今帰ってきたっぽいよ。
[ めあり本人に届くはずのない答えを零して、
メールをひとつひとつ検分していく。 ]
ことめろ、どうして?
[ ねえ、どうしてよ。教えてよ。 ]
[ わかんない。わかんない。わかんない。
携帯片手に固まってたら、もう一通メールが届く。
びょーいん、……いかなきゃ。
[ 救急搬送されたって。
病院に行ったところで何かできるわけでもないけど。
だって呼ばれたわけだから、いかなきゃね。
人間って聴力が最後まで残るってきいたことあるし、
案外呼びかけたら、なあに?って起き出すかもじゃん。
変換する時間も惜しくて、『わたしもいく』と返信。
ベッドから飛び降りた。** ]
メモを貼った。
―― 現在/病院 ――
[ 夜の病院はひとけがなくて、しんとしてる。
なんだか、あの世界で登校した時のことを思い出した。
静まり返った昇降口に戸惑ったっけ。
名前を呼ばれた気がして顔を向けたら、
体当たりするみたいにメアが抱き着いてきた。
私のメールが届いた後、
入口で待っててくれたみたい ]
ただいま……でいいのかな。
[ 「帰ってきた?」ってメアのメールを思い出して、
私はそう言ってみる。
あの世界は、私が見た夢じゃないのよね?
私は、単に夢から覚めたわけじゃなくて、
あの世界から帰ってきたのよね? ]
[ シホも帰ってきたみたい。
「わたしもいく」ってメールが届いてたから
そろそろ来るんじゃないかって、
そのまま入り口で待つことにした。
メアが「みんな帰ってくるよね?」って言う。
私はうんって……言えるわけないじゃない ]
メアが言ったんじゃない。
あの世界を閉じる人は、帰れないって。
[ こういう時、こんな返事をしてしまうから、
私は無神経って言われるのかな。
でも、他になんて答えればいいの? ]
[ 私がそう言ったら、メアは、
あの世界を閉じる人は、
みんなの中の誰かである必要はないって言いだした。
なによその新情報。聞いてない!
そんな大事なこと、どうして教えてくれなかったの! ]
ヒナと関わりの深い、もう亡くなってる人……?
[ 世界を閉じるのは、
世界の主と関わりの深い故人でもいい。
必ずしもあの校舎にいるうちの一人である必要は
ないんだって。
もう一度言う。
そんな大事なこと、どうして今まで黙ってたの! ]
それなら、それなら……、
みんな無事に帰ってきてって、願ってもいいのかな。
[ ヒナも、みんなも、みんな揃って、
あんな寂しい場所に誰も置き去りにならずに済むように。
そうお願いしても、いいかな** ]
メモを貼った。
【人】 陀羅尼 サラ (181) 2020/11/14(Sat) 00時半頃 |
【人】 陀羅尼 サラ (183) 2020/11/14(Sat) 00時半頃 |
【人】 陀羅尼 サラ (185) 2020/11/14(Sat) 00時半頃 |
【人】 陀羅尼 サラ (216) 2020/11/14(Sat) 11時頃 |
【人】 陀羅尼 サラ (218) 2020/11/14(Sat) 11時頃 |
【人】 陀羅尼 サラ
(226) 2020/11/14(Sat) 11時頃 |
【人】 陀羅尼 サラ (256) 2020/11/14(Sat) 15時半頃 |
【人】 陀羅尼 サラ ─ 文化祭当日 ─ (283) 2020/11/14(Sat) 17時頃 |
【人】 陀羅尼 サラ[ 月のうさぎ亭。 (285) 2020/11/14(Sat) 17時頃 |
[ 言いたくても言えない
言える立場とか、言えないとか、
そういう感覚、私にはわからない。
言っていいことと悪いことって
どうやったらわかるんだろう。
みんなはどうしてわかるのかな。
たとえそれが裏とか表があるということだとしても、
無神経ではないということで、
気遣いができるということで、
私にはないものを持ってるっていうことなんだろうな ]
―― 現在/病院・夜間入口 ――
[ 新情報が聞けたけど、正直今更感がすごいと思うの。
みんな帰ってこれる可能性がある。
みんな帰ってきてって願ってもいい。
それは確かに嬉しいけど、
でもその情報を一番必要としてるのは、
帰ってきた私じゃない。
まだあの校舎にいるみんなの方だ。
テレパシーテレパシー。
この情報、校舎のみんなに届きませんか。
無理かー。
ところで、変な姿勢で寝ちゃってたせいか、
肩凝りが酷くて。右肩が痛い。
リコが帰ってきたら、肩揉ませようと思う** ]
【人】 陀羅尼 サラ (360) 2020/11/14(Sat) 19時頃 |
メモを貼った。
メモを貼った。
[ 静かで冷たい病院の廊下に、
カツンカツンっていう足音が響いてきた。
こっちに向かってくる足音だってわかったから、
顔を向けたら、たつみ先生だった ]
先生、こんばんは。
ヒナは、
[ 頭を下げて、夜の挨拶をすると、
先生は渋い顔をしてた。
それでなくても愛想のない顔なのに ]
[ 高校生がこんな時間に出歩くのはとか、
受験生なんだから帰って寝ろとか、
渋い顔で始まったお説教を私は遮る ]
父に車で送ってもらいました。
帰りも迎えに来てくれます。
夜更かしは慣れてます。受験生なので。
大体、こんな状況で、
家に帰っても寝れるわけがないです。
それで、ヒナは、
[ 外部受験なので受験勉強頑張ってます。
ゆーえーにー、夜更かしにも慣れっこです。
おとなしくのこのこと家に帰るわけないです。
畳みかけるように言うと、
先生は諦めたようにため息をついた ]
[ ヒナは、一酸化炭素中毒で、
予断を許さない状態、らしい。
お母さんも病院に来てる、そうだ。
一酸化炭素中毒。どうして、そんな。
助かっても深刻な後遺症が残ることもあるって、
聞いたことがある。
どうして、どうして、
……って、ヒナは死ぬつもりだったんだものね。
助かった時の後遺症のことなんか、
考慮に入れる必要、ない。
ああ、メアがまた泣いちゃう。
鞄からハンカチを出してメアに渡しながら、
私は唇をかみしめた* ]
──現実世界──
[ ばたばたと準備。
着替えている最中に、首にも蚯蚓腫れを発見。
こわー。こわいね。
ハイネックに、ぐるぐる巻きのマフラーで隠す。
これでかわいい志帆ちゃんの完成です。やったあ。
顔は、しんでるけど。
無理でしょ、この状況で。可愛くいられるわけない。 ]
[ 準備がうるさかったのかな。
自室の扉が控えめのノックの後に開いて、
パパがそろりと顔を出した。
なにしてるんだって。なにしてんだろうね。
これから病院にいくんだよ。 ]
びょーいんに行ってくる。
……友達に呼ばれてるから。
[ 理帆ちゃんのこともあるし、
あんまり詳しくはいいたくなかったよ。
怪訝な顔をしたパパ。わかる。
こんな遅くに呼ぶのは非常識だな、って。
わかるよ。ほんと非常識だよね。
なに勝手に死のうとしてるんだろうね。 ]
[ なんで勝手に死のうとして、
勝手に人の事を精神世界に呼んでるんだろ。 ]
[ 後半はいいけど、前半は許しがたい。
月に代わって、ご案内☆
じゃなくてお仕置きしちゃうよ。 ]
[ どうしても行かなきゃいけない。
パパを説得して、タクシーを呼んだ。
明日も仕事あるだろし、
出来の悪い次女の事なんか置いといてゆっくり寝てね。
きっと起きているだろうママにもよろしく。 ]
──病院──
[ メーターが思ったよりも早く回るのを見ながら、
無言ではやくはやくって、携帯を握りしめる。
深夜の病院って思ったよりも、怖いね。
辿り着いた先、釣銭はいりません。
お札を何枚か取り出してタクシーの運転手に渡す。
開いた扉を閉めずに、早足で目的地に向かう。
どこかな、ここ? きょろきょろして。
知ってる顔をみっつ見つけて、寄る。
めあ、って声を掛けたら、素早く動くめあり。 ]
……めありぃ、生きてるね。
[ どん、って体当たり。めありの洗礼。
抱き着かれながら、重力に抗えずに地面に尻もち。
受け止めきれなかったね。ごめん。
ゆりのハンカチも落ちたかも。
立ち上がって、コートのすそを払った。 ]
ゆりーのも、息してるね。
……うん、よかった。
[ なにがいいのか具体的にはすぐ言えないけど、
でもさ、百合亜がここにいてうれしいよ。
かしこがいると百人力じゃん!
かしこの力で琴子をどうにかして。どうにか、* ]
メモを貼った。
メモを貼った。
[ シホからはメールが届いてた。
届いてたから、シホが帰ってきてるのは知ってたのに、
実際に顔を見たらほっとしたの。
わかってたことを目視してから安心するなんて、
全く非効率だと思う。
非効率な、私の心 ]
シホも無事だね。
よかった。
……シホも、
[ メアのマネキンは見た。
私も多分、あの後マネキンになったんだと思う、
だったらやっぱり ]
シホも、あの世界で死んで、マネキンになったの?
[ 言っていいことと悪いことがわからない私は、
オブラートになんて包まないで直球で聞くよ。
普通の人なら、ヒナが生死の境をさまよってる病院で、
“死んだ”なんて口に出すのは
憚られるのかもしれないけど。
私にそんなデリカシーはやっぱりないの。
たつみ先生にはきっと意味不明な会話だったと思うけど、
そういう配慮もやっぱりない。
説明するつもりもないので、
こんな夜中にクラスメイトのために駆け付けた
可愛い教え子たちのために、
何か温かい飲み物でも奢ってくれないかな。
というか奢ってください* ]
ハンカチは涙を拭くのに貸した時点で洗濯確定だから、いいよ。許す。
[ 現代っ子はデジタル依存!てよくいうけど、
やっぱね。顔と顔を合わせるのは大事だよね。
顔を見て、声をきいて、体温確かめてって。
ま、手紙とメールなら、
どっちもどっちじゃんね〜とおもうけど。へへ。 ]
うん、元気。
[ なんなら、ここで月うさポーズをしてもいいくらい。
かおはしんでるけど、
きっと64(0..100)x1点くらいの出来になるよ。 ]
[ あ、だめ。−10点くらいの出来になるかも。
かなり微妙な出来になっちゃう。
中央くらい。志帆らしいね。
オブラートなしの直球ストレート。
一瞬だけどうしようかなと目を逸らした。
……そぉだよ。
みてみる? まだ腫れてるの。
[ コートの裾をまくりがてら、
担任に視線が行って。
じょしこーせーの瑞々しい身体を見たいなら、
たつみんさあ、コーヒーかコンポタ奢ってよ。と言う。
あほらしくて付き合ってらんねーとおもったのか、
担任は病院内に消えていく。まったねー。 ]
[ 担任が視界から消えたのを確認してから、
コートと、ニットを捲れば、蚯蚓腫れがみえた。
傷にはなってないから、まだ見れるでしょ。 ]
あの世界で、
切ったところがこんなんになってんの!
びっくりだよね。
……ゆりーんやめありぃは?
誰かの声が聞こえた? 手首とか切った?
[ 二人はどうだったのかなあって、首を傾げる。
いや、ほんとにね。
どうして琴子の精神世界で、
理帆の声が聞こえたのかなって、ふしぎだよ。* ]
メモを貼った。
[ 元気って、元気じゃない顔でシホは言う。
ああ、同じだねって私は思う。
私もね、体は元気なの。
メンタルは、メアとシホを見てちょっと浮上したけど、
まだわりとグロッキーかもね。
オブラートに包まない私の質問に、
シホは目をそらしたけど、
返ってきたのは肯定だった。
やっぱり帰ってくるためには、
あの世界で死なないといけないみたい。
あの世界に残ると現実では死んじゃうのに、
現実に帰るためにはあっちで死ななきゃいけないなんて、
変なの。
まったく論理的じゃない仕組みだと思う。
どちらかの世界でしか生きられないってこと?
生きていく世界を選べってこと?
その割に、私に選択肢なんてなかったけど。
容赦なく殺されたよね ]
[ え、先生、シホの身体見たいの? むっつり?
って視線を向けたら先生は背を向けた。
私はブラックコーヒーがいいです。
長い夜になりそうなのでそうリクエストしたけど、
先生は買ってきてくれるのかな。
ヒナのお母さんのところに戻っただけかも。
買ってきてくれたら、
それはシホの身体を見たいってことで、
それはそれで問題よね ]
わ、なんでそんなことに。
[ シホが服を捲ったら、そこには蚯蚓腫れ。
雪は降ってないけど寒いんだから、もういいよ。
風邪ひくよって、私はすぐに戻してもらおうとする。
私? 私はね…… ]
[ 思い出して、私は渋面になったと思う。
さっきのたつみ先生に負けないくらい ]
私は何も聞いてない。どこも切ってないよ。
[ なんだかすごく平和に帰ってきたみたいじゃない。
でも、そんなことなかった ]
私は現代文のテストやらされて……、
[ 屈辱。言いたくない。言いたくない!
でも「ゆりーのだから100点取れたんだよね」なんて
シホに言われたらもっと惨めになる ]
…………0点だったことしか覚えてない。
[ あーーーーーー!
でも、まだシホでよかった。
これがリコだったら指差して笑われそう。
私、屈辱で憤死する。
八つ当たり気味に私はメアからハンカチを取り返して、
自分の鞄に突っ込んだ ]
だから、痕とかそんなのは全然ない。
肩は凝ってるけど。
[ それは、勉強机で寝てたせいで、
私の死に方は関係ない……はず
[ かしこの考察。合ってるね。
精神世界にまだ居たら、
かしこパワーで琴子のことも、みんなのことも、
きっといい方向に導けたでしょうに。
へんな仕組みも、絡まった糸をほぐすように、
どうにかいい糸口がある、のかもしんない。
しんないけど!わかんないけど! ]
[ めありぃはおしるこだかんね!
買ってきてくれるかはわかんないけど、
意味不明な会話をする生徒をそっとしておいてくれる、
やさしさは受け取っておくね。たつみん。
JKの身体が見たかったら、夏を待ってください。
手首よりももっと先が夏服なら見れるよ。笑。 ]
わかんない。けど。
なんかリンクしてるのかもね。
[ 精神世界と現実世界。
琴子の心と体がリンクするのは解るけど、
志帆のもリンクすんだあとすこしおもしろい。
風邪は引きたくないから、
ニットとコートとで再び手首を覆い隠そうね。 ]
[ 百合亜の顔、すっごい渋い。
渋顔選手権あったら、1位とれるよ。
メンタルが元気なら、一枚記念の写真撮ったのにな。 ]
うん。
……うん。ん?
[ え?聞き間違い?
0って、前に10ってつかないの?
え?まじ?ってめありと固まってたとおもう。
めありの手からハンカチが消えて、
めありと志帆の固まった体が動き出す。
え?ふつうにびっくりでしょ。 ]
よっぽど難しいテストだった、の、かな?
そもそも問題文が読めなかった?
英語とか、あ、違うな。スイス語?とか?
[ ね。たぶんそうだよ。とめありと顔を見合わす。
痕とかはのこってなくてよかったな。
めありは詳しくはいいたくなさそうだったけど、
百合亜とも志帆とも死に方が違うって。そっか。 ]
……次は誰が帰ってくるのかなあ。
[ どうなんだろうね、と深く吐いた息は、
しろく、空に消えていく。** ]
メモを貼った。
[ かしこパワー?
どうなのかな。どうなんだろうね。
私、勉強はできるけど、
それだけだって思い知っちゃった。
学校でも塾でも習わない、
教科書に載ってない問題は解けないみたい ]
[ たつみ先生は表情ないけどいい先生です。
きっと今も時間外労働です。
でも来年の夏は私も志保もJKじゃなくてJDなので、
先生はJKの身体見られないと思います。
あんまり言うとブラックコーヒー、
冷たいの買ってこられても困るので
このへんでお口にチャック ]
シホ、切ったって言ったよね。
それで、リンクしてるって。
シホ……切ったんだ。
[ あの世界の主はヒナ。
自殺を図ったのはヒナ。
それなのに、あの世界で、シホは自分を切ったんだ。
だって「切られた」じゃなくて
「切った」って言うんだもの。
それは、そういうことだ ]
[ 「なんで切ったの?」
聞きたかったけど、聞かなかった。
それは、気遣いとかそういうのじゃなくて、
知りたいけど、知りたくないっていうか。
そういう、私の気持ちの問題。
ヒナが自殺を図ったって事実で
今割と打ちのめされてるのに、
シホがあの世界で自殺のようなことをした理由を聞くのは
ちょっと今は、耐えられそうになかった。
殺されたとかそういうのなら、聞けたと思うんだけど ]
[ でも、私の0点の件を話すのは、もっと耐えられない!
そんな、フリーズしないでほしい
私には難しいテストだったの。日本語だったけど。
……というか……うん、そうだねえ……、
[ 私、あの時、自分じゃなければ100点取れるのかなって
思ったけど。
無理じゃない?って今は思うの ]
あのテストで100点取れるなら、
あの世界の主が誰なのかもわかったし、
そもそも、ヒナのこと、止められたかもしれない。
[ そうじゃない? 違うかな?
私、この分野ではかしこじゃないって思い知ったから、
間違ってるかもね ]
[ 次は、ってシホが白い息を吐きだす。
みんな揃ってとっとと帰ってきなさいよって思うけど、
そのためにはあの世界で死ななきゃいけないと思うと、
複雑な気持ちにもなった ]
そう、それよ。
聞いてよシホ、
メアってば、すごく大事な情報を言い忘れてたのよ。
[ ああそうだった、この情報も共有しとかなくちゃって、
私は世界を閉じる人についての新情報
シホに伝えることにする。
本当はまだあの世界にいる人たちに届けたいんだけど、
ままならないものよね。
メアは「ごめんねごめんね」って言ってるけど、
十分反省してほしい** ]
メモを貼った。
[ 自殺を図ったヒナは、
スイセンの花を一輪抱いてたんだって。
それを聞いた時、
私は校舎に咲いてた花のことを思い出した。
ああ、あの世界はヒナの世界だったんだって、
思い知ったような気がした。
スイセンの花言葉は「うぬぼれ」とか「自己愛」とか
そういうのみたいよ。
ヒナ、どういうつもりでスイセンを抱いてたのかな。
それとも、深い意味なんかなかったのかな。
私なら、ヒナに黄色のスイセンあげたいな。
ううん、ヒナだけじゃない、みんなにあげたい。
黄色のスイセンの花言葉は
「私のもとへ帰って」らしいから。
みんな一緒に帰って来いって、そんな気持ちを込めて。
たとえそれが、死にたくなるような現実だとしても** ]
【人】 陀羅尼 サラ ─ 現在/食堂 ─ (513) 2020/11/15(Sun) 14時頃 |
【人】 陀羅尼 サラ (514) 2020/11/15(Sun) 14時頃 |
【人】 陀羅尼 サラ (515) 2020/11/15(Sun) 14時頃 |
【人】 陀羅尼 サラ (516) 2020/11/15(Sun) 14時頃 |
[ もし、まだ私があの校舎にいたら、
きっと自分の分だけご飯を作って食べていたと思う。
人の分も作るなんて、誰かに言われなければ
思いつきもしなかったと思う。
人の分も作る?
どうして私がそんなことしてあげなくちゃいけないの?
不利益を被ること、損をすることが私は好きじゃない。
でも、私のその考え方こそが、
私に不利益をもたらしていたとしたら? ]
[ もし、3-1の誰かが、どうにもならない理由で、
私にノートを返すという約束を破ったとしたら、
私はどうするのかな。
中学の時みたいに、もう二度と貸さない?
……実際にそんな状況になってみてからでないと
わからない、なあ。
でも、少なくとも私は、
二度と貸さないに決まってるじゃない、とは
断言できないのよね ]
[ でも、私は今でもプライドはものすごく高いし、
プライドで飯は食えないって言われても、
プライド捨てるくらいなら餓死するって言い返すと思う。
私はかしこで勝ち組だよ。
欠陥品かもしれないけど、
ものすごく高価な器にひびが入ったって、
粉々にして捨ててしまえとはならないでしょ?
金継ぎして大事にするでしょ?
私の傷は、致命傷なんかじゃない。
傷があるって事実が死ぬほど悔しいけど、
それでも豪華に金継ぎして、
私は私を生きてやるからね ]
[ 同じ穴の狢じゃないけど、
でも、3-1のみんなは大事な友達よ。
ちなみに狢はあまり可愛くないから、
みんなとっとと穴から出てきた方が
いいと思うな(笑)** ]
メモを貼った。
[ あの世界のみんなは、大雪に閉ざされた校舎の中、
文化祭の光景に囲まれているのに、
現実世界に帰ってきた私の方が、
文化祭の衣装着てるの、おかしくない?
そう考えるとちょっとだけ愉快な気持ちになれたかも ]
[ たつみ先生は戻ってこない。
可愛い教え子たちに奢ってやろうって
発想はなかったみたい。
ひとけのない病院の入口に、空調の暖かさは届かない。
節電かな。エコですね ]
自販機コーナーで飲み物買わない?
[ 温かいものが飲みたくなって、
私はシホにそう言った* ]
メモを貼った。
メモを貼った。
【人】 陀羅尼 サラ ─ 現在/食堂 ─ (572) 2020/11/15(Sun) 21時頃 |
【人】 陀羅尼 サラ (578) 2020/11/15(Sun) 21時頃 |
[ Q.友人の精神世界に閉じ込められたとき、
どう行動するのが最適解だろうか。 ]
[ A.臨機応変に対応しましょう。 ]
[ もし学校や塾で習っても、
こんなことしか教えてくれなさそうだよね。
答えは自分で考えろ、って言われると困っちゃうな。
教えてくれたら、できるかもしんないけど。
パンケーキのレシピみたいにね。 ]
[ 切ったよ。
自分で、自分の意志で、自分の事を切った。
なんで切ったの?って言われてもさ、
理帆ちゃんの声がまた聞きたくて。
志帆はいいね、以外の言葉が聞きたくて。
手首とか切ったところで、
精神世界でも、現実世界でも、
理帆ちゃんの声は聞こえてないんだけどね。笑。
ま、きこえてきたら、幻聴だしね。笑。 ]
[ 百合亜は気遣いか、それ以上は聞いてこないから、
ただただ、うんうんって頷いただけになった。
ありがとうねえ。
もし言いたくなったら言うから、
そんときは回谷さん家の、
お金をかけても出来の悪い次女の話を聞いてね。 ]
[ フリーズしちゃうよ。
だって、志帆の中では、
ゆりーんは問題をすいすい解いちゃう子だもん。
できないことなんて、あんまりないでしょ。 ]
ん〜、そっかあ。
……うん。うん。
きっと誰も100点とれないよ。
とれるなら、ことめろくらいじゃない?
[ 琴子がどうして死を選ぼうとしたのか、知らない。
ほかの子も一緒でしょ?と思うけど、違うのかな。
0点を取ったという問題の内容はわからないから、
何とも言えないところがあるけども。 ]
[ わ。勢いがすごい。
重要なこと、と教えてもらったこと。
ぱちぱち瞬いて。 ]
……ことめろの近くで、
だれか亡くなってたら、いいけど、……
[ 人の死を願うなんて不謹慎かも。
でも知らない誰かより知ってる誰かのほうが大事なの。
おじいちゃんとか、おばあちゃんとか、ほら、
お年を召した方は天に昇る時期も、ちかいし、ほら。
言い訳してるけど、不謹慎なのは変わりない。
めありもちょっと微妙な表情。 ]
[ 誘われれば、小さく頷く。
精神世界にいたときみたいには、
靴はしんでないけど、ちょっとここ寒いね。 ]
たつみん、買ってきてくんなかった!
[ 悲しい!って大げさに伝えて、
なんてないことないように、
軽やかに病院の中を三人でゆきましょうか。* ]
メモを貼った。
[ きっと誰も100点取れないよ。
どんな問題だったのか、私は言わなかったのに、
シホはそう言った。
ヒナなら100点取れた?
ヒナに100点取れるなら、
それでもヒナは自殺をしたかった?
私、0点だったけど、もし問10があったなら、
メールを読んだ時の巫百合亜の気持ちを問われたなら、
意味が分からなかったし、思わず縦読みしちゃったけど、
質の悪い夢だって思いこみたいくらい、悲しかったよ。
私の悲しみ程度じゃ、ヒナを思いとどまらせられない?
そっかー ]
[ 新情報に、シホは
“ヒナの近くで誰か亡くなってたら”って言った。
私はシホと同じようにぱちぱちと瞬いて、
そういえば、って呟いた ]
“関わりの深い”って、結構あいまいな表現よね。
“関わりの深い”の定義ってなんだろう……。
[ もう亡くなってる人に遠慮なんかいらないって
私は当たり前のように考えてた。
でも、なんだかシホの声は言い訳じみてて、
メアも微妙な表情をしてる?
ご先祖様とかじゃ駄目?
そんな都合よく出てきてくれたりしない?
廊下に花が咲くような意味不明な世界なら、
何でもありなんじゃないかと思ったんだけど ]
[ 大急ぎで病院まで来たくせに、
ヒナが治療を受けてる部屋の前まで行くことも、
ヒナのお母さんに挨拶をすることもできずにいる。
入口で足踏みして、
次は自販機コーナーに行こうとして。
まるで時間稼ぎみたい。
部屋の前まで行ってしまったら、
ヒナが帰ってこれたのか、帰ってこれなかったのか、
はっきりするまで、もう二度と動けない気がして ]
先生はきっと給料日前なのよ。
許してあげよ?
[ 3人分の飲み物も奢れないくらい困窮してるのね。
そうでなければ可愛い教え子に
飲み物をごちそうしてくれないわけがないよね。
先生に不名誉なレッテルを貼りながら、
自販機コーナーに足を向けた* ]
──回想、文化祭──
[ あの日はね、めちゃくちゃに働いたよ。
きちんと数えてないけど、
文化祭中に焼いたパンケーキは、
もしかして572枚くらいにはなるんじゃない!?
腕が筋肉痛になっちゃったかもな。
でも楽しかったな。いい青春でした。
きっと、高校3年生のあのときしか体験できないこと。]
[ そう思うと、
やっぱり理帆ちゃんにはごめんね、て思うな。
18歳の理帆ちゃんは、6歳の志帆がいるから、
文化祭を楽しんでる余裕なんてなかった。
帰ってくるの遅いって、泣くし。
おなかすいたよって、泣くし。 ]
[ 花の女子高生。
箸がころがっても笑い転げてしまうお年頃。
琴子の失敗を聞いたら、
息ができないくらいに笑ってしまうよ。
お客さんも笑ってなかった?
笑いすぎて呼吸困難になってなかったか心配です。
それくらいに芸術点が高いとおもう。 ]
[ もしかすると、
ううん、もしかしなくても、
売り上げがすごかった理由のひとつは麗かも。
教室の外まで列が伸びてたんもんね。
ねー。
かっこよさの秘訣、教えてほしいくらい!
[ 話はふらふら。雑談だもん。
ふりるを相変わらず触りつつ、笑った。 ]
すきなこぉ?
[ 好きな子。いい子な回答してもいい?
クラスメートのあなたたちが好きだよ。 ]
[ 恋愛的、な意味で言えば、
好きな子は、好きな人は、初恋以来なかったかも。
彼氏はいたことあったけど、
押しに流されるまま頷いて、結局別れちゃった。
いい子な回答と併せて、琴子に伝える。
聞かれたら、聞いちゃうでしょ。
だからね、 ]
ことめろは、好きな人いるの?
[ 首を傾げながら、質問返し。 ]
[ 琴子の回答には思わずびっくり。
ことめろらしいねぇって、
感想をにこにこしながら伝えたの。
自分で自分の事を好きだなんて、
本気で、羨ましかったんだぁ!* ]
【人】 陀羅尼 サラ (621) 2020/11/15(Sun) 22時半頃 |
[ 「どうして死のうとしたの?」
私、ヒナが帰ってきたら、そう聞くと思う。
どうして?って、私は今まで何度もヒナに聞いて、
そのたびにヒナは私の納得のいく答えをくれた。
私とヒナは別の人間だから、
大事にしてるものだって違うし、
価値観だって違う。
でも、ヒナの話を聞けば、
私とは違うものを大事にしてるヒナのことが分かった。
分かってた、と思う。
ヒナは可愛いの追求者。
だから私の中で、ヒナは可愛いランキング一位だった ]
[ でも、ヒナが死のうとした理由を聞いて、
私、その答えに納得できるのかな。
そうか、そうだったんだ、なるほどね。
そう思えるのかな。
好奇心を満たしたい。理解して、納得したい。
その気持ちの一方で、納得したくないとも思う。
そうだったんだ、なるほどね。
そういうことなら仕方ないね。
ヒナが死を選ぼうとしたことを、
そんな風に理解したくない。
理解したくない、なんて。
そんな気持ちは、初めてだったかもしれない ]
[ もし、誰かがヒナの代わりに残ろうとするなら、
私はその人にもどうして?って聞きたいよ。
どうして?
自分が死のうとしたわけでもないのに、
肩代わりして死のうとするの?
知りたい。
でも、きっと理解できない。
納得したくない。
そもそも、肩代わりしたら帰ってこれないんだから、
そんなこと聞くこともできないのよね。
私に一生解けない問題を抱えて生きていけってつもり?
そんなのは断固拒否だからね* ]
[ なぜ人は死のうとするのか。
生きていくのは辛いから、なんじゃないかなあ。
理帆ちゃんが死のうとして、考えたけど、
それくらいしか答えは見つからなかった。 ]
[ 辛いことを取り除いてあげられるならいいけど、
いちおー血は繋がってても、他人は他人だし。
理帆ちゃんに志帆がしてあげられることはない。
これからも“女”として生きていくなら、
病気が身体を蝕むだけだ。
代わりに産んであげるって言ったのは、
こころがしゅんとしたあてつけだけど、
5%くらいは本気だったの。言い訳がましいね。
代替案も受け入れられないなら、
なんもできないよ。できっこないよ。 ]
[ 琴子がどうして死のうとしたのか、わかんない。
生きていくのがつらいからだとおもうけど、
その辛さの理由を知らない。
理由を打ち明けられるような仲、じゃなかった。
結果を見て悲しいよ。教えてくれたらって思うけどね。
思うけど。
志帆には言えないこと、言わないことだったんだよね。
昨日までの琴子にできたことは、なんもないよ。
今思い返しても、特に変なこと、みつかんなかったもん。
死のうとして準備万端だなんて、
まさか夢にも思わなかったでしょ。 ]
[ さすがゆりーん!
そっか、ご先祖様に頼ればいいんだ。
だって絶対墓の下でしょ。ひいひいじいちゃんとか。 ]
……わかんない。
ことめろが困ってたら、助けてくれるとか、?
[ わからないなりに回答を用意してみる。
これならご先祖様4世代前に遡ったって、
子孫の為ならえんやこらーってしてくれないかな。
生きてるかもしんない琴子の祖父母に向かって、
心の中ですみませんと謝っておこ。 ]
夜ごはんもきっとこんにゃくなんだ……
可哀そう……
[ 勝手に担任へ憐みを抱いておく。
不名誉なレッテルを更に貼って、自販機へ。
病院の中は暖房がきいてる。あったかいね。
百合亜も上着をすこし緩めたかなあ。
あ!お衣装だあ。
[ かわいいかわいい私たちをより引き立てる服。
着てきたんだねえと目を細める。 ]
……ことめろが、
ゆりーののこと見たら、ぜったい喜ぶよぅ。
[ ことめろの前に、なんていおうか悩んだ。
まだ会えないとか。
そういうのちょっと考えたくないね。ほんとね。* ]
[ 生きていくのは辛いから、死ぬ?
死ぬのも辛くない?
痛いし苦しいし、中途半端に失敗したら、
後遺症で生きるのがもっと大変になる。
……なんて、私今なら思うの。
だけど、そうね。
あの校舎で、メールを受け取った時、
あの校舎がどういう世界なのか知った時、
私、世界の主は私じゃないって断言できなかった ]
[ なにもできない相手に、
どうして怒りをぶつけるんだろうね。
何を期待してるんだろう。
黙ってサンドバッグになってろ、とか?
いや、無理でしょ(笑)
って、思わずワラをつけちゃう私は、
やっぱり無神経なのでしょうね ]
[ なにもできない私に、
どうして教えてくれなかったのって思ってしまう私も、
何様?ってやつなのかもしれない。
黙って死を選ばれてしまうのと、
相談されたのに力になれなくて、
結局死を選ぶのを止められないの、
どっちが辛いのかな? ]
……ヒナがご先祖様に愛されてたらいいってこと?
[ あいまいな“関わりの深い”の定義に、
謎は深まる一方です。
ヒナのご先祖様が情の深い人だったらいいのかな?
子孫のピンチのために駆け付けてくれる?
蝶々が舞い花が咲く文化祭の世界ですけど。
ご先祖様世界観が謎すぎてパニックになりそう ]
メモを貼った。
もやしも安くて美味しいからお勧めしてあげたいね。
[ こんにゃくだけじゃ0カロリーだものね。
勝手なことを言いながら自販機へ。
先生の買ってくれなかったブラックコーヒーが
がこんと自販機から落ちてくる。
そういえば、文化祭のパンケーキ、
たつみ先生も試食したんだっけ。
可愛いパンケーキが
びっくりするほど似合ってなかったと思う ]
[ 自販機コーナー付近はちゃんと暖房が効いてるのね。
缶コーヒーも温かい。
自販機前のベンチに座って、私は上着のボタンを外した。
目ざとくシホが反応する。
うん、スカートだけじゃわかりにくいけど、
上も見えるとばっちり衣装だってわかるよねえ ]
私ね、ヒナの作る衣装好きなの。
思わず服飾関係の進路勧めちゃったくらい。
[ 目を細めるシホに頷いて、私は自分の格好を見下ろした。
ヒナ、喜ぶかな、そうなのかな。
そういうの、私にはわからないんだけど ]
だからね、これがヒナが私に作ってくれた最後の服、
……になるのは、嫌だなあって。
[ ヒナの進路の話は、
結局あいまいなまま終わっちゃったけど。
未来のヒナが、私のために服を作ってくれるの、
私まだ諦めてないんだからね* ]
【人】 陀羅尼 サラ ─ 回想/" 立派な大人 "なんて ─ (683) 2020/11/15(Sun) 23時半頃 |
【人】 陀羅尼 サラ (684) 2020/11/15(Sun) 23時半頃 |
【人】 陀羅尼 サラ (685) 2020/11/15(Sun) 23時半頃 |
【人】 陀羅尼 サラ (688) 2020/11/15(Sun) 23時半頃 |
【人】 陀羅尼 サラ ── PM8:50 ── (690) 2020/11/16(Mon) 00時頃 |
【人】 陀羅尼 サラ (692) 2020/11/16(Mon) 00時頃 |
【人】 陀羅尼 サラ (694) 2020/11/16(Mon) 00時頃 |
【人】 陀羅尼 サラ (695) 2020/11/16(Mon) 00時頃 |
【人】 陀羅尼 サラ (696) 2020/11/16(Mon) 00時頃 |
【人】 陀羅尼 サラ (697) 2020/11/16(Mon) 00時頃 |
【人】 陀羅尼 サラ (698) 2020/11/16(Mon) 00時頃 |
【人】 陀羅尼 サラ (699) 2020/11/16(Mon) 00時頃 |
【人】 陀羅尼 サラ (700) 2020/11/16(Mon) 00時頃 |
【人】 陀羅尼 サラ (702) 2020/11/16(Mon) 00時頃 |
【人】 陀羅尼 サラ (703) 2020/11/16(Mon) 00時頃 |
【人】 陀羅尼 サラ (704) 2020/11/16(Mon) 00時頃 |
【人】 陀羅尼 サラ (707) 2020/11/16(Mon) 00時頃 |
【人】 陀羅尼 サラ (708) 2020/11/16(Mon) 00時頃 |
【人】 陀羅尼 サラ
(711) 2020/11/16(Mon) 00時頃 |
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