8 Solo Assembly Letters
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[ 夜の眷属であるばけものたちが よくある人間の書いたものがたりのように 理性なくひとを襲ういきものかと言いますと、 そうではありませんでした。
中にはひとを愛するものもいましたし、 自分たちを狩ろうとした人間でさえも 助けようとする『ヒーロー』たちだっていました。
分かたれてなお、 ばけものたちの国に迷いこんだこどもがいるなら 元の国に帰してやろうとするものもいました。 ]
(29) 2021/04/16(Fri) 20時頃
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[ もとは一つであったはずのふたつの国が 分かたれることになった原因、 数百年前、数百人にも及ぶ人間が犠牲となった 『血の訣別』と呼ばれた真相のわからぬ事件。
それさえなければ争いなどなくとも、 ひともかいぶつも手を取り合えたまま だったのかもしれませんが────。 ]
(30) 2021/04/16(Fri) 20時頃
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「みなさまも薄々お分かりでしょう? あのような所業、夜のばけものたちの仕業だと。 ──────ご決断を。 」
、、、、、 [かの事件のさなか、当時の宮廷魔術師は 嘆き、憤るひとびとの前でそう進言したのです。 その人物の言葉を場にいた人間たちは 顔を見合わせて────
( きっと、最初から疑念はあったのでしょう。 血を抜き取られ、惨殺された骸のありさま。 とっくに植え付けられた種が芽吹いただけ。 )
武器を持った人間に交えるのは剣や爪ではなく ただ言葉でわかりあおうとするかいぶつたちもいましたが、 それも虚しくすっかり信じ込んだ愚かなひとたちは 自らの手でそれを断ってしまったのです。]
(31) 2021/04/16(Fri) 20時頃
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[ そうしてひとは怪物たちを畏れ、疎み、憎み。 倫敦橋の下に隠されていた2つの世界の『門』を 閉ざす結果になったのは最早語るまでもないこと。
そうしていつからか『ばけもの』は 人の作るものがたりの“ 悪役 ”になりました。 ] villain
(32) 2021/04/16(Fri) 20時頃
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うーん。
・・・・・・・・・ ...うまく行っていたら。 こーんな景色だったんでしょうか〜?
[ ふたたびポストが手紙を吐き出すころ、 御使いのその姿はイースト・エンドは 名高き倫敦塔の『上』にありました。 双生の月は変わらず天から見下ろしていましたが、 一向にビッグ・ベンの鐘が吼えることもありません。]
(33) 2021/04/16(Fri) 20時半頃
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( 19世紀当時、”世界一汚い”とも言われる 悪臭たち込める汚濁したテムズ川を眼下に )
[ひとひとり起きてくることもない、 もぬけの殻となった都で文字通りの羽根を伸ばし 冷めたいろで石と煉瓦で積み上げられた都を あらためて─────眺めてみるのでした。
...そのうちに腰を下ろすと、届いた手紙の封を切ります。]
(34) 2021/04/16(Fri) 20時半頃
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──────おや。
[ポストからまたもやきっかり三通吐き出された 手紙のうち、今度一番最初に手繰ったのは 真夜中色の封筒でした。 ]
(59) 2021/04/16(Fri) 23時頃
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[ 先に受け取ったサバトの招待状のものとよく似た色に 目を細めたものの────────── これはおそらく違う送り主からである、と 封を切る前から天使が判別できたのは まさに封を留める封蝋によってだった。 ]
( ところでこの天使がこれまでの手紙にも 百合の花の意匠をあしらったものが多いのは それがこの御使いの『象徴』であったからだ。 )
(60) 2021/04/16(Fri) 23時頃
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[その黄色の封蝋に模された百合を見たとき、 それが偶然のたぐいであっても目に留めたものでした。
(『感謝状』をお贈りしたときともまた種類の違う──) うす笑みを刷くと便箋に箔押された星たちと 銀文字を眺めながら虚空に顕した羽根ペンを手に取って。]
(61) 2021/04/16(Fri) 23時頃
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( ところで、ボクが好きな ・・・・・ 『信じるものはすくわれる』────と言う言葉は。 時と場合によって色を変えるものです。 )
[ボクから見て───たいていひと括りの『人間』ですが 信仰心を感じるおかたがいればちゃぁんと 『他意なく』祝福させていただくことだってありますよぉ?
...ほんと、ほんと。]
(62) 2021/04/16(Fri) 23時半頃
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う... ん。 御業ですかぁ。
(しかしそこに書かれていた『興味』の話。 さしものこの天使もさめざめと思い起こされる 『試練』の話を”ありのまま” 語ることはしなかった────── ので 頬杖つき、しばらく唸りをあげたのちに)
.........ああ、 あれがありましたね!
[...ピン!と光明が点ったものでしたから、 閃くと” ひとつのもの ”を設えるのでした。]
(63) 2021/04/16(Fri) 23時半頃
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...ほかの世界では。 どうなんでしょう、『ひと』は。
[どうやらこの名が天使の名と 言うことを御存知のかたは多いようで。
ええ、ボクも信心深く敏いかたたちばかりの世界なら 考えは改まったのかもしれませんし────── お便りをふたたび読み耽りながらも一通目を投函すると くすんだクリーム色の封筒を手に取りました。]
(66) 2021/04/17(Sat) 05時半頃
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・・・・・・・・・ (もし開けた瞬間におもしろい細工ものが 出て来ようものなら次のお手紙が 『不幸の手紙』に様代わりしたかも... ...なぁんて。 やだなぁ、冗談ですよぉ。)
[ところで”サーヴァント”なるものの それについては─────── この世界で呼ばわれるようなものではないが この世界のものの中にもいくつかの特異点で 英霊として召喚されたものたちがいる、 と言うのは述べられていてもいいのかもしれない。
とは言え、ケルティック・ノットを模したシールを横目に 手紙の封を切ったあと、文を目にしたこの御使いが 思わずその青い目を瞠ることになったのは ”ついしん”の部分だったが。]
(67) 2021/04/17(Sat) 06時頃
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・・・・・ .......ふうむ、ラファエルが?
へえ、....そんなこともあるんですねぇ。 ”従者”の真似事でもしているのでしょうか?
かれも。
( 紫の本をいま一度開き直すと、 『サーヴァント』と言う文字の印象から受けた言葉を 深く考えずに零して... 思わず微笑んじゃいました。 )
[違う世界に存在する『彼』なら、 ボクのよぉく知っている御使いとは違うのかもしれません。 それでも御手紙に書かれた彼の印象はボクの知っている彼と とぉっても似ていたものですから。]
(68) 2021/04/17(Sat) 06時頃
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あはは、でもボクと彼──────── ...ぜーんぜん違いませんかぁ?
[ それとも。ひとや『英霊』からは 同じものに見えるものなのでしょうか? あるいは、ボクの知らない『ラファエル』なら そんなことはあるのかもしれません。
( いちばん違うのは─────。 )
....ぎこちなく歪んだ文字を見下ろしながら、 筆を執ろうとしました。]
(69) 2021/04/17(Sat) 06時頃
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( それは優しさ─────と言うよりは、 手紙を書くことくらいしかすることがないからこそ 退屈凌ぎのようなものでした。 )
[ この倫敦で滅亡の予言をひとびとに告げたボクが それも『神話』なんかに出てこられる 予言された悲劇のかたに興味を持つ理由 などと言うのは───。]
(ああ、やっぱり...言ってしまったらなぁんとなく、 きーっと、怖いことになってしまいそうですから。 ここは秘密にしてしまいましょう。)
(79) 2021/04/17(Sat) 10時頃
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[さて、二通目を投函し、 三通目の封を切る前に─────一度筆を休めました。]
(80) 2021/04/17(Sat) 10時頃
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