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先生、あたしねー。
さっきまで、和歌奈ちゃんの世界にいた。
……って言ったら、信じてくれるー?
[ あたしがそう言ったら、先生は怪訝そうな顔をした。
大人を揶揄うもんじゃない、ですとな? ]
先生、こんな状況でそんな冗談言うほど、
あたし不謹慎なやつじゃないよー。
[ そりゃ夏見七星、お調子者ですけどね?
ハチャメチャガールズとか一部で言われてる
らしいですけどね?
言っていいことと悪いことの区別くらいは
ついてるつもりです! ]
和歌奈ちゃんの世界って、望高文化祭だった。
それでさ、あたしとか日食君は帰ってきちゃったけど、
その世界にまだ残ってる人がいるはずなの。
[ 路子ちゃんに、真梛ちゃんに、荒木君に……って
あたしは指を折って数える。
莉希ちゃんからのグルチャは
車の中で読んだ。
莉希ちゃんももうじき来る。
先生が信じてくれないなら、
莉希ちゃんからも言ってもらおう。
あたしたちは、和歌奈ちゃんの世界にいたって ]
だからさ、先生。
みんなが連れて帰ってくれるはずだからさ、
……和歌奈ちゃん、助かるよね。
[ おにぎり包んでたラップを小さく丸めて握りしめる。
俯いたあたしの頭に、先生の手がポンって乗った ]**
メモを貼った。
メモを貼った。
あの!私ちょっと望月病院に行ってくる!
[下にいた祖父母にそんな声をかけて慌ただしく
バタバタしていれば、驚いた二人から一体
どうしたのと声がかかった。]
あ、えっと、その、
友達が、運ばれたって…!
[祖父母は昔里帰りした時は気難しくて厳しい人たち
って印象だったけれど、今は孫として普通に接して
くれている、と思う。
たどたどしく説明をすれば、二人は顔を見合わせた。]
[望月病院は自転車で行けばそんなにかからない。
コートを羽織ってマフラーを巻いて、迷いなく
飛び出そうとしていれば待ての声が響いた。
こんな夜中に外出は関心しないと。]
で、でも……!
[確かに関心できないかもしれない。
でも私だって子どもじゃない。
どことなくママに似た面影に、雰囲気に、
反論の声はそれ以上出てこない。]
「夜道は危ないから送っていく。」
――――え?
[下を向きかけたら、降ってきた声に素っ頓狂な
声が出た。
私を、心配してくれた?
それともやっぱり世間体?
なんて考えてしまうのは失礼だっただろうか。
でも断る理由はない。
だって私は病院に行きたいから。]
……お願いします!
[そうして車に乗り込んで、病院を目指した。]
[私食堂に食料があるって書き込みだけ見たわけ
じゃないよ。
ちゃんと日食君についての書き込み
見たら、マネキンもちらっと確認した。
保健室のベッドは四つで、女子は五人。
路子さんはどこでも寝れるからとベンチで寝て
しまって
遠慮して空けるのも勿体無いなぁって思ったから
使わしてもらったけど、マネキンを見てしまった
せいかなかなか眠れなくて。
だから。]
首大丈夫?
[自販機の所にその姿
開口一番にその細い首を確認した。
まぁ大丈夫じゃなかったら日食君も私もこんな
ところにいるわけないんだけど。]
本当に苦しかったな、あれ。
死ぬのって、あんなに苦しいんだね。
[日食君の身にどんな現象が起こったのかは
知らないけど、そんな言葉をぽつりと零す。
和歌奈さんも苦しかったかな、痛かったかな。
少なくともその胸の内は、苦しかったのだろう。
七星さんももうついていると教えてもらえば、
私はその姿を探したんだ。]
[ドラマとかでよくあるよね。
暗い病院に赤いランプが灯ってさ。
その前に家族が神妙な面持ちで待ってるの。
まさかリアルで体験することになるとは
思わなかったよ。
ご家族にぺこりと頭を下げた。
この扉の向こうに、和歌奈さんがいるんだ。
ランプはまだ、消える気配はない。]
七星さん、に飯尾先生。
こんばんは。
[二人がどこにいったかを教えてもらえば
そちらへと足を向ける。
[会いたかったのは飯尾先生じゃなくて七星さんだ。
脇目も振らず傍によればぎゅって抱きついた。
そんなこと今までしたことなかったけど、
しょうがないよね。
ちょっといろいろ情緒崩壊してるんだ。
だから許してね。]
……七星さんも帰って来たんだよね。
みんな、帰ってくるよね。
[二人が何を話していたのかなんて知らなかったけど、
その言葉を聞いたら先生も、信じてくれたかな。]**
メモを貼った。
メモを貼った。
【人】 天文学会 ワカナ―― 屋上の扉の前 ―― (139) 2021/11/12(Fri) 14時半頃 |
【人】 天文学会 ワカナ[今頃まだ見ぬ平塚莉希のマネキンも運ばれているところだろうか。 (140) 2021/11/12(Fri) 14時半頃 |
【人】 天文学会 ワカナ[足の方が持ち上がったなら、>>132 (141) 2021/11/12(Fri) 15時頃 |
メモを貼った。
【人】 天文学会 ワカナ[そりゃあしんどいみたいなことならあった。 (209) 2021/11/12(Fri) 22時頃 |
【人】 天文学会 ワカナ[だからこそより手ひどい喪失を怖れていた。 (210) 2021/11/12(Fri) 22時半頃 |
【人】 天文学会 ワカナ[うわあ、なんて心で言っちゃう。 (213) 2021/11/12(Fri) 22時半頃 |
[ 足音が聞こえた気がして、あたしは顔を上げた。
莉希ちゃんの姿を認めて、思わず目を見開く
莉希ちゃん!
おかえり!
[ ここは屋外であるからして、多少声が大きくても大丈夫。
なーんてこと、考える余裕なんかなかった。
反射的に口をついて出ちゃったんだよ。
ここが病院の外で良かった。
こんばんはって言う莉希ちゃんに、おかえりって返して
ぎゅって抱き返す。
今この一瞬だけは、和歌奈ちゃんを心配する気持ちより、
莉希ちゃんに会えて嬉しいっていう気持ちが
上回っちゃったかもしれない。
一瞬!一瞬ね! ]
うん、……うん。
[ 莉希ちゃんの質問に、あたしはうんうんって頷く。
七星さん「も」って莉希ちゃんは言う。
莉希ちゃんも帰ってきた。
つまりそれって……莉希ちゃんもきっと、あの世界で
死んだんだろうって思う。
痛かったよね。それとも、苦しかったかもしれない。
労いの気持ちを込めて、莉希ちゃんを抱きしめたまま、
その背中を撫でた ]
せんせー。
和歌奈ちゃんの世界で、莉希ちゃんも一緒だったんだ。
ね?莉希ちゃん。
[ 莉希ちゃんに抱き着いたまま、
あたしは先生の方に顔を向けた ]
[ 先生は、しばらく黙ってあたしたちの方を見てた。
けど、頭をぼりぼりした後、降参って感じで手を挙げる ]
「あー、わかったわかった。
……けどな」
[ 先生は、しばらく言葉を選ぶみたいに
視線をさまよわせた後、
少し声を落として、言った ]
「もし……河合が、……戻ってこなくても。
他の奴らを責めてやるなよ」
[ どきんと心臓が跳ねた ]
[ みんなが連れて帰ってくれるはずって
あたしは言った。
莉希ちゃんの言った「みんな」にも、
もちろん和歌奈ちゃんは含まれてるはずだ。
自分に言い聞かせるようにあたしはそう信じてる。
だけど、もし、和歌奈ちゃんが帰ってこなかったら? ]
……そんなの、当たり前、だし。
責めたりなんか、しないし。
でも……でも、帰ってくるよ。ね?
[ ぎゅってあたしは莉希ちゃんに抱き着く腕に力を込めた ]
[ 和歌奈ちゃんの世界にあたしたちが呼ばれた理由。
最期に一目会いたかったからじゃないか。
路子ちゃんはそう言ってたけど。
その言葉に、そうかもってあの時あたしも思ったけど。
っていうか、そういう気持ちもきっとあると思うけど。
それだけじゃなくてさ。
和歌奈ちゃんの中のどこかに、連れ戻してほしい気持ちが
あるからだったりしないかな。
だって。だってさ。
ひめちゃんの世界に、あたしは呼ばれなかった。
それって、ひめちゃんに
なんの未練もなかったからじゃない?
あたしを縛り付けるために命を捨てたひめちゃんだもん。
もし、ひめちゃんもあんな世界を作ってたなら、
そこにあたしが呼ばれないはずがない ]
[ はやくひとりになりたいなあ。
いつかの和歌奈ちゃんの言葉を思い出す。
だけど、和歌奈ちゃんは呼んでくれた。
和歌奈ちゃんの世界に、あたしたちを呼んでくれた。
ねえ、和歌奈ちゃん。
やっぱりひとりぼっちはさみしいよ? ]*
【人】 天文学会 ワカナ文化祭でやりたいことをやればいい、みたいなこと、 (217) 2021/11/12(Fri) 22時半頃 |
【人】 天文学会 ワカナ
(218) 2021/11/12(Fri) 22時半頃 |
【人】 天文学会 ワカナでもまあ、私は私のやりたいことをやってからかなあ。 (224) 2021/11/12(Fri) 23時半頃 |
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