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メモを貼った。
メモを貼った。
[ところで、この異界化したダブリンのリフィー川は、東から西に流れている。
東から西に流れている。
・・ ・・
つまるところ、下流から上流へと流れている。
そんな奇妙な川に見事落ちたデアドラの、デュランダル・レプリカを握った右手が川面に突き出される。
そのして、栗毛のミサンガを嵌めた左手もまた、突き出される。
されど両手はゆっくりと――しぶとく――リフィーの流れに沈んでいく。
こうして、ジェニファー/デアドラはどんぶらこっこどんぶらこっこと上流へ流れていき、“死んだ”。]
[――否、正しい意味での“死”は、この世界の“選手”には訪れまい。
それを主催者からの手紙でジェニファー/デアドラが知ることはなかったから、いま、彼女は自分を“死んだ”ものだと思い込んでいるのだが。
ともあれ、リフィー川の上流を塞ぐ形で広がる霧の壁の側に、彼女は宙に浮きながら三角座りをしている。]
…………やだな。
絶対家に帰るって、
いつもおばあちゃんと約束してたのに。
[「己の伝説に語られるところの人生」のラヴァーカムではなく、カルデアのねねのことを呟く。]
ニーシャ。
結局、あなたにも、会えなかったよ。
[ちなみにポストの爆散についてはそこまで感傷は抱かなかったものの、「ポストに持たせていたお土産が全部パーになった」くらいの悔しさは、あった。]
手紙とか預けなくて良かった。
……って言ってもなんだかなあ。
[座にも帰れない幽霊の状態になっても、懐に仕舞っていたこれまでの手紙はきちんとカタチを為していた。
無論、聖剣のチャームも、栗毛のミサンガも。それに異世界のティーバッグも。
そして――こんな有様に成り果ててなお、ふたつの封筒がぽんと新たに膝の上に載る。
手紙を吐き出すポストが無くとも、届くものは届く、ということらしい。]
メモを貼った。
メモを貼った。
[ちょっぴり厚みを感じるその封筒を彩るのはユニオンジャック。
そして、封筒を閉じているうさぎ型の封蝋。]
あ。かわいい。
時計塔にはこんなお土産……あるのかな。ないかも。
[こんな幽霊の有様でさえなければ、盛大にはしゃいでいたことだろう。
デアドラは覇気なく封をびりびりと開け、蝋のうさぎをぼろぼろと砕けさせた。
そしてユニオンジャックと同じ色の派手なストライプを纏った便箋の文面を、黙々と読み進めていく。]
[読み進める途中、便箋を広げる両手にぎりぎりと力を籠める。
握りしめた箇所が軋み、破れ、穿たれ――。
引きちぎりきる前に、がくっと力なくこうべを垂れて蹲った。]
殺すにももう殺せないや――。
[そこで漸く、ヴィクトーリアの屋敷の項に何か書いてあった気がする、と思い至る。
あの冊子を便利に持ち歩いていたポストはもうここには無かったが、ちょっと念じてみたら、何故か冊子は手元に出てきた。
幽霊は、妙なところで便利だ。
そうして『郊外の屋敷』の文面を改めて読み直し、納得した。]
最初から死んでるし。
[ぽつり零してから、手紙の続きをまた読み進めていく。]
[それから、同封されていた小さな袋を摘まみだす。
2枚入りのウォーカーズのショートブレッドからは、納豆の匂いは特に感じなかった(一応、納豆の匂いについては知っている)。
無言で袋を開けて、ぼり、と1枚齧る。
現界して以降の日々でとても馴染みのある、塩気とバターの風味、微かな甘み、少しほろっとした食感が、口内を満たしていく。
……そのまま、あっという間に2枚ともぺろりと食べてしまっていた。
キリトからの紅茶を合わせなかったのは失敗だった気もしたが、食べてしまったものはしょうがない。
(当然ながら、ティーセットや加熱器具は、川の上にはなかった)]
あなたって、ベルみたい。
[それは単に「ウォーカーズのお菓子をくれた」ことについてのみだったが、なんとなく口から零れた。
仮にベル――デアドラのマスターが今でもマスターであったなら、フィールド周回の方にも励んではいたかもしれないが、それはあくまでifの話だ。]
[それからデアドラは、霧の壁のそばで三角座りのまましばらくぼんやりとしていた。
ややあってから、冊子の時のようにちょっとばかし念じてみて、便箋を一枚手元に出した。
それこそまるで幽霊のようなそれに、指先で文字をなぞっていく。]
[手紙を投函するポストはもうここにはない。
だから、まるであたかも「蜘蛛の糸めいた、一縷の望み」に懸けるかのような形で、その手紙は虚空に飛ばされた。
なおこの時、ジェニファー/デアドラは、
『キミたちみんな、元の世界に戻れるようにはする』
という妖精の約束をすっかり忘れていたという。
無論、「元の世界に帰れる=この世界で“死んで”も帰還時には復活できる」、という考えにも至っていない。
そしてこの手紙の紙面に流石に入りきらなかった二つ目の追伸は、結局出さずじまいのままに終わる。
実際のところ、追伸のためだけの二通目を送ろうとはしていたのだが――。
それを記していた丁度その時に、川沿いの道路に“あのランサー”の亡霊を発見したことで、手紙ははらりとリフィー川の中に落ち、消えていく。]
[その亡霊とここで邂逅するまでもなく、相手の正体――真名は初めから解っていた。
それどころか、あの“ダブリン聖杯戦争”での思い出も、カケラではあったけれど既に思い出していた。
デアドラがダブリンで出会った“あのランサー”は、
ジェニファーがカルデアで出会った“わたしのランサー”と同一の英霊だったのだから。]
召喚した時と同じ。
やっぱり、ランサー。
あなたはわたしに気づかないんだね――なんて。
[“あのランサー”の亡霊は、三枝槍の柄を地面に着けたまま川の方――つまりデアドラの方を向いている。
しかしその亡霊がこちらに襲い掛かる気配は一向にない。
幽霊の状態のデアドラにその亡霊が反応しなかった理由は、デアドラには定かには知れない。
“ランサー”ではない別の亡霊にデアドラが気づかれる可能性自体はあるし、
もし仮に、やはり幽霊のような状態と化した別の“選手”がこのフィールドに入った場合、このフィールドの亡霊はなんてことなくその“選手”に襲い掛かってくるのかもしれないが――。
如何な仕様差でそうなるのかは定かではない。おそらく。]
[ジェニファー/デアドラは、懐かしいようなさびしいような苦笑をふっと浮かべた。
そして亡霊がこちらに気づかないのをいいことに、その場の空中に座り込んだまま二つ目の封筒を手に取る。
……ちなみにだが、ヴィクトーリアに送り損ねた二つ目の追伸には、そのランサーの弱点がずらずらと書かれていた。
セイバー、ライダー、アサシンのシャドウサーヴァントの存在の示唆と共に、
「狩りに行くなら今のうち」
という文面まで認められていた。]
――戦さ場を開始します!
[それは強化魔術のトリガー。己を鼓舞するように叫ぶ。
相手の得物はドス。
胴を薙ぐ一撃を転がってかわし、部屋の中へと進む。
体勢を整え、すぐに降ってくる蹴りを避けると右の太刀を振るう]
くっ――!
[刃は届かない。
切り返しで振われた刀に左手を裂かれる。
さらに投擲された無数のドスに、
大きく後退し両の太刀で弾く。
当然隙は生まれ、また攻められ、
傷が増え、あえぐように息を吐く。
こぼれた血が床をこぼし、手足の力を鈍らせ、
1分にも満たない交錯でさえ、
生きているのが奇跡なほど。
それだけサーヴァントと人間の差は大きい]
(でも、私はひとりじゃない)
[これが自分の追憶を再現した影であるならば]
アーチャー!
来て!
[祈るように叫ぶ。
刹那、女の後方から無数の弾丸が飛び敵を狙う。
背後に現れた男の人影は、女に並び立つ]
[しかし、それを言うなら向こうもひとりではない。
アサシンの後ろに少女(に見えた)の人影が現れる。
戦闘に参加するそふ素振りは見えないが、
機を待つようにこちらをずっと窺っている。
ふたりとも、油断できる相手ではない。
されどマスターとサーヴァントが揃えば、
戦力もチャンスも対等と信じられる。
並ぶその背は女に勇気を与えた]
[――だから、その瞬間忘れていた。
相手が弾丸の雨を防ぐ隙に、駆け出そうとした、
その時だった]
――――、あ、
[銃弾が、心臓を貫いた。
それは彼の宝具のリスク。
必中の魔弾は時に術者の一番大切なものへと飛んでいく]
(それでも、私は――)
[身体は倒れゆく。
最後に思ったことは声にはならず、虚空に消えた]
…………また死んじゃいました。
[意識を取り戻し、ぽつりつぶやく。
倒れ伏したまま、立ち上がることはない]
もう一度経験して、やっとわかりました。
私は、アーチャーを恨んではいません。
でも、でも、
……どうしても、悔しいんです。
[腕で目を覆う。
鉛を吐き出すように、一言一言が重い]
負けたことが、私の力が届かなかったのが悔しい。
アーチャーの宝具の運用だって、
もっといい方法があったはずだって、
私がもっと強ければ、もっと戦えたのならばって
そんな「もしも」ばかり考えてしまうことが悔しい。
あんなにきれいにアーチャーと別れたのに、
こんなにぐずぐずしてるなんて、
すごくかっこ悪いじゃないですか、
いやだなあ……、
[生暖かい涙が皮膚に触れて、気持ち悪いと思った]
メモを貼った。
メモを貼った。
[二通目の封筒は、白を基調としたアンティーク調。
その封筒を閉ざす百合の封蝋を目にすれば、開かずとも差出人の想像はつく。]
死んでから天使の手紙が来る、なんて、
いかにもありそうなのにヘンな感じ。
[「そもそもわたし“異教徒”だし」なんて突っ込みもぽつり、声なき程度の微かさで漏れる。
中身を取り出せば、封筒とは異なる材質の紙――羊皮紙の便箋。
デアドラとしてはあまり馴染みなく、ジェニファーとしても触れる機会の限られる羊皮紙だったが、素朴なそれの手触りはどこか心地いい。
その上に踊る月明りがごとき金色を、黙して読み進める。]
[今度は、デアドラが手紙を破り裂くことはなかった。
かといって笑うわけでもなく、頬緩めるわけでもなく。
ただ、その返事に認められていた「すこし、ふしぎ」を目に留めた時には、ぱちぱちと瞬いていた。]
……そんな機会、
きっと、ないさ。
別になくたっていいけれど。
[ぽつりと零しながら、永遠の夜たる黒い空を仰ぐ。
本来の聖杯戦争では“怪談のキャスター”がこの夜の異界の作り手だったのだが、この世界においては、“怪談のキャスター”の亡霊が潰えても夜は明けない。]
お迎えの天使とか、わたしには関係ないし。
キャスターがラファエルなモードで
迎えに来る、なんて思わないし。……。
[かの手紙の中でも「天然」と評された存在を思う。
ちなみに向こうの世界でも、“その御使い”は天然なところがあるとのこと。
あちら側の天界では一体どんなうっかりさんをやらかしているのか――なんて想像までは至らなかったけれど。]
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