人狼議事


10 冷たい校舎村9

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視点:


【人】 明仄∴暁星 クロエ

[ 家に帰ったら、部屋の様子が変わってた。
 大きな変化があったわけじゃない。
 飾ってた写真が捨てられていた。

 机の上に飾ってたの。
 文化祭の時、みんなで撮った写真。
 楽しかった、私にとって本当に大事な思い出 ]

(0) 2021/06/14(Mon) 00時頃

【人】 明仄∴暁星 クロエ

[ そんなもの、必要ないって言われた。
 私には友達とか、仲間とか、必要ないんだって。
 友情ごっこをしてる暇なんてないんだって。
 
 友情なんて不要だって言われた。
 尊敬され、頼りにされ、
 崇拝されるような人間であるべきで、
 同級生との対等な友情はいらないんだって。
 そんな馴れ合いは害にしかならないんだって。
 だから、清算しろって言われた。
 そんな、害にしかならない人間関係は、
 全部清算するように、って。

 それが私に下された判決。
 心が軋んで悲鳴をあげた ]

(1) 2021/06/14(Mon) 00時頃

【人】 明仄∴暁星 クロエ

[ 父の言うことは絶対で、私はそれに逆らえない。
 だけど、ひとりぼっちで生きていけるほど強くない。
 そんな孤独に私が耐えられるわけがない。

 文化祭、楽しかったの。みんなで作り上げたから。
 みんなで頑張って、それが評価されて、
 すごくすごく嬉しかったの。
 そういうの、捨てろっていうの?
 そういうのものを、害悪だっていうの?
 私の人生に、それはあっちゃいけないっていうの?

 ねえ、それで、
 私の人生とやらには、あと何が残ってるの? ]

(2) 2021/06/14(Mon) 00時頃

【人】 明仄∴暁星 クロエ


    [ こころが痛い。痛い。痛いよ ]
 

(3) 2021/06/14(Mon) 00時頃

【人】 明仄∴暁星 クロエ

[ 切らなくちゃ。切って、切って、やり過ごさなくちゃ。
 生きるために、切らなくちゃ。
 切って、痛いのを忘れて、それで……あれ、まだ痛い。
 こころが痛い。痛いよ。
 ねえ、まだ痛い。生きなきゃ、いけないのに。
 生きる、生きなきゃ、切る、もっと、切って、
 生きなきゃ……あれ、なんのために?

 わたし、なんのために、いきなきゃいけないの ]

(4) 2021/06/14(Mon) 00時頃

【人】 明仄∴暁星 クロエ

[ わからない。わからなくなっちゃった。
 むしろ気づいちゃった。
 今死ねば、みんなの仲間でいられるって。
 それに、見限られる日を迎えずに済むって。
 友達を失わずに済む。見限られる前に消えられる。
 これ以上の方法なんてないんじゃない?
 もう、それしかないんじゃない?
 だって、私は、みんなの仲間でいたい。友達でいたい。
 お願いです。私をみんなの仲間でいさせてください ]

(5) 2021/06/14(Mon) 00時頃

【人】 明仄∴暁星 クロエ


 ……ああ。
 あー……そっか。

[ そうだった。思い出しちゃった。
 私、自殺したんだった。
 この校舎の主は、私だった。
 もう一度文化祭を胸に刻み付けたかったのは、私だった。
 私だったんだ ]

(6) 2021/06/14(Mon) 00時頃

【人】 明仄∴暁星 クロエ

[ どうしようかな、って私は思った。
 みんなには随分わがままに付き合ってもらっちゃった。
 そろそろおしまいにしなくちゃいけない。

 でも、もしも、もしも……もうちょっとだけ、
 わがままに付き合ってもらえるなら、
 もうひとつだけ、許してもらえるかな。
 私のこと、捜してくれるかな。
 私に会いに来てくれるかな。
 これで本当に最後にするから ]

(7) 2021/06/14(Mon) 00時頃

【人】 明仄∴暁星 クロエ

[ 私は歩く。3階の廊下を歩いていく。
 通り過ぎた部屋の一つを覗いたら、
 衣裳部屋に倒れているマネキンが見える。

 開いた窓を見つければ、
 その下にあるものが私にはわかる。
 だって、私この世界の主だから、わかるんだ。

 ごめんなさい。私、そんなつもりじゃなかった。
 みんなをこんな目に遭わせるつもりなんて、
 本当になかったの。
 でもこの世界から帰ろうとしたらこうなっちゃうみたい。
 それなのに来てくれてありがとう。

 そうして、私はたどり着いた部屋の扉を開く ]

(8) 2021/06/14(Mon) 00時頃

【人】 明仄∴暁星 クロエ

[ 最後の心残り、叶えてもらえるかな。
 芽衣のピアノを聴かせてほしい。
 昨日弾いてたことを、私は知らなくて、
 今もまだ、私は芽衣のピアノを知らないままだから。
 でも、こんなわがまま、聞かなくてもいいよ。
 もう十分だから、帰ってくれてもいいよ。
 校舎はもうみんなを閉じ込めない。
 出られるようにしてあるから。

 でも、もしも、もしも許してくれるなら、
 音楽室で待ってるね ]

(9) 2021/06/14(Mon) 00時頃

【人】 明仄∴暁星 クロエ

[ 廊下にあった、物騒なカッターナイフは消え失せた。
 危なかったよね。ごめんなさい。
 ため息ももう聞こえないよ。
 もうここに、私への失望は届かないから。

 3-9の教室に、きちんとフォトフレームに収められた、
 たくさんの写真が飾られている。
 文化祭だけではなく、体育祭や修学旅行、
 卒業アルバム用に撮った授業風景なんかもある。
 もちろんそれらも、
 私にとって大切な思い出だったから。>>1:655
 でも、みんなで作り上げた文化祭。
 その一端に関われた気がしたから、
 やっぱり私にとって文化祭は一番特別だった。

 3-9の一年の思い出が切り取られたちょっとした写真館。
 もし通りがかることがあったなら、
 帰ってしまう前に楽しんでいってくれたら嬉しいな* ]

(10) 2021/06/14(Mon) 00時頃

明仄∴暁星 クロエは、メモを貼った。

2021/06/14(Mon) 00時頃


メモを貼った。


メモを貼った。


メモを貼った。


メモを貼った。


明仄∴暁星 クロエは、メモを貼った。

2021/06/14(Mon) 00時半頃


メモを貼った。


 ── 現在・病院 ──


  ……綿見、キチク。
  でも、撮れたら俺にも教えて。


[ 綿見の発言にちょっと引いたあと、
 同じ口で便乗するようなことを言ったけど、
 別にゆすりのネタにしようってんじゃない。

 あの校舎に行って、帰って、
 慎一のつくりには何も変化がないからして、
 炭蔵がどっかで泣いていたとして、
 目の前でもなきゃ気づかないだろうしさ。]
 



[ 騒がしくて散らかった慎一の視界。
 測ってみても思ったより狭い手の届く範囲。
 誰かみたいに手を伸ばす真似事を夢見るとして、
 それとは別に誰かの目を借りるってのもアリだろう。
 ……たぶん、女子に無視されても炭蔵は泣かないけど。]
 



[ くすくす笑いに黙殺された問い。
 そのことはあまり気にしないでおこう。
 「変な感じ」に黙ってうなずきながら。

 「懐かしい」と称された出来事。
 確かにずいぶんと前のことに思えるけど、
 でも、慎一の心にはずっと残っていた。]


  ……なんでわかったの?
  とか聞くと、また藪蛇になりそうだなあ。


[ 泣き顔が見たかった? こわぁ。でもごめんね。
 慎一が浮かべているのは苦笑みたいなものだ。]
 



[ 実のところ、吹っ切れたわけじゃない。

 諦めがついたわけでもなく、
 でも、気づかないふりもできなくなって、
 だから、慎一の「むなしい」は現在進行形。

 でも、死なない理由探しもしちゃったから。
 付き合いきれない自分に折り合いをつけて、
 息苦しくても呼吸をしていくしかないのだ。

 至った結論は結局のところ、
 あまり変わってはいないのだけれど、
 ひとりになるのはさみしいからね。
 どうせ生きるなら、夢くらい見たいじゃないか。]
 



[ まあ、つまり──、現在進行形な慎一が、
 その文脈で時制に引っかかるのは必然。

 図星としかいいようのない言葉を重ねられ、
 悲しいやら恥ずかしいやら情けないやら、
 喉元ばかり触っていた慎一だけれど、
 ふと、顔を上げてつぶやいてみようか。]


  ……過去形なんだね。
  「虚しくてだった」……、


[ 言葉尻を捕らえるようなことしてごめんね。
 ただの言葉の綾じゃあなければいいんだけど。

 だって慎一は、もうそれをいいように捉えた。
 捉えて、「よかったなあ」って顔をしている。]
 




  ……だとしたら、よかったね。


[ 「ごめーんね」って間延びした調子。
 到底謝罪には聞こえていないんだけれど、
 いいよ。ここは慎一も笑ってあげよう。]


  事実だしね。アレは怖かったけど。
  認めたのも認めたけど──、
  頑張るのはやめない。あと少しくらいは。


[ にへら、と浮かべた笑みは、
 疲れてないと言っちゃあ嘘だけど、
 大丈夫。急に刃物を手に取り乱したりはしない。]
 




  ……できればそう、
  豹変せずに、次はそっと教えてほしい。


[ 最後にそんなリクエストだけ添えようか。
 慎一はいつものほうの綿見のが好きだよ。

 ……淡々と言葉を重ねる姿は、
 なんだかどちらも綯い交ぜになっても見えるけど。

 そして話題は移り──、
 不思議なことに、慎一は礼を言われている。

 和らいだ視線は怖くないけど、
 その感覚は慎一にはないものだった。
 それについてもいずれ「なんで?」って言えるかな。
 こういう話を、現実世界でも続けていれば。]
 



[ ぐいっと顔をこちらに向けた番代に、
 慎一は一瞬、「うおっ」って驚いて──、

 ……ほらね。ビビりなところも変わってない。
 それから、ふふんと自慢げに笑って見せた。]


  あ〜〜番代は早々に帰ってたからな〜!
  うまかったなあ。夜に食べるパンケーキ。


[ 冗談めかしてそんなことを言うとき、
 慎一の手はもう首元をなぞってはいない。
 目を細め、羨ましそうな視線に付け足そう。]
 




  今のうちに綿見に頼んでおけば?
  「これから」だってあるんだし。

  で、カフェオレと、コーラね。
  ……寒いのに番代、すげえな。


[ ふたりぶんのリクエストを復唱。
 復唱は大事って販売係で学んだからね。

 余計な一言を付け足しはしたけれど、
 「おまけ」だから……お代はいいよ。

 慎一だってきっと、今の気持ちの感じなら、
 そのくらいの気は回せるはずだ。
 無償のナントカにはまだほど遠いけれど。**]
 


明仄∴暁星 クロエは、メモを貼った。

2021/06/14(Mon) 01時頃


メモを貼った。


[……もしかしなくても私、
ものすごく空気が読めてない視線の割り込みをしたけれど、
パンケーキ自慢をした向井くんのせいってことにしとこう。]

 ずるいずるい!
 私も食べたかった〜〜!

[大袈裟に自慢してくるもんだから、しょうがない。
向井くんにはさっきから「ずるい」ばっかり言ってる気がする。

ずるいと言えば、男子に秘密のお菓子パーティーの件、
向井くんには教えてあげないけど、そのことについては棚に上げている。]



 寒い時こそ甘ったるくて爽やかな炭酸はガソリンですから。

[自慢にもならないことで胸を張って見せる。
例え斜め上と言われようがこの好みは譲らない。

自販機に行く向井くんを見送った後、
茉奈ちゃんがまだここにいるようなら、
次はパンケーキ、お願いね!というキラキラした目線を送ってみた。]


[それと、茉奈ちゃんにはもうひとつ。]

 何かあったらいつでも話、聞くからね。

[……と、小さな声で告げれば。
あの校舎の中で最後に言い残したカマ掛けを思い出すだろうか。

これは本当に最後の確認のつもり。
もし私に対して何も話すことが無いようなら、これ以上は聞くこともしない。
私の気のせいということにしようと思う。

いつの日か相談に乗ってもらった手前、
報告くらいはしないといけない、とは思ったので。手短に。]



 私にしか見えない女の子の守護霊?的な、
 あのことなんだけど。

 私が“いる”って思い込んでたせいだったのかな、って。
 ……うまくお別れできそうなんだ。

[お別れ、というのが明確にどういうことなのかは自分でも分からず口にしたけど、
もうぼたんの存在に悩まされることはないだろうし、相談することも無くなる。
それだけを伝えたかった。**]


メモを貼った。




[―――気付けば泣きながら目を覚ました。]


 


― 帰還 ―

[目を開ければ視界には見慣れた天井。
カーテン越しの窓の外は薄暗い。
日が昇るにはまだ少し早いようだ。
濡れた顔を拭って頭だけを動かせば枕元にはスマホ。

自室の風景がそこには広がっている。]

……………ああ……………

[まだ若干ぼんやりする頭を無理やり持ち上げ、
ベッドの上で体を起こした。

なんだっけ、なんだか深くて濃い夢を見ていた気がする。
何気なく視線を落とせば、手首に巻かれたハンカチが目についた。]



 ――――、


[ぼーっとそれを見つめて3秒。急激に思考が覚醒した。

思わずそのハンカチを剥ぎ取って
部屋の明かりをつけて手首を確かめる。
よくよく見ないと分からない程度だけれど、
うっすらと傷跡のような線が残っていた。

ばたばたと立ち上がり、部屋のハンガーにかけてある
通学時に使っているブラウンのコートを見る。
手を突っ込んでポケットを漁れば―――あった。

まるで上から水を撒いて滲んだように
全体が強くピンボケした写真。
でもシルエットで分かる。
黒板を背にして皆が映っているそれは、
打ち上げの時に撮ったあの―――]




………帰ってきた、


[口に出す。確かめる。頬についた涙の跡を指で辿った。
弾かれた様にスマホを手に取る。

どうでもいいメッセージをスワイプで押しのけて、
グループチャットを開こうとする前に
九重からのメッセージが入っていた。]


[それを見て、

…………ああ、やっぱり。って。

脳裏に過ったのは納得と確信だった。
もしかしたらそうなんじゃないかなって
話してる時にちょっと思ったんだ。

俺が帰ると決めた後、
夢の中で話した唯一
未来の話をしなかったきみ。

そもそも消去法でもうだいぶ絞られていたもの。
帰りたい?って聞いた時、是とも否とも言わなかったけど。
きっと答えはどっちでもなくて、"帰れない"んだ。
自分が作り出した世界にずっと、留まり続けている。]


[それから、これは俺のもう一つの確信。

電話帳を呼び出して、友人の名をタップした。
寝てるかもしれないが起きるまでコールし続けてやる。

出ない、とは何故だか思わなかった。]


……あ、レン?
メッセージ、見た?


[開口一番、俺は問いかける。**]


メモを貼った。


 

[ 比較的静かに帰還した悪友とは違って
    こちらは酷く騒々しい目覚めだった ]

 


 

[ どこかでスマホが鳴っているような
         ──────── 気がする ]
 
 


── 自宅2F ──

[パッと目を開けるとそこは見知った部屋
冷たい校舎でも、夢の中の部屋でもない。]


 え。俺。
 戻っ……… ってきた?
 それとも、………夢?
 

[夢だったのだろうか、
それともきちんと戻ってきたのだろうか。
あの時、そうだ、最後に俺は

眦に、ちくっとした痛みを感じて手で触る
目も鼻も、あるようだけど、信用ならない
だって俺は見たものだけを信じたいから]
 


 

 アイちゃん!!いる!?
 俺!!顔!!


[飛び起きて3秒、
転がるように部屋を出て、大声で叫んで
そうだ、鏡。洗面所。洗面所に行けば、俺]


 うわっ、あっ、っと


[どんがらがっしゃーん。
駆け下りた階段数段踏み外して落ちた。
怪我とかはしてないけれど、相当大きい音が響く
いつもならここで ──────── ]
 


 
[頭に衝撃。階段から落ちた衝撃じゃあないよ
見上げればチョップを繰り出すアイちゃんの姿。
あっ、いつもどおりの日常だ。いや不服だけど。

   『 レン!うっさい。 』

リビングからは、父親も顔を覗かせている。
いつもどおりの3人家族。他に、余計なものは無い。
見知らぬ女もいなければ、見知らぬ廊下でもない。

アイちゃん、俺顔付いてる?って聞いたら
アイちゃん史上、最高に怪訝な顔、された。

   『 そんなことよりか、
     さっきからスマホ鳴ってるけど 』]
 


 

 ユキ!無事!?
 メッセージ?なんのこと?

[その電話に出たのは
ひたすらコール音が鳴り続けた後だっただろう
20回以上は鳴ったんじゃねえかな……。ごめん。

携帯を耳に当てながら、
階段でぶつけた尻を掻きながら洗面所に向かう
鏡、鏡… 目も口もありそうなんだけど、
眦が痛いの、これ何が起きてんだ?怪我?

なんて、鏡の前にたどり着いて、
眦に小さな「出来たての切り傷」を見つけるのと
多分、ユキの口から、ノエのことを聞くのは同時。

傷、触れば痛くて、痛ッて、と声を出した。]
 


 

 ノエ、が。

[……考えないようにはしてたからさ、
そうだったんだ、っていう気持ちと、
やっぱりそうか、っていう気持ちがね半々。

俺のほうも、消去法。
その上で、ユキとユーガは絶対無いって
俺さ、確信してたから。

メイは、確証はなかったけどさ。
交わされた「また明日」の言葉が。

─── 生きている掌の温度が
    嘘だなんて、思いたく、なかったかな。 ]
 


 


 つか、いかなきゃ。
 病院は!?
 っていうかほかのやつは無事なん?

[病院のことまで教えてくれた?
俺ですか?慌てて病院向かおうとしてますけど。
でも電話で悪友が話したいことがあるっつーなら
仕方ねえなあ聞いてやらんこともないよ(傲慢)]
 


 

[あ、でもさ、これだけは電話を切る前に
ちゃんと、ユキに言わなきゃな。]


 ……あーそれと。
 ユキ、おかえり。ただいま。


[きっと、ちゃんと明日が続いてく「日常」に。]*

 


メモを貼った。


[鳩羽が電話に出るまで、たっぷり数十秒はかかったと思う。
一緒に帰って来てるって確信してた筈の俺だけど、
コール音を聞いてるうちにだんだん自信なくなってさ、

え?あいつまさかワンチャン帰り損ねてる?
失敗してそのまま逝ってたりしない?
なんて頭に過り始めたころだったから、

スマホ越しに痛え、なんて
呑気な声が聞こえたときは
やっぱりちょっとだけ安心した。]



無事無事。
五体満足で帰って来てますよーっと。


[とはいえ夢の中で飛び降りなんてしたせいか、
ちょっと重めの筋肉痛の時みたいに
全身の関節がじんわり痛い。
動けないほどじゃないけどさ。

口振り的にまだメッセージは
見てないようだったから
簡単に俺の口から説明する。

精神世界と閉ざされた校舎のこと。
黒沢が自殺未遂を試みて、病院に運ばれたこと。
それに、容体はあまり芳しくないこと。]


[鳩羽と世界の主の正体誰だみたいな話は
そういや(悪ふざけを除いて)しなかったけど
彼も何となく気付いていたんだろうか。
しんみりとした口調からは読み取れない。]

――……うん。

[頷いた後一拍前を置いて、少し迷って口を開く。
デリケートな話だけど、こんな事態だしいいかな。
いいよね。それに鳩羽だし。]



副会長さあ、
見限られるのが怖いんだって言ってた。
見捨てられないように、頑張って、親切にして、
みんなのことを気にかけて、頑張らなきゃいけないんだって。

そう命令されてるからって。


[そうして頑張って頑張って、
ある日限界が来てしまった。

死ぬのが怖いって言ってたんだよ。
リスカは死ぬためのものじゃないって言った癖に、
自分でも死ぬつもりなんてなかった癖に、
それでも耐えられなくなってしまったんだ。]


[掌を握りしめる。
写真がぐしゃりと乾いた音を立てた]


………クソだよ。そんなん。
奴隷や所有物じゃないんだぞ。
俺、許せない。


[世界の主の正体を知って、俺の胸に過るのは。

虚しさでも悔しさでも、悲しさでもない。
どうしようもない怒りだ。]


[ともあれ、九重が教えてくれた病院名を告げれば
鳩羽はその足で向かうようだ。]

他の奴にはまだ連絡とってないからわっかんないけど……
少なくとも九重ちゃんは無事。
この内容全員に送ってるみたいだから、
向かってる奴もいるんじゃないかな。

[なんて話をする。
俺もこのまま朝が来るまで
じっとしてるつもりもなかった。

取り合えずまた後で、って告げて
そのまま電話を切ろうとしたけれど]


[続いた言葉に瞬きをする。
ふ、と口元を緩ませて息を吐いた。]


……ただいま。レンもお帰り。
そんで、これからもよろしく。


[やがて来る「明日」を共にする悪友に向けて。
ちょっとだけ畏まった挨拶と共に笑った**]


メモを貼った。


── 電話・ユキ ──

[電話の向こうで語られるのは、
あっちの世界の話、ノエのこと。

なんでノエが、とかさ。
未だに俺は、思っちゃうの。
そんだけ深い話、してこなかったんだなあって。

だけど一拍置いて、語られたのは、
ノエの、悩み、デリケートな部分。
  
   ……鳩羽だし、って前置かれたのはさ、
   俺ユキに信頼されてる、っていう意味で
   いいのかな、それとも違うのかな]
 


 

 ………はぁ?誰に。

[多分全部聞いたときのさ、その声音は
トシミの人形、見つけたときと同じだったはず
だからユキがこの声を間近で聞くのは、二回目。

………誰に。なんて。
話の文脈で、だいたい絞られるけど。
親か、それともいじめでも遭ってんのか。]
 


 

 うん。

[許せない、の声には、即答で同意を返す

死にたくなかったのに。
追い詰められて、耐えられなくて。
頭ン中があんなんになるまで、限界になるまで。
そこまで追い詰めたやつを、許せるわけなんてねえだろ]
 


 
 俺さあ、あん中にいる時
 世界の主もなんか解決策を見出して
 「死にたくなくなればいいなあ」なんて
 すげえ悠長にさ、考えてたと思う。

 明日を一緒に生きれたらさ、
 一緒に飯でも食うか、くらいの。

 そんだけ、死ぬって、
 自分から遠いことで、他人事だった
 


 

 そんなん、耐えらんなくて当然じゃん
 そんなん、酷すぎんだろ

 そんなことが、現実で起きてるとかさ
 全然、想像すらできなかったんだなって、


[言葉を切る。
ノエを追いやったやつへの怒りだけじゃない。
非日常から帰ってきたっていうのにさ、
相変わらず日常らしからぬ感情で、忙しい。]
 


 
[病院の名前、教えてもらう。
他のやつらが多分無事、だということも。

順番に帰ってきているんだろうか。
最初にトシミから連絡が入ってるっつーことは
あの世界を抜けた順に、この世界に戻ってる、
そう思っても良さそうで。

つうか今何月何日だ??まあいいや。

けど、まあ。
きっとユーガとメイは「まだ」なんだろう。
無事に帰ってくることを、いまは願うだけ。 ]
 


 

 ああ、うん。
 ユキも、これからもよろしく。

[あらたまった挨拶、ひとつ
悪友であり、類友であり、戦友であり、級友であり。
なあもしよかったら、親友も名乗らせてもらっていいかな]
 


 
[ちなみに電話を切る前にさ]

 とりあえず病院行く、でいいよな
 それとも先、ノエんち殴り込みにいく?

[って言って「嘘だよ」ってすぐに撤回したのは
まあ6割くらいは冗談だったかな。 ]**
 


メモを貼った。


[黒沢から聞いた、優しくない人の話。
自分勝手で、他罰的で、思い通りにならないと気がすまない人。

それが誰を指しているのか、
具体的には聞かなかったけれど、]


……俺もはっきりとは聞いてないけど、
たぶん親とか、家族……… じゃないかな。


[見放されたら生きていけない

俺はそれを聞いて、咄嗟に親だと思った。
ってのは今まで俺がそう生きて来たからなんだけど
直感はそんなに間違ってないと思う。]


[俺達未成年の行動範囲なんてたかが知れてる。

あんな空間を作り上げる黒沢が、
学校で嫌な思いしてるとは思えないし
恋愛絡みとかでもないと思う。ないよね。

黒沢を支配して根本的な価値観に影響を与えた大人。
親か、兄弟か、それに類する保護者の誰か。]


[黒沢からその話を聞いた時、
感じたのはシンパシーだった。
でも、彼女の現実を改めて理解した今、俺は憤ってる。

子どもは親に嫌われたら生きていけないんだよ。
苦しくても認められたくて必死になるものなんだ。

それをいいことに支配して、搾取して、追い詰めて
挙句の果てに死に追いやってしまうなんて、
心の底から胸糞悪いと思った。

だって俺だって多分、
もし何かが少しだけ違ってたらそうなってた。

だからこれは黒沢の為というより
自分の為の怒りなのかもしれないけど、
今はそれでもいいよね。]


[静かな呟きには即答が返って来て
俺はその反応に安堵した。

怒りを抑えた静かな声が今は心地いい。
独白めいた思いの丈に相槌を打って。]

…………うん。

でも、副会長は自分のそーゆー部分も
あんまり人に知られたくなかった気がするからさ。

変にレンが責任感じることはないと思うよ。
何も知らない奴の明るい言葉に
却って救われてたりすることもあるしね。


[鳩羽だしは、そのまんまの意味。

感情豊かで他人に寄り添って痛みを気遣える
お前がそう言う奴だから、話してもいいかなって思ったの。
きっと黒沢も許してくれるんじゃないかなって。

これを信頼って呼ぶならそうなんだろうね。
…言わせんなよ恥ずかしい。]


[そんな悪友兼類友兼戦友兼…長えよ。
いいんじゃないもう親友で。

とにかく共に盃(紅茶●伝)を交わしたマイフレンドは
あながち冗談じゃなさそうな口振りで言うものだから、
俺は呆れたように苦笑する。]

殴りこみて。
行くなら加勢するけどさあ、
俺、副会長んち知らないもん。

[まあ気持ち的には俺もそうしたいくらいだったけど
きわめて現実的な問題が阻んだ。

それにもし知ってたとしても、
ひとまずは黒沢の容体が気にかかる。
なので電話を切った後は病院に向かうつもりだ。**]


メモを貼った。


【人】 明仄∴暁星 クロエ

 ―― 音楽室 ――

[ ここには私をとがめる人なんていない。
 だから私は窓のそばで外を眺めながら、
 立ったまま、お行儀悪くクレープを食べてた。
 責任を持って食べなきゃいけない、自己責任クレープ。
 冷蔵庫にある全部を食べ切るには
 まだまだ時間がかかりそうだけど、
 大丈夫。ここの時間は止まってるもの。
 芽衣は一蓮托生って言ってくれたけど、
 責任をもって私が全部食べるから、安心してね。
 だって私たち、友達でしょう? ]

(86) 2021/06/14(Mon) 19時頃

【人】 明仄∴暁星 クロエ

[ 音楽室の鍵は開いてた。>>85
 でも、私はこの校舎の主だから、
 鍵がかかっていたとしても、きっと問題はなかった。
 自覚してしまえば簡単なの。
 ほら、自覚してなかった時だって、
 文化祭になったり、写真が飾られたり、
 屋台が3-9のばっかりになったりしたでしょ?
 自覚してしまえば、ため息は聞こえなくなったし、
 カッターナイフも消えた。
 この校舎は私の意のままだ。
 この校舎で、私の思い通りにならないものは ]

(87) 2021/06/14(Mon) 19時頃

【人】 明仄∴暁星 クロエ


 来てくれたんだ。

[ 扉が開く音がしたから、私は振り返って微笑む。
 この校舎で、私の思い通りにならないもの。
 この校舎に残った最後の2人。
 でも、2人はこんな校舎の端っこまで会いに来てくれた。
 だから私は嬉しくなってしまう。
 炭蔵君は見たことのない髪形をしてて、>>67
 最後に珍しいものが見れたなって、
 私、やっぱりご機嫌になった ]

(88) 2021/06/14(Mon) 19時頃

【人】 明仄∴暁星 クロエ


 大丈夫、先に帰ったみんなは無事だし、
 2人ともちゃんと帰れるよ。
 でも、みんなをあんな目に遭わせちゃったのは、
 本当に申し訳なかったと思ってる。
 私、あんなことになるなんて全然知らなかったの。
 だからって、許されることじゃないけど。

[ きっと、2人が一番気になってると思うことを、
 私は最初に伝える。
 ここに来る途中に、鳩羽君と柊君のことも
 きっと見つけたよね。
 もう、校舎にいるのはここにいる3人だけ ]

(89) 2021/06/14(Mon) 19時頃

【人】 明仄∴暁星 クロエ


 2人が最後になったのは、
 きっと私が2人には最後までいてほしいと思ったから。
 でも、もうこれでおしまいにする。
 長いこと引き留めてごめんなさい。

[ 食べかけのクレープを握りしめたまま、
 私は2人に頭を下げた。
 私が謝ってたって、みんなに伝えてもらえるかな。
 私には、もうその機会はないから* ]

(90) 2021/06/14(Mon) 19時頃

明仄∴暁星 クロエは、メモを貼った。

2021/06/14(Mon) 19時頃


[責任感じるな、みたいな言葉
俺の知らないところで、言われてたこと
俺は、自分で聞いてないから知らないしさ。

それでもごめんな、って思っちまうんだよ
優等生じゃないけど
案外さ、責任感は人一倍強いのが俺だから

だからさあ。
今はユキの怒りが俺と同じ方向向いてるって
俺は信じて話してっけどさ。

実は 自分のための怒りだったとかさ
そもそもユキの境遇だとかさ
先にそーゆーこと聞いてたら

   あーたぶんユキんち殴り込みにいくわ。
   これは、10割本気で。 ]
 


 
[俺はさ、多分ユキやノエの、苦しみを、
たぶん根本のところで判ってあげられない。

生まれてきた境遇、環境は人それぞれだし
18年もの長い間に感じた想いと、
そこから生まれた感情っていうのは、
きっと、「似てる」からこそ判るものもある。

寄り添ってるつもりでもさ、
わかんねーことが多いんだよ。俺

だけど、似てない俺がさ、
それでも少しでも寄り添えてたらいいなって思うし ]
 


 

[ 誰かと軽く交わした「今度」が
  ちゃんと訪れたらいいな、って、思うよ。 ]

 


 
[共に盃(森永)を交わしたマイフレンドは
至極現実的な問題を口にするから。
あーーーーーーーーー、確かに、って言って。

ま。冗談だからな。半分は…

じゃあ、とりあえず病院で、って
俺もきっと、電話を切ったはず。かな。 ]*
 


メモを貼った。


 
── 自宅→ ──

[俺は玄関で靴の紐を結ぶ。
あの世界で貸したはずのダッフルコートは
きちんと手元に戻ってきている。

 まさか最終的には
 ユキの身体を温めてたなんてこと
 俺は、知らなかったけどさ。

 知らなくてよかったと思うぜ。
 だって知ってたら
 確実に恩を着せてたと思うから!(それな) ]
 


 
[出かけるの?ってアイちゃんが聞く。
友達が危篤、ってマジなテンションで言ったら
マジなほうでちゃんと捉えてくれたから、
これは家族であることに、感謝感謝。

  こんな馬鹿やってる俺だけど
  そーゆー洒落にならねー冗談は
  絶対つかないのをアイちゃんは知ってる

送ってくぞ、って父親が言う。
最初は無視してやろうかと思ったんだ。
でもさ、少し考えてから

   
    『 うん。病院まで頼む。 』 ]
 


 
   『 なあ親父
     俺、ちゃんと、考えたよ


 駐車場から車は発進する


   『 俺さ、高校卒業したら
     この家、出ることにしたよ。だけど 』


 オーディオからは
 聞き慣れた、親父の好きな洋楽が流れてる


   『 俺も、やっぱ嫌なんだ。
     この家に、たとえ血縁だって
     知らないやつが我が物顔で住むの。 』
 


 
 乗り慣れた助手席
 乗り慣れた車の匂い


   『 想像したら、怖かったよ。
     俺らの居場所はなくなる。
     俺らの家族は、壊れちまうって 』


 ウインカーの音
 タイヤが道路に擦れる僅かな音


   『 親父が、誰を好きになろうと
     それは。構わないよ。
     俺も、アイちゃんも家を出たらさ
     親父、もう自由に生きられんだろ。 』
 


 
 暗闇に浮かぶ赤信号
 人通りの無い深夜の住宅街
 それでも親父は規則をちゃんと守る男だ

 
   『 家には、誰も入れないで。 』


 それが俺の結論。
 できれば籍も抜いて欲しい。こっちは願望。

 
   『 あの家は。
     俺と、アイちゃんと、親父の家だ。
     俺が外に出てしまっても。
     アイちゃんが外に出てしまっても。
     帰りたい家のままに、しておいてほしい 』
 


 
 ブレーキランプが点滅する
 間もなく俺は病院に着く
 

   『 俺と、アイちゃんの望みが叶うなら。
     親父が誰を好きになろうとさ。
     親父が誰に騙されようとさ。
     そんなの。俺、知ったこっちゃないよ。

     手酷く振られた親父のことさ
     俺とアイちゃんで笑ってやるから。

     だから、好きなようにしたらいいよ。 』
 


 

 病院の白い壁。
 あの入り口のほうにいるのはシンだろうか。
 ユキは、病院ついたかな。どうだろ。


   『 でもさ、覚えておいて。
     俺にとって、鳩羽家は。
     親父と、アイちゃんと俺だけだから。
     ほかのひとは、必要ないよ。 』


 


 


  じゃ、行ってくる。
  帰り?適当に連絡するけど、
  待ってなくていいよ、寝てろよ。


   ……それかタクシー代ください、って言ったら
   アイちゃんだったらげんこつモノだけど。
   優しい親父はどうかな。
   諭吉一人くらい恵んでくれないかな。 *

 


 
── 病院外 ──


 シン!

[そうして病院の外の自販機に、
シンの姿が見えたなら、きっと駆け寄ると思う

よかった、無事だった。って。
へらっと笑った顔は、いつかの夏のように
心底嬉しそうな、顔をして。 ]*
 


メモを貼った。


 ── 現在・病院前 ──

[ いつもみたいにおどけてみたって、
 目の前に横たわる笑えない現実は変わらない。

 子どもみたいに「ずるい」と言って、
 変なところで胸を張った番代に、
 慎一は笑っていられたんだけど。

 場を離れてひとり、
 冷え込む空気に晒されながら、
 自販機を見上げるころにはなんだか、
 もう、全然。ちっとも笑えなかった。]
 



[ 暗がりにぼんやり光る箱の前。
 自販機のラインナップを上から眺めて、
 財布の中の小銭の合計を数えて──、

 ……そう。たとえば、なんだけど。
 校舎に迷い込んで間もないころ、
 「慣れちゃった」と言った黒沢に、
 もし慎一が「そっか」以外を言えてたら。

 ……あったか〜いカフェオレ。
 缶入りのそれを見つけてボタンを押す。
 がこんって音がして缶が落下してくる。]
 



[ 落第生の反省部屋。
 そういう言い方ができるのは、
 慎一にその自覚があるからだ。

 これからはもっとちゃんとやる。
 もう少しがんばってみたいと思う。
 表向きは前向きな言葉を並べてみても、

 今、この瞬間、胸の内側にあるのは、
 「むなしい」だか「くやしい」だか、
 あのとき視界に確かに存在したものに、
 慎一は手を伸ばさなかった、という自覚。

 ……仕方ないと思っていたんだけどなあ。
 慎一は自分のことで手一杯なんだから。
 人の助けになれればどんなにいいかと夢見ても、
 慎一の腕はいつもふさがってる。だから仕方ない。]
 



[ 他人の面倒を見るなんて、
 慎一にはまだまだ早かったみたい。

 でも、ほら。
 少しずつ自分との付き合い方を学んだみたいに、
 いつかはそれもできるようになるかもしれない。

 今はまだ早かっただけ。
 みんなより少し歩みはゆっくりでも、
 ちゃんと前には進んでるからえらい。
 そのうちきっとできるようになるから。

 そう言い聞かせるようにしてきたんだけど、
 正しくて、前向きな考えのつもりなんだけど、
 慎一は今、どうしようもなく悲しい。

 ……つめた〜いコーラ。片隅に追いやられてた。
 またボタンをひとつ押す。ガコンと音がする。]
 



[ ……いつか、じゃダメだった。
 慎一はもうあの校舎には戻れない。
 せっかく慎一のことも招いてくれたのに。]
 



[ ……あったか〜いミルクティー。
 缶じゃなくてペットボトルのやつ。

 慎一は缶飲料のあの飲み口の感触がどうも苦手で、
 だから、缶が多いコーヒーよりダンゼン紅茶派。
 今もそれを探してボタンを押す。これでみっつめ。

 取り出し口はぎゅうぎゅうだろうなあって、
 しゃがみ込んで、手を突っ込んで、まさぐって。

 ……ああ、取り出しにくいったらない。
 全然引っ張り出せなくて、泣けてくるくらい。

 「くそ」ってひとりごちながら、
 一つひとつ順番にパズルみたいに取り出してく。
 もどかしくって、涙が出てくる。ばかみたいだ。]
 



[ できることなら慎一は、
 今すぐあの校舎まで飛んで帰って、
 なにか、なにか言いたい。分不相応でも。
 あの手首を、全然痛まない程度に握って、
 一緒に帰ろうってここまで引っ張ってきちゃいたい。]
 



[ ……気づくのも遅いんだよなあ。慎一ってば。
 手の届く小さな範囲に抱くくやしさも、
 「言えよ!」って叫びたくなる気持ちも。

 どれも遅すぎたので、雑の飲み物を取り出しながら、
 ただひたすら、もう一度目の前に立ってほしいと思う。
 慎一の視界にも入るとこに。両手を広げて届く距離に。]
 



[ ……ごめん、綿見。
 もう少し頭を冷やしてから戻るね。
 カフェオレ、ちょっと冷めるかもしれない。
 番代は──、コーラが爆発したらごめん。

 そんなことを考えながら、
 ぼうっとひとりで自販機の前に突っ立ってた。
 たぶん、少しの間。両手に飲み物を抱えて。]
 



[ ひとりでいるのはさみしい。
 ラクなはずなのに、楽しくない。
 そのうえ時にはひどく気が滅入る。]
 



[ ──なので、
 そのとき声をかけてくれてよかった。

 いつだって慎一はそう思ってる。
 馬鹿げた量の買い出しのときも、
 非日常めいた校舎の中、日常ぶってみたときも、
 それから今、ひたすら自販機の灯りを眺めてたときも。]
 


 ── 現在・病院外 ──


  ……えっ、うわ、わっ、


[ ほとんど意識が内側に向いてたものだから、
 慎一は唐突にかけられた声に驚いて、
 落としそうになった飲み物のバランスを取ったとこ。

 一瞬、ぽかんみたいな顔をして、
 まじまじと10秒くらいは見慣れたその顔を見つめた。

 いつもと変わらない顔。いつかみたいな笑顔。
 混線しかけた脳内がゆっくりと整理されて、
 帰ってきたのか、というところにやっと行き着く。]
 




  ──レン?


[ その瞬間、あの世界がどうなったとか、
 いろんなこといったん全部さておいて、
 慎一もつられたように笑う。いつもみたいに。

 なんていうか──、
 君の笑顔にはそうさせる何かがあるよね。
 とは、慎一は口に出しては言わなかったが、]


  ……レン、おかえり。帰ってきたんだな。


[ 顔が見れて安心した。
 ……ってのは隠しきれやしないだろう。]
 




  で、その傷……、
  またチャイム、鳴ったんだ。


[ 顔についてる真新しい傷のこと。
 うすうす原因に想像はつくんだけれど、
 そういうことだろうなと思いつつ聞いたりして。

 中にほかのメンバーも来ていること、
 それから、黒沢の母親がそこにいることも、
 タイミングをみて伝えられるといい。*]
 


メモを貼った。


── 病院外・シン ──

[持ち過ぎじゃあなかろうか。
コーラにカフェオレ、ミルクティー。
つめた〜いもあったか〜いも抱えたシンが
自動販売機の前で、ぼんやりしてた ]


 あっごめ


[俺の声かけはシンにとっては
今日もイレギュラーだっただろうか。
荷物を取り落としそうになったシンにさ
ごめん、って思わず声をかけた。

それからぽかんとした顔をしてさ、
こっちをじーって見つめるわけ。 ]
 


 
[レン?ってシンが呼んでくれて
ああ、なんか理解してくれたんだな、って
シンの中でなんか繋がったんだな、って
それがわかっちゃって、うれしくって。 ]


 おう。ただいま。


[多分いまはさ、
こんなウキウキした状況じゃあ決して無いんだけど。
でも目の前のシンは少なくともずぶ濡れじゃなくて
マネキンなんかじゃなくて、息を吸える人間で。

だから、嬉しかったんだ、笑わせてくれよ。 ]
 


 

 傷…
 あ、そう、そうだった、痛ッ


[忘れてた。
車の中ではすっかり大事な話に気を取られてたし
ノエの話聞いてからはそれどころじゃなかった
忘れてたけど、痛いんだった。]
 


 


 飲み物……
 パシリ?


[中に居るであろう人物を思い浮かべる。
ひとみと、トシミと、マナと、リツ…… かな
それにしては本数が少ないけど。

リツは自分で買いに来そう。
トシミはこういうの頼まなさそう。
……ああなるほどなって勝手に理解したころには、
中に居たメンバーの話はきっと聞けたはず。 ]
 


 

 ユキも。帰ってきてるよ。
 さっき電話した。

[残ってるのはユーガと、メイ。そしてノエ。
ってのは別にシンには言わなくても判るかな。]

 中、入る?
 それともちょっとどっかで話す?

[あ、でもそれ持ってかないと、
女子たちに怒られちまうのかな。どうだろ。]
 


 
[結局さ。俺、シンの
生きづらさに気づいてあげられなかった

メイにさ、シンの代弁してもらって
ようやく、すこしだけ知ることができたくらい。

……今からでもさ、遅くないかな。
楽しいと嬉しい以外の話、
これからでもできるかな


  ………それとも。
  俺やっぱり楽しい話、してたほうが、
  シンはさ、嬉しい、って思えるのかな。 ]
 


 

[ 心の声に気づくほど
   俺は、賢くなんてないけどさ。
   だけど、抱えた荷物には、気づくよ。
   目に見えるものなら、いつだって判るよ ]

 


 


 とりあえずさ、あったかいのか冷たいの
 どっちか持つよ。
 ぬっるーいコーラ、多分イヤだろ。


[荷物を肩代わりするくらいならできるからさ。
俺にできることなら、なんでも言ってよ。

そしてさ、シンの両手がほんのすこし楽になったら
なんか一緒に、話でもしようよ。 ]
 


 

 …んじゃー、ふつーの話する?
 それとも、まじめな話する?


[あんまり大笑いできる心境でもねえから、
笑顔はいつもより弱々しかったかもだけど。

でもすこし話すくらいよくない?

ユキの正解はさ、まじめな話だったけど
シンの「当たり前」の日々に存在して欲しい話題はさ
今は、どっちなんだろう。 ]* 
 


メモを貼った。



[ 炭蔵くんの泣き顔は、もしかしたら
  彼がこちらに戻った時に見られるかも?
  ……なんて。

  珍しいものが見られたなら残したくなるのが
  人の性といいますもの。
  撮れたらねって二つ返事で了承しよう。

  まあ、長いこと彼と一緒にいる向井くんすら
  なかなかお目にかかれない代物の様だけど。]
 



[ どれだけ彼の心に棘を刺していたのかは
  私には測り知れないのだけれども。
  さて、何でわかったのと訊かれたならば
  何だか愉快気な様子のまま。]
 
 
  そうだなあ…………。
  …… 私にはそう見えた。そんな感じ。


[ 藪蛇でもないんじゃない?と。
  少なくとも今の君には。
  同族嫌悪にも近しい何かだったけれど。

  死んだ程度では然程変わらなくても、
  それでも何も無かった訳ではないだろう]
 



[ あそこで何が起ころうが、現実が変わる訳でも
  急に物事が解決するわけもない。
  せいぜいものの見え方が変わるくらいだろう。

  何だかくすぐったそうにしている彼に
  こちらは笑みを浮かべるばかり。
  ……過去形であることを指摘されれば、
  今度はこちらがむず痒いような気持ちになる番。]


  んー…… 何だろう。
  何も変わってないんだよ、私。
  頑張る気はそんなに無いし、諦めてるし。

  でも。ちょっとだけ、荷物は降ろせたかな。


[ 諦めたくせに、それを後ろめたく思ってたから。]



[ よかった。 ……のかもしれない。
  後ろ向きに前向きな形ではあるけど、
  やっと許せそうではあったから。]


  そんなに怖がらなくても良いのに。

  ……そっか。
  なんかまた限界ギリギリになってたら
  つつきにでも行ってあげようかな。


[ なーんて。彼がしばらくは頑張るつもりなんだ、
  それに水を差そうとは思わない。

  そっと教えて欲しい
  言い添えられたなら。
  わかったわかったって軽く言っておこう。]



[ なんだか不思議な目線を感じたけれども
  そのあたりはひとみの視線を感じて、一旦中断。]


  大丈夫大丈夫、また作るからさ。
  こっちに戻ってきたんだもん、
  ひとみにも幾らでも作ってあげるよ。


[ あの空間だとある程度材料は限られちゃってたし、
  こっちでまた、何度でもやればいい。
  キラキラした目線に応える様に笑って。

  また女の子の秘密の夜を再現しても良いし、ね。]
 



[ リクエストを聞いてくれた向井くんを
  そっと見送ってから、
  ひとみからかけられた言葉に少し、考える。]


  ……どこまで、わかってたの?
  本当にびっくりしたんだけど、……まあいっか。

  寝て起きたら言おうと思ってたら、
  ひとみ居なくなってるしさ。
  困ったっていうか、……何だろうな。


[ 酷い醜態を晒したことは、流石に言えなかった。
  あれは私と黒沢ちゃんだけの秘密。]
 



[ 迷いつつ、言葉を探す。
  彼女の方はと、いうと

  以前聞いた守護霊の子とは、なんとかなりそう、と
  ……マネキンの側にあった小さな足跡、
  きっとそれが、そうだったのだろうか なんて。]


  ……そっか。
  ひとみにとって良い形に収まったなら、
  よかったって思うよ。

  教えてくれてありがと。


[ 思い込みの力って、強大だから。
  それは私も身をもって知っているしね]*



 ひとみちゃんの瞳は全てお見通しだからね。

 ……なんて。
 私、何もわかんなかったけど、
 茉奈ちゃんも似たようなことを抱えてるから、
 相談に乗ってくれたのかなって。

[エスパーじゃないよ、ただの勘。
あの相談の時に呟いていた言葉はよく聞こえなかったけど、
反応をなんとなく覚えていたから。]

 あ……先に帰って、ごめん。

[そうか、茉奈ちゃんからしたらそういうことになるのか。
その後のことは分からないけど、私の帰るタイミングが悪すぎたらしい。]


[茉奈ちゃんが言葉を濁しても構わない。
話したければでいいし、話したくなければそれでも。
私は私の報告だけを伝えて、スッキリしたつもり。]

 うん。良かった良かった。

 ……あ、利美ちゃんから貰ったおふだの捨て方、
 後で教えて貰わなきゃな……。

[結局意味の無かったアレをどうするかを思い出したように呟いて、
集中治療室で今も頑張っている乃絵ちゃんのことを想う。
クラスメートが死にかけているこんな時でも、
私は自分の荷を下ろせて笑って、不謹慎って言うのかな、やっぱり。

茉奈ちゃんとの話に区切りが付けば、
集中治療室前のほうへ戻ってみようか、と思って立ち上がる。*]


【人】 明仄∴暁星 クロエ

  ―― 音楽室 ――

[ 探したぞって言われて>>94
 ああ、探してくれたんだなって思うと、
 私はやっぱり嬉しい。
 だから、私はうん、って頷く ]

 そうだよね。
 ありがとう。
 
[ 3階の一番奥。普段の私とは縁のない場所。
 私はヒントになるようなものを何も残さなかったし、
 ピアノの鍵盤を押してみたりもしなかった。
 そんな「ここにいるから会いに来て」って
 アピールするみたいなこと、
 こんな時だってやっぱり私にはできない。
 それなのに、こんなところまで探して、
 会いに来てくれたんだよね ]

(105) 2021/06/14(Mon) 22時頃

【人】 明仄∴暁星 クロエ

[ 炭蔵君は、前髪をてっぺんで固定してた。>>67
 止めきれなかった前髪が左右に落ちてる。>>78
 横に流して止めればまた違ったんだろうけど、
 その留め方は私も幼く見えると思う。>>95

 私は炭蔵君とあんまり身長が変わらない。
 目線の高さも同じくらい。
 だから、前髪の隙間から覗く目を、
 下から見上げるなんてこともしたことがなかった ]

 私はいいと思うな。
 炭蔵君の顔がよく見えるもの。

[ きちんとこうして目が合うの、初めてじゃないかな ]

(106) 2021/06/14(Mon) 22時頃

【人】 明仄∴暁星 クロエ


 このクレープは、昨日の夜芽衣と作ったの。
 私も芽衣も初めてだったから、ちょっと失敗しちゃった。
 でも、すごく楽しかった。

[ クレープのことを炭蔵君に聞かれて、>>96
 ね?って芽衣に同意を求めたけど、
 芽衣は笑ってなかった。>>103
 芽衣は楽しくなかった?
 ああ、そうだよね。
 こんなところに閉じ込められて、
 他のみんなはあんな目に遭ったのに、
 楽しかったなんて、不謹慎だよね。
 そう気づいて、ちょっと反省した ]

(107) 2021/06/14(Mon) 22時頃

【人】 明仄∴暁星 クロエ

[ 反省した私は、ちょっと申し訳なさそうに2人を見る。
 私がここを作ったのかって、芽衣に聞かれて、>>104
 ああそうか、そもそもそのことも
 ちゃんと言ってなかったなって気づいた ]

 とぼけてたわけじゃなかったの。
 私、本当に気づいてなかった。
 すっかり忘れてたの。
 ごめんなさい。

[ そうだよね。まずはそこからよね。
 みんな、校舎の主は誰だろうって探してたのに、
 私はそれが自分であることをすっかり忘れて、
 素知らぬ顔してたんだもの ]

(108) 2021/06/14(Mon) 22時頃

【人】 明仄∴暁星 クロエ

[ 帰ろうよ、って芽衣が言う。
 だから私はますます申し訳ない気持ちになった ]

 ごめんね。
 あのメールを送ったのは私。
 ……私、自殺しちゃったの。

[ ここに連れてこられちゃっただけの
 芽衣や炭蔵君とは違う。
 現実世界の私の身体は、もうほぼ死んでるはず ]

 だから、私は帰れないの。
 

(109) 2021/06/14(Mon) 22時頃

【人】 明仄∴暁星 クロエ

[ 炭蔵君の顔がよく見えるの、いいなって思ったけど、
 あ、この顔はきっと怒ってるよねっていうのも>>97
 いつもよりよくわかるから、
 本当に、申し訳なさしかない。
 ごめんなさいって謝ることしかできないよ ]
 
 ……ごめんなさい。
 私、自分のこと、よくわかってなかったみたい。

[ 約束を忘れたわけじゃなかった。本当だよ。
 あの約束は、私にとって拠り所だった。
 SOSを出せって言われたの、本当に嬉しかったんだよ。
 私のこと、助けてくれるつもりなんだって、
 嬉しかった ]

(110) 2021/06/14(Mon) 22時頃

【人】 明仄∴暁星 クロエ


 大丈夫だと思ってたの、本当に。
 大丈夫じゃなくなる時って、一瞬だったんだね。

[ 棒倒しの棒だって、積み上げたジェンガだって、
 崩れる時は一瞬だ。
 そんなことくらい知ってるのに、
 私、自分のことはわかってなかった ]

(111) 2021/06/14(Mon) 22時頃

【人】 明仄∴暁星 クロエ


 それに、私、自分で思ってたより馬鹿だったの。
 馬鹿だから、助けての言い方もわからなかった。

[ だから、こんなことになっちゃった、って
 眉を下げて笑う。
 私の右手はクレープでふさがっていて、
 左手首なんか握っていないのに、
 炭蔵君が手首を握ってるなんて、なんだかおかしいね。
 
 私からも見えるような絆創膏だったら、
 私、あれって呟いて眉を寄せるし、>>98
 炭蔵君、その手はどうしたの?って聞くよ* ]

(112) 2021/06/14(Mon) 22時頃

 ── 現在・病院外 ──

[ 傍から見た自分の姿など、
 意識してもいなかったけれど、
 確かによくばりさんのソレだった。

 別に悪くもない相手に謝られながら、
 こぼれおちそうなコーラ缶をキャッチ。

 ただ慎一がぼーっとしてただけだった。
 確かに、誰かに声をかけられた慎一は、
 おおよその場合慌てているんだけれど。]
 



[ 「ただいま」って鳩羽が笑う。
 病院の目の前にはちょっと不相応な笑顔で。]


  ……なんだよ、
  そんなニコニコして。

  いなくなった奴は帰ったんだって、
  なんとなく予想はついてたろ。


[ つられて笑ってしまったくせして、
 あんまり屈託なく笑われると、
 慎一はなんだか少し変な気分。

 先に帰って待つ立場ならともかく、
 あの世界の主──黒沢が帰ってきたならともかく。]
 



[ ……あ、いや。ヤなわけじゃなく。
 ただ少し不思議なだけだった。

 だから今も、思い出したように痛がる姿に、
 ささやかな日常を感じて笑っていた。]


  ……頼んだらバンソーコーとか、
  消毒液くらい貸してもらえんじゃね?
  なんせここ、病院だし。

  何があったんだか知らないけど、
  男前が台無し……、


[ 保健室じゃないんだからって、
 怒られてしまう可能性もあるけれど。]
 



[ 当たり前のように始まる、
 なんでもないような会話が、
 慎一にはいつだって心地よかった。

 あのあと、あの場所では何があったの?
 何か進展はあった? そう聞くより先に、
 冗談交じりの言葉を投げながら、
 不本意な疑問には否定の言葉を返す。]


  ……自発的にだよ。
  パシリじゃねーし。


[ ね。ここだけ切り取れば、
 文化祭の会話といってもわかんないね。]
 



[ 「ユキも」そう言われて、
 慎一は「そっか」って短く返した。

 言われなくても、頭の中で数えてる。
 誰が残っているのか。あと何人なのか。
 チャイムが何かの合図だとすれば、
 あとどれだけの時間が残されているのか。

 ようやく非日常に、
 言い換えればこの非情な現実に、
 慎一の思考も戻ってきたところだった。]


  ン、まだ戻んなくていいかな。
  なんか、女子で話してたっぽいし。


[ ちらりと病院のほうを見て、ふいと歩き出す。]
 



[ カイロ代わりにもなるふたつと、
 ちっとも恩恵のない冷たいひとつ。
 どちらを渡すのが正解なんだろう。

 「別にいいよ」って言いかけたけど、
 やっぱり両手が塞がってちゃ不便だった。

 どっちもどっちな選択肢に一瞬迷って、
 慎一はあったか〜いを差し出した。]


  ン、サンキュー。
  ポケットにでも入れといて。
  そっちは振っても問題ナシ。


[ 自販機前、占領してちゃ悪いからさ。
 少しだけ離れながら、慎一は笑った。]
 




  ……なンなんだよ、その二択。


[ 差し向けられた、ふつーorまじめ。
 握りしめるには冷たいコーラを、
 両手で交互に弄びながらその顔を見た。

 いつもどおりみたいでそうじゃない、
 ほんの少し弱々しい笑顔。
 きっとこれも正面から見なきゃわからなかった。]
 




  ……どっちがしたいんだよ、おまえはさ。


[ 思わず、少し笑って聞き返してた。
 少し性格の悪い答え方になっちゃうけど、
 慎一はまだどう踏み込めばいいのかわからない。
 今までそんなことしてこなかったからさ。]
 



[ でも、そうだなあ。
 何も話したいことがないわけじゃないんだ。
 だから慎一は一瞬おいて、ゆっくり口を開く。]


  ……俺はなー、
  レンってすごいやつだったんだなーって、
  まさに今。そういうこと考えてたとこ。


[ これはふつーの話だと思う?
 それともまじめな話? どう思う?

 行く当てもないから、ゆっくり歩いて、
 いつもより少しゆっくりと言葉を吐き出す。]
 



[ ふつーでもまじめでも、どっちでもよくて、
 ただその顔見てたら、口に出したくなっただけ。

 どうだろう。慎一は静かに笑ってる。
 「もう少し話す」のに相応しい話題だっただろうか。*]
 


― 幕間・柊家 ―

[病院に向かうにしたって
現実的な問題その2が伸し掛かる。
そう、つまり交通手段だ。

こんな時間じゃ電車もバスも通ってない、
高校生にはタクシー代もままならない、
誰か呼び出してきてもらうにしたって
うっすい繋がりの男の為に自宅まで
わざわざ来てくれる可能性も低い。

一先ず身支度をしていた所で
物音を聞きつけた親が起きてきた。
不良学生の俺だけど、こんな時間から出かけるのは珍しい。

怪訝そうに、けど少し離れて様子を窺う親に、
少しだけ逡巡して声を発する。

「―――あのさ。」]



友達が危篤で。搬送されたって。だから。
病院まで車、出して貰えないかな。


[それを聞いて両親の顔が歪む。
こんな時間に?今から急に?明日も仕事なのに、
って書いてあるのが分かる。

多分俺、今までだったらここで
やっぱいいよって薄笑い浮かべただろう。
ううん、そもそも頼まなかったと思う。

怪訝そうな父と困惑顔の母。
2人を見て、頭を下げた。]




自殺未遂で重体なんだって。
心配なんだ。……おねがい。


[顔を上げた時、2人は驚いたように俺を見ていた。
少しの間があってひとつため息をついた後、
来なさい、って母が言う。]


[結局、母の車に乗せて言って貰えることになった。
俺を病院まで送って行った後、
どこかで時間を潰してそのままパートに出るらしい。

迎えにはいけないけど大丈夫、って聞くから
バスか電車で帰るよって答えた。

友達は大丈夫なの、って聞くから
わかんない、って答えた。

静かだった。
暫くお互い無言のまま、走行音だけが響く。]


……ねえ。




 虐待ってさ、
 どうやって助けたらいいの。  

 


[そう問いかけた時、
母親がはっきり目を見開いたのが
ミラー越しに分かった。

また数分の沈黙の後、
彼女がぽつぽつと話し始める。
俺の知らない話だった。

彼女ら夫婦は昔、俺が小さい頃に居たような
児童養護施設でボランティアしていて、
それがきっかけで出会って結婚したんだそうだ。

色んなこどもが居たそうだ。
障害がある子、親が亡くなった子、貧困家庭の子、
それこそ親から虐待を受けている子も
珍しくなかったらしい。

……昔の俺みたいに?
って突っ込んで聞く勇気は
流石にまだなかったけどさ。]


[それから、
色んな制度を教えてくれた。

専門のお悩み相談窓口みたいなものとか
困った時に逃げ込めるシェルターだとか、
場合によっては弁護士や裁判所が
相談に乗ってくれることも。

全部が全部は覚えきれなかったけど、
頭のメモ帳に書き入れた。
黒沢が戻ってきた後に、
もしも何か役立つことがあればと思って、]



「もう薄々気付いてるかもしれないけど。
 大人も、思ってるほど立派じゃないの。
 でも、あなたたちよりは知識をもってるから。
 困った時は頼りなさい。」 


[ふいに、そんな台詞が耳に届いて、
目を丸くするのは今度は俺の方。

でも、それ以上話を続ける前に
車が病院に到着したから。
運転席のその人は、じっと俺の方を見ていた。]




 「由樹。
  あなたの顔を久しぶりに見た気がする。
 

    ……友達、無事に回復するといいね。」

 


[そう言って俺を見る母さんは、
少し気まずそうな顔で。
それでも一番最初に会った時みたいに
穏やかに微笑んでいた。

その時初めて、俺も。
まともに彼女の顔を見て話したのが
随分久しぶりだってことに気付いた。]


[―――うん、だから。
殴りこみを頼むのはもうちょっとだけ
話してからでもいいのかもしれないな。

気持ちは有り難く受け取っておくよ。*]


― 病院にて ―

[俺の家は豊高から電車で2時間かかるところにある。
つまりそれだけ郊外にあるわけで、
鳩羽よりも到着するのは遅かったと思う。

受け付けの人に黒沢が居る部屋を聞いて、
病院内の廊下を歩く。

皆帰って来てる筈、とは思ったけど
やっぱり姿を見るまで安心は出来ないからさ。
きょろきょろと知り合いの姿を探していれば
誰か見つけられただろうか**]


メモを貼った。


── 病院外・シン ──


 半信半疑だったよ。
 だからうれしーんだよ言わせんな!


[居なくなったやつが帰れるかどうかは、
俺ん中でずっと確証なんて、なかった。
いや、だってさ
世界と同化するとか言うやつがいたから…
まあ結果的に帰ってこれたから、いいんだけど。

照れ隠しにゴツ、とグーで肩を正面から小突く
また蹌踉めかせても悪ぃから、
全然強くは小突いてないけどな! ]
 


 
[でも肝心のノエは帰ってきてない。
本当の「良かった」を言葉にするのは、
もうすこし、あとに取っておきたい。……って ]


 え、なに?
 男前っていった?
 もう一回言っていいよ


[傷を擦りながらへらへらと笑う。
絆創膏は、あとで頼んでみようかなって
ちょっと頭の隅にとどめておいた。]
 


 
[両手に収まったのはカイロ代わりになるふたつ。
丈ぴったりのダッフルコートのポケットはでかい。
両ポケットに突っ込んだなら、見た目は悪いけど
俺も無事、両手は空いた。
すこしはシンの両手も、軽くなるだろ。な。]
 


 


 ええーどっちでもいいかなー


[選択肢を振ってみたものの、
ぶっちゃけ何から話したらいいのかなんて
改まって考えると、困っちまうよな。

どっちでもいいし、どっちもしたい。
なんなら馬鹿な話も、いくらでも。

目の前の「生きてるシン」に
相変わらず嬉しそうなのは否めないだろう
だって俺、昨日死ぬほど泣いたんだぜ? ]
 


 
[そんな矢先に、そんなこと、いうから]


 なんッでだよ
 どこがだよ!!


[褒められるのには慣れてないんだよ(n回目)
シンよりすごいところがどこかにあるだろうか。
もしかしたらあるのかも?あるんじゃねえか?って
一瞬頭の中を探したけれど、思いつかねえ。
だから俺は、挙動不審だ。] 
 


 


 んなことねーよ
 シンのほうがすげーし、
 多分、すごく、頑張ってるよ。


[シンの歩調に合わせて、ゆっくりとなりを歩く
静かに笑ってるシンを見て、俺は言う。
やっぱりきっと、ちょっとだけ笑って。
自虐的だとか卑屈だとかそういう顔じゃねえよ?
だって、本当に、そう思ってる。 ]
 


 

 ………苦しかった?
 今も、苦しい?


[何が、とは聞かなかった。
どう捉えてくれても構わなかった。
何が?って聞き返されるのならばそれでもよかった

服の下、首がどうなってるのかは知らない。
だけど苦しそうだったシンの人形は見たしさ。
メイに聞いた話だって、あるし。

でも、本当のシンが、
俺にどう話してくれるのかを
ちょっとだけさ、知りたかったんだ。
どんな答えでも、俺はシンの言葉をまっすぐ聞くよ。 ]*
 


メモを貼った。



[ じっと、その深い色の目を見てた。]
 


 ── 少し前・病院内 ──

[ ……なんか楽しそう。って、
 うっかり言ったりはしなかった。

 ただ、短く返された言葉を拾って、
 「そう見えた」……そっかあ。

 「人のことよく見てるんだね」とは、
 そのとき、綿見には言わなかった。

 同族嫌悪という言葉が浮かぶことは、
 慎一の中ではついぞなかったが、
 それでも、慎一も考えたわけだ。]
 



[ たとえば。腹の奥底に飼うむなしさの話。
 慎一に深く根付いて吐き出せないそれを、
 あるいは似たものを内側に抱えてるなら、
 やっぱり、慎一は「よかったね」と思う。]


  ……あはは、
  じゃあ、似たようなもんだなあ。
  少しだけでも、綿見が、
  身軽になれたんならよかった。


[ それともたまには、あのときみたく、
 「むなしいね」って言い合ってみる?
 ……そんな日が来ないのが一番だけどさ。]
 




  破裂する前によろしく。
  ……やさしく、な?


[ そんなこと言われたって怖いものは怖い。

 いくら似たものを抱えていたって、
 きっと慎一と君じゃあ怖いものは違う。

 結局のところ互いに何を飼っていたのか、
 その形そのものは知らないまんま、
 慎一は綿見と番代に手を振って立ち去った。

 お礼≠ニついで≠買うために。*]
 


【人】 明仄∴暁星 クロエ

[ 例えばの話。
 保健室で芽衣を起こして、>>99
 「芽衣、おはよう。あのね、思い出したの。
  この校舎の主、私だった」って言ってたら、
 どうなってたかな?
 やっぱりちょっと格好悪い気がする。
 最後くらいちょっと格好つけさせてくれても
 いいじゃない?
 でも、結局クレープ立ち食いしてるところ見つかったから
 どっちにしたって格好悪かったね ]

(128) 2021/06/14(Mon) 23時半頃

【人】 明仄∴暁星 クロエ

[ 私、謝ることしかできないと思う。
 こんなところにみんなを閉じ込めたし、
 先に帰ったみんなはあんな目に遭ったし、
 みんなが探してた校舎の主は私だったし、
 帰ろうよっていう芽衣のお願いも聞けないし、
 炭蔵君との約束だって守れなかった。
 謝るしかないって思うのに、
 欲しいのは謝罪じゃないって言われても>>116
 困ってしまう。
 謝る以外に、私にできること、何かある?
 私、本当にわからなくて、
 心底困った顔で首を傾げた ]

(129) 2021/06/14(Mon) 23時半頃

【人】 明仄∴暁星 クロエ

[ 炭蔵君に非なんてないよ。>>117
 クラスの委員長っていうだけで、
 クラスメイトみんなの人生背負っちゃうつもりなのかな?
 私が隠したかったものを、炭蔵君は尊重してくれただけ。
 私は感謝しかしてないよ。
 だから、非なんて感じないでほしい ]

(130) 2021/06/14(Mon) 23時半頃

【人】 明仄∴暁星 クロエ


 炭蔵君は、こんな風になっちゃう前に、
 助けを求めることができるようになったんでしょ。
 その差って、大きいよ。

[ 死ねたらいいなって考えることと、
 本当に死んじゃうことくらい違う。
 手遅れになる前に言えなかった、
 私はきっと馬鹿だと思う。
 私と、炭蔵君は違うよ。
 ……そう思ったのに ]

(131) 2021/06/14(Mon) 23時半頃

【人】 明仄∴暁星 クロエ


 それは馬鹿なことだよ!

[ 私と同じ気持ちになってみようと切ったなんて!>>119
 訂正する。炭蔵君も馬鹿だ。
 悪びれた様子もなく、平然と手首を見せる炭蔵君に、
 私は開いた口が塞がらない。
 柊君もざっくりやっちゃったみたいだったし、
 3-9の男子、好奇心強すぎない? ]

 同じ気持ちになってみようとしたからって
 こんなことしてたら、命がいくつあっても足りないよ!

[ 面倒見のいい炭蔵君だもの。
 私が特別じゃないことくらいわかってる。
 クラスのみんな一人一人にこんな風に向き合ってたら、
 本当に炭蔵君、そのうち死んじゃいそう ]

(132) 2021/06/14(Mon) 23時半頃

【人】 明仄∴暁星 クロエ

[ 私の手首?見たい?
 私はあまり見せたくないな。
 誰だって自分の汚いところ、見せたくないでしょ。

 それにね、現実の私は、こんなものじゃない。
 思い出した私は知ってる。
 替え刃を何度も折りながら、体中傷つけたこと、
 覚えてる。思い出しちゃった ]

(133) 2021/06/14(Mon) 23時半頃

【人】 明仄∴暁星 クロエ

[ ここは、私の気持ちを代弁した世界?>>120
 それは、確かにそうだと思う。
 ここは私の望みが叶う世界。
 だけど、「助けて」と言えない私の気持ち?
 そんなことは……そんな、はずは ]

 ……ちがう。違う、よ。
 私はただ、文化祭の思い出が大事で、
 その思い出を、ずっと大事にできる場所に行きたかった。
 
[ そのはず。それ以上の意味なんて、ないはず ]

(134) 2021/06/14(Mon) 23時半頃

【人】 明仄∴暁星 クロエ


 炭蔵君には、謝りたかった。
 約束したのに、私、本当にあの約束、嬉しかったのに、
 守れなくてごめんなさいって、謝りたかったから。
 ……それだけだよ。

 芽衣は、絶対私の秘密に気づいてたのに、
 気づかないふりしてくれたから。
 いっぱい、私の嘘に付き合ってもらってごめんねって
 そう言いたかった。
 あとね、芽衣のピアノ、聴いてみたかった。
 それが最後の私の心残りだから。

[ そのはず。私の最後の心残りはそれで、
 私は、それ以上何も望むことなんて* ]

(135) 2021/06/14(Mon) 23時半頃

メモを貼った。


【人】 明仄∴暁星 クロエ

[ どうしてって、芽衣が聞く。>>125
 そうよね、気になるよね。当然だと思う。
 そして、私は2人をこんなに巻き込んじゃった。
 2人には……ううん、この校舎に来てくれたみんなには、
 「どうして」を知る権利がある ] 

 芽衣は、お父さんのこと、好き?
 炭蔵君は、家族のこと好きって言ってたよね。
 私、そう言い切れる炭蔵君が羨ましかった。

[ 夏の日の会話を思い出す。>>0:821
 ねえ、炭蔵君、あの時の私の返事を覚えてる?
 憎んでるんじゃないかって思うことも、あるかな。
 私、そう答えたんだった>>0:899 ]

(136) 2021/06/15(Tue) 00時頃

【人】 明仄∴暁星 クロエ


 私、姉が一人いるの。歳は離れてるんだけどね。
 綺麗で、頭がよくて、人望もあって、
 みんな、姉のこと完璧だって言ってた。
 父の自慢の娘だった。
 でもね、ちょっと……事件が起こって、
 姉は父を失望させたの。
 父は激怒して、姉を追い出して、
 そして、私は姉の代用品になった。
 “父は間違っていなかった”ってことを
 証明するための道具になったの。
 ……でも、私じゃ全然姉には及ばなくて。

[ 炭蔵君に顔を向けた。覚えてる?って首を傾げる。
 家庭内の問題っていうより、私の問題。>>0:1177
 そう、原因は私のスペック不足 ]

(137) 2021/06/15(Tue) 00時頃

【人】 明仄∴暁星 クロエ


 ずっと、怖かった。姉は一度の失敗で見限られたから。
 私は、全然姉には届かないから。
 私じゃ、姉の代用品にはなれないから。
 何かひとつ失敗するたびに、
 捨てられるんじゃないかって怖かった。
 失望のため息を吐かれるたびに、
 今度こそ見限られるのかと思った。
 プレッシャーに耐えきれなくて、手首、切っちゃった。
 傷口が痛む時は、心の痛みを忘れられたから。

[ でもね、って私は言った。
 勘違いしてほしくなかったの ]

 だから、死のうって思ったわけじゃない。
 

(138) 2021/06/15(Tue) 00時頃

【人】 明仄∴暁星 クロエ


 芽衣には話したよね、中学の時はバレー部だったこと。
 絵のコンクールで表彰されたこと。
 高校になってやめたのは、父にやめさせられたから。
 そんなものは何の役にも立たない、
 私の人生には不要だって命令されたから。
 ……私、父の命令には逆らえなかった。

[ だって、全然父の求める水準に達せないんだもの。
 全然姉に追いつけないんだもの。
 そんな私が、父に意見なんて、できるわけがない ]

(139) 2021/06/15(Tue) 00時頃

【人】 明仄∴暁星 クロエ


 何か一つ取り上げられるたび、
 私の中から何かがなくなる気がした。
 どんどんどんどん、
 私を作ってるものが消えてく気がした。
 それでも、大丈夫だって思ってた。
 大丈夫なはずだったの。
 だけど……、

[ 俯いたら、クレープが目に入った。
 私と芽衣が初めて作ったクレープ。
 59点の出来栄えのクレープ。>>4:467
 父にとってはきっと生ゴミにしか見えないだろうそれ ]

(140) 2021/06/15(Tue) 00時頃

【人】 明仄∴暁星 クロエ


 私に、友達は必要ないって命令だけは、
 どうしても、聞けなかった……。
 

(141) 2021/06/15(Tue) 00時頃

【人】 明仄∴暁星 クロエ

[ ぽとぽととクレープに雫が落ちた。
 雫が落ちた部分の生クリームが溶ける。
 甘いクレープがしょっぱくなっちゃう。
 ぽとぽとと落ちる雫と一緒に、私の言葉も落ちた ]

(142) 2021/06/15(Tue) 00時頃

【人】 明仄∴暁星 クロエ


 ……今死ねば、父の命令、聞かなくて済む。
 みんなと友達のまま、死ねるって、
 そう、思っちゃった。*
 

(143) 2021/06/15(Tue) 00時頃


[ それで今、缶飲料を抱えて、
 12月の冷えた空気の中にいる。]
 


 ── 現在・病院外 ──


  ……うれしいんだ、へえー。


[ わいわいと騒がしく言うやつがあったから、
 慎一はわざとらしくよろめいて笑った。

 いつものおふざけみたいなノリに、
 慎一も同じように笑っていたけれど、

 半信半疑であったなら仕方がない。
 世界と同化する説なんてちっとも知らず、
 悪い気分じゃないから慎一は笑ってる。]
 




  ……男前だよ、
  その傷がなけりゃな。


[ すっかりあいた片手で、
 デコピンのひとつでもしてやろうか。
 もちろん、傷のとこは避けるからさ。

 別にあながち冗談ってわけでもないから、
 鳩羽憐に春が訪れない理由を論ずる会なら、
 後日別途開催してもいい。喜んで参加する。

 返ってきたどっちつかずの返答に、
 慎一はへらりと笑って言っただろう。]
 




  おまえがどうしたいか、
  聞いてみたいと思ったのに。


[ やっと思ったんだけどな。
 冗談みたいに軽い口調でね。

 去ったあとでの校舎の出来事。
 当たり前なんだけど、慎一は知らない。
 なんかうれしそうだなあって、
 不思議にさえ思いながら、また一歩歩いて。
 コーラを右手に左手に持ち替えたりして。

 だから、いつものどおりならさ、
 適当にじゃれあうような話、
 このままずうっとしててもよかった。
 それでも慎一はきっと楽しい。]
 



[ でも、ほら。せっかくの機会だ。
 勢いがいいなあって思ったし、
 慎一は一瞬驚いたけど、聞くなら答えるよ。]


  いっつも笑ってるとこ。
  こっちがつられて笑っちゃうくらいに。

  人前で機嫌よく振舞えるとこ。
  ヤな顔もせず人に手ぇ貸せるとこ。

  相手の「してほしいこと」ばっかり、
  うんうん考えて、しまいに叫びだすとこ。
  ……そいつの顔もわかんねえのに。


[ 「まだいる?」って慎一は笑った。まだあるよ。
 いっこも嘘じゃない。こっちもそんな顔してる。]
 




  ……どっちがすごいとか、
  どっちのががんばってるとか、
  言い合ったって、不毛だって。
  素直に褒められとけって。


[ 本心だったのかもしれない。
 あるいは励ましだったのかも。

 だけど今だけは、
 その屈託のない笑顔が刺さるなあ。

 「すごく頑張ってる」って、
 何を指して言ってるんだろう。]
 




  ……がんばってるよ、俺も。
  みんな何かしらがんばってんだろ。


[ ぶりかえしたように、喉元が痛痒くて、
 あいているほうの手でセーターの襟元、
 なんとなくいじってみたりもするけれど。

 「苦しい?」投げかけられた問いに、
 慎一は一瞬たじろいで──、人形かな。それとも?
 なんでそれを聞かれたか、考えたりもする。

 おもしろがるんでもない、
 ただまっすぐな目が、こっちを見てる。]
 




  ……苦しかったよ。

  今は──、少しマシ。
  今は夜で、ここは静かで、
  目の前におまえしかいないから。

  なあ、それ。俺の人形見たから聞いてる?


[ 「俺、そんなにひどかった?」って、
 慎一は苦笑してもうひとつ質問を挟んだ。

 嫌とか怒ってるとか、そうじゃなくて、
 ただ、これでも慎一は隠してたつもりだったから。
 ことごとくバレてるなあって自分に呆れただけ。]
 



[ だからちょっと諦めたみたいに、
 慎一は笑いながらその話をしている。
 自分の話。うまく説明もできないから、
 他人にする気のなかった話の断片。]


  ……心配してくれてんなら、
  マジで、あんまり気にしないで。
  なんていうか──、そういうもんだから。
  たぶん、ちょっと脆いんだよね。俺って。
  別に、悪者がいるような話でもないし。

  どっちかっていうと、そんな傷作ってくる、
  おまえがどうしたんだって聞きたいくらい。


[ 後半部分は大まじめにね。前半もまじめだけど。
 笑みを引っ込めて心配そうな目を向けていた。**]
 


メモを貼った。


【人】 明仄∴暁星 クロエ

[ 手首を切ったらしい炭蔵君は、
 すごく困った顔をしてる。>>144
 悪びれることなくあっさり手首を見せたから
 そんな気がしてたけど、
 炭蔵君、全然問題だと思ってなさそう。
 困った顔をしてるのも、前髪に隠されてたら
 わからなかっただろうから、
 今ははっきり顔が見えるのをいいことに、
 私はちょっと炭蔵君を睨んだ ]

 あはは、じゃないよ。
 もっと自分の身体を大事にして。

[ 自分のことを棚に上げてる?
 でも私、自分の心を大事にしてるつもりだった。
 私が手首を切ったのは、私を守るためだった ]

(152) 2021/06/15(Tue) 01時半頃

【人】 明仄∴暁星 クロエ


 ……もう、手遅れでしょ。

[ 約束。>>146
 普通SOSって、手遅れになる前に送るものでしょ。
 私はもう一線を越えちゃったのに。
 受け取る方だって困るでしょ。

 今更、何言ってるのかな。
 私が炭蔵君にどれだけ弱みを見せたと思ってるの?
 大丈夫じゃなくなったらSOSを出す、なんて約束、
 私は炭蔵君にだからできたのに。
 そして、私がため息が怖いことを知ってるのは芽衣だけ。
 私がこの校舎に最後までいてほしかったのは、
 炭蔵君と芽衣の2人。
 とっくの昔から、私にとって2人は特別だった ]

(153) 2021/06/15(Tue) 02時頃

【人】 明仄∴暁星 クロエ

[ 私がずっと抱えていたもの、全部。
 芽衣は「教えて」って言ったから、>>126
 私は全部隠さなかった。
 だって、これが最後だもの ]
 
 ……正しくない。
 私、ずっと理不尽だって、思ってた。

[ 私は姉じゃない。
 私は姉の代用品じゃない。
 私は姉にはなれない ]

(154) 2021/06/15(Tue) 02時頃

【人】 明仄∴暁星 クロエ

[ 「優しくない人」の定義を聞かれて、浮かんだイメージ。
 自分勝手で、
 自分の思い通りにならないと気が済まなくて、
 自分のことを気を使われる側だと思ってて、
 自分の思い通りにならないことを、
 他人のせいにできる人。>>2:278>>2:279>>2:295
 私はずっと、父をそんな人だと思ってた ]

(155) 2021/06/15(Tue) 02時頃

【人】 明仄∴暁星 クロエ


 そんなこと、知ってる。知ってたよ、炭蔵君。
 姉に期待を裏切られた途端、
 ずっと出来損ない扱いしてた私を
 姉の代わりにしようなんて、
 そんな無理を通そうとする人が、正しいわけがない。
 
[ 自分が間違ってなかったことを証明するためだけの道具。
 そんな扱いをされて、父だから正しいなんて、
 そんな風に思えるほど私はおめでたくなんかない ]

(156) 2021/06/15(Tue) 02時頃

【人】 明仄∴暁星 クロエ


 ……でも、父が間違ってたから、何なの?
 私がどんなに白いって言っても、
 父が黒だって言ったら黒なの。
 それが我が家の、ルールで、命令。
 結局、私はまだ子供で、
 父がどんなに理不尽な暴君だとしても、
 そんな父に依存して生きてるの。
 逆らったら、生きていけないの。

[ 早く大人になりたかった。>>2:606
 大人になったら、自分で別の場所を見つけて、
 生きていけるかもしれないって思った。
 でも、間に合わなかったね。
 大人になるより、私の限界の方が早かった ]

(157) 2021/06/15(Tue) 02時頃

【人】 明仄∴暁星 クロエ


 ……だから、もう手遅れ。
 自殺を図るような娘は父の人生の汚点だから。
 私はきっともう捨てられてるし、
 私が生きていける場所なんて、
 現実のどこにももうないの。

[ そのままの私が好きって、>>151
 もうちょっと言葉を選んだ方がいいと思うよ。
 口説き文句みたい。勘違いされちゃうよ。
 でもそれも炭蔵君の不器用なところだったね ]

(158) 2021/06/15(Tue) 02時頃

【人】 明仄∴暁星 クロエ


 言ったでしょ、私、炭蔵君の不器用なところ、
 嫌いじゃないって。
 炭蔵君は、そのままの炭蔵君でいいんだよ。

[ 炭蔵君よりストレートじゃない私は、
 ずっと嫌いじゃないって言ってたけど、>>0:1174
 炭蔵君の言い方を借りるなら、私はそういう
 不器用なところがある炭蔵君のことが好きだったよ** ]

(159) 2021/06/15(Tue) 02時頃

明仄∴暁星 クロエは、メモを貼った。

2021/06/15(Tue) 02時頃


── 現在・病院外 ──


 う、嬉しかったらダメかよ!


[なんてさ。
巫山戯るのなんて永遠にできるんだ
鳩羽憐に春が訪れない理由を論ずる会は
ぜひ開催して欲しい。ついでに春持ってきて。

ああほんとうにさ。
永遠にやってたいけど、
今は、本当に嬉しがるときじゃないから
まだ帰ってこない仲間が帰ってくるまで
とりあえず続きはさ、お預け。 ]
 


 
[本心と称賛以外のナニモノでもなかった
だから「がんばらないと生きていけない」とかさ
「そんな世界を苦しく思う気持ち」とかさ。
……それでも、がんばりたい気持ち、とか。


………ほら、やっぱり判ってないんだよ。俺。


知ったとて「頑張ってるからえらいよ」って。
「でも無理に頑張らなくてもいいよ」って。
そんな言葉が口から出かねない俺は、
喉元に掛かる手、大きな意味に気づけない。

たぶんさ、そうじゃないだろ。 ] 
 


 

 ……そっか。

[苦しかった。って。
けど、「今は」少しマシだって。
シンの答えは、シンプルだった
それから苦笑とともに質問をひとつ、ふたつ。]
 


 

 うん、人形、見たよ
 苦しそうだった。
 俺、シンがあんなになるまで
 シンのことさあ、ちゃんと知らなかったなって
 …………………うん。 

 それでもさ、教室、来てくれようとしてたろ
 知ってるよ。嬉しかったよ。

[やりきれない想いとか、
まとまらない感情は沈黙に乗せた。
メイからちょっと聞いたシンの断片については
今は、伏せておくことにする。]
 


 
[そういうもんだから…っていう
シンの話も聞いてさ

えらい、とか頑張ってる、とか、すごいとか、
そういう客観的に誰かを測る言葉じゃなくて
大丈夫か、とか無理すんなとか、
そういう心に負担を掛けちゃう言葉でもなくて

俺の「うれしい」っていう気持ちを送るよ。
ああ、でもさ、 ]
 


 

 心配は、させてよ。
 心配は、したいの、俺が。

 ………なんっつーかなー
 別に馬鹿な話、してるだけでも
 日常はさ、すげー楽しいけど

 でもさー シンのこと全部知れてねーみたいで
 それはなんかめっちゃ悔しい

[悔しいって言いながら
それなのに顔は笑ってるから、
俺の感情はやっぱどっか忙しい。

っつうかなんだろうな、言葉だけ切り取ると
彼女みたいじゃん????って思うから
あっそういう事?俺に春が来ない理由。]
 


 
 俺の傷?
 ああ、うん、……………うん。
 あっちの世界で、傷つけた名残だと思う。

 俺もさ。
 シンとは別かもしんないけど
 やっぱり息苦しいなって思うことあんだよ
 ………いや、あった、んだよ。

 自分と向き合ったら空っぽで、
 いつだって取り繕ってて、さぁ
 イヤだって思っていきてきたわけじゃねーけど
 それじゃだめだなって思ったのは確か。

 ああ、でも
 


 

 シンと居た時は、
 深呼吸なんてしなくても、息、吸えてたから
 だから、うーんそうだな、

 ……ありがと。

[息苦しい自分はさ、
「昨日」までの世界に、置いてきた。
だから今は、「ありがとう」それだけ。

それでもいつか寄り添ってくれるっていうなら
ちゃんとイチから全部、話すから。
だからシンのことも、教えてよ。 ]**
 


 ── 現在・病院外 ──


  ダメとは言ってねーだろ。
  俺もうれしかったよ。……うん。
  ただ、ちょっと驚いた。うん。


[ 自分で言いながら納得するように、
 慎一はうんうんうなずいていた。

 たぶん、慎一もわかりやすい方だろうけど、
 鳩羽の背後にはたまにしっぽが見える。
 びゅんびゅん振れてるそれを見て、
 驚いたとしても、ヤなはずがなかった。]
 



[ だから本当に、女子ってわからない。

 本当にみんな残らず帰ってきて、
 気兼ねなくうれしがれる時がきたら、
 男子みんなで顔を寄せ合って話し合おうか。

 女の子は秘密のお菓子パーティーをしたという。
 男の子にもなにかがあってもいいだろう。
 ……それで対抗できるのか? わからないけど。

 しかし困った。
 あいにく当方、春は在庫切れだなあ……。]
 



[ こんな話はまた今度でもいいね。

 「知らなかった」と鳩羽は言う。
 知らせようとしなかったのは慎一だ。]


  ……知ってもらう気なかったからね。
  だってさ、変に気遣われると、
  俺、変な奴みたいじゃん……そうなんだけど。


[ ちょっと言いづらそうな何かとか、
 間のあいた相槌とか、そういうの全部、
 なんだか少しもどかしかった。

 モヤモヤさせたいんじゃないんだけど。
 人との向き合い方がへたくそでごめんね。]
 



[ 教室に辿り着けなかった慎一は、
 そのことを指摘されて笑う。]


  ああ、遠かったなあ……、
  集まろうって言うくせにさ、
  時間の決め方、すんげー雑で、
  なんなんだよって思ってたの。

  うれしいって、おまえ、
  マジで人がいいというか……、


[ おかしなことを言うなあって思ってた。
 なんていうか、再会の「うれしい」も、
 今の「うれしい」もピンとこなくて、
 慎一はただ、いいやつだなあって思って。]
 



[ ……思ってた。
 「心配したい」と言われて、
 人が良すぎるって思い始めるくらいには。]


  そーいうとこだよ。
  すごいなっつってんの。
  あれもこれも人のこと心配して、
  全部知っても、疲れるじゃんか。


[ 少なくとも慎一にはできないソレ。
 確かに、そういうことかもしれない。
 みんなに優しい男はモテないって聞いた。]
 



[ そう。そういうふうに考えてて。

 やたらと「うれしい」とか、
 妙なやつだなあって思ったりもしたけど。

 なんだか話の雲行きが妙だった。
 というか、慎一からすると不思議だった。

 「自分でやったの?」と眉をひそめて、
 まじまじとその傷を見つめたりしながら、
 鳩羽が息苦しさを語るのを聞いていた。

 慎一の周りの人たちは思い切りがよくて困る。
 黒沢も、炭蔵も、鳩羽もみんなそう。]
 



[ 礼を言われて、慎一は不思議だった。

 「息が吸えた」と言われて、
 「シンといたときは」と言われて。
 慎一は一瞬、意味がわからなくて──、

 それで、ぽかんとしていたんだけど、
 だんだんと込み上げてくるのはなんだろう。

 「うれしい」で合ってるかな。
 たぶん、そのときやっと気づいたのだ。
 友だち甲斐のないやつでごめんね。]
 



[ 「みんな」の中のひとりじゃなく、
 たくさんいる中の友だちAでもなく、
 どうやら鳩羽は慎一に言っているらしい。]
 



[ いつだって誰かの背を追いかけている気でいた。
 みんなより遅れて、先をいく背中ばかり眺めて。

 ひとりはさみしい。
 慎一の視界からみんなが消えたらさみしい。

 そう考えることはあっても、
 前を向いて先を行く他人の視界に、
 自分がなにかの意味を以て存在するなんて、
 慎一はたぶん、想像したことがなかった。]
 



[ だから、あの世界に呼ばれてうれしかった。
 少なくとも誰かの中に存在したんだと思えて。

 「俺だったらどうする?」って聞かれて、
 同じように聞き返す気だって起きなかった。

 慎一が消えて泣いたやつがいたなんて知ったら、
 そりゃあもう、抱きしめちゃうだろうね。力一杯。]
 




  ……そっか。そっかあ。


[ へへ、みたいな笑いを堪えきれずに、
 慎一はちょっと視線を泳がせていた。

 少しだけでも、誰かにとって、
 お荷物なだけじゃないなにかになれてたら、
 慎一はうれしいよ。とてもうれしい。

 「ありがと」と言われたら、
 「どういたしまして」がお決まりだろうに、
 どうも言うタイミングを逃してしまった。
 代わりに、笑みを浮かべたまま口を開く。]
 




  レンが他の奴にするみたいに、
  当たり前みたいに接してくれて、
  俺はさ、楽しかったよ。うれしかった。

  人付き合い、苦手なのに、
  そういうの憧れだったから。

  息をするのが少しくらい大変でも、
  俺、おまえとバカ騒ぎしてたかった。

  でもさ、どっかで思ってたんだ。
  俺にとっては特別なことでも、
  レンからすれば当たり前なんだろうって。

 




  ……だから、なんかさ、
  ああやってバカ話してるだけの日常が、
  レンにとっても意味があったんなら、
  なんか……よかった、……ありがと。


[ へらりと笑ってみたりするけれど、
 これは何も上っ面の笑顔ってんじゃなく、
 ただ、なんか力が抜けちゃっただけ。

 これくらいはちゃんと立ち止まって言おう。
 なぜか大事に抱えちゃってたコーラは、
 たぶん、もうちょっと、いやだいぶぬるい。
 だってこの寒い中、慎一は結構あたたかい。]
 




  ……なあ、また、
  一緒にアイス食ったり、
  昼飯食ったり……食ってばっかだな。
  そういうふつーのこと、してくれる?

  レンがそうしたいときだけでいいよ。
  深呼吸に疲れたときだけでもいい。

  ……俺も疲れちゃったときは、
  今日はパス! って言うかもしれないし。


[ 願わくばどちらか一方の望みとしてじゃなく、
 そういうふうに続いていけたらいいって、
 そんな大それた祈りを込めて、慎一は笑った。**]
 


メモを貼った。


[ 本当にお見通しだったら困るな、と
  くすくす笑いかえしておいて。]


  そっか。
  まあ、そうだね、……似たような事態が
  私にも起こっていたのは確かだし。
  ……わかり、やすかった?


[ 他人事だと思えなかったから、相談に乗った。
  その見立てはあながち間違っていないし。

  さて、ならば。
  今度は私の相談したかったことの
  一端とその顛末をお伝えしておこうか、と。]



  帰っちゃったのはしょうがないよ。
  ちょっとびっくりしたけどさ……

  …… 私の場合はさ。ずーっと、こう、
  幻聴って言っちゃあそれまでだけど、……
  そういうのが、聞こえてて。
  それにちょっと追い詰められてた、っていうか。

  今はもう、聞こえないし大丈夫だけど。
  ほんと、四六時中そうだったから。
  静かすぎて逆に、なんだか慣れないや。


[ 説明が難しいな、という表情をしながら
  それでもどこかすっきりした様に。]
 


  

  利美のお札……まぁ、
  捨てなくてもお守りに持ってたりしても
  良いんじゃないの?

  どういうものかは知らないけど。


[ ひとみが集中治療室の方に行くのなら
  いってらっしゃいと手を振って。
  …… まだ、あまりそっちの方に行く気には
  私はなれなかった。

  冷えた指先を摩りつつ、待合室に佇んでいる。]*
 



[ 身軽になってしまった、という気持ちはある。
  恐らくそれは悪い事では無いし、
  私が、──私自身に抱いていた抑圧を、
  どうにか緩められた様なところはあって。

  きっとこの静けさにもそのうち慣れていく。
  それをむなしく感じる日が来るのだろうか。

  ……むなしいねって、言い合える相手が居るなら
  それも悪く無いのかもしれないけれど]
 




  ……あ。
  柊くん?


[ そんな折。廊下の方に見えた姿に
  待合室からゆるく手を振ってみる。

  彼もこっちに帰ってきていたのか、と
  少しばかり安堵しつつ]*
 


── 現在・病院外 ──

[尻尾?そんなのどこに。
……なんてね。

変に気遣われたくなかった、って
シンが言う言葉にさ、俺ちょっと笑ったよ。

だって最近よく聞いた台詞!!!
それに、うん、その「うれしい」だって
どこかで聞いた台詞のひとつ

だからさ。 ]


 そんなん、俺もだよ!


[ってさ、言ったの。とりあえず今はここまで。 ]
 


 
[だってシンがさ「みんな」のひとりじゃあなくて
俺にとっては「シン」であるのが大事なんだって。
気づくのはもうすこし、あとのことだったから。

言わなくても判るだろって、ほら思っちゃう。
そういう意味では
俺からしたら当たり前だったんだろうね]
 


 
[傷は自分でやったんだけど、
傷の大きさはさ、あっちの世界とは
比べ物にならないくらい小さかったから
案外どうでもよかったの、かも

顔じゅう傷だらけにしたって言ったら
シン、びっくりしちゃうだろうから。

多分この眦の傷は、
最後に俺がほんの少し流した涙の跡

血の跡はさ、ぜんぶ、全部消えたけど
最後に抱いた想いの部分だけは、
きっと消えなかったんだよ。って都合いい解釈]
 


 

[んでさ。いろいろ話したあとで
突然シンの様子がおかしいわけ。]

 


 

 ………えぇ……
 んなん、意味あるに決まってんだろ

[当たり前だったけど、特別だったよ
でもさ、特別だったけど当たり前過ぎて、
俺にはたぶんやっぱりシンの気持ちは全部読めない

だから俺からは
感動させるような名台詞でも、
心を揺さぶるようなクサイ台詞でもなくて、
至極ふつうの感想しか、出てこなかったんだ。]
 


 
[たとえば自分が「みんな」のうちの
ひとりだって思ってた、ってちゃんと言葉で聞いてたら
んなわけねーだろ!シンだから!いいの!って
食い気味に反論してたと思う。

シンが消えて泣いたやつ?はい!俺、挙手!
シン以外のやつの人形見ても泣かなかった俺がだよ
お前の人形見て、動けなくなるくらい泣いたの。
メイに心配されちまうくらい、泣いたの。
メイと話し終わっても、離れられないくらい泣いたの。

全力でアピールするね。
もしも声が聞こえてたら、だけど。]
 


 
[でもさあ、聞こえてこないから、
俺にとってはいつもの「日常」の延長で、
その中でも特別なシンがさ、
ひどくアタリマエのことを、喋ってる。

んでもさあ、ようやくシンが理解してくれたなら
さっきのこと、ちゃんとシンに向けて話せるよ ]
 


 

 さっきの話もさ、
 変に気遣う、とかじゃあなくて、
 別に悩みを解決してやる!とかもできねーけど

 ペットボトル持ってやるわ、くらいの感じでさ
 シンのこと、楽にできてたらうれしーの。
 俺にできるの、そんくらいだけど、
 
 馬鹿話することでさ、
 俺がシンの役に立ってたんならさ
 俺、すげーうれしいんだからね。

 なんだこんなことでいいのかって、笑っちゃう

 


 
[へらへらの笑みのシンに、
こっちもへらへらの笑みをむける。

なんかできることなかったのかなって
すげえ、すげえ、悩んだんだよ
全部、上手く行ってなかったって思ったから
俺、なんもできなかったって、思ったんだから

だから、いつもの俺のまんまで
大事な友人の役に立ててたことがとても、嬉しいし、]
 


 

[なによりも、シンの「みんな」の中にも、
ちゃんと俺が居たんだなあって、改めて知って

俺、それが一番、嬉しい。

もう、隣にいるからさ、俺寂しくなんかねーよ。]

 


 
[静かな夜の中で足音がふたつ、止まる。
シンからのお願いは、他愛のないもの
特別なんかじゃない、普通の日常のこと。

きっと食ってばっかなんかじゃなかったよ。

俺らには文化祭以外にも、体育祭も球技祭も
それからなんだろうな、普段のガッコーも?あってさ
たぶん羅列してくと挙げきれねえから、
どうしたって食ってばっかのことになっちまうけど

俺たちの日常はさ、
こんな狭いワンシーンじゃ描ききれないものばかりだし
別に喜怒哀楽どれでもねーような、つまんねーコト、
だけどどれも大切なコトばっかりだっただろ。 ]
 


 

 おう。当たり前だろ。
 ふつーのこと、いつだってしようぜ。
 食ったり、食ったり、食ったり…って、オイ!

[笑う。あ、手始めにバスケ部vsサッカー部で
最後のバレンタインチョコの個数対決でもする?
俺万年モテない組だから結果は目に見えてるけど……
義理チョコも数えていいね??いいよね??? ]
 


 

 そのかわり。
 シンがさ、疲れたときには
 遠慮なく、無理!って言ってな。
 俺も何できるか、そんとき考えるから。

 俺も、言うから。

[大それた祈りは、お互いさまで。
それからさらに一歩、踏み出した願いを
俺は欲張りにも、添えてみる。

きっと叶うんだろ?ううん、違ぇな。

叶えるのは、俺たちだから。
俺たちならきっと、叶えられるだろ?って。
俺も、夜空の下で、笑った。 ]**
 


メモを貼った。


メモを貼った。


― 院内・待合室付近 ―

[普段病院に来る機会が
そうそう多いわけじゃない。
ましてや集中治療室なんて縁もない。

うろうろしていれば
遠くから手を振る見知った人影]

あ、綿見ちゃん!

[思わずほっと表情を緩め、
手を振る彼女に小走りで駆け寄る。]


………ちゃんと帰って来てたんだ。よかった。


[なんせ調理室で見たマネキンの姿が
脳裏には色濃く残っているものだから。
ついつい腹部にまじまじと視線を落としてしまう。

自分だって別に何ともないんだから
現実の彼女まで怪我してたりはしないと思うけどね。
やっぱりあれ見ちゃうとちょっとね。]

綿見ちゃんもやっぱりメッセージ見てここに?
その、副会長は……。

[何か容体に変化はあったのだろうか。
少し聞くのが怖いような気持と共に、言葉を詰まらせる**]


メモを貼った。


 ── 現在・病院外 ──

[ どうしてなかなかすれ違っちゃうね。

 「言えよー」って叫んでるの見ても、
 「言わなきゃ伝わらない」と教わっても、

 自分の内側に持ってる当たり前の感覚は、
 どうやら根深すぎてなかなか見せ合えない。

 慎一だって、考えてたわけじゃなかった。
 わざわざ思ったり考えて出した結論じゃない。

 ただ、いつの間にか存在していた。
 その形を意識することさえなく。

 だから────、]
 




  ……そっかぁ。


[ なんだか気の抜けるような声に、
 慎一もとぼけた声でそう言おう。

 俺の人形見て泣いた人、はーい。
 なんて、口が裂けても言うわけなかった。
 いると思ってないんだから当然だな。

 だから、校舎での出来事を振り返って、
 そんな大騒ぎをするのは、
 またいつか機会があったらにしよう。]
 




  ……うれしいし、助かるよ。
  ペットボトル持ってくれるのも、
  日常の、ほんのしょうもないことで、
  一緒にゲラゲラ笑ってくれるのも。

  レンには「こんなこと」でも、
  俺にとってはそうじゃないから。


[ いつものままの鳩羽憐に、
 実は救われていた人、はーい!
 ……ってされたら、
 はーい! って素直に手を挙げたってよかった。

 けど君はそれをしないだろうから、
 少なくとも慎一にとっての「なにか」だったよ。
 それはここにだけ書き記しておくね。]
 



[ いざアレもコレもと挙げだすと、
 きっとキリがない愉快な日常。

 けれど、かけがえのなかったそれが、
 この先にもずっと続いていけばいい。

 些細なこと、しょうもないことだとしても、
 慎一はそれを大切に持っていくから。

 食ったり、食ったり、食ったり。
 ふざけた口調で言った鳩羽につられて笑う。

 手始めに、そうだなあ。
 バレンタインチョコ対決もいいけど、
 お互い補欠になるんじゃ切なくない?]
 




  いいじゃん。食って食って食って。
  今度さ、あのアタリ棒交換しにいこう。
  冬にアイスも、たまにはいいだろ。

  ……アタリくらいまた引いてやるし、
  それにたぶん、そんな棒っきれより、
  俺とつるんでるほうが、ご利益あるよ。

 



[ ふふん、と強気に笑ってみたけれど、
 正直ちょっと照れ隠しも入ってた。

 「わかった」と笑ってうなずけば、
 それは祈りというより約束だった。

 この寒い12月の夜から、朝に、昼に、
 そしてまた次の季節へと、この先ずっと、
 それが続いていけばいいと夜空に祈って。

 ……祈るんじゃなくて叶えるんだっけ?
 もう少しと言わずがんばらなきゃなあ。

 大丈夫、息はしやすいよ。今は。
 疲れたときはまた言うからさ、
 ちょっとだけ立ち止まって待っててほしい。
 慎一もちゃんと目を見て耳を傾けて、
 ペットボトルだって代わりに持つ準備はしとくから。]
 




  ……あ!
  そろそろ飲み物届けてくる。
  カフェオレ冷めちゃった?


[ それで──目の前の話。
 思い出したように慎一は言う。

 なんなら右に左に持ち替えてた、
 ぬるめのコーラの方が気がかりだが、
 まあ……オマケだし。お代はいいから。]
 



[ 鳩羽からそれを受け取れば、
 再び院内へと戻ってそれを手渡そう。
 あ、お使いしてくれるならそれでもいい。
 たぶんそのほうがはやいだろうしね。
 慎一も相手を告げて渡すだろう。

 誰かと話し込んでいるなら、
 またあとにするけど──、さてはて。**]
 


メモを貼った。


[わかりやすかった、わけもなく。
他人の楽しいことばかり見ようとしていた自分でも、
気付いてしまうものがあったというだけで、たぶん、そういう巡り合わせ。
その問いには軽く微笑んで返そう。

茉奈ちゃんも何者かの声が聞こえていたことを教えてくれれば、
ああ、そっか、そうなんだ、と、納得と理解が染み渡っていく。
独り言が多かったもんね、そういえば。
わかるよ。わかる。
人に説明するの難しいのも、わかる。]



 それに苦しめられてたんだ。
 私とは違って。

[私が見えていた、存在しない友達は、
当たり前のようにそこにいて、友達として振る舞ってくれた。
苦しめる怨嗟の声ではなく、私の心を守るような声で。
だからそこは違ってたのだけど。]

 ……もう大丈夫そうなら良かった。
 聞こえてくる声が当たり前になってると、
 いろいろさ、生きづらかったよね。

[共感、というか、確認、というか。
私もずっと信じてもらえなくて、割り切れなくて、疲れてしまった。
私だけの悩みじゃなかったんだと知れて、良かった。]


[お互いにもう悩まなくなるのであれば、
あの時のように相談することも、もう無いんだろうと思いつつ。]

 ……それもそうかなぁ?
 すごい、なんか、悪い夢見れそうな文字書いてるから……。

[お守りに持っておくには気が引ける代物なので、
軽く苦笑して、まあこれは後で利美ちゃんに聞こう。

自販機に行ってくれた向井くんを待ちつつも、
戻りが遅かったので、誰かと話してるのかなと思い、
集中治療室前に戻ることにした。

赤いランプはまだ消えていない。*]


明仄∴暁星 クロエは、メモを貼った。

2021/06/15(Tue) 18時半頃


── 病院外→病院内へ ──

[冬のアイスの約束に、笑う。
きっとまた、夏が来て二人で買うアイスは、
俺が外れて、シンが当たるんだろう。
なんとなく、そんな気もした。でも、それがいい。

お互いにお互いが「特別」だったとしても
当たり前の「日常」が、一番の特別だからさ。

シンの当たり前の片隅にさ、
なんかこいついっつも居るなーくらいの感じで
俺のこと、置いといてよ。ね。 ]

 あ、カフェオレ。

[言われて気づく。
ダッフルコートのポケットのカフェオレは
確かにだいぶぬる〜くなっていたと思う。 ]
 


 
[マナとひとみは二人で話してるんだっけ。
なんて。俺ン中で情報はアップデートされてねえし
シンにとってもそうなんじゃない?

すでにひとみが集中治療室のほうに行ってて、
マナんとこにはユキが到着してる、なんてさ
たぶん俺はエスパーじゃねえからわかんね。

とりあえず待合室戻るか。
持ってくよ、なんてシンと一緒に戻るけどさ。
そのあとシンはコーラを渡しに行ったりすんのかね。

マナとユキがまだ話してるようなら
片手挙げて挨拶して。
ぬる〜くなった、カフェオレ渡して。]
 


 

 マナ、ただいま。
 ノエは……まだ会えねえよな。

 俺、ちょっと病院の売店探してくるわ

[24時間営業かどうかはしらねーけど、
そうなんじゃないの!そういうことにしとこ!
だってそっちのほうがきっと便利じゃん!!!

ご都合主義?知るか。
とりあえず俺は、絆創膏がさ、欲しい。 ]*
 


メモを貼った。



── 柊くんと ──

[ 気づいて貰えたらしい。
  こちらに駆け寄ってくる姿に、ゆるく笑んで。

  そういえば彼は私のマネキンを見たんだったな、と
  その視線の先を思う。]


  うん、一足お先にね。
  …… あんまり見てるとセクハラだって
  思われちゃっても仕方ないと思うなあ?


[ 恥ずかしいなぁ、なんて茶化しながら、
  とっても元気な様子でも見せようか。
  五体満足、何も問題はありませんよって。]



  そ。起きたら利美からメッセージ来てたし。
  黒沢ちゃん、集中治療室の方に居るよ。
  どういう状況かは、……わかんないけど。
  来たけどさ、私まだそっちの方行ってなくて。

  多分利美とか、ひとみの方が詳しいのかも。


[ 私より先に来ていたし、と
  治療室のある方をちらりと見つつ。]
 



  ……柊くんはさ。どうなった?
  戻ってきたって事は、何か、……
  踏ん切りか何か、ついたのかなって。


[ そうであっても、そうでなくても。
  答えがあっても無くても、良いのだけれど。

  話の途中に掛けられる声がもうひとつあれば
  ゆるくそちらに顔を向けて。]


  鳩羽くん。……おかえり。
  無事な様で何より。
  あ、カフェオレもありがと。


[ だいぶぬるくなっているカフェオレでも、
  やたら冷たい指先には暖かく感じた]*


【人】 明仄∴暁星 クロエ

[ 芽衣が自分の手を大事にしてること、私は知ってた。
 そんな芽衣にとって、自分で手首を切るなんて、
 きっと考えられないことだろうと思う。
 自分のことは棚に上げてたけど>>152
 芽衣が炭蔵君に向ける言葉は、>>164
 私にも刺さった。
 何か言いたげな顔で、それでもこちらを向いた芽衣は
 私には口を噤む。>>165
 でも、目は口ほどにものを言ってて、
 私は申し訳なくなって、ちょっと目を伏せた。

 でも、炭蔵君には全力で自分を棚に上げる。>>186
 心が壊れて死んじゃったら、
 結果的に身体も駄目になっちゃうでしょ。
 だから、あれは必要な犠牲だった。 
 まあ、最終的に私はこんなことになっちゃったから、
 どうしようもないんだけど。
 ここ笑うところだけど、笑えない?
 やっぱり私に冗談は言えないね ]

(200) 2021/06/15(Tue) 19時頃

【人】 明仄∴暁星 クロエ

[ 私は冗談が言えないけど、
 炭蔵君はもっと酷いと思う。>>190
 冗談じゃなくて真面目にそう思ってるのが
 むしろ質が悪い。
 これで愛想を身に着けたら人たらし間違いなしなので、
 やっぱり炭蔵君はそのままでいいと思う。
 物腰柔らか仕様は一生身に着けない方がいいよ。
 勘違いに誘導する悪質さが身につくだけだから ]

(201) 2021/06/15(Tue) 19時頃

【人】 明仄∴暁星 クロエ

[ 芽衣はお父さんが好きだって言った。>>166
 芽衣が私のことを知らなかったように、
 私も、芽衣の抱えているものを知らない。
 だから、躊躇いなく好きだと言える芽衣のことが、
 私はやっぱり羨ましい。

 落ち着いて話そうと思ったのに、
 やっぱり私は冷静にはなりきれなかった。
 感情的な人間は、父が嫌うものだ。
 いつも冷静に落ち着いているべきだって言われた。
 ……父自身は、あんなに感情的な人なのにね ]

(202) 2021/06/15(Tue) 19時頃

【人】 明仄∴暁星 クロエ

[ 涙がトッピングされちゃったクレープに、
 芽衣の手が添えられる。>>170
 顔を上げた私に、芽衣はこの世界から帰ったみんなの、
 私の知らなかった話を教えてくれる>>171 ]

 ……文化祭、楽しかったの。

[ 伝えてもらった言葉に、私はそう返して、
 でも、と首を横に振った ]

 でも、写真、捨てられちゃった。
 私にはいらないものだって。

[ データはもちろん残ってる。
 でも、飾ってる写真を捨てられて、
 私は思い出を汚されたと思った ]

(203) 2021/06/15(Tue) 19時頃

【人】 明仄∴暁星 クロエ


 文化祭そのものだけじゃなくて、準備から、全部。
 みんなで作っていくの、楽しかった。
 みんなで作り上げたから、楽しかった。
 でも、私にそんな馴れ合いは必要ないって。

[ 一番大事だと思った思い出を否定されたの。
 それが許せなかったから、
 私はメールに残したんだと思う。
 持っていたい思い出はそれだけ。
 家族の思い出なんてない。そんなもの、いらない* ]

(204) 2021/06/15(Tue) 19時頃

明仄∴暁星 クロエは、メモを貼った。

2021/06/15(Tue) 19時頃


【人】 明仄∴暁星 クロエ

[ 私の知らなかったみんなの言葉を伝えてくれた芽衣は、
 まるで私を力づけるみたいに笑って、
 私の頭を撫でる。>>172
 ため息が怖いって打ち明け話をしたあの時みたいに ]

 うん。聴きたい。

[ ピアノに向かう芽衣に>>173
 眼鏡を外して涙を拭ってから、私は頷いた。
 ちょっとこすっちゃったから赤くなっちゃってたかも。

 芽衣のピアノを聴くこと。私の最後の心残り。
 それが、今叶う。
 全部叶って、もう私、思い残すことなんかないかな。
 ……そう、思ったのに ]

(205) 2021/06/15(Tue) 20時頃

【人】 明仄∴暁星 クロエ

[ 芽衣がピアノの話をする時、
 それって過去形だったと思う。
 今でも芽衣は自分の手を大事にしてて、
 それでも芽衣の語るピアノの話は過去だった。
 だから私、聴いてみたいなって、言えなかった。

 それなのに、芽衣の選んだ曲は明らかに難易度が高い。
 私は音楽に詳しくない。それでも、
 この曲がとても難しいことと、>>176
 芽衣の指がそれについていけていないことには気づいた。
 叩きつけられるような激しい音は、
 そのまま芽衣の思いがこもっていた。

 演奏を終えて、顔を上げた芽衣と目が合う。
 その目から――――涙がこぼれた ]

(206) 2021/06/15(Tue) 20時頃

【人】 明仄∴暁星 クロエ


 なんで……なんで謝るの、芽衣。

[ 私は首を横に振る。
 芽衣のピアノを聴いてみたい。それは最後の心残りで、
 それを叶えてもらったっていうのに。
 これで私、もう思い残すことなんて、ないはずなのに。

 困ったな、って思う。だってわかっちゃうんだもの。
 これは、芽衣にとって不本意な演奏で、
 芽衣は、それが悔しいんだって。

 心残りなんて、もう何もないはずなのに。
 困る。とても困る。
 芽衣の納得のいく演奏、聴きたくなっちゃうじゃない。
 心残り、増えちゃうじゃない。
 芽衣は魔法を見栄を張ったって思うかもしれないけど、
 これは立派な魔法だよ。
 でも……でも! ]

(207) 2021/06/15(Tue) 20時頃

【人】 明仄∴暁星 クロエ


 ……私、ずっと死ぬつもりなんかなかったけど、
 でも、死ねたら楽だろうなとは、ずっと思ってたんだよ。

[ 私、死ぬつもりなんてなかった。
 それは、私には死ぬ勇気も覚悟もないと思ってたから。
 生きたかったから、じゃない ]

 死ねるのに。楽になれるのに。
 このまま楽になっちゃ駄目?駄目なのかな?
 私、もう頑張りたくない。
 そんなわがままは言っちゃ駄目なの?

[ 手遅れなんて言わせないって炭蔵君が言う。
 でも、わがまま言っていいなら、>>194
 このまま死なせてって私はわがままを言いたい ]

(208) 2021/06/15(Tue) 20時頃

【人】 明仄∴暁星 クロエ


 綿見さんと、父は、違うよ。
 綿見さんは、私を見てくれた。
 それが嫌いって感情でもね。
 だから私は綿見さんと仲良くなりたいって思ったの。
 父は違う。あの人にとって私はお人形。
 マネキンと話をしようなんて思わないでしょ。
 母は、父には逆らえないよ。
 姉が縁を切られた時だって、母は何も言えなかった。
 ……お姉ちゃんは、妊娠してたのに。

[ 綿見さんと話せたって芽衣は励ましてくれるけど>>182
 私は、綿見さんとは、なんとかなりたかったんだよ。
 気づかないふりをしてた時だって、
 これ以上嫌われたくなかったから、
 そうしてたつもりだったの。
 私は父と対話する勇気なんかないし、
 そうしたいとも思えない ]

(209) 2021/06/15(Tue) 20時頃

【人】 明仄∴暁星 クロエ

[ そう、私、ちゃんと綿見さんと話せたんだよ。
 ちょっとだけ仲良くなれたの。
 この結果はどうかな?
 炭蔵君を失望させずに済んだかな?>>0:181
 でも私、それでも父と話す気にはなれないの。
 あの人は、人の話を聞かないから ]

(210) 2021/06/15(Tue) 20時頃

【人】 明仄∴暁星 クロエ

[ 生きてって、>>183
 思い出にしたくないって>>195
 芽衣も、炭蔵君も言ってくれるけど ]

 自殺して、死に損なったら悲惨って、
 綿見さんだって言ってたよ。
 私、身体中を滅茶苦茶に刺したの。
 どうなってるのか、私にもわからない。

[ 特に左手首は何度も切った。
 うっかり助かったとして……まともに動くかな?
 もう、無理なんじゃないかな ]

(211) 2021/06/15(Tue) 20時頃

【人】 明仄∴暁星 クロエ


 ねえ、それでも生きなきゃ駄目?
 楽になっちゃいけない?
 
[ 炭蔵君が頭を撫でてくれる。>>196
 どうしたい?って芽衣が聞いてくれる。
 一蓮托生の友達だって言ってくれる ]
 
 現実は……怖いよ。

[ 楽しいことばかりじゃないその場所が、>>180
 私は怖い。
 終わる方がずっと楽。
 楽に流されることは簡単で、
 苦しい望みを認めることが、まだ私には難しい* ]

(212) 2021/06/15(Tue) 20時頃

 ── 現在・病院内へ ──


  俺、番代のこと探してくんね。
  治療室のほう戻ったかなあ……


[ ぬる〜いカフェオレを鳩羽に託し、
 慎一は再び病院の中を歩いていく。

 待合室に綿見と柊がいるのを見かければ、
 そちらにひらりと手を振っておこう。
 帰ってきたってさっき聞いたからね。
 それではまた後ほどって具合に。]
 



[ それで──、
 集中治療室の前に番代を見つけたら、
 「ほら」って微妙な温度のコーラを放る。
 ……炭酸を雑に扱うなって? やだな今さら。]


  レンとユキも来てたよ。
  もう会ったかもしんないけど。

  あと、ユーガと暮石と……、
  …………黒沢、遅いね。


[ 帰ってきてほしいなあって願望を、
 帰ってくるはずみたいな言い方に混ぜ込んで。]
 



[ さっき話してたとおりみたいに、
 炭蔵がちっとも帰ってこないから、
 慎一もいつの間にか思ってる。ユーガなら。

 それから、自分でも慎一でもないと言った、
 暮石のあの声色。表情。そんなのを思い出して。

 ちょっと考え込んでしまったけど──、
 今渡したコーラ、五分五分ってとこだから、

 お代は当然受け取る気はないし、
 なんなら忠告すべきか逃げるべきか、
 はたまた差し出すハンカチでも探すべきか。]
 



[ どちらにせよ、ここは少し居づらい。
 慎一は黒沢の親の顔をさっきから見れない。
 どんなに辛かろう、悲しかろうと思うから。

 だから、あまり長居はしないつもりで。*]
 


メモを貼った。


明仄∴暁星 クロエは、メモを貼った。

2021/06/15(Tue) 21時頃


明仄∴暁星 クロエは、メモを貼った。

2021/06/15(Tue) 21時頃


— 病院・集中治療室前 —

[向井くんが来たならば、
コーラありがとーって顔をしてそちらに歩いて、
放られた缶をキャッチする。]

 ちょっとー。

[炭酸が宙でシェイクされたことへの抗議の声を上げつつ、
買ってから時間が経った缶の温度を確かめる。

……こんな寒い季節に「つめた〜い」のスイッチを押させて、
ずっと持っていてもらった苦労を思えば、まあ、
文句を言うより重ね重ねお礼を言うべきなのかもしれないけど。]



 そっか、わかった。

[戻りが遅かったのは道理で、
帰ってきた人たちを出迎えていたかららしい。
乃絵ちゃん以外の帰還をもはや疑っていなかったから、
驚くこともなく、会ったら挨拶をしようか。

そうすると、まだ残っているのは誰なのか。
落第生でもわかる簡単な計算問題。]

 ……頑張ってるんだ、今も。

[あの校舎に残って答えと対峙している炭蔵くんと芽衣ちゃん、
そして、乃絵ちゃんも。私には想像もできないくらい、
今、頑張っている最中なんだろうなあって。]


[買ってきてくれたコーラをすぐに飲むべきか、悩んで。
シェイクされた缶をここで開けたら、どうなるかは容易に想像できるし、
自分の家や学校ならともかく、病院だしなーという遠慮は流石にある。
結局、ここで缶を開けることなくコートのポケットの中にすとんと落とした。

コーラ代と言いつつお金を取り出そうとするけど、
受け取らないという素振りをするようなら、
何度も問答はしないので、奢られておきましょうか。]


[向井くんと同じ居辛さを私も感じているけど、
それでもここに戻ってきたのは、やっぱり気になるから。

乃絵ちゃんが帰って来れるか、というのはもちろん、
乃絵ちゃんのお母さんのいるほうを一瞬だけ見て、
思ったことをどうにも誰かに言っておきたい衝動に駆られる。

あの世界の主に辿り着けなかった落第生の一人なりに、
気付けるとしたら、今が最後のチャンスなのかも、って。

向井くんの近くに寄って、
他の誰にも聞こえないくらいの小さな呟きを吐き出す。]



 ……乃絵ちゃんのお父さん、来てないみたい。

[だからどうなんだ、という問答をしたいわけではなく、
乃絵ちゃんの家庭事情を今ここで詮索したいわけでもない。

ただ、私が感じてしまった可能性って間違ってないよね?と、
それを確認したいという気持ちを言葉に込めて。

それだけ伝わったなら、いや、伝わらなくても。
ここから去るであろう向井くんを見送るだろう。*]


 ── 現在・集中治療室前 ──

[ 番代がこちらに歩いてきたので、
 治療室前が気まずい慎一は少し助かる。

 だから、抗議の声にも少しだけ笑って、
 「ごめん」って素直に謝っておこう。

 コントロールは悪くなかったろ。
 ……そういう問題じゃない? 知ってる。

 さっき会った面々について告げれば、
 落第生による引き算の時間だ。]
 



[ 「頑張ってるんだ」って言葉に、
 慎一は「うん」ってうなずいた。

 何も知らない人からすれば不審な会話でも、
 この距離なら黒沢の母親には届かないだろう。]


  ……がんばってるよ。
  黒沢もだし、ユーガも、暮石も。


[ あんな世界を作り上げたのだ。
 まだがんばってるって、慎一は信じる。]
 



[ 確かに。飲むのはせめて待合室だった。

 ポケットにしまわれたコーラに、
 慎一は内心でほっと安堵の息を漏らす。

 あまり状態のよくないコーラのお代は、
 もちろん、丁重に受け取りを断って、
 ふいに揺れた番代の視線を追っていた。]
 



[ ……そこには女がひとりいる。
 黒沢の母親だって慎一は疑わなかった。
 娘の帰りを今か今かと待ってるんだろうと。

 かわいそう。と慎一は思って、
 だから番代のささやきは不意打ちだった。

 びくりと一歩あとずさりしそうになって、
 それでも、流し込まれた言葉の意味を咀嚼する。]


  ……あ、


[ ひとり≠ナ待っているんだなって。
 今の今まで慎一が気がつかなかった事実。]
 




  ……忙しい、のかな。


[ その人のほうへ張り付きそうだった視線を、
 無理やり引っぺがして、かろうじて慎一は言う。

 忙しいのかもしれない。家をあけていたのかも。
 黒沢の家族について、聞いたことはあったっけ。

 いくらか頭の中で理由を並べ立てたけど、
 たぶん、自分でも不思議なほど声は強張っていた。]
 



[ ……もし、これが慎一だったら。
 きっとこの場所はもっと騒がしい。

 どんなに大事な仕事が入ってたって、
 父も母も全部放り出してここに駆け付ける。

 どこか別の場所にいたんだとしても──、
 なあ、黒沢が搬送されてどのくらい経つっけ。

 そんなこと聞けやせずに、
 慎一はじっと番代のことを見下ろしていた。

 人の家族について憶測で何か言いはしないけどさ、
 たぶん、慎一の目はひどく動揺に泳いで、
 似たものを感じ取ったことを番代に知らせるだろう。]
 




  ……俺、やっぱり向こう行ってる。


[ 他人がいても気まずいだろうとか、
 そんな殊勝で冷静な心掛けじゃあなく、
 たぶんその瞬間、そこにいたくなかっただけ。

 鏡もないんじゃ見えやしないが、
 きっと、慎一は顔をひどくゆがめてそこを立ち去る。*]
 


 

 おう、ただいま。
 えっと…… いや、なんでもない。

[そこに居たのは
物言わぬ人形なんかじゃあなくて
ちゃんと生きているマナだったから、さ。

無事帰ってこれてた喜びだとか、
そりゃあ…
言いたいことは山程あったんだけど。
ま、それはあとでいっかな、って。

お嬢様、カフェオレ温めておきました。
お陰様で俺のポケットもほかほかしていて、
俺は、じゃ、またあとで、って売店に向かうんだ]
 


 

[そしてこちらもまあ
無事、売店は開いていたわけで。
(どうしても開いてるわけがねえって?
じゃあ絆創膏の自販機があったことにするからな!)
調達するのは絆創膏だけ。

んで暫く廊下にあった大きな鏡に向かって
俺は格闘することにする。
眦の傷、そんなに大きくなくてよかったな、って。

あっちの世界はさ、
日常なんかとは随分かけ離れていたけれど
確かに、夢なんかじゃないって思い知らされる。]*

 


メモを貼った。


【人】 明仄∴暁星 クロエ

[ 私が父に捨てられたもの。
 捨てさせられそうになったもの。
 ひとつひとつ拾い上げるみたいに、芽衣が頷いてくれる。
 楽しかった。>>219
 いらなくなんかなかった。
 必要なくなんか、なかった。

 そう、私は守りたかったの。奪われたくなかった。
 自分の命を捨ててでも、守りたかった。
 わかってくれて嬉しい。
 芽衣はわかってくれる。友達は、わかってくれる。
 
 私の大事なもの。必要なもの。
 私に必要ないのは、むしろ ]

(229) 2021/06/15(Tue) 22時頃

【人】 明仄∴暁星 クロエ

[ 芽衣は、私に心残りをあげたかったって言う。>>220
 全然ダメって言う。>>221
 そんなことない。全然ないよ。
 むしろ私、芽衣の納得のいく演奏を聴いてたら、
 心残り、なくなっちゃってた。
 でも、芽衣は自分の演奏に納得がいってなくて、
 聴いてもらいたかったって、言うから。
 ……そっちの方が心残りになっちゃう。
 でも、そんな迂闊な、2人を期待させるようなこと、
 言えなくて。
 私はそんなことないよ、って
 首を横に振ることしかできなくて ]

(230) 2021/06/15(Tue) 22時頃

【人】 明仄∴暁星 クロエ

[ そして、私の投げつけた質問に、>>212
 真逆の答えが返ってくる ]

(231) 2021/06/15(Tue) 22時頃

【人】 明仄∴暁星 クロエ

[ 炭蔵君の返事に、私は笑った。>>216
 きっと涙目で、目じりは赤いけど、笑っちゃう。
 ああそうだったなって思う。
 自分ならこうする、ってはっきり言うけど、
 私の選択を否定しない。
 炭蔵君は、公平な人だった。>>0:650
 そうだった。私、そのことを知ってた。
 こんな時でも炭蔵君は変わらない。

 変わらないなって思ったのに、
 炭蔵君の話はそこで終わらなかった。>>217
 命令じゃなくて、わがままで、お願い。
 父に命令されるばかりだった私に、
 炭蔵君は命令しない ]

 ……炭蔵君がわがままを言うなんて、意外。
 

(232) 2021/06/15(Tue) 22時頃

【人】 明仄∴暁星 クロエ

[ 芽衣の答えに、私は笑った。>>224
 これ以上なくシンプルに言い切られちゃった。
 シンプルだったけど、芽衣がその二文字を口にするのに、
 決意が必要だったこと、知ってるよ。
 だって、友達だもの。わかるよ。
 今までずっと私を否定せずに受け止めてくれた芽衣が、
 私に突き付けた初めてのNOだもの。

 まだちょっと歩み寄れただけの綿見さん。>>225
 59点のクレープ。
 辛いだけじゃないかもしれないこれからの未来。>>227
 芽衣は一生懸命、私に心残りを積み上げようとする。
 私の中に、もうそれしかない?>>228 ]

(233) 2021/06/15(Tue) 22時頃

【人】 明仄∴暁星 クロエ


 ……わたし。
 私、は、

[ 父に何か諦めさせられるたび、
 私の中が空っぽになっていく気がした。
 私の中に、まだ何か残ってる? ]

 私、は、自由になりたい。
 もう、父に雁字搦めにされるのは嫌。
 見限られるかもしれないって怯えるのも嫌。
 私は、……捨てられる前に、捨てたい。

[ 私が本当に捨てたかったのは、自分の命じゃない。
 父による支配だった。
 恩知らずと言われようと、私は、あの人と、
 もう家族でいたくない ]

(234) 2021/06/15(Tue) 22時頃

【人】 明仄∴暁星 クロエ


 芽衣のピアノが聞きたい。
 みんなと一緒にいたい。
 みんなともっと仲良くなりたい。
 みんなと、これからも、思い出が作りたい。

[ 私、もう空っぽだと思ったのに。
 ひとつわがままが出てきたら、もう止まらなかった。
 ぼろぼろ、涙と一緒にわがままが止まらない ]

 みんなの未来の中に、私もいたい……。
 

(235) 2021/06/15(Tue) 22時頃

【人】 明仄∴暁星 クロエ

[ 差し出された手は二本で、>>228
 私の手も二本しかない。
 左手を差し出すのは、特に勇気がいった。
 そして右手にはクレープが握られたまま。
 ここで格好よく両手を差し出せたらよかったんだけど、
 やっぱり私、格好つけられないみたい。
 だから私、ちょっと待ってね、って二人を待たせて、
 べそべそ泣きながら涙トッピングのクレープを食べた ]

 ……私のわがまま、全部叶えてくれるって、約束して。
 そしたら、帰る。

[ 少しくらいって炭蔵君は言ったけど、>>194
 なにしろ私、生死の境をさまよってるんだよ?
 少しくらいなんかじゃ気が済まない。
 うんとわがままを言うけど、それでも叶えてくれる?
 約束してくれるなら、私、2人の手を取ってあげる* ]

(236) 2021/06/15(Tue) 22時頃

― 綿見と ―

そっか。だろーなとは思ってたけど、
やっぱ姿見るとほっとする。

え、あ、そう!?ごめん。
ついつい気になっちゃって……
でも恥ずかしがってる綿見ちゃんなんて
レアだからちょっと役得。なーんて。

[勿論なんか変な気持ちで見てたわけじゃない、が、
確かにちょっと不躾だったかも。
謝罪を交えつつ、軽口を叩く綿見に笑いかける。
元気そうで何よりだ。]


[続いて、黒沢の容体に水を向ければ
ちらりと綿見の視線が集中治療室に向く。
まだ状況は何も変わっていないようで、
笑っていた顔を物憂げに曇らせた。]

………そっか……

九重ちゃんが来てるのは聞いたけど、
番代ちゃんも来てるんだ。

[番代家の厳しい門限を知っている身としては
よく親が許可してくれたなって思ったけど、
それだけ必死に頼みこんだのかもしれない。
やっぱり皆、じっとしていられないのだ。]


メモを貼った。


[他の奴も来ているんだろうか、
なんて思考の端に過った所で
ちょうど鳩羽が戻って来たか

おっすおっす、って軽く手を上げて挨拶し
飲み物俺の分はねーの?とか、てかその傷どしたん、とか
ちょっとした戯れ(ウザ絡みとも言う)をしたのち
売店に去っていく友人を見送る。]



 ……忙しいだけ、なら、いいんだけど。

[可能性を考えるならいろいろある。
元々父親はいなかった、とか、いろんな事情もあるだろう。
私は乃絵ちゃんの家庭については知らないんだから、
どう足掻いても余計な推測になってしまう。

私の両親だって、私が自殺未遂を起こしたなんてことがあれば、
絶対に、全速力で、何があっても駆け付けてくれるという確信がある。
だから、そうじゃない家庭について想像を巡らせる能力が足りていない。]


[だけど、だけどね。
もし父親が来ない理由が、
乃絵ちゃんが自ら命を絶とうとした理由と何か関係があるなら、って。
少しでも思ってしまったせいで、歯止めが効かない。

無言で視線を向け合えば、
同じ発想に至ったかどうか、目に走った動揺を感じ取った。

そのまま向井くんを見送って、
心の中に引っ掛かったその違和感と向き合いながら、
過ぎていく時間を待ち続けるだろう。

ポケットの中に重みを与えているコーラ缶の、
プルタブ部分を指でなぞる動きを繰り返す。

……うん、少し落ち着く。*]


[んで、聞かれた話の続き。
校舎内で綿見とあんまりじっくり話す機会は無かったけど、
そう言う風に思うってことは、
やっぱり彼女の中でも何か変化があったのかな。
そこまでは分からないにせよ。

何せ、成り行き上とは言え、
唯一俺の中学時代のごたごたを零した相手ではある。
ちょっとだけ気恥ずかしいような気持ちで
眉を下げて苦笑を浮かべた。]

………うん、


なんてゆーかさ、あっちでいろいろ話して、
人の話も聞いてみてさ、
俺視野狭かったんかなーって。思って。

過去言われたことは変わんないし、
俺がやらかしたことも変わんないし、
新しい彼女が出来たわけでもないけどさ。

[現実が何か大きく変わったわけでも、
根本的に解決したわけでもない。

…俺が実の親に棄てられた事実が
変わるわけじゃない。けれど。]



いつも笑ってなきゃ駄目だって思い込んでたんだ。
でも、なんかさ、皆優しいんだよ。
優しくしてくれたんだと思う、ずっと。

だからもっかい信じてみたいなって。
今度はちゃんと向き合いたいなって。思った。


[求めた愛を得られたわけではないけれど。
俺の周りにはたくさんの人がいて、
少しずつやさしさや愛をくれていた。

闇雲に欲しがるばかりで、
ずっとまともに見ていなかったんだって。
ようやく気付いたから俺は、
やり直したくて帰って来たんだ。

いつか俺も俺をちゃんと好きになれるように。]



……俺の方はそんな感じ。

[なんか語っちゃったな。
素に戻るとちょっと照れ臭くて、
あははと笑って軽く頭をかく。]

綿見ちゃんは?
ちょっとは気持ち、楽になった?

[いつかのやり取りを思い出して。
お返しに聞いてみるんだ。**]


 ── 現在・病院外 ──

[ 「忙しいだけなら」って、
 番代の言葉がやけに頭に残った。

 そうやって少ない言葉を交わして、
 その場を離れた慎一は、
 待合室にいる人と混ざる気分でもなくて、
 結局、またなんとなく外にいる。

 たぶん、寒いくらいのほうが、
 頭の中がぐちゃぐちゃになったり、
 あるいは手に汗を握りそうなとき、
 少し落ち着ける気がしてよかった。]
 



[ そう。可能性はいくらでもある。

 いろんな家族の形があることも、
 慎一は知らないわけじゃない。
 そう頭では理解しているはずなのに、
 今は、無性に落ち着かないから。

 病院の外、入り口から少し離れて、
 邪魔にならないようなところに立ち、
 時折冷めたミルクティーを口にしながら、
 ペットボトルの蓋のぎざぎざを、
 短い爪でじっじっとこすってた。

 誰かが似たことしてるとも知らず、
 ただ、自分を落ち着けるために。]
 



[ 慎一がここでそうしている間にも、
 病院の中がわあっと明るくなりますように。
 どうか、また会えますようにと祈りながら。*]
 


【人】 明仄∴暁星 クロエ

[ 私のわがままを全部叶えて。>>236
 傲慢な私の要求に、
 芽衣は上手じゃないけど、って言う。>>240
 芽衣は、自分の手を大事にしてた。
 芽衣は、ピアノを弾いた後、悔しくて泣いてた。
 芽衣は、自分のピアノにきっとプライドを持ってる ]

 私は、芽衣のピアノだから、聴きたいの。

[ 上手なピアノが聞きたいんじゃないの。
 悔しくて泣いた芽衣の、納得のいくピアノが聞きたいの。
 大丈夫、芽衣が自分の演奏に満足できる日が来ても、
 もう私、心残りがなくなったって言ったりしないから ]

(246) 2021/06/15(Tue) 23時頃

【人】 明仄∴暁星 クロエ


 いつか、遠い未来でもいいよ。
 少なくともそれまでは、
 ずっと一緒にいてくれるってことでしょ?

[ 芽衣が、自分で納得のいく、聴かせたいって思える
 ピアノが弾けるようになるいつか。>>241
 ずっと、とかいつまでも、なんて言うのは
 私にはまだ難しくて「それまでは」なんて言っちゃう。
 言い慣れない私のわがままは、
 まだまだ付け焼刃なのかもしれない ]

(247) 2021/06/15(Tue) 23時頃

【人】 明仄∴暁星 クロエ

[ 意外だと思った炭蔵君のわがままは、>>243
 珍しいどころか人生初なんだって ]

 初めてをこんなところで使っちゃっていいの?
 そんな貴重なの、
 叶えてあげないとばちが当たっちゃうね。

[ 炭蔵君の初めて、私がもらっちゃうね。
 誤解を招く表現?知りません ]

(248) 2021/06/15(Tue) 23時頃

【人】 明仄∴暁星 クロエ

[ 絶対叶えるって言った後、>>245
 善処するって言い直す炭蔵君は、
 とっても正直者だと思う。
 その正直さに免じて、死ぬのは諦めてあげる ]

(249) 2021/06/15(Tue) 23時頃

【人】 明仄∴暁星 クロエ

[ 私は差し出されたふたつの手を取って、ぎゅっと握る* ]

(250) 2021/06/15(Tue) 23時頃

明仄∴暁星 クロエは、メモを貼った。

2021/06/15(Tue) 23時頃


【人】 明仄∴暁星 クロエ

[ 「それまでは」って言った私に、>>247
 「それまでしか」って芽衣は返した。>>251
 私にはまだ難しいことを、
 芽衣は軽々と飛び越えてしまう。
 だから私はうんって頷いた ]

 うん。「それまでは」は、取り消し。

[ 私にはもうないって思った未来が、
 遠く広がっていく気がした。
 やっぱり、まだ怖い。
 足が竦みそうになるような、そんな気持ちもある。
 でも、私の両手を握るふたつの手が温かいから、
 私、歩けるよ。
 名前を呼ぶ芽衣の声に促されて、>>252
 私、もう一度頷いた ]

(257) 2021/06/15(Tue) 23時半頃

【人】 明仄∴暁星 クロエ


 帰ろ。昇降口から、出られるから。

[ もう、この校舎は誰も閉じ込めない。
 だから私たちは手を繋いだまま、
 昇降口からきっと帰れる。

 先に帰ったみんなは、あんな目に遭ったのにね。
 この仕様、本当に酷いよね。
 でも、みんなは無事に帰れたけど、
 私は帰ったら瀕死だから、
 それに免じて許してくれないかな。
 ここ笑うところなんだけど、やっぱり笑えない?
 帰ったら私、冗談のセンスも磨くね ]

(258) 2021/06/15(Tue) 23時半頃

【人】 明仄∴暁星 クロエ

[ 帰る前に言っておきたいわがままは?>>255
 炭蔵君に促されて、
 私、きょとんと目を見開いた。
 そうだ、私、わがまま言い放題の権利を手に入れたのに、
 やっぱり言い慣れてない。
 そうだなあ、って考えて、決めた ]

 お見舞いに来てもらえるようになったら、
 私が退屈しないように、会いに来てね。
 それで……、

[ 私の目線、ちょっと上を向いた。
 正確には、炭蔵君の前髪を留めてるヘアピンを見た ]

(259) 2021/06/15(Tue) 23時半頃

【人】 明仄∴暁星 クロエ


 それまでに、前髪切ってきて。
 現実でも炭蔵君の顔、ちゃんと見たいから。 

[ さて、私のこのわがままは、
 炭蔵君の難易度的にはどれくらいなのかな?
 お見舞いに来てくれるまでに、
 わがまま他に一杯用意しておくね ]

(260) 2021/06/15(Tue) 23時半頃

【人】 明仄∴暁星 クロエ

[ 音楽室は3階の一番奥。昇降口からだいぶ遠い。
 廊下を歩いて、階段を下りて、
 私たちは明日を目指す。

 廊下には、文化祭の写真。
 横切る教室は、お化け屋敷に喫茶店、
 楽しかったあの日の思い出がここにある。
 そして、ここに来て増えた思い出も ]

(261) 2021/06/15(Tue) 23時半頃

【人】 明仄∴暁星 クロエ

[ 自己責任の一蓮托生59点クレープは、>>4:504
 まだ食堂の冷蔵庫に残ってる。
 責任を持って食べようねって言ったけど、>>4:523
 食べる時間はどうやらなさそう。
 私と芽衣のワルイコトは、
 文化祭の思い出と一緒にここにいつまでも残る。
 思い出がひとつ増えたということにして、
 許してもらおう ]

(262) 2021/06/15(Tue) 23時半頃

【人】 明仄∴暁星 クロエ

[ 昇降口の扉は、嘘みたいに簡単に開く。
 そこから外へ足を踏み出すのは、
 やっぱり少し足が震えるけど。
 私、笑って2人に言うよ ]

(263) 2021/06/15(Tue) 23時半頃

【人】 明仄∴暁星 クロエ


      来てくれてありがとう。
      また、明日ね。*
 

(264) 2021/06/15(Tue) 23時半頃

メモを貼った。


メモを貼った。



[ 少し前。
  ひとみからの反応を見て
  生きづらかったよね、なんて言われて。

  思わずこくんと頷いて、ちょっとだけ
  目が潤みそうになっていたのは秘密の話。

  こんな簡単なことだったし、わかってくれた。
  …… 言っても大丈夫だということに気がつくのに、
  やたらと時間は掛かってしまったけれど。

  ひとみも私も、同じようなものに囚われていた。
  これからはそんな話をするような事も
  段々と無くなっていくのやもとは思う。]
 




[ 誰にも言えない秘密の共有があった事は、
  何処かにあの子たちと一緒に残るだろうけど。

  それこそ、あの冷たい校舎の中とかに。]
 
 






      [ さいごにはなにが残されるのだろう。
     ここにいる私たちには、想像しかできない。]*
 


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