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【人】 黒い取引先 アリババさて、 (0) 2023/08/02(Wed) 00時頃 |
メモを貼った。
[ 夢か現か分からないふわふわふとした意識の中、
俺の耳には聞き覚えのあるバリトンボイスが>>3:*0>>3:*1>>3:*2>>3:*3
はっきりと届いた。 ]
―― 病院・203号室の病室 ――
[ 俺の意識がある程度覚醒したとき、
俺が今いるのは病院のベッドの上なんだと気付く。
真っ白な部屋に消毒液のような独特の匂い。
まだぼんやりとした頭の俺は、
とりあえず誰か呼ぼうとナースコールを押したんだ。 ]
[ 病室に駆け付けた医師と看護師から状況説明を受けた。
どうやら、俺は体は打撲や擦り傷程度だが、
頭からの出血が酷かったらしく、
縫合処置を行ったとのこと。
処置後の経過は良好で、
検査の結果、頭蓋内出血も起きていないらしい。
あと、麻酔がまだ効いているようで、
もう少し寝ているといいという話だった。
未だにはっきりとしない意識の中、
俺はベッドに横たわり、瞳を閉じると
そのまますやすやと眠りに就いた。 ]**
メモを貼った。
[
幼子の容は銀のいるこちら側でも視認できた。
迷子? と訝しんだのは一瞬、紫の髪留めに正体が判明する。
覚束ない足取りで、心細そうな声で。
現況を理解している様子は見えない。
ならば、彼女にとってはそのほうがいいのだろうか。
慰めることはかなわない。]
高祈先輩と、仁科さん……。
[
ここまで、アリババの言葉は全て真実だった。
不用意に警戒し、疑念を抱いた高祈には
あの後会う機会がなく、ガラスを割る行為についても
やふやなまま。仁科とはカフェで二言三言話しただけだった。
ふたりとも、生きていてよかった。
その想いには嘘はない。]
[少し前には柊と福原、それに骨谷の無事が判明している。
皆、どのような状態でいるのだろう。
ゆっくりと目を開けると、射し込んでくる光。
あれほど明晰な夢であったのに、
現実の光はこんなにも眩しい。**]
メモを貼った。
【人】 黒い取引先 アリババ[狐の姿は、モルジアナをそっと見守っている。 (38) 2023/08/02(Wed) 13時頃 |
[病院の窓から、遠雷の閃光が見えて、
オレ西洋美術概論の講義を思い出す。
トンネルを抜ける前、次第に近づく神鳴りを。
日本での雷は神罰にとらえられがちだけど、
西洋の神話ではゼウス(或いはユピテル)の象徴。
「雷に打たれた者(エリュシオン)」は神の祝福だった。
日本でも、佳人薄命、あまりに若く命を失えば
神に気に入られて連れて行かれたんだ、
なんて言葉で無理矢理に納得したり。
砕けた一つの林檎は、神の寵愛を受けたのだろうか。
その"慈悲"の世界に巻き込まれたオレは、
もうそれを荒唐無稽と嗤うことなどできない。
宣告は淡々と非情に
残りを三名にまで絞っていた。**]
メモを貼った。
【人】 黒い取引先 アリババ>>40 (83) 2023/08/02(Wed) 20時半頃 |
【人】 黒い取引先 アリババ[>>41 そして、とても正直な彼女からの問いに、 (84) 2023/08/02(Wed) 20時半頃 |
―― 夢の中 ――
夢の中のことに、どんな理屈でとか言うのは
野暮なんだろうけど。
[ 俺はいつの間にか、あの夢の中の美術館にいた。>>3:*2
さっきまで麻酔でふわふわしていた意識は
いつのまにかクリアになっていて、
俺はきょろりと辺りを見渡した。 ]
こっちからは見えるのに干渉できないって
生殺しって感じだな。
[ ぽつりと呟いたところで、
アリババさんのお告げが聞こえた。
そっか。なるほど。
[ 次に目を覚ますのは、さっき俺のことを
魔法使いだと言ってくれた女の子と、
生きてるんだ、高祈先輩。
[ 良かった、なんて口には出せないけれど、
心のどこかで安心していた。
卒業の前に二度と先輩に会えなくなるのは、
俺には耐えがたいことに思えたから。 ]
……俺に何ができるのかな。
[ 先輩の髪を結んでいたゴムがちぎれた後、
カラスアゲハの数が増えていき、
頬や首に致命傷にならない傷が増えていく。
そっと近づいて手を上に伸ばして、
傷口に触れてみるけれど、
その血を拭うことすら俺にはできなくて、 ]
[ ビデオルームに入った先輩の背後に
不穏な影が見えて、
仄かに生臭い香りが広がった。
そっかあ。黒猫に懐かれたんっすねー。
……黒猫は何て言いながら、先輩を傷つけているんです?
[ こんな面と向かって言う状況じゃなくても
先輩に嘘だと言えない俺は、
何があなたに傷を負わせるのか遠回しに、
少しずつ先輩の本音を聞き出そうと言葉を零す。
先輩には当然俺の声は届かない。
もし初めから先輩に突撃していたら、
こんなもどかしい思いをしなかったかもしれないけど、
俺は変わらずに少しずつ努力して、
先輩の心を溶かしていくのが
きっと正攻法なんだって信じたい。 ]
[ どちらにしろ、高祈先輩には隠したい何かがあって
ここで俺が勝手に見るのは
フェアじゃない気がするから、
ここで俺はビデオルームを後にする。
ふわりふわりと館内を漂っていると、
辿り着いたのは、カフェの前。 ]
え? 田端先輩?
[ 仁科ちゃんと回谷先輩と1匹の狐が
小さな女の子に振り回されている様を
おっかなびっくり眺めていたら、
田端先輩の名前が出てきて、俺は唖然とした。
でも、たしかにあの髪留めには
見覚えがある気がして、 ]
幼児退行、かな。
……よっぽど心に負担が掛かってたんだろうな。
[ マイペースなところがあるからと
あまり気にしていなかったけど、
こんなことになるなら、
もう少しフォローしておけば良かったかもと
俺は後悔した。
まさか、自分からみんなを遠ざけてたなんて
俺は知らなかったから。 ]
[ それから、ゆらりゆらりと移動すると、
いつの間にかエントランスに着いていた。
樹の下には潰れた林檎が1つと普通のものが4つ、
そして、樹に生った林檎が5つ。
樹に生った林檎の一つが俺の姿に重なって、
そういえば、他の林檎も目を覚ました面々と
どことなく重なるようで。
それでも、潰れた林檎が誰を指すのか分からない。 ]
例え、誰の林檎が砕けていたとしても。
[ あなたは災害なんかに
巻き込まれていい人じゃなかったって、
俺はいつまでもあなたの死を惜しむよ。 ]*
メモを貼った。
メモを貼った。
――病院2F/休憩スペース――
[オレは西門教授に報告しようと思っていたけど、
目覚めたはずの先生の病室は面会謝絶だった。
アリババ氏の声は等しく聞こえているはずなのに、
そういえば覚める直前の教授の言動はちょっと
病んでるみたいでアブナかったな、などと思い出す。
大半は成人済みの大学生とはいえ、
課外授業の最終責任者は、大人は、教授だけだ。
きっと責任感や混乱で平静では
いられなくなっているのだろう。]
――――、どうしよう、
[病室は出てきたけど、目覚めているのは
シロマちゃん……女子の病室に見舞う
というシチュエーションはオレに許されるのかッ!!?
非常事態ではあるが、現実の人の目もある。
つぶ(略)ブラザーズも一緒なら、勇気を奮って
赤信号みんなで渡れる気がしなくもないが。]
『骨谷ヘータより。
おはようございます。
(↑笑うところだから↑)
目覚め一番乗りってことで、
LINEなり何なりで、
みんなの様子を知れたら嬉しいかな。
まだ、誰が……かは分からなくて、
何となく顔合わせ辛いかも知れないけど。
西門先生は未だ病室行っても会えなかった。
オレはしばらく2階の
休憩スペースにいるんで、
気晴らしの話相手にでもなってくれたら。
P.S. カップは全員分デザインするつもり』
[思い出したようにスマホを取り出して
研究室のグループLINEに打ち込んだ。
そうして、手持無沙汰なオレは夢の中と同じ姿勢で
スケッチブックを広げ、
1人1人の顔を思い浮かべながら、線を連ねていく。]
【人】 黒い取引先 アリババ>>51>>52 (87) 2023/08/02(Wed) 21時半頃 |
[病室のあった3階から階段を下りるのに、
少し躊躇したけど、普通の長さの普通の階段だった。
はぁ〜〜、と2階の床を踏んだオレの溜息は
5呼吸分溜めたくらい長かった。
小さなダイヤの粒が象嵌された
タバたん先輩のカップデザインを考えていたら、
後ろの髪が数本引っ張られるような
妙な感覚があった。]
…………子供の、声?
[お腹が空いているのか迷子なのか、
わんわん泣いている、稚い高い声。
おかしいな、外来の時間は終わったし、
この階は小児科もない入院病棟のはずなのに。]
―― 病院・病室203号室 ――
[ 眠っている間に麻酔が切れたのか、
いくぶんかスッキリとした思考で
目を覚ますことができた。
ベッドの側に誰かがいる気配を感じて、
俺はゆっくりと首を動かしたんだけど、 ]
あ……お婆ちゃん……。
[ 入院手続きをするために、
緊急時の連絡先に電話がされたようで、
お婆ちゃんがこの病院まで駆け付けてくれたらしい。
心配そうに俺のことを見つめていた顔が、
安心したように柔らかな笑みに変わったんだけど、 ]
迷惑かけて、ごめんなさい……。
[ 俺の言葉に、お婆ちゃんの笑顔が固まった。
――ああ、違う、
そんな顔をさせたいんじゃなかったのに。
色々な事情があって離れ離れになって、
たしかにどう話していいか分からないような
間柄ではあったけど、
それでも、俺のことを心配して
こんなところまで来てくれた人に、
他人行儀なことを言って傷つけていいはずがない。 ]
[ 思えば、先に距離を開けたのはどっちだったか。
どうせお爺ちゃんもお婆ちゃんも
父さんという娘を傷つけた男の息子でもある俺より、
実の娘の方が大事に決まっているって、
最初から決めつけていたのは、
俺の方じゃなかったか―― ]
[ 入院手続きに行くからと
病室を出ようとしたお婆ちゃんの手首をつかんで、
俺はお婆ちゃんを引き留めながら、小さく笑う。 ]
来てくれてありがとう、嬉しい……。
[ そういうと、お婆ちゃんはぽろぽろと泣きながら
俺を抱き締めてくれたんだ。
「今までごめんね」と言うお婆ちゃんの言葉に、
俺は何度も首を横に振りながら、
お婆ちゃんのいつの間にか痩せて薄くなった体に
腕を回したんだ。 ]
[ それから、お婆ちゃんとはいくつか話をしたけど、
「病み上がりだから休んでなさい」と言われて、
入院手続きのために病室を後にするお婆ちゃんを
横になりながら見送った。
病室に一人になると、俺はスマホを開く。
研究室のメンバー以外の人から
俺のことを心配するメッセージが大量に届いていて、
ちゃんと元気な振りして返信できる気が
しなかったから、未読スルーの形になる。
もし読んでいたら、事故の詳細について
少しは知れたかもしれなかったけど。>>3:*4
とにかく、もうスマホは放置しようか
というタイミングで、
グループLINEの通知が届いた。
あ、骨谷先輩。
はは、どう笑えばいいんすか、これ。
[ 乾いた笑いを浮かべつつ、
俺もぽちぽちとメッセージを送る。
『福原徳人 今起きました』
『頭に怪我しましたが元気です』
『休憩スペース俺も行きます』 ]
さてと、移動しますか。
[ ベッドから起き上がって、俺はスリッパを履いた。
ちなみに俺は、ノックして問題ないと言われたら、
常識の範囲内で銀先輩の病室を見舞うことは
悪ではないと思っている。
―― 病院・2階休憩スペース ――
骨谷先輩、おはようございます?
[ 休憩スペースにやってきた俺は、
骨谷先輩の姿を見つけると声を掛けて、
先輩の向かいの席に座ろうかと近寄った。
俺は何ともない調子で声を掛けたけど、
頭に包帯を巻いている俺を見て、
骨谷先輩はどう思ったかな。 ]*
メモを貼った。
[オレは腰を浮かせて周囲を見回して、
気のせいだったかと座り直すも、
どうにも落ち着かない。
小さな子供の声って、やたら神経に引っ掛かる。
アラートなんだから、本能としては
それが正しいんだろうけど。]
…………こんばわー。
ノっくん、頭大丈夫?
[訝るオレに声をかけたのは、子供でなく
目覚めし者――ノっ君だった。
ボケの応酬に正しい時刻の挨拶を返す。
夢の中のタカナル先輩の腕はスルーできたけど、
さすがにリアルで頭に包帯は看過できなかった。
何とも失礼な心配の言葉になったのはご愛敬。
此方の頬のガーゼは、説明するまでもない、
35億分の一の破局の結果。]
ここに来るまでに、
子供とすれ違えへんかった?
なんか、泣き声みたいの、聞こえて――、
[それとも、夢の余波か幻聴で
オレがおかしいこと口走っているのだろうか。
普通に考えれば、子供が迷い込むはずのない
時間と場所で。誰かの御見舞いではぐれたにしろ。
オレは眉間に皺寄せ深刻な面持ちで、
包帯男と化したノっ君に問う。*]
―― 病院・2階休憩スペース ――
はい、こんばんは?
[ 時間間隔がない頭だったが、
そうかもう夜だったのか、なんて思いながら、
はい、頭の出血は止まってますし、
特に問題ないそうっす。
いくつか脳細胞は死んでるかもっすけど、
知能レベルも問題ないはずっすよー。
先輩の頬は……
美術館に行く前のアレってことでいいんすかね。
それとも同じところに新たな怪我を?
[ チラリと骨谷先輩の頬を見つつ、 ]
子供の泣き声。いや、俺は見てないっすけど。
……もしかして、先輩、一瞬居眠りしてませんでした?
それがあの夢の世界だったなら、おそらく――
[ つられたように深刻な気持ちになりながらも、
そこで俺は言葉を切る。
夢の世界で幼児化した田端先輩のことを
俺は思い出していたのだけど、
勝手に言い触らすのも憚られたから。 ]*
――病室
[半身を起こしても痛みや気怠さがなかったため
そのまま立ち上がろうとして、足首に巻かれた包帯と、
その部分が左右で僅かに嵩が違うことに気づく。
ナースコールを押しての病室での診察で、
外傷は右足首の捻挫程度であることを知った。
杖の必要はなさそうだが、すぐに退院というわけには行かないようだ。]
……腫れてると思うと
急に痛い気がしてくるわね。
[ひとりになると病室内を見回して、
床頭台に置かれた自身のバッグを手に取った。
病室内での携帯の使用は許可されている。
何件かの通知。
家族へ連絡が行っているのだろう。
母と姉から安否を問うLINEにまずは返信を。]
『銀です 検査結果待ちだけど
ケガは足の捻挫ぐらいで概ね元気✨
皆の具合はどうでしょうか』
[グループLINEへ送信。
頭を怪我したという福原は気になったが、
併せて元気とも書かれていたため、差し当たって
言及を避けた。
ついさっきまで、夢の中で遣り取りした
皆のメッセージは残っていない。
骨谷から届いたメッセージ以前の履歴の日時は
美術館に着く前のもの。
判りきっていたことなのに、物寂しい心地になる。]
『統一したモチーフで考えていないなら
私は蔓(葡萄か藤)とカギを組み合わせた
デザインがいいな』
[こちらは骨谷への個人メッセージで送った。]
[ぽふんとベッドに仰向けになって目を瞑る。
もう十分に夢を見たのだ。
眠気はすぐに訪れる気配を見せない。]
…………。
[――――回谷か大藤か田端。
ひとりずつの顔が浮かんでは消える。
胸の辺りが重くなるのが分かって、
考えることをやめた。**]
アリババ氏の宣告通り、
目覚めてるみたいでよかった。
いや刻一刻と、寝覚め悪い事態には
なってってるけどなあ。
[一度、目眩いを堪えるように
額を押さえて目を瞑る。
耳鳴りのように、また幼子の声が響く。]
――っごめ、うん。
まだちょっと、油断すると意識が
引っ張られるみたいな感じするな。
[もし、その声の主を視認したなら、
タバたん先輩の隠し子かと疑ったかも知れない、が
必死に子守りするニトちゃんとメグココちゃん含め、
未だ見ぬ夢の切れ端。]
脳細胞とか恐いこと言うなあ。
オレの方も、うん。
シロマちゃんみたいに、
更に自罰を加えたりはしてない。
この災害ってもう
ニュースになってるのかな?
身内(とアカリん)からの安否確認がすごくて……。
[そういえば、夢の中ではお揃いの赤手形があったけど、
現実のシロマちゃんは打撲も鼻血もないはずで。
あったことと、なかったこと、まだ相当混乱しているオレだった。*]
―― 病院・2階休憩スペース ――
そうですね。
……きっともう少ししたら
アリババさんの最後の宣告があるでしょうし。
って、大丈夫ですかっ?!
[ 額を押さえる目を瞑る姿に、
俺は思わず大きな声をあげながら、 ]
そうなんですね。
あまり無理しないで寝てしまうのも手なのでしょうが、
あの夢の世界に行くのも怖くはありますし、ね。
[ あの夢の世界の見え方も>>3:*2
人それぞれといったところなのか。
きっと、優しくて繊細な先輩は、誰かの死の宣告を
今か今かと待ち受けるのも辛いのではないかと。 ]
え、恐いっすかね?
頭叩いたら馬鹿になるってノリだったんすけど。
……まあ、冗談にしてはブラックでしたかね。
すみません。
いや、自罰とは思ってませんでしたけど、
その様子だと、壁とか展示物とかに
ぶつかったわけじゃなさそうですね。良かったです。
ニュースは、なってる可能性がありますね。
俺も友達から連絡たくさん来てましたし。
でも、俺、ニュース見るの怖くて、
連絡し返したりもできてないんですけど。
[ 安否確認が多いということに同意しつつも、
俺はうまく友達に返信できるか以上に、
無意識のうちに誰が亡くなったのか知るのを
先延ばししたかったんだなと自覚した。 ]*
ノっくんも、まだあっち側が見えるんだな。
[現実で、起きた後で同じ夢の続きを見るのは
至難の業だが、未だオレたちの夢は
アリババ氏の介入を許している。
きっと、最期の決する時まで――。
怖くはある、とノっ君の言に、オレは重々しく頷いた。]
……タカナル先輩は生き残った側の責任を説いていた。
ノっ君は、自分でも構わない的なこと言ってたけど、
恨まれる覚悟、できた?
[潰れた林檎の命運は決している。
「何故自分が」と他者を恨む人物かどうかは分からないけど。
本人がどう思おうと、残る9人は何かしら背負うことになる。]
オレ1人じゃあ、重責に潰されそうだけど。
9分の1ずつ、皆で背負おう――な。
オレも億劫で返信してないや。
いい感じの文言思いついたらコピペさせて。
[何とも誠意のない提案を一つ。
正直、犠牲の方が気掛かりでたまらなくて、
無事だった自分とその周囲へ配慮する余裕なぞない。]
アリババ氏も言ってたけど、
目を醒ませないのが誰なのか、
現時点では神様以外知りようがないみたいだし。
理不尽は承知で、オレらに今できることってないよな。
[そしてふと、LINE通知と文面に目元を和らげる。]
シロマちゃんも、無事お目覚めだってさ。
[来るまで待つも、ノっ君という味方を伴い
病室訪問イベントにチャレンジするもOKだ。**]
メモを貼った。
―― 病院・2階休憩スペース ――
そうですね。俺も見えますし、
おそらくは銀先輩や柊くんも、きっと。
恨まれる覚悟、ですか。
[ その問いに俺は肯定も否定もしない。
だって、そんなものとっくの昔にできていた。
俺が生きて、健全な結果にならなかったことを
世界に対して呆れながら、
それでも、それにより死者からどう思われようとも、
それは仕方ないことだって、
あのときからずっと思っていたのだから。
そうですね。仮に恨まれたって、
俺たちの責任は1/9です。
骨谷先輩だけの責任にはさせないですよ。
はは、善処します。
[ 誠意のない提案には、乾いた笑いを返した。
今はいい文言なんて思い浮かばないし、
きっと、亡くなった人が誰なのか分かれば、
さらに思い浮かばないだろうことは
容易に想像できて、 ]
たしかに、結論が分からない限りは、
俺たちに出来ることってないですよねえ。
西門教授や銀先輩、柊くんに心のケアが必要かとか、
もうすぐ目覚める高祈先輩と仁科ちゃんを
どう迎えるかとかを考えるかくらい、ですかね。
[ それから、先輩につられるように、
俺も銀先輩のメッセージを見て、
そうですね。
もしここまで来れそうなら、銀先輩の顔も見たいですが。
[ おそらく銀先輩の足の捻挫というのは
本当だとは思うけど、
今は一人でいたいために、
休憩スペースまで移動できない言い訳として
捻挫と言った可能性もあるし、
銀先輩の病室へ訪問するのは
止めておいた方が無難かなと思いつつ。 ]**
メモを貼った。
―― 夢の中 ――
[ 夢の世界の場面は、
いつの間にかカフェへと切り替わる。
幼い田端先輩と回谷先輩、仁科ちゃんが
食事をしている風景を眺めつつも、
田端先輩の話を聞く限り、
これは幼児退行というよりも、
悪夢といった方がしっくりくるのかもしれない。 ]
誰も産んでくれなんて頼んでないのにね。
[ 育児って子供の衣食住だけを
満たせばいいわけじゃないはずなんだけどなあ。
なんて思いつつも。
俺はそもそも田端先輩の両親が、
育児する気もなかったのではないかなんて
そんな思考にも至らなかったから。
メモを貼った。
メモを貼った。
[挫いて腫れた足は今更のように痛みを訴えてくるのだが、
眠りにも就けず、足以外は元気ともなると手持無沙汰ではある。
放っておくと沈む思考。
なら、何かで気を紛らわせた方がいい。
スマホは逆効果に思えて、枕元に置き去りにして
病室を出た。
休憩スペースには福原と骨谷がいるのだろう。
確認だけはしようと、階段ではなくエレベーターで
階下へと降りる。]
――二階:休憩スペース
あら、痛そう……、
でも二人とも無事でよかったわ。
[福原の頭に巻かれた包帯と骨谷の頬に残る手形を
認めて呟いた。
西門には会えなかったと骨谷のメッセージにあった。
柊も同様だろうか、今はただ待つしかないのだが。]
病院って退屈ね。
鑑賞できるものもないし。
[ところどころ配置してある絵画に、
銀の目を引くものはなかった。
美術館に行った後だ、特にそう感じる。]
[スペース内に設置されている自動販売機で
飲みものを購入する。
空腹を覚えていたが、病院の食事時間まで間があった。
生者の世界では夢の中のようには自由に、
食材を手に入れることができない。
少しでも足しに、と選んだ炭酸飲料で
喉を潤す。**]
メモを貼った。
――病院2F/休憩スペース――
オレだったらどうか、なんて『もしも』を
考えることすら不謹慎なんだろうけど。
恨まないって、他の誰より
自分の死を受け容れちゃうのって
……駄目だ。上手く言えないけど、
そんなの切なくて遣り切れない。
[オレは誰に対しても、そんな深くまで事情に踏み入ってないし
その内実も知らず無責任かも知れないけれど、]
タカナル先輩なんて、遺言めいてオレに
生還者の責を託しながら、なんか――、
[死にたそうに感じて。オレはあの時
どんな表情を返していいか分からなかった。
自分の死後を語る九十代の依頼主と同じ貌をする二十代。]
できること、か。
そうだ、ノっ君今度オレに料理教えてよ。
味噌汁も最高に上手かったけど、
肉じゃがは食べ損ねて、
それだけが気掛かりだったんだ。
[オレは気の重い話題をわざと逸らかすように、
無理矢理な笑みをのせて、腹の虫と共に訴える。]
……噂をすれば、シロマちゃんだ。
[かけられた声
LINEで知らされていた、お互いの怪我の具合を確かめる。]
そういえばオレもバタバタしてて、
結局ちゃんと鑑賞らしいこと、できてないな。
シロマちゃんに言われた絵もまだ覧てないし、
もう一度美術館に行――、
[災害の規模は知らされていないけれど、
さすがに暫くは閉館、悪くて閉鎖に
なりそうな状況。オレはうぬぬ、と首を捻る。]
眠れば、展示物も見れるのかな。
それどころじゃない、けど。
……さすがに3日後レポート提出はないよな?
[頭を掻いて、オレも自販機へ足を向ける。
普段買わない莓オレのパックを手にしたのは、
ブラザーズ生還祝いの意味も込めつつ。**]
[
銀が訪れる前までの話題は知る由もないが、
一瞬だけ覗いた表情は深刻なものに見えた。]
暫くダンスを踊るのは無理ね。
[足元へ向けられた視線に冗談めかして答える。
骨谷の顔にのぼるものが、ぎこちなくとも
笑みの形をしていたから。]
――――それが、
絵はなくなってしまったみたいなの。
あ、でも目録には載っているから……。
[
この世からも、銀の中からも失われてしまった。
夢の中で福原は目にした筈だ。]
レポート、は、さすがに
西門教授も勘弁してくれるでしょう。
[きっとそれどころではないだろう。
悲劇的な彼がどれほど悲愴な顔をしているか
面会できないことに感謝すべきかもしれない。
甘い飲み物を選ぶ意図は解せずに、
進捗を確認するかのようスケッチブックを覗き込む。**]
【人】 黒い取引先 アリババ>>148>>149 (150) 2023/08/03(Thu) 19時頃 |
―― 病院・2階休憩スペース ――
そうですね。
でも、死を受け入れるって、
そんなに簡単に決められることじゃないでしょうし、
きっと、色々と葛藤とかあったと思うんですよね。
だから、俺はその人の気持ちは尊重したいんですよね。
代わりに、俺はその人のことを
死んでほしくなかったっていつまでも思いますし、
俺の気持ちもその人に尊重してほしいです。
なので、骨谷先輩も遣り切れないなら遣り切れないで、
その気持ちが小さくなるまでは、
相手の思っていることなんて関係なく、
ずっと自分の気持ちに正直に
思い続けたらいいんじゃないですかね。
[ 一度は死を受け入れた立場としては、
各々好きなように思えばいいのではないか
と感じる俺は、やっぱり人間味のない
ドライな人間なんだなあって思ってしまう。
生還者の責なんて、
高祈先輩も重いもの託したんだなあって
俺は少し苦笑が零れたけど、 ]
料理っすかー。もちろんいいっすよ!
味噌汁は俺普段は市販の顆粒だし使ってるんで、
もしかしたら味が違うかもしれないっすけど。
肉じゃがも普段から電気圧力鍋で作ってますけど、
普通の鍋で作れないこともないので。
ぷっ、腹減ってんなら、
売店で何かお菓子とか買ってきましょうか?
[ 腹の虫の音が聞こえて、
思わず噴き出したタイミングで、 ]
あ、銀先輩!
捻挫って聞いて心配しましたけど、
歩けるようで良かったっす。
[ 休憩スペースにやって来た銀先輩に
手を振りながら、 ]
たしかにやることなくて退屈っすよねえ。
[ 少しでも前向きな気持ちでいたなら、
何か楽しいことできないかなって
想像したりもできたんだろうけど、
さすがに、身近な誰かが亡くなっている現状で
楽しみたいっていう気分にもなれなくて。 ]
[ そっか。あの絵なくなってしまったのか。
だからか、と現実世界に戻る直前の
銀先輩の様子に俺は合点がいって、 ]
あ、いいなー。
俺も買おうっと。
[ 自販機で飲み物を買う先輩たちに倣って、
カフェオレのパック飲料を買うことにした。 ]
さすがに、こんなことになったら
レポートどころじゃないでしょうしねえ。
[ レポートの話に相槌を打ちつつ、
俺はパックにストローを挿してカフェオレを口に含む。
口内にほんのりとした甘さと苦さが広がった。 ]*
メモを貼った。
──少し前:覚醒──
[目を開けると見知らぬ白い天井が見えた。
って、漫画やアニメでよく見るけどさ、自らそれを体験するとは思わなかった。
カーテンに仕切られた空間は狭くて、目に映るものが殆ど白いから、色彩が消え失せた世界に放り込まれたような錯覚を起こす]
……いっ……って…
[どうしよう。どれだけ寝ていたのかな。
起きたら俺、まず何をすればいい?あっ]
これか
[枕元のブザーボタンを押すと、天井からすぐに声が聞こえてくる。
俺の目覚めを知った看護師がすぐに部屋に来た]
あばら…にヒビ、ですか…
あ、でも、安静にしてたらすぐに治るんですね…よかった
[やたらと息苦しさを感じるのは、患部を覆うようにバンテージでガチガチに固定されているからだ。鎮痛剤が効いているのか、今のところ痛みは感じない]
……えっ?
[カテーテル外しますか?って聞かれた。
カテーテルって何だろう?って思って管が繋がれている部分を見たら……]
えっ、ああ、外しますっ
あっ、今?……あっ
[眠っている間に勝手に用を足してくれていた仕組みを外してくれるコトになって慌てる。
戸惑う俺なんかを無視して、看護師は手際よく装置を撤去してしまった。
さすがプロの仕事。]
[そして、肋骨ヒビだが動けないわけではなさそう。
病室とトイレの移動くらいは出来そうだよね。
体に繋がっていたチューブを外すと、看護師は一旦部屋を出て行った]
……ふぅ
[サイドボードの上に置かれた自分のリュックに気付く。
ある程度汚れは払われているものの、自分の背中にあったものの傷み具合を見る限り、相当な事故に巻き込まれたのだろうと想像する。
体をゆっくりと起こしてベッドに座ると、リュックを取って中身を確認する。
スマホの充電はまだある。
画面を見ると、たくさんの通知が来てた。田舎の『両親』からの不在着信や、友人たちからの安否を問うLINEメッセージ、それに、]
あっ
[同じバスで美術館に向かい、おそらく同じ事故に遭ったであろう先輩たちのメッセージに気付いた。骨谷先輩、福原先輩、銀先輩。『夢』の中で生還を告げられた名前と一致している]
『おつかれさまです、柊です。
今、起きたところです。
取り急ぎ、起床?のご報告まで』
[グループLINEにメッセージを送った後、スマホの充電残量を確認しつつ、俺は両親に電話をかけた。**]
メモを貼った。
―― 病院・2階休憩スペース ――
[ 柊くんのメッセージが届いたことに気付いて、
俺はホッとしたようにため息を吐いた。 ]
おはよう。柊くん。
[ そう言葉にして、
もし、柊くんのメッセージに気付いたのが、
骨谷先輩がイチゴオレを買った後だとしたら、
差し入れにつぶつぶイチゴかアーモンドクラッシュの
ポッキーでも買えたらなあ、
なんて俺は思ったかもしれない。 ]*
福原くん、頭の傷って大丈夫なの?
[
目の前の福原も表面上は元気そうに見えたが、
念のため訊ねた。
紙パックのカフェオレを買う様子には、
二人とも甘いものが好きなのね、という感想だ。]
あ、柊くんも目覚めたのね。
[
スマホを病室に置いてきたため、
柊のメッセージを銀は確認できなかった。
アリババの言葉があったから、無事なのだろうとは
思うのだが、本人からの言葉があるまでは
やはり気にはなるものだから。*]
メモを貼った。
だんす…………。
[あまりに縁のない単語
意味が咀嚼できないまま鸚鵡返しする。]
え、踊るの、シロマちゃんが?
[とりあえず、思いつく限りの様々な踊りを
脳内でシロマちゃんに踊らせてみた。
クラブミュージックから、盆踊りから、
ジャズ、ブレイクダンス、バレエ、社交ダンス。
絵になるのは後者2つかなあ。]
参考までに、どんなの……?
[好奇心はオレを殺すか。
華奢な踝あたりに注いだ視線、
痛ましそうな表情のつもりが、ちょっと引き攣った。]
シロマちゃんお気に入りの絵も、
目覚めるらしいニトちゃんの絵も、
……もう夢の中じゃないと見れないのか。
けどオレもう、夢見るのが怖い、むしろ
次の宣告が永遠になければいい、なんて。
[抑えられない震えは、貧乏揺すりみたいになる。
スケッチブックは、タバたん先輩の頁から
進んでいない。シロマちゃんのリクエストは
LINEで承知していたけれど。
溜息は苦くて苦くて、五臓六腑が捻られるよう。]
―― 病院・2階休憩スペース ――
全然平気っすよー!
お医者さんも特に問題ないって言ってましたから。
[ 銀先輩の問い掛けには、明るく答えつつも、
もし、銀先輩のカフェオレに対する感想を知れたら、
でも健康的な病院食を食べてると
ジャンキーなものとか甘いものとか欲しくなりません?
って、俺は返したかもしれないけど。 ]
あ、そうなんっす。柊くんからメッセージが来てて。
怪我の具合とかは書かれてないっすけど、
無事に目が覚めたようで良かったっすよねえ。
[ と言いながらも、
着実に時間が経過しているのを実感して、
アリババさんの最後の宣告ももう少しなのかなと
俺はどこか落ち着かない気持ちになる。 ]*
そうだな、本人の思いはどちらにしろ、
オレたちが死んでほしくなかった、って
思う心は自由だ。
ノっくんもなかなかイイコト言うじゃないか。
[絡まった思考の糸を解くのに苦労しながら、
オレは自分の頭をガシガシと掻き毟る。]
……いやもう、家の台所入ったことないし、
食器以外興味向けたことなかったから
ケーリューダシも電気アツリョクナベも
形状すら分からない呪文みたいだ。
[うわっ……オレの生活力、低すぎ……?
両手で口元を覆って瞠目する例のポーズ。]
あ、教義に反するかもだけど、
小腹用にはオレの好物があった。
[黒のザックから、黒い雷神ファミリーパックのを取り出す。
確かシロマちゃんには、夢の前にあげた気がする……?
それなりに腹に溜るチョコバーは、ちょいと
溶けかかっていたけど、求められればお裾分け。
尚、いちごオレと一緒に食べるのは、微妙。
オレ的ベストマッチはブラックコーヒーかミルクティー。*]
メモを貼った。
サル サ……?
[
一笑に付されることなく、問いの形で返される。
答えつつもサルサって何だっけ?
と首を傾げる程度には踊りとは無縁の身だ。
仁科が絵を描くことは知っていても
夢の中で描く絵について銀は認識していない。]
仁科さんは戻ってくるのだから、
夢から覚めた彼女の、
新しい絵を観ることができるわ。
……きっとね。
[戻ってきた彼女の心境は分からないから、
希望込みの言葉を紡いで。
進捗の芳しくない様子のスケッチブックから
目を上げた。]
[次の宣告。
そう、次のアリババの告げる名で、
運命を知ることになる。
既に決定済みの事項だとして、
それを知ることは酷く恐ろしい。
だから、彼の弱音も震える気持ちも理解できた。]
…………。
[慰めるのは不得手なのだ。
銀は幼くなった後の田端と周りの様子を見ていなかったが、
きっと彼らのようにうまくあやすことはできなっただろう。]
その時が来たら、
思い切り悲しみましょう。
泣きたかったら胸を貸すわよ。
[すぐそばに迫っているであろう宣告の時。
分からない。銀も取り乱して泣きわめくのかもしれない。]
雷神は頂くわ。
私の素昆布とアーモンドフィッシュは
病室に置いてきちゃったから、借りにしておいて。
[
―― 病院・2階休憩スペース ――
あははー、イイことも言える俺、見直したっすかー?
[ 頭を搔きむしる骨谷先輩に心配はしながらも、
軽い口調で返したら、
少しは気楽に考えてくれるかなと思いつつ。 ]
まあ、家事やらなくていい環境なら、
台所に入らないのも仕方ないとは思うっすけど。
顆粒だしは、鰹節とか煮干しを粉末にしたものに
調味料で味付けがされてるんっすよー。
俺はあの夢の中では一から出汁を取ったんですが、
やっぱり顆粒だしを使うのが楽でいいんすよねえ。
電気圧力鍋は、形は大きめの炊飯器って感じすかねえ。
まあ、実際に米も炊けるんすけど。
俺の家にあるんで、機会があれば見せますね。
[ どうやら俺の“かりゅーだし”の言い方は、
口がうまく回っていなかったらしい。
おお、いいっすねー。
俺の持ってたクッキーは、
どうやらぐちゃぐちゃになっちゃったみたいなので、
また別のものでお返ししますね。
[ 黒い雷神のチョコバーをお裾分けに1ついただきつつ
カフェオレと一緒にもぐもぐと。 ]*
[
結局、銀は彼の印象は美術館を訪れる前と変わらないまま。
ひまわりのTシャツは今ではもう着ていない。
銀がフード付きマントではないように。
あれは夢の中へ置いてきたのだ。
10年を超える想いとともに。]
お医者さんが仰ったならよかった。
頭の傷は出血が多いというから……
開かないように気を付けてね。
[柊の怪我の具合は分からないという言葉には
頷きで返して。
雷神を食べ終えて、炭酸飲料で口内を湿らせる。]
二人の無事も分かったし、部屋に戻るね。
[告げて、休憩スペースを去るつもり。*]
ダンスを嗜むなんて、見た目の雰囲気裏切らず
舞踏会的なの慣れてるのかと思いきや、
何故疑問形。
[サルサと言えば赤い辛いソース、
しか思い浮かばない残念なオレ。
後でサルサの衣装を検索してみよう。
(きっとコレをシロマちゃんが着るの!?
って仰天するヤツ)]
ニトちゃんと言えば、ちらっと夢で見た時
なんか…………整形? してなかった?
[歴代彼女たちは、頑にメイク前の素顔は
隠し通してきたから、女子がメイクや髪形で
どこまで化けるのかなんて把握しきれていない。]
むしろ、どっかで見たことあるなあって
思ったんだけど……う〜んわからん。
あっちで傑作が描けても、
持ち帰れないからなあ。
[戻って来るなら、またいくらでも描ける。
シロマちゃんの言う通りだ、小さく首肯。
そして、]
…………お、漢前!?
[ノっ君と肩を抱き合い
噎び泣く準備は万端だったけど、
女子に胸を貸すなんて
生まれて初めてだ。
いや、そんなこと言われたって……なあ……、
(タバたん先輩のボリューム感を
思い浮かべるなオレ!)]
さすがに、オレも男としてそれは
サマにならないっていうか
……いいの? 色々?
いざ実行したら、頬に追撃くるやつじゃない?
[むしろオレの胸でよければ、誰にでも
レンタル0円でオーケーなんだけどな。]
ん、酢昆布も美味かったよ。
[素早い動きに失笑して、白い手に2つ、
個包装のパックを置いた。お納めください。
献上した品を口にして、やがて去るシロマちゃんに
オレは軽く手を振った。*]
メモを貼った。
【人】 黒い取引先 アリババ>>184 (213) 2023/08/03(Thu) 23時半頃 |
【人】 黒い取引先 アリババ>>185 (214) 2023/08/03(Thu) 23時半頃 |
【人】 黒い取引先 アリババ>>188 (216) 2023/08/03(Thu) 23時半頃 |
―― 夢の世界 ――
[ それはどのタイミングで見た夢だったかな。
ビデオルームを後にして以降、
全く見ていなかった
(から、もちろん大藤先輩との抱擁シーンも
俺は見ていなかったのだけど)
高祈先輩がカフェにいる姿が見えた。
スイートポテトしか食べない様子に
本当に少食なんだなあと、
少し前の会話を思い出した。
お粗末様でした。
[ 食事後の挨拶に、
聞こえないにも関わらず返して、
俺の体も廊下に移動した。
……9日間の王様?
[ 高祈先輩が見ている絵画を見て、
そんなことを思ったのは、
その元女王の頑なな印象が、
なかなか俺を頼ってくれない先輩の頑なさと
何となく重なったからかな。
改宗すれば命は助けると言われた元女王は、
その申し出を断って、処刑されることとなった。
もちろん、日本人の俺の宗教観と
彼女のそれは違っただろうから、
ただ頑固だったという話でもないんだろうけど。
絵画を見ている間に、いつの間にか先輩は
俺からは見えなくなっていたから、
その後に何が起こったのか俺は知らない。
先輩、俺はね、9日間の女王は
処刑されるべき人間だったとは思えないんですよ。
ただ、周りに担ぎ込まれただけで、
彼女自身は何の罪もなかったって思うんです。
先輩はどう思いますかね?
[ 届かない俺の独白が、
光明という名の絵画の前で霧散した。
[
ダンスの話は察して欲しいばかり、こほんと
軽く咳をして。]
整形…………?
ああ、田端先輩が仁科さんに
メイクしていたわね。
[服装やアクセサリーなどの好みはあるものの、
人間に顔かたちというものに、正直興味が持てない。
自然、淡泊な反応になったが。]
それ、直接言ったら、相手によっては
新しい手形を残すことになると思うよ。
[親切な忠告を落としたあと、
誰かと比べるような視線を胸部に感じたのは
気のせいだろうか。
微笑みながら、骨谷を見る眸に険を含ませる。]
…………その時に、
そんな気になれるのなら、むしろ安心するわ。
[溜息混じりの言葉を吐いた。
手にした二つの献上品をその場で胃に納めると、
僅かに足を引き摺りながら二人の元を去り、
エレベーターへ乗り込んだ。*]
――屋上
[エレベーターは三階の病室に向かうことなく、
屋上で止まる。
解放されているか不明だったが、入ることは叶った。
目を閉じる。夢の中に降り立つイメージ。
きっとそれで叶うんだろう。
その場に居なくとも、
鮮やかな音と色が蘇る。**]
見直した見直した。
[時を刻む秒針の音が、ちりちりと焦躁を積もらせる。
重く沈みがちなオレは、ノっ君の軽妙な声音
お互い、空元気でしかないことも。
タカナル先輩とニトちゃんを、真に明るい気持ちで
出迎えるなんて無理だろうことも。
承知の上で、オレはノっ君の説明に、
母と祖母の立つ、自宅のキッチンを思い出そうとする。]
米は土鍋の方が美味しく炊ける、
とか言った元カノに、
焼いてあげたことがあったな。
[勿論骨入りではないし、専門外だから
蓋のサイズが合わず綴じきらない不格好なものだった。
使って貰えたのかもう知りようもないし、
自己満足で粗大ゴミ押し付けてただけなのかも。]
でも、きっと電気アツリョクナベには
便利さとか色々敵わないんだろうな……。
[変な対抗心は封印して、料理の師匠に
色々教わるとしよう。近い未来の、約束だ。
分け隔てなく、黒い雷神をブラザーの片割れにも進呈。*]
メモを貼った。
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