10 冷たい校舎村9
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………………
[けどさ。こっちからもメイの顔が見えてさ>>165 メイから善悪じゃあない『悪くない』を聞いた時 なんて返すのが正解なのか、判んなかった。
いつもの鳩羽憐ならどうやって返したっけ? それすら、ちょっと判んなかった。
『 じゃあ良いって言えよ! 』 『 だろ?イケメンだからな!! 』 『 あっ惚れた?泣き顔に惚れた? 』
茶化した言葉、ぜーんぶ出てこなくって、 やっぱり、「日常」がどっかいっちゃったなあって。]
(173) 2021/06/12(Sat) 19時半頃
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………うん。
[だからその時返した「うん」は 自分でも、よくわからない返事になってた。 でも、もう、泣かなかったよ。
嬉しくてちょっと泣きそうだったけど ]
(174) 2021/06/12(Sat) 19時半頃
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[交わした「また明日」に手を挙げて見送る ひと回りもふた周りも大きいコートは、 昔のアニメに出てくる車掌みたいだったけど
この晴れない雲を突き抜けて、 月の見える世界に行けるんだとしたら 涙の聞こえない世界に行けるなら、さ
俺じゃなくてもいいからさ、 悩んでるやつ、連れてってあげてよ、
──── な。 ]*
(175) 2021/06/12(Sat) 19時半頃
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── 現在:廊下 ──
[ 鳩羽の後ろには、暮石の姿も見えた。>>124 視線を感じるが、前髪で目元は隠れていて きっと表情は読み取れなかっただろう。
ただ、先程まで教室に居なかった彼女の姿を見て 炭蔵は安堵していた。── 代わりに、 大凡の推測が脳裏に過ぎる。 ]
(176) 2021/06/12(Sat) 19時半頃
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[メイを見送ったあともさ、 俺しばらくずっと廊下にいたけど。 そんときさ、ユーガは教室から出てきてたかな>>104 それともどこか一度離れてから、 いつかまた、戻ってきたりしてただろうか。
もし姿を見かけるなら、 「ちょっと話す?」なんて声かけるかもだけど
昨日の俺とはまたすこしちがって、 今度は目を真っ赤に腫らした顔をみて、 ユーガがどう思ったのかは、わかんねえ。 ]*
(177) 2021/06/12(Sat) 19時半頃
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[ まず一歩。 廊下へと踏み出せば、辺り一面に 文化祭の時の写真が貼り出されている。 しかも、3-9のものしか見当たらない。
ここまで来ると、圧巻だった。 一枚ずつ思い出を辿るように眺めてゆけば 炭蔵は一枚の写真を手に取った。
暮石と同じく炭蔵が正面を向いて映っているのも、 全員が揃っている打ち上げの時の一枚だけだ。 ]
(178) 2021/06/12(Sat) 19時半頃
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[ この中の一人が欠ける。 それは、宮内府の人事差し替えとは異なり 替えのきかないものだと言うのに。 それは、炭蔵にとっては困ることだった。
ここまで来てようやく、 無自覚に自分の世界かもしれないという仮説は 炭蔵の中では崩れていた。
自信を持って言えるだろう。 此処は自分の世界ではない。 最初から、メールの文面的にも 自分には似つかわしくないものだと思っていたが。 ]
(179) 2021/06/12(Sat) 19時半頃
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[ 物思いに耽っていると、 暮石と鳩羽が毛布とタオルを抱えて歩く姿をみる。 遠目に、何かしている様子は分かるが、 この距離からでははっきりとはわからない。
炭蔵は、ゆっくりと、それでも着実に そのマネキンの方へと近づいてゆく。 ]
(180) 2021/06/12(Sat) 19時半頃
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架空惑星 レンは、メモを貼った。
2021/06/12(Sat) 19時半頃
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[ 辿り着けば、既にタオルと毛布で包まれた 何か≠ェ其処にはあった。 暮石も鳩羽は、もうそこから離れていただろうか?
辺りはまだ湿っていて、 廊下のあり得ない場所に 水溜りがあったことを想像させる。
中身を確認するのは炭蔵の義務なので、 九重、番代と同じように、 ぐるぐると巻かれたタオルを捲り、 誰であるのかを確認する。 ]
(181) 2021/06/12(Sat) 19時半頃
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なんだ、向井か
[ 炭蔵より5cmほど大きい筈の、 縮こまって小さくなった向井だった。 暮石と鳩羽が綺麗に拭いてくれたお陰だろうか。 首元に傷があるのが、探らずとも見えた。 ]
……がんばったんだな
[ 労うように濡れた髪を軽く撫でる。
その傷跡がまるで、溺れて息ができなくて 踠き苦しんだ後のようだと、炭蔵は思った。 必死に爪を立てて、耐えようとした、 向井なりの抵抗だったんだろう。 ]
(182) 2021/06/12(Sat) 19時半頃
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[ でも、そうだな。 炭蔵は流石にもう気付いている。 マネキンになった人たちの世界ではないことを。
だから、向井の世界じゃなかったことを喜ぼう。 それに鳩羽とは違うから、 この海の中に一雫追加することもない。
そうして、そっとタオルを元に戻していた。 *]
(183) 2021/06/12(Sat) 19時半頃
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[ 顔を上げると、鳩羽はまだ其処にいた。>>177 目元が紅いのを見て、炭蔵は鳩羽にも手を伸ばす。 ]
大丈夫か?俺で良ければ話そう
[ なんて、声をかけながら3cm高いところにある 鳩羽の頭を撫でようとしただろう。 *]
(184) 2021/06/12(Sat) 20時頃
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[ユーガが来れば、立ち上がり、 俺は、一歩離れて見守るだろう
人形のタオルを捲り、状態を確認する ただ、声も掛けずに、様子を見ていた。
“俺で良ければ”の言葉とか、 撫でてくれようとする様子に、少し微笑んで]
……さんきゅ。 教室、行くか。
[ってさ、促した。 別にここでもよかったけれど廊下、寒いし。 シンがさ、そろそろ俺の声 うっせーなって思い始めてるかな、って。]
(185) 2021/06/12(Sat) 20時半頃
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[ま、どこで話し始めてもいいんだけどさ、 もしもすこし落ち着いて話せるなら、 何から話そうかな、って悩んだ挙げ句にさ、]
……昨日ぶり。
[って言葉が飛び出した。 あれ、まだ昨日だよな。>>2:424 まだ、昨日の朝のことで、 俺たちは冷たい校舎の中に閉じ込められて ……だけど、まだ誰も居なくなってなかった頃
もう随分と昔のことの気がするんだ。 ]
(186) 2021/06/12(Sat) 20時半頃
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……マナ、いたかな
[もともと広い学校だけど、 すでに半分の仲間が、いなくなった。 マナの姿は見ていないけれど、 またクレープでも焼いているんだろうか。
だったら良いけれど、なんて 楽天的な考えは、どうしても、沈む。
現に、探しに行ったのであろう、 ユキとノエは、帰ってこないままだ。 見つかったらさ、大丈夫だった、って 言ってくれるやつらだって、思ってる。]
(187) 2021/06/12(Sat) 20時半頃
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なあ。 解決策、見つかった?
[それは「この世界のこと」じゃあなくて。 互いに悩んでいた、父のことの話の続きだって>>2:391 ユーガは気づいてくれただろうか。 ]
ここからさ。 もしも、無事に帰れたとして。 でも、そこにはまだ問題は山積みで。
向き合えるかな。 それとも、まだ、やっぱ無理かな。
(188) 2021/06/12(Sat) 20時半頃
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[わかんない。非日常に慣れすぎていて、 今からもしも日常に戻った時に、 一緒に、戻ってくる大問題を、 今度は日常の中で、考えなきゃいけねえ。
ユーガも俺も、多分。 この短い2日間の間でさ、 きっと、すげえいろいろ話したと思うんだ。 互いにじゃあなくて。いろんなやつといろんな話。]
(189) 2021/06/12(Sat) 20時半頃
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………帰りたい?
[父のせいで死ぬのは勘弁、 その台詞に変わりはねーから ここは俺の世界じゃないって断言できるけど
けど、問題山積みの日常に戻ったとて、 俺ら、向き合えるかな、ってそんな気持ちを込めて。]*
(190) 2021/06/12(Sat) 20時半頃
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架空惑星 レンは、メモを貼った。
2021/06/12(Sat) 20時半頃
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— 校舎内 —
[炭蔵くん>>181が出てくるより先に離れたわたしは、 サイズの合わないダッフルコート姿で廊下を歩く。 やっぱり顔よく見えなかったな>>176、なんて 思いながら、歩いても歩いても途切れない写真を眺めた。
屋台やメニューの写真から 客引きたちのスイーツモチーフの衣装。 変顔している男子たちや、調理の様子も写ってたかな。 集合写真は打ち上げの時>>0:353。 屋台の前でも結構な人数が集まっていたみたい。
こうして並べてみると、わたしもだけど 乃絵ちゃんや炭蔵くん>>178の写真も 少ないんだなって気づけた。
当日参加ハプニングでほとんど参加できなかった 樫樹くんもその関係で多くないけど、 乃絵ちゃんと一緒の写真>>2:541は見つけられたかな。]
(191) 2021/06/12(Sat) 20時半頃
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並べてみない分からないこともあるんだなぁ……。
[広報アカウントやグループチャット>>1:168に掲載された 写真は全部見ていたと思ったんだけどな。 わたしは本当にただ、 既読を1増やしただけだったのかもしれない。]
(192) 2021/06/12(Sat) 20時半頃
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[分からないことばかりのわたしの歩みに迷いはない。 奥の階段を上がって踊り場を三回通る。]
……。
[ひとみちゃんが追いかけてきてくれた時は わたし、手ぶらで何も持ってなかったから、 扉に縋りつくのが精一杯だった。
でも今のわたしには大切な薄青色のぼたんも たった1枚残された10円玉もある。 わたしは長い袖から手を出して、ある鍵を持ち上げた。]
……失礼します。
[柊くんと以前探索した時>>2:37に見つけたもの。 頭上には、『音楽室』の文字が掲げられている。]*
(193) 2021/06/12(Sat) 20時半頃
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― 夜遅く ―
[綿見のマネキンに毛布をかけて その後はどうしたのかな。
鳩羽の姿を見かけたのは もう夜もだいぶ遅くなった頃。 いまいち眠れなくて外に出たら ぼーっと写真を見てる所を見つけた。>>90
よ、なんて軽く片手を上げて声をかける。
朝泣いていた姿は見たけど、 それからのやり取りは知らない。 落ちついてはいるみたいだったけど まだ本調子じゃないみたい。そりゃそうか。
……本調子の鳩羽、ってどんなんだったっけ。 機嫌を窺うことだけは得意だったくせに、 何だか靄がかかったようにぼんやりしていた。]
(194) 2021/06/12(Sat) 20時半頃
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[たかが3年、されど3年。 気が合って、仲良くやってきたつもりだった。 でも一体、俺は今までこいつの何を見て、 何を知って来たんだろう。な。]
(195) 2021/06/12(Sat) 20時半頃
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ん、オッケー。
[二つ返事で頷く。 眠れなくて手持無沙汰と言うか 微妙に時間を持て余しているのは 俺も同じだったから。
横に並んで適当に目的地を定め、歩き出す。 何となく、いつかの夜を思い出した]
……なつかしーね。
[何が、とは言わない。 窓の外の雪は止まない、静かな夜だ。 写真を横目に見ながら、ぽつりとつぶやいた。**]
(196) 2021/06/12(Sat) 20時半頃
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— 音楽室 —
[ここを訪れるのは授業と月曜の放課後だけ。 夜の音楽室はまた違った雰囲気があった。 曜日はどうだっただろう。 日付が昨日と同じ以上、何の意味も持たないけれど。]
……。
[部屋の電気をつけると、外がより一層暗く見えた。 わたしは扉を閉めて、グランドピアノの椅子を引く。 悲鳴のような音の後、間に身体を滑り込ませた。 ダッフルコートは椅子の背に。 脱いだ途端冷気が肌を撫でて、わたしは身を震わせた。]
(197) 2021/06/12(Sat) 20時半頃
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ずっと、 もう弾かない方がいいって分かってるのにね。
[黒い蓋を持ち上げて、深紅の布を畳んでどかす。 椅子に浅く腰掛けてから、凍える手を擦り合わせた。
わたしの爪はいつまで経っても短くて、 あぁ、そういえば、向井くんの爪も短かったな、なんて。 首についた傷が浅かったのはきっとそのせいだろう。 わたしたちの手は、 噛むようにも傷つけるようにもできていない。]
(198) 2021/06/12(Sat) 20時半頃
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[指を一本立てて鍵盤に落とすと、聞き慣れた音がした。 それを何度か繰り返す。ぽん、ぽん、ぽーん。 押し続けた分だけ音が伸び、弦の余韻が空気を震わせる。 わたしは恍惚に似た吐息をこぼした。]
——。
[そこからはもう、わたしの声はいらない。 奏でるのは、習いたての子どもが引くような曲。 左手が決まったテンポの和音で右手がメロディー。 放課後に弾いていたものよりずっと簡単だ。
すぐに終わるもの、途中までしか思い出せないもの。 わたしの音楽は拙く、慌ただしく、 曲の途中で終わっては次々と表情を変えた。]
(199) 2021/06/12(Sat) 20時半頃
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[それから暫くの間、音楽室に近い場所では 微かなピアノの音が聞こえたかもしれない。]*
(200) 2021/06/12(Sat) 20時半頃
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夜笑国 メイは、メモを貼った。
2021/06/12(Sat) 21時頃
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── 夜遅く・ユキ ──
[泣い……ていたとしたら朝じゃなくて>>194 割とさっきのことじゃねえかな……?ってまあ そんなことはとりあえず重要ではねーんだけど
お陰様で目が紅く腫れているのも収まったしさ 泣いたりしちゃあいなかったけど。 でも、ま。元気からは程遠かったよな。 ]
………、おう。懐かしいな。
[窓の外の景色は違うけれど 静かな夜に浮かぶ光景はきっと一緒で あの日はひどい目にあった、って 俺は、微笑みながら付け加えた。]
(201) 2021/06/12(Sat) 21時頃
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[廊下の文化祭の写真。 自分から写真に写りにいくほうだったから 割と俺の顔が紛れ込んでいる一枚は多い。
ユキはどうだか知らないけれど、 見た目がいいから、って理由で、 撮られている枚数も多いんじゃないだろうか きっとそうにちがいない(断言)
だから一緒に写る写真も多くて、 それだけじゃなくてさ、 ユキとは1年のときから一緒だったし 豊高での共通の思い出は、それなりに多い。 ]
(202) 2021/06/12(Sat) 21時頃
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