31 私を■したあなたたちへ
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「――――嘘だ。 あの人が招待されてるなんて。
よく似た別人? でも、……でも、もしかして。」
目を凝らして男の方の顔を注視する。見れば見るほど、るくあが"推し活"に励んでいた歌舞伎役者に相違ない。チャンネル登録者数が5桁に達して有頂天になっている自分程度の小者と違う、正真正銘の有名人。
「え、やっば。オーラやっば。どうなってんの。
いきなりカメラ向けるのは、さすがにNGだよね……。」
一般ピーポーの心境で物怖じしかけたのは一瞬。録画を切ってカメラをポーチに押し込むと、小走りで彼等に駆け寄った。
(157) 2023/11/16(Thu) 11時頃
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「しっ……失礼ですが、 キラ様ことキランディ様 ご本人であらせられ、られますかっ!?」
カメラが回ってなくて良かった。緊張して何を口走っているのか、自分でも分からない。 ファンです? サインください? 握手してください? upしないので、写真撮ってもいいですか? 脳内でぐるぐる次の台詞を探したけれど、明らかにプライベートな恰好の芸能人を前に、どれも不躾に過ぎる。長い袖に隠れた手汗まみれの指を握って、開いて。
るくあが足繁く舞台に通い、出待ちするほど入れ込んでいるのを知ってはいたが、自身は生のキランディは一度も目にしたことはない。販促グッズにプリントされた眩いばかりのご尊顔を恍惚と、或いは相当の熱量でもって眺めるるくあを、端から見守っていただけだ。
「ボク、ボクは、キラ様に憧れて、 高校になってからメイク始めたんです。
ああ、……ああー! 尊すぎて言葉が出ない……。
るくあはほんっとに、 キラ様の大大大大ファンだったから、 貴方が来てくれたなんて、 生きてたらきっとすごく喜――っ。」
(158) 2023/11/16(Thu) 11時半頃
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[セットしていた時間通り、 ホログラムが再生されるのを確認する。 その時の彼らの反応にも気を配るべきだ、 理解しつつも、るくあの顔をした虚像を見つめていた。
気付けば、招待客はあちこちに散っている。 ただでさえ、敷地に対して少なすぎる客人の数だ。 ロボットのほうがずっと多い。]
この中に、人殺しがいるってことか。
[少々大袈裟な、おどけるような口調は、 拾うものがいなければ滑稽なものだったろう。]
(159) 2023/11/16(Thu) 12時頃
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……暑いな。
[>>73 暑さへの叫びと姿を見聞いたからか、 不意に今の季節を思い出したよう空を仰いだ。 派手な原色姿は、その見目とは裏腹に警戒心が強いようだったが。]
[先ずは、と足を向けたのは天の川ロードと名付けられた 星々を散りばめたデザインの婉曲した通りで、 道沿いには屋根付きの休憩所が設けられている。
アポロを操作してしばらくすると、 モナリザが注文した飲み物を持ってくる。 手を伸ばして喉を湿らせる己の姿は、 テーマパーク内と考えると違和感のない、 しかし現状では聊かな暢気な光景でもあった。**]
(160) 2023/11/16(Thu) 12時頃
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灰占道士 煙は、メモを貼った。
2023/11/16(Thu) 12時頃
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── 現在:中央カフェ ──
[ テーマパーク内を歩き回ってみたけれど、 結局、あのホログラムが出て以降は>>#5 他の招待客と出会うことのなかった卯木は 休憩とばかりに中央カフェに立ち寄ることにした。
おそらく、先にこの場所に来ていた招待客とは 入違ったのか、現在カフェ内にいるのは 卯木一人だけのように思う。 ]
うーん、何でもいいのですが。 では、特製クリームソーダをいただけますか?
[ ウェイトレス姿のサポートロボットが 注文を確認に来たため、 メニューにおすすめと書かれていた飲み物を注文し、 卯木は状況を整理することにした。 ]
(161) 2023/11/16(Thu) 12時半頃
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[ まず、招待主が煙崎るくあの殺害犯を殺したいのは 確実だと思われる。
よほど裕福な人間でなければ、遊び半分で ここまでのテーマパークの開発などできないだろう。 よって、全財産を注ぎ込んで復讐を決意し、 なんなら自身の今後の人生すらも どうなってもいいという覚悟があるのだろう。
また、卯木がテレビのニュースを見た限りでは>>4 煙崎るくあが不審死したという報道はなかった。 だから、煙崎るくあは心臓マヒで亡くなったと 誰もが信じていたのではなかろうか。
つまり、警察も煙崎るくあの死に 事件性を疑っていないのだから、 殺害犯を警察に突き出して終わりという 平和的な解決は望めない気がする。 ]
(162) 2023/11/16(Thu) 12時半頃
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[ ただ、卯木は煙崎るくあの 葬儀や告別式などに出席していないため、 その死体が何の検分もされず 火葬されたかは分からない。
もしかしたら、招待主と警察が協力して 秘密裏に捜査している可能性もあるが、 状況的に煙崎るくあが殺害されたことは おそらく招待主によって 警察には隠蔽されたのだろうと考えるのが 自然なように思える。 ]
(163) 2023/11/16(Thu) 12時半頃
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[ そういえば、招待主は煙崎るくあが殺されたことを 確定事項のように扱っている。
もしかしたら、殺害犯の痕跡でも 現場に残っていたのだろうか。 それがもしDNA鑑定ができるものであれば、 鑑定すれば一発で 殺害犯が分かるかもしれない。
少し調べたところ、元々の銀島には 病理研究所があったらしいし、 もし招待主がそこの関係者なら 証拠の検査などにも詳しい可能性はある。
まあ、どのみちあっさり殺害犯が見つかって そのまま解決というのは難しい気もするが。 ]
(164) 2023/11/16(Thu) 12時半頃
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結局は殺害犯を招待主に告発するのが、 一番手っ取り早そうということか。
[ この島に閉じ込められる場合を想定して 保険は掛けておいたが、>>22 昨日今日で捜索隊が この島にやって来るとも思えず、 一番早く無実の招待客が この島から脱出する手段は、 殺害犯が死ぬことを目指すことになるのだろう。
ただ、あまり無関係な招待客に 負担を負わせるようなことをするというなら、>>121 卯木はできれば反対したいと思うけれど。 ]
(165) 2023/11/16(Thu) 12時半頃
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それにしても、 煙崎さんを殺した人だと思われる人が死んだとして、 それが本当に殺害犯だと どうやって断定するつもりなんだろう。
そういった意味でも、 招待主は何かしらの犯人の証拠を 掴んでいてほしいと思うのだけど。
[ さすがに、無実の招待客が殺された上に さらに殺害犯だと誤認されて、 本当の殺害犯は逃げ切るなんて結末は 後味が悪すぎる気がするから。 ]
(166) 2023/11/16(Thu) 12時半頃
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[ などと色々と考えていたら、 ウェイトレス姿のサポートロボットが 特製クリームソーダを持ってやって来た。 ]
なるほど。 これもまた、宇宙をイメージしたものなのですね。
[ 透明感のある紺碧のソーダの上に、 雲海のような真っ白なアイスクリームが広がり、 その境界から淡いみ空色のグラデーションが 広がっている。
クリームの上に漂う、 三日月や星を象った金糸雀色のチョコレートは こんな状況でなければ、 きっと目で見ても楽しいものだったろう。 ]
(167) 2023/11/16(Thu) 12時半頃
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[ 当然と言えば当然だが、 卯木はジェットコースターを見た時のような 興奮を抱くことはできず、>>66>>67
チョコレートやアイスクリームを スプーンで掬いながら、 ほぼ無心で口に運んでいた。 ]**
(168) 2023/11/16(Thu) 12時半頃
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――回想/キラ様になりたいボク――
「るくあは、こういう顔が好きなんだ?」
実物大のポスターに引き延ばされても、毛穴すら見えない滑らかな肌と完璧な輪郭。男女の枠を越え、圧倒的に整い過ぎた目鼻立ちは、舞台化粧でより華やかに見る者を魅了する。多少CGで補正はされているだろうけど、生で何度も観に行っているるくあが幻滅していないのだから、思ったより小さかったとか写真と違い過ぎたとか、残念な芸能人あるあるにキランディは該当しないらしい。
「もしも、ボクがキラ様みたいな顔だったら、 キミは…………、
好きになって、くれたのかな。」
顔だけじゃない、演技や立ち居振る舞い、芝居に向き合う姿勢、存在感。ファンへの細やかな心遣いや周囲への対応、穏やかな物腰。どれをとっても煌めく一級品だと、彼女は熱弁を振るうのだろうか。
(169) 2023/11/16(Thu) 13時頃
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平凡な学生の身で、整形に手を出すお金なんてないし、生まれながらに梨園で芸を磨くような血筋でもない。せめて少しでも彼のようになれたら、近づけたらと、プチプラでコスメを揃えるのが精々だった。集めたキランディの画像を穴があくほど見比べながら、自分の顔をキャンバスに試行錯誤すること半日。印象の薄すぎるパッとしない素顔が幸いして、とりあえずは別人のように華麗な変身を遂げた美少女が、鏡の中にできあがっていた。
「…………これがボク?」
それからコスメ動画を漁り、メイクの虜になった。報道部で動画編集を嗜んでいたことを思い出し、自分でもプチプラコスメの実践レビュー動画をupしてみたら、意外と再生数が伸びてしまって。『可愛い』『頑張って』とコメントでチヤホヤされる快感を覚えると、あっという間にのめり込み依存するようになった。 自身を飾り立てることに夢中で、だんだん手本だったはずの麗しの歌舞伎役者からは別ベクトルに突っ走り始めたが――まさかその彼が、自身の動画を視聴していたなんて、夢にも思っていない。キャンディという配信者ネームも、勿論彼キランディに肖ったものだ。
(170) 2023/11/16(Thu) 13時頃
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舞い上がって捲し立て、数年前に意識がトリップしかかっていたが、咳込んで漸く現在に戻ってきた。 はたと、自身のあまりの剣幕に気圧されたようなもう一人に向かって、首を傾げる。
「ええっとそれで……そちらはどなた? 学生に見えるけど、るくあの後輩さんかな?」
学び舎の敷地内のことまでは、さすがに及びがつかない。別々に進学した高校然り、自分が卒業した後の中学然り。ホログラムは『私のだいすきなあなた達』と語ったのだから、某かの交流はあったと考えられる。
ツキリ、と胸が軋むのを噯にも出さないで、促されればカメラに向けるように朗らかな、自己紹介を返すのだ。
『ボクは見ての通り、 未来の銀河から地球星人を観測するためにやって来た、 🍭キャンディ🍬です。よろしくチョ〜ッス!!』
敬礼の角度にあげた手で指ハートをつくる、斜め43度の決めポーズ。
「るくあとは中学の時出会ってェ、
……とっても仲良しの、 ――オトモダチだった、かな。」**
(171) 2023/11/16(Thu) 13時頃
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−回想‐
「 勝負しようか。 」
深い意味はない。単なる時間潰しの一環の話。
俺は別に話し上手というわけではないから。 煙崎るくあとデートをしても、 常に拍手喝采の大盛り上がりとはいかない。 デート相手を蔑ろにする愚を犯すつもりはなくとも、 ふ、と沈黙が生まれることもある。
それをそのまま楽しむのでも良かったが。
時に他愛もない勝負を持ちかけることもあった。 コインの裏表や朝食がパンかご飯かを当てるような。 些細なコミュニケーション。
(172) 2023/11/16(Thu) 13時頃
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敗者には当然罰ゲームがあるが。 これにしたって、大した罰ではない。 自分のことを一つ、相手に教えること。
教える内容も何でもいい。 それこそ昨日の晩御飯でも。 …… とでも言ったら、 ご飯の例えが多すぎるとでも指摘されただろうか? とにかく、彼氏彼女として。 互いの情報を握っているのは悪くなかった。
…… 俺の勝率? 61(0..100)x1%くらいだったかな。 まあ、それなりに個人情報を持って行かれた。
(173) 2023/11/16(Thu) 13時頃
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逆に、俺が煙崎るくあから得た情報もある。 行きつけの和風喫茶の話。 俺にはなかなか理解の及ばないテンションで 推している役者がいること。 それから ────
…… 年の離れた兄がいるのだと。 知ったのもその時だっただろうか。**
(174) 2023/11/16(Thu) 13時頃
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■回想:中学時代のキャンディ【*** ***】
「 ごめんなさい、やっぱり、 無理だと思う 」
切り出すのに、殆ど躊躇いがなかったことを 少しだけ申し訳なく思う。 だけど、しかたのない。 目の前の双眸(それは真っ直ぐ私を見返すことが できていただろうか)を見つめて、 優しい声音も、慈悲深い笑顔もなかっただろうに。
「 あなたは、何も知らない 」
いっそ、憎んでくれたらいいのに。 *
(175) 2023/11/16(Thu) 16時半頃
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■回想:保健室の精【密星 偲風】
「 先生は妖精さんみたいですね 」
受験生だった私は保健室を度々訪れては、 電子手帳と睨んで自主勉強をしたり、 菓子を摘まんだり、 ただぼんやりと窓の外を眺めたりしていた。
「 この間は、一緒に喫茶店、 つきあってもらってありがとうございます。 先生、慣れてなさそうだから、 どんな反応するのかって気になったの 」
(176) 2023/11/16(Thu) 16時半頃
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思い出してはくすくすと笑う。 私よりずっと大人の女性なのに、時々、 驚くほどの不明ぶりを見せた不思議なひと。
私の目に彼女はとても邪気のないものに見えて、 とりとめない話に花を咲かせた思い出。*
(177) 2023/11/16(Thu) 16時半頃
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――天の川ロード前休憩所
[手にした煙管に、今は葉を詰めてはいない。 今いる場所が禁煙だからという理由ではなく、 時折気晴らしに、程度の喫煙の習慣しかなかったのだ。]
『 はい、誕生日プレゼント。 キラ様が使っているものとよく似ているの。
入手経路は秘密。大事に使ってね 』
[そう、この煙管はるくあからのプレゼントで。 それから肌身離さず身に付けている。
雁首の先に火を点けたことはほんの数回。 煙管はわずか三服程度。 偲ぶ気持ちが湿っぽくなる前に、燃え尽きる。**]
(178) 2023/11/16(Thu) 16時半頃
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──サバゲーアトラクション前──
[アトラクション前に居たド派手な女の子を注視していると、向こうもこちらに気が付いたようで。次の瞬間、突然小走りでこちらに駆け寄ってきた。 反射的に雛子ちゃんを庇う感じで前に出る、が。続いて発せられた言葉>>158に、初めはキョトンとして、やがて表情がぱあっと明るくなった。]
確かに僕は歌舞伎のキラだけど──、 そういう君は、銀河ギャルのキャンディでしょ!?
[遠目で見た時は”もしかして?”程度だったが、目の前で話しかけて来る彼女の声や口ぶりから、本物のキャンディだ!と確信を得て。]
キャンディ🌟チャンネル観てるよ! えーっ、キャンディが僕の事知っててくれるなんて光栄だなぁ〜。
[そう言うと小首を傾げて両の手を合わせ、女性っぽい仕草で喜んでみせた。役者としての綺羅之介の事を知っている相手だと、気が緩んでこんな風になる。 しばし、女子同士のようにキャッキャとしていたが、キャンディの口から”るくあ”の名が出ると、少しだけ眉を下げた表情になって。]
(179) 2023/11/16(Thu) 16時半頃
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そう、そう……。 るくあちゃんは僕の舞台を観に来てくれてたから、少し交流があって…… こっちの雛子ちゃんは、るくあちゃんの幼馴染なんだって。
[流れで軽く紹介するが、雛子が自己紹介をするなら黙ってそれを聞く。 それから、キャンディおなじみの決めポーズ>>171を見ると、本物〜!とまた喜んで見せた。]
キャンディもるくあちゃんと友達なんだ……!? それはちょっと、普通にびっくりしたけど。 じゃあ、配信に来たわけじゃないのね。
[大体そんな予感はしていたのだが。 此処に居ると言う事は、煙崎るくあの招待客ということで。 目の前のキラキラしたキャンディと、大人しくて善良そうな雛子ちゃんを交互に見て、肩を竦めて見せた。]
いやしかし、僕らみんな、殺人容疑で此処に呼ばれたわけかー………。**
(180) 2023/11/16(Thu) 17時頃
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「坂理さん?そう… 確かに私は学校での煙崎さんは知っていたけど。」
そう言って、首を振る。
「いえ…違うわね。知ったつもりだった、の方が正しいかも。 あの子のことは、私はほとんど知らなかったわね。 家族…お兄さんにも会ったことはなかったし。 少し家庭環境が特殊なたけで、他の生徒と 何も変わらないと思っていたんだけど。 だから、他の生徒以上に思い入れがあったとは、言えないわね。
あなたはそういう意味では私よりずっと 煙崎さんとは親しかったんでしょう。」
(181) 2023/11/16(Thu) 18時頃
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そう言いつつふとポーチの電子タバコのカートリッジに手を伸ばしかけて、止めた。屋内だし、喫煙場所は決まっているはずだ。
「先生はつけなくていいわ。もう辞めたし。 くだらない理由だけど…
それより、そうね。 煙崎さんは亡くなったのは間違いないわけね。 …そう。もしかしてとは思ったけど。」
そこまで言って、ふと疑問を覚えた。
「その言い方だと、あなたも彼女のお通夜には 行ったりしていないわけね。 いえ、それがどうとかじゃなくて。」
(182) 2023/11/16(Thu) 18時頃
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最近の風潮なら、昔みたいにクラスメートや友人が参列することも少いのだろうな、と納得した。だから続けての彼の言葉にも小さく首を振る。
「いいえ、何も。 私も煙崎さんが亡くなった話は聞いたけれど、 それきり会ってもいないから。 不審があるとしたら彼女の事じゃなくて彼女からの招待…
というよりこの島の事だけね。」
そんな風に語っていた頃だったろうか、死んだはずの彼女の姿をホログラムで目の当たりにしたのは。
(183) 2023/11/16(Thu) 18時頃
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「殺された?」
さすがに不穏当な発言に眉間の皺が深くなる。 という事は、他にちらほら見えた招待客はそういう立場の人間ばかりということか。 隣の坂理さん…年齢的には坂理君という感じだけど…… をちらっと見てから視線を戻し、メッセージを最後まで聞き終えた。
「趣味が悪いわね。」
聞き終えて、ぽつりと呟く。声は坂理君だけに向けて。
「煙崎さんが殺されたのなら、彼女自身は 誰がやったのか知ってるはずでしょう。 彼女の声と姿を借りて、誰が喋らせてるのか知らないけど。」
ため息一つ、また指先がカートリッジを探す。
(184) 2023/11/16(Thu) 18時半頃
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それから坂理君を見て、口を開いた。
「それで私達に、誰か見つけさせようって事?
………………
…話の続きは、外でにしましょうか。 このままここでいるのは少し気味が悪いし… なんとなく一服したい気分だから。
あ、でも他に行きたいところがあるとかなら、 私のことは構わないでいいからね。」
多分、私の顔は少し沈鬱に見えてしまっているかもしれない*
(185) 2023/11/16(Thu) 18時半頃
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「なん……だと……?」
本物のキランディ本人が、女性より婀娜っぽい品を作りながら、興奮気味にキャッキャ同調してくる(>>179)。彼に憧れ目指したものの、斜め142度くらいに踏み外しまくった、劣化コピーにもなれないマイナー配信者のチャンネルを!? 観ていた!? 動画編集時にピシャアアァンと稲妻のエフェクトが落とすところだ。嬉しいやら申し訳ないやら。あわあわ、わなわな、震えが止まらなくなって、忙しなく袖から出た人差し指をつつき合わせる。
「あっ……あの……後でその、 記念に一枚、……しゃ、写真を……。
勿論ネットには載せないので、 図々しいお願いですけど、どうか、どうか――っ。」
小声で何とかそれだけ搾り出して、後はもうその誰もが羨む美麗なるご尊顔を拝み倒すしかない。拝。拝。拝。
(186) 2023/11/16(Thu) 18時半頃
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