28 僕等(ぼくら)の
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―展望台への道―
[どうも私ももう一つ誤算があったらしい。 クラスメートの天堂君が合宿に参加していると言っても、双子のお兄さんの方だったのではないかという事に、始まるまで気づいていなかった。 つまり、瑠璃川さんが参加していない以上、本当に今度こそアウェーだ。恐らく。
とはいえ、それでもどうにか最終日ではある。 あるのだけど、この道中の微妙な距離こそ天文部とそれ以外の距離というものかもしれない。]
花火かぁ。
[ふと考えるのは花火の情景。 花火は好きだ。でも本当に好きなのはもっぱら打ち上げ。 夜空に咲く色とりどりの弾幕……]
(106) 2023/08/11(Fri) 19時頃
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今日で終わりね。
[ふと、同じように少しだけ先頭から遅れる彼>>95に話しかけた。 正確に言えば本当の本当に最後の砦。 一年の時は同じクラスだった、と思う。
その彼]
大和君は、どうしてここに? 私は加賀先生に誘われてなんだけど…
[彼は確か天文部ではなかった気がする…そわなイメージはなかったし、今も実際少し離れている。 だから自分と同じように誘われたのかと興味が湧いたのだ*]
(107) 2023/08/11(Fri) 19時半頃
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─合宿前のとある日・部室にて・柊木くん─
あっはっは、と笑いながらも花火の話題は収束していく。 今年はみんなが気をつければ良いと思います! 柊木くんは恵一くんと同じ部活の仲間で、まあちょっとアホかな…?と思うところがあるのは去年の合宿由来だったりする。 成績的な意味では人のこと言えないから、その辺は見ない。私の成績が(察し)だから、それよりは良い…のかな…あんまり良すぎてもショック受けそうな仲間だ。 >>100でも夜空を見上げながら「今日もみんな元気だな〜」なんて言ってるのを聞いて、ほへぇと思いながらも私は「そうだね、元気だね〜」と返したりしてた。
(108) 2023/08/11(Fri) 19時半頃
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そんな事から、もしかしたら私みたいに一人で夜空を見上げた幼少時代があったりして、という親近感も少しある。 もしかしたら大切な誰かが、なんて思いもしたけどそこまでは突っ込まない。私は隠していないだけで聞かれたくないことは他人にはあるからね。 七夕の時だとか帰りがけに夜空を見上げて「本当に織姫と彦星はあの天の川を越えられてるのかな」とか語るような相手が柊木くんだ。 天文部の帰りだから他のメンバーもいたかもしれないけどね。
(109) 2023/08/11(Fri) 19時半頃
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「ん〜、それじゃご当地ギディちゃんの何か欲しい!」
>>101お土産に関しては即答。 ご当地ギディちゃん。世界的に有名な黒猫のキャラクターだ。 結構好きで集めてるんだよね。普段使いにはし難いけど。
「あ、そう言えば今回は大和くんも来るの? 確か名簿に載ってた気がする…良いなあ!」
行けるメンバーに良いな良いなを繰り返しちゃうけど、幽霊部員の同学年をみんな覚えてる? 今回は来るんだ、と、入部して少し経った頃のことを思い出してほんの少ししんみりしていた。*
(110) 2023/08/11(Fri) 19時半頃
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─回想・去年、大和くんと─
「や、ま、と、くん?」
去年。つまり一年だった頃、入部はしていたもののあっという間に…というのも変か。部活で姿を見なくなった彼に声をかけたことがある。 放課後、手土産にその頃作るのにハマっていたパウンドケーキを持って。
「大和くん、これ食べる? 私これでも結構お菓子作り得意なんだよー。 ね、大和くんは合宿どうする? せっかく天文部だし行かない?」
そんな風に声をかけて、去年の合宿はどうだっただろう。 そんな風に声をかけた私が、今年は行けないのだ。 まあ来年は参加してやるって、心に誓ってたけどね。*
(111) 2023/08/11(Fri) 19時半頃
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─柊木康生の世界観─
[“心の壁”という慣用表現がある。康生の心に、壁は存在しない。代わりに恐らく、暖簾が掛かっている。本気で何かを隠すつもりは無く、手で押せば軽く向こう側を覗けそうな。それでいて、覗くには手で押し退け続ける必要がある様な暖簾が。]
[この性質が、一番顕著に表れているのが恋愛に関してだろう。康生は高校に入ってから数度告白されているし、その時フリーであればOKして、お付き合いを始めた事もあった。「驚いたし、すげー嬉しい。ありがとう」といった風に。]
[ただ、長く続いた例は無い。精々三ヶ月だ。康生なりに相手を大事に扱いはするのだが、「柊木くんってよくわからない」「本当に私の事好きなの?」とフラれるのがお決まりのパターンだ。そして、フラれた後も反省はすれどすぐに立ち直るものだから、益々「よくわからない」と言われてしまうのだ。]
(112) 2023/08/11(Fri) 19時半頃
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[恐らく、康生は恋愛というものがよくわかってないのだろう。今はまだ、毎日の様々が楽しくて、恋愛にまで気が回ってないのかも知れない。要するに、子供過ぎるのだ。好意を貰うのは嬉しいし、同じ様に返したいと願いはする。ただ、それを成すには、圧倒的に人間関係の経験値が不足していた。]
[明るく、楽しく、元気良く。そうしていれば友達はできる、幼稚園児の世界観。それとさして変わらないものを持ったまま、康生は高校生になってしまったのだった。*]
(113) 2023/08/11(Fri) 19時半頃
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─ーちょい過去・天文台への道中─ー
[康生とは学校でもよくつるんでいるから、明るくて元気な姿をいつも目にしている。
が、そんな彼はたまにーー そう、本当に希にだが、表情を曇らせる時があった。
その時に彼は必ず、胸元に手を当てているような。>>92
部室にて珊瑚と話す時も、確か。>>32
何か考え事をする時の癖?とも思えて特に気にしてこなかったが。]
(114) 2023/08/11(Fri) 19時半頃
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ーーコウの身に何かあるなんて、考えたくないからね。
僕らはまだ若いし、突然倒れたりなんてほぼないとは思うけど。
[僕の変な言い回しは無意識だから、彼が真面目に返すなら僕の返答もこうだ。
目鼻立ちの美しい友の顔を僕は見つめたろう。
彼が抑えていた胸元にも視線を投げるが、そこに"見える"何かがあるわけではなかろう。]
[野球については意図的に返事を避けて。僕は康生の手をしっかりと握る。
汗ばんでいるのは生きている証拠だ。
彼の生を引き上げる、僕は。 価値のある輝きを。]
(115) 2023/08/11(Fri) 19時半頃
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ーーどうかな。 見てたら、寝かさず運動させようかとか思っちゃったけど。 >>93
[二人きりになれるなら、先程気掛かりになった仕草についても聞けるかもしれない。
そうして僕らは展望台に到達する。
加賀先生と、その背後に広がる雄大な空が僕らを包んだ。]*
(116) 2023/08/11(Fri) 19時半頃
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ー瑠璃川さん>>91ー
[瑠璃川さんは親友ということはないけど、でも普通に仲は良いクラスメートだと思う。家の事が少し色々あるらしいというのは聞いてるけど、それを言うなら私のうちも色々あるといえばあるわけで。両親とも仕事で家を空けがちとかね。
こういう合宿みたいな時にいたらきっと一番話しかけてるだろうな、と思うくらいには。他の女の子は後輩の子とかだしね。やっぱり違う。 少し近寄りがたいと思われてるとは思わなかったけど…それは別に瑠璃川さんに限ったことじゃないからそんなに気にしなかったと思う。
男子達から高嶺の花と思われてるのも知ってる。 私自身はそういうつもりはないんだけど。告白されて付き合ったこともある。……まあ、主に私の至らなさのせいで凹ませてダメになっちゃったわけだけど。
ともかく、合宿の活動の方は割りと楽しかったし、戻ったら瑠璃川さんとももう少し星の話とかしてみてもいいかな、とは思っている*]
(117) 2023/08/11(Fri) 20時頃
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――展望台への道――
[本来ホームであるはずの合宿の中でアウェー的な立ち位置で参加している大和は最後方で参加者の様子を眺めていた。 その立ち位置は自由だった。 積極的に参加はしないが手伝いはする。 写真の枠の片隅で1/4くらい枠外に出ているくらいの存在感。 何を言われることもない気楽なポジションだった。
自分以外のアウェーと言えば見ていてわかるのは>>106女子で一人。 一年の時は同じクラスだった――名前は本郷と言っていただろうか。 掲示板の張り紙では確かに天文学部以外の参加者も募集していたが本当に参加するのだから強心臓なのだろう]
……そうだね。
[ふらりと近づいてきた彼女に話しかけられるとあまりに唐突だったので仏頂面と硬い返答となる。 どうして自分なんかに話しかけてきたのだろうか。 夜空に咲く火の花ではなく、地面でのたうち回りながら生えてくる蛇花火のような存在に目を向けてくるのは何故だろう。 脳裏に過ぎるのはそうした考えだった]
(118) 2023/08/11(Fri) 20時頃
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そっか、今日で終わりだったね。
僕は……掲示板を見たんだ。 所属は一応天文学部なんだけど、活動はしてなかったし。
せっかくだから。
[朝は早くに学校に到着する。家には居たくはない。 授業が終わればすぐに配達に向かうためにすぐに姿を消す。 そんな学校生活と私生活の中で一時だけでいいから自由が欲しいと全てを投げ出して参加した。 戻ったら勝手にいなくなったことを怒られるだろうし仕事もないかもしれない。
だから、小さく乾いた笑い声を漏らしてから、はぁ、と息を漏らした]
(119) 2023/08/11(Fri) 20時頃
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本郷さんは、星に興味があったの?
[先生に誘われて、それだけで参加しようと思ったのだろうか。 問い返したのは合宿中ずっとどこか居心地の悪そうな彼女を見ていたから*]
(120) 2023/08/11(Fri) 20時頃
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―― とある日の部室/七尾と ――
[部室は授業中みたいに先生に見張られている訳ではない。
だから、別に姿勢を崩してだらりと座っていても僕は構わないと思うのだ。
彼女のリラックスする姿はまるで日向ぼっこする猫のよう。
僕が声を掛け、居ずまいを正す様子に申し訳なさを感じたほど。]>>85
へえ。僕は読んだことないや。 どれ。
(121) 2023/08/11(Fri) 20時半頃
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[部室に推理小説だの好きな本を持ち込んでいるのは僕ぐらいだろう。 兄が留学して部にいなくなってからは好き放題している。
普通は置いてある天文関係の本を読むし、そういう場だけど。
彼女の傍らに移動し、近付き過ぎないようにはしつつ本を覗き込むことは叶うか。]
綺麗だね。神話か…。
[神話は物語や小説に近いから、僕にも親しみやすい。
捲られる頁には藍色に散りばめられた宝石が綴じ込められている。
生の迫力には叶わないが、切り取られた美しさも、ある。
少なくとも都会の学校の部室にて、夜でもないのに楽しめるのは本だからだし。]
(122) 2023/08/11(Fri) 20時半頃
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御伽話、わかる。不思議な話が多いよね、星座に纏わる神話。
なんて、僕有名なのしか知らないんだけどね。
[熱心な部員なら、ここで神話の1つでも披露したろうが。
彼女のピンポイントな質問が飛ぶのは、僕のこんな体たらくのせい。致し方ない。
頭をかいて、目線を漂わせ。]
あー…僕ね、一学年上に兄がいて。>>87 去年入学した時に兄が部活に誘ってくれたから入部しただけなんだ。
だから実は、あんまり星とか、興味がーー
天文にも関係ない、読書全般のが好きだったり。
(123) 2023/08/11(Fri) 20時半頃
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[なら文芸部に入れば良かった? 文芸部は書き物をする部である。それに去年の僕は、兄を頼りにしていたから。]
ーー天文部に、大して星に興味がない人間がいるなんて、ガッカリさせたかな。
でもほら、コウや珊瑚は星が大好きだからね?
[僕とは違う真面目な部員をプッシュしてフォローとするが。]
ーー七尾さんは、入部動機ってーー
(124) 2023/08/11(Fri) 20時半頃
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[そう言えば、我が天文部には幽霊部員もいる。
大和命は天文に興味がない、というよりーー忙しさが原因のようだが。彼が配る新聞は僕の実家にも届けられているから。 >>95
様々な人間が集まってる。
その中でも、彼女に感じた 僕と似たような"匂い"。
手繰りたくて。
座っている彼女の斜め後ろにいた僕は少しだけ、身体の距離を詰めた。]*
(125) 2023/08/11(Fri) 20時半頃
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[過ごしやすかった、と聞くと。>>99]
そっか。なら良かった。
[天道の視線の先を追うと、スマホを空にかざす七尾の姿が見えて、くすりと笑い。 2人に倣って、同じ方向にスマホをかざしてみる。]
……オリオンが逃げ回ってるやつ?
[見えた蠍座にはそんな風に言いつつ。]
あ、俺の星座あった。 あれかー。 ……弓引いてる様に、見えなくも、ない?
[自身の星座の『射手座』と、 それから、姓の『北斗七星』を探してみたりして。]
空見ても、何も知らないと点々にしか見えないけど。 星座ってこうなってたんだな。初めて見た。
(@27) 2023/08/11(Fri) 20時半頃
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少年 Aは、メモを貼った。
2023/08/11(Fri) 20時半頃
少年 Aは、メモを貼った。
2023/08/11(Fri) 20時半頃
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─現在・展望台のある丘の上─
[「倒れたりしねーって」だとか「寝る時間は欲しいんだけど!?」だとか騒ぎながら>>115>>116、丘の上に到着する。実際、水泳以外の体育の授業は普通に参加しているし、体力が無くてヘバる事はあっても倒れた事は無い。胸元をまじまじと見ても、シャツとその下のインナーが若干透けているのが判るくらいだろう。]
[何はともあれ、到着して設営を手伝っていると、少し棘のある言葉>>78が聞こえた。加賀先生は普通に返していた>>@22が、やはり気にはなる。作業自体は続けながら、康生は声を潜めて訊ねた。]
……なぁ、カガセンとなんかあった? 話し辛いことだったら、後でにするけど……。
[ちょうどトレーニングに付き合うという話は出ていたから、その話に乗れば他の目を気にせず聞きたい事を聞けるだろう。きっと、お互いに。]
(126) 2023/08/11(Fri) 20時半頃
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ーー合宿前のとある日/部室にて/珊瑚ーー
[彼女の母親は小さな頃に亡くなった。
それは今の僕に、知識としてインプットされている。
しかし、母親がいない生活というものを僕は体験していないし、彼女の苦労を知り得なかった。
明るい笑顔の裏にある大変さ、苦悩、寂しさを。
それが他人の距離と言えばそうだがーー。]
(127) 2023/08/11(Fri) 20時半頃
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[適齢の男女が顔を合わせたら必ずきゅんして恋に堕ちるなんて少女漫画だよね。
深い人間関係にはコミュ力が必要なんだ。僕は康生ほど積極的ではないし。
この歳まで恋人がいないのも順当なんである。
むしろ瑠璃には彼氏いないの? 聞いたことないけど。
髪を綺麗に分け、片側だけ露出させた彼女の項に視線を注ぐ。
綺麗な肌がラインを描く。]
そうかな。材料代だってかかるんだしーー。 僕はいつか、何か珊瑚に恩返ししないと、と思うよ。
(128) 2023/08/11(Fri) 20時半頃
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[彼女みたいな人間は、他人に捧げ尽くして消耗しそうで心配だ。
そんな彼女は、更に献身的な父を心配しているなんて、僕は知らないが。]
……ありがとう。 ありがとうしか、言えないね。
[バレンタインも沢山の友チョコを彼女は配ったのだろう。
その大きな愛情のおこぼれに、僕は溺れそうだ。
あの日の会話はこんなだったろうかーー]**
(129) 2023/08/11(Fri) 20時半頃
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――回想:昨年――
[部活動に参加したのは参加していれば内申点がよくなると聞いたからだった。 天文学部を選択したのは、運動部は部活動にかけれる時間がないことといろいろな備品にお金がかかること、文化部でも入部しっぱなしでも文句を言われ無さそうな部活として選んだ。
入部届けを出して速攻で姿を見せなくなったのは生活のためで>>111一年前は合宿に行く余裕もなかった。 今年は余裕がある・ないではないのだけれど――]
はい、何?
[放課後の行動は早い。 掃除がなければ鞄に教科書を詰め込むとすぐに教室を出て配達所へ向かわなければならない。 それでも少し遅いくらいなのだが声をかけられたのは一分一秒を争うタイミングでだった]
(130) 2023/08/11(Fri) 20時半頃
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[その日は掃除当番でいつもよりも脱出タイミングが遅かったこともあり駆け足で廊下を進んでいると声をかけられた。 声をかけられたら止まってしまうのは悲しい性だった。 無視して駆け抜けることなんてできはしないし、出されたのが美味しそうなケーキだった。 ケーキなんてものは記憶にある限りではほとんど食べたことがない。 配達所のおっちゃんたちがクリスマスにくれたくらいだろう]
(131) 2023/08/11(Fri) 20時半頃
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[蠍座の位置が分かったので、自分のスマホで撮影してみる。 夕暮れ後の南の空は月明かりの影響もなく、天の川と蠍座がよく見えた。 とは言え、スマホのカメラだと限界はあるだろうか。
昼間に撮った青空と森の写真、それから今撮ったばかりの蠍座の写真を、画像アプリで少しだけ見やすく加工して。 合宿不参加だから写真を送ってほしい、と言っていた珊瑚さんのLINEに送信した。>>64 約束したから送ったのだけど、元より弟のクラスメートだし、気の利いたメッセージなど思い浮かばなくて。]
🦂
[ファンシーな顔をした蠍のスタンプだけ添える。 こんなの無くても、天文部員なのだから蠍座だって分かるかもしれないけど。]
(132) 2023/08/11(Fri) 20時半頃
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いいの? ありがとう!
じゃっ、これで――。
[パウンドケーキだけを受け取って去ろうとしたら合宿について尋ねられたのでその場で駆け足しながらまた振り返り、そこで初めてしっかりと相手を見た。 名前は何と言ったか、あんまり覚えてはいなかったので少し口ごもるが天文学部ではあるのだろう]
えっと、その日はとても忙しいんで。
[長期の休みは稼ぎ時なのだ。 いつもの配達に加えて空き時間にもアルバイトを入れている]
(133) 2023/08/11(Fri) 20時半頃
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せっかくだけど、行けないんだ。 ごめん! でもケーキはありがとう、ごちそうさま!
[去年は行けなかったけれど今年は行ける。 大和とは反対の参加状況な彼女は――後になって学校で見かけてお礼を言う時に名前を改めて認識したのだが瑠璃川 珊瑚というらしい。
初めての邂逅はそんな風に駆け足で過ぎ去ったものだった**]
(134) 2023/08/11(Fri) 20時半頃
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