8 Solo Assembly Letters
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[モノクロームの街角を照らす、たったひとつのしろい月。
そんな景色の中に、ストールの赤、ひとつ。
その赤のひと――ヴィクトーリアがデアドラの名を呼び、駆けてくる。]
へッ……え? ええ??
なんで? なんでなんでなんで????
[相手がこの異界のダブリンにいるということだけではない。もう死んでしまった自分のことを、明らかに、認識している。
“あのランサー”の亡霊ですら認識していなかったこの幽霊(仮)を、彼女は認識している――。
そう思ったデアドラは余計に混乱し、されるがままにハグされた。]
[そう、 しっかりと ハグされた。
つまり、ヴィクトーリアは、この幽霊(仮)にきちんと触れている。]
え、 ええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!??
[幽霊だという自覚を持っていたデアドラは、抱きしめられたまま、やかましい絶叫を挙げた。]
[そこでデアドラは、はっと、思い至るのである。]
あ。
そっか。
あなた、死んじゃってるから、判るのか。
[ここでの「死んじゃってる」とは、「この世界の中で死んだ」ではなく、「元々死んだ人である」の意である。
結論から言えばおそらく、“死亡に近い状態”どうしであるが故に触れ合えているだけなのだが、デアドラはそれに全く気付いていない。
この世界に呼ばれた死者はこの世界の中では生者扱いなのでは?などの深いことは特に考えていないバーサーカー思考である。]
ってことは あれ あれ??
きんも、鬼火、だから、
もしかして、わたしのこと、判ったりする??
[などという独り言を思いっきり声に出しながら、目をぱちくりぱちくり。
なおその「もしかして」の中に、天の御使いは特に含まれていなかったりもした。]
[ともあれ、(自分なりに)今の状況を理解した(つもりの)デアドラは]
ヴィクトーリア。ヴィクトーリアヴィクトーリアヴィクトーリアヴィクトーリアヴィクトーリアヴィクトーリアヴィクトーリア!!
会えた! あなたに会えた! 会えたよ会えた―――…
[ぎゅっと、ぎゅーっとハグを返そうとして――やめた。
サーヴァント、しかもバーサーカーである自らの膂力を、はっと思い出したからである。
(ちなみにサーヴァントの数値で言えば、筋力D程度ではある)
そして改めて、やんわりとした緩めの力で、そっとヴィクトーリアの身を抱きしめ返したのである。]
[続いて手に取った封筒の表面をしげしげと眺めて]
次はこの手紙ですね……、
何やら個性的な髪型の方の像でしょうか……これは。
――まさかこれが水戸の名物!?
[※実はそうではない。
というのは男は知らない。
ともかく水戸の魔術師――ヴィクトーリアにも観光情報を訊いていたため、
自然とそう思ってしまったわけで。
個性的な髪型の方の像一押しの便箋を上から見ていけば、
本文(宛名のところ)にも顔が見えるような……よもやこの点々のためか。
梟も祝福してくれている、とのくだりでいっとき、
どうなんでしょうね、と思いつつ、
続く文面を見ていけばとにかく情報量が濃い。送り主の彼女が思う名物についての。
またしてもほうほう言うだけの梟になってしまう]
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