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――五度目の襲撃後日――
[シェルターの中で眠る珊瑚を抱きしめながら大和は優しく頭を撫で続けていた。
片手はずっと背中に回していて離れないように身を寄せて。
襲撃が終わったような感じはあって既に外に確認に向かっている大人がいる中でのんびりさせてもらっていた。
家ではいつも抱き枕みたいな感じなのでマットレスみたいになるのはこれはこれで良いものだった]
おはよう、珊瑚さん。
ん、んー……この重さは幸せの重さだね。
[てしてしされるとくすくすと小さく笑う。
珊瑚は多分軽い方だと思うけど、もし重くなっているならお胸が育ってきているのではないだろうか。
そんな大和は毎日お美味しいご飯を食べてヒョロっとていたのがガッチリしてきているので体重はかなり増えている。
よいしょと身体を起こして再び珊瑚と向き合う姿勢で座ると、いつものおはようのキスをしよう]
それじゃあ僕らもそろそろ行こっか。
[首筋は無理でも胸元は隠そうかとなるべく服を整えてあげて、またキスをしてから外に出よう。
報告とかいろいろしている中で視線を向けられたりして、ペアルックのように首筋にキスマークがある大和が傍にいるものだからきっとまた暫く話題の的だろう。
お義父さんはちょっと怖い顔してこっちを見ていたのでそっぽを向いておいた]
[襲撃が終わる度にもうロボットの襲撃がありませんようにと願われてきたはずだ。
二度目から五度目の襲撃は全て同じ街で行われ、一つの街だけが破壊されていった。
六度目はありませんように――きっと街に住む誰もが願っている。
忙しければ疑心暗鬼を抱く暇もない。
考える時間がなければ不安に苛まれる時間も減る。
結局災害地にて何かしら不穏な行動をしてしまう者は何もしていない人なのだ。
家や避難所で億劫に過ごしていると心が蝕まれていくのだろう。
或いはそれは外部から着た余裕のありあまっている人間か。
あの後、問題行動を起こした者は精神的療養の必要性ありとされて街の外へと移送されていくようになった。
何せ避難誘導のみならず支援をしている人間への暴行未遂である。
放っておいていいことは一切ない。
街へ入る者もチェックが厳しくなったそうだ。
こうした場所では火事場泥棒も横行するので当然だろう。
そうして人の波が調整されていきまた少しずつ復興が始まっていくだろう]
[家に戻ると大和は相変わらず珊瑚にべったりだ。
好みなのはやっぱり膝の間に座ってもらって後ろから抱きしめるパターン。
乾も無事だったとは珊瑚から聞いた話になる。
良かった、って短く答えて微笑んだ。
相変わらず柊木とは仲がいいのだろうが、海外にいると聞くと素直に驚いてしまうしお土産は何だろうねと呑気な話を振ったりする。
乾本人はそれどころではなかったらしいが無事だったならとそういう話もしていこう。
ところでこの頃になると珊瑚のスマホの中に大和の寝顔の写真があることには気づいてしまうわけで、その出所はどうやってもあの時なので顔を両手で覆って身悶える大和の姿が発生することになった]
そうだ、珊瑚さん。
なんかタヌキ明日にでも起き上がるんだって。
見に行く?
[ずっと倒れたままだったタヌキは割れてはいなかった。
合宿の日、お弁当とお菓子を受け取る待ち合わせの場所に使った信楽焼はこの辺りの復興の証として復帰するらしい。
少しずつ、少しずつ、街を元に戻そうとする動きは続いている**]
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ーーLINE/千映ーー
[グループLINEに僕が親近感を覚える後輩の文字が浮かぶと嬉しい気持ちに。
心配してくれてたのかな。
個人のLINEに返事を返す。]
(千映へのLINE)
疎開?そうなのか…
それはとても残念だし、僕は寂しい。
お別れ会を開きたいが難しいよね。避難なら一時的だが、疎開なら引っ越しだから、忙しいだろうし。
じゃあ、天体観測がゆっくりみんなで集まれる最後かな。
コウに聞くの了解。
そうだ、アメリカのお土産があるんだ。
七尾さんへのお土産は食べ物だから、天体観測に渡すのだと間に合わないと思う。
宅急便で送るよ。
[翌日、彼女の自宅に宅急便が届く。
中身はファットウィッチベーカリー」のブラウニー。
包装に可愛い魔女の絵があり人気商品だ。濃厚なチョコレート味のブラウニーはニューヨーカー女子に大人気。]**
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【見】 公安部 カガ―― 回想:喫茶店 ―― (@15) 2023/08/23(Wed) 14時頃 |
【見】 公安部 カガ[なのに真っ直ぐに想いのたけを口にする姿が (@16) 2023/08/23(Wed) 14時頃 |
【見】 公安部 カガ[涙が止まっていなければ、 (@17) 2023/08/23(Wed) 14時半頃 |
【見】 公安部 カガ―― 夏祭り ―― (@18) 2023/08/23(Wed) 14時半頃 |
【見】 七星拳 ナツミ― 解散時 ― (@22) 2023/08/23(Wed) 15時頃 |
─バイクで移動 恵一と─
[見た目は完全に母さん寄りだけど、性格とかは割と父さん似なんだよな、俺。ま、あの短いやり取りじゃわかんないか。]
顔はな〜。ほら、俺って今有名人だし?
俺はケイの顔見れたから、それでいいんだよ。
[なるべく明るく話すけど、俺を取り巻く状況はあんまよくない。不用意に出歩いたら、知らん奴に高いとこから突き落とされて死んでもおかしくないレベル。あんだけ街壊したコーラと関係あるって思われてるもんな。避難所になんて行けっこないから、そこは敢えて流した。]
……ん、まあな。
あちこち傾いたり、水出なかったり、ガラス割られたりしてっけど。
住むとこあるだけ大分マシ、って感じ。
ケイんちが無事でよかったよ。
[うちに来てもらうことを選ばなかったのは落書きとかされてるからだし、ガラスはコーラのせいで割れたのもあるけど石投げ込まれて割られたのもある。それを「無事」って言っていいかわからない。ケイん家は本当に無事だろうから、そこはよかったなって思った。]
[話してて、思わず腕に力が入る。けど、バイクで風を切って走るのは気持ちよかった。俺が大好きな綺麗な世界は、確かにまだここに在るんだって感じられた。今だけは、やなこと全部忘れられる気がして。「ほんと、ケイが居てくれてよかった」って心の底から思った。]
そうだな、寄ろうぜ!
あ、俺スムージー飲みたい!
[もう夏もとっくに過ぎてるし、バイク乗ってたら体感気温大分下がるから、温かい飲み物の方がいいんだろうけど。なんか無性に飲みたくなって、俺は果物丸ごと入ってる冷たいスムージーを買った。メット取るのはちょっと怖かったけど、変装の甲斐あってか、街から離れたからか、特に誰かにバレることはなくてほっとした。]
海来るってわかってたら、水着持って来たのにな〜。
ま、さすがにもう泳げる季節じゃないか。
来年のお楽しみだな〜。
[買い終わったら、ケイの案内で海へ。陽の光で煌めく海を見て、俺は伊達眼鏡の奥の目を細めて笑った。人が全然居ないなら、マスクは外しちまおうかな。スムージーも飲みたいし。*]
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ーー海辺/康生と二人ーー
え、僕の顔?や、うん…そっか。
[意識不明で倒れていたなんて聞いたら当たり前か。
真面目な話、突然原因不明に倒れそのまま植物人間になる事例は沢山あるのだから。
それでも僕は、何処か嬉しかった。]
……そっか。でも、コウもご家族も無事で本当に良かった。
うちはちょっと離れてるし。
ロボット…動画を見たんだが、合宿で見た人型ロボットが勝ち続けているよね。
あれ、なんだかアイツが僕らの味方でさ、地球護るために戦ってるように見えて。
だとしたらカッコいいんだけど。…動画だからそう感じるんだよな、きっと。
コウやみんなは間近で怖かったよね…。
[戦いに巻き込まれて家が壊れたり、人が亡くなったり。そういうのを考えたらカッコいいなんて。
しかし、こんな気持ちが何処か僕にはあった。親友だからこそ話せる。]
[しがみついた彼を、その存在をライダースーツ越しにも温かく感じる。
嗚呼、僕らは生きている。
僕らは生きているからこうして。
なんだかそう強く思った。]
[コンビニ前にバイクを止めて、シート下の格納スペースからショルダーバッグを取り出して肩に。
コンビニでは不思議とある銘柄のパンと珈琲が気になったが、僕は結局コーラを買った。
みんながあのロボットをコーラと呼んでるのを僕はまだ知らない。
彼はスムージーを飲むようだ。]
それ美味しいよね!今年の夏はそのスムージーとスパムおにぎりよく食べてたよ。
[なんて話しながら、買い物を済ませたらリゾートホテルが海岸沿いに立つような綺麗なビーチにやってくる。
コバルトブルーとはいかないが、そこそこは澄んだ海。
合宿の時も海の近くだったが、ビーチで遊んだりはしていないから今年初めての海だ。]
【見】 七星拳 ナツミ― 駅 ― (@24) 2023/08/23(Wed) 15時半頃 |
[海岸線に添う道路には若干だがヤシの木まで植えられていて、なんだか雰囲気がある。
砂を踏みしめると靴底に不思議な感覚だ。]
いや今泳いだら少し肌寒いよ。
それに今日は話がしたかったから、遊びはまた後日にしよ?
ーーなあ、コウ。
砂のさくさくした感触、いいよね。
……あれ?
僕は自分でそう言いながら首を傾げる。なんだか、この台詞に懐かしさを感じた。何かドラマにでもあった台詞かな?
持参のビニールシートを敷いて荷物を置き、そこに2人で座った。]
まずはお互い近況からだよね。僕の方から話そうか。
ほとんど記憶ないから簡単だしーー。
アメリカに避難したのは兄さんがニューヨークに留学してたから。
去年の合宿、花火ではしゃぎすぎるコウを注意してた匡兄さんね。
だけど空港着いたら急に目の前暗転してーー気付いたら病院。グループLINEした日。
みんなに心配かけるから、LINEにはあんまり深刻に書かなかったけど、原因わからないし一生目覚めない可能性もあったみたい。
ーー身体が弱い君の気持ちが良くわかった。
怖いね、自分が死ぬかもって。
独りになっちゃうかも、…て。
でも復活したからね、僕。
連絡つかない間、心配かけてーーごめんね。
[隣に座る彼の手の甲に、掌を重ねるのは許されるか。
波音が近く、遠く響く。
次は彼の近況を聞きたい。]*
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─旅行の日─
「ふふ、二人の結婚式の、だよ?」
その横には新郎の衣装に身を固めた命くんが居て。
結婚式のアルバムもしっかり作りたいな。
そんな思い出の結婚式にしたい。でもそれなら、と現実的な部分が顔を出す事もそう。
早くしたいけど…と逸る気持ちはあるけれど、それぞれタイミングが、ね?
入籍だけは先にしときたいなあ、と改めて思ったりしていたら。
「…それは、その、そうね…?」
そう。星が多い方が星座がわかりやすいの。
きっと私たちの星座は賑やかで明るい愛の星座だね。
ぽっと頬が染まるのは仕方がないよ。
頑張って、沢山元気な子を産むからね?
そして、一度離れてお風呂に入ることになる。
体を洗ってるだけだけど。
とにかく、ここは一応屋外でもあるんだからそんな声出せないし!
お布団敷く時に両隣は部屋付きの温泉がない部屋ですよ、なんて説明されたけど聞かなかったことにして。
頭を洗い、体も洗って泡を流して。
「命くーん。準備できたよー?」
湯船のあるところの淵に腰をかけて、体の前側を部屋にあった手拭いで隠しながら呼びかけた。**
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