10 冷たい校舎村9
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── 食堂 ──
九重、樫樹 ……此処に居るのか?
[ 食堂の扉を開ける。 探し人の名前を呼びながら。
しかし、目の前に飛び込んでくるのは お皿の上に幾つも重なる小さくて 丸くて可愛らしいパンケーキ。
それから、綿見がまだ其処にいたのなら 許可を得ようとして。 もう居なかったなら無断で、 甘いものは嫌いじゃない炭蔵は、 摘み食いをしようと手を伸ばしていた。* ]
(556) 2021/06/11(Fri) 20時半頃
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── 昼・教室:シン ──
[日頃の行いが良いかもらしい俺は>>529 それでも俺なんかより、ずっと 日頃の行いが良さそうなシンの話を聞いている>>530
わかんねえよって予防線貼られたら、 えええ、って一瞬いつもの俺に戻る。 そこだけいつもの日常を取り戻す。
だけどやっぱり会話はどうしたって非日常で。 取り戻した一瞬の日常もさ、すぐに消えちゃうんだ。]
(557) 2021/06/11(Fri) 21時頃
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[ だけどそんな中で抱いた願望が>>531 シンとひとつ重なったなら ……俺、ちょっとうれしかったよ。 ]
(558) 2021/06/11(Fri) 21時頃
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[でさあ、まあ。 俺が送り主を探してないっていうのが シンにとって意外だったらしいんだけど。>>533
その理由はさ、 なんもできなかったっていう無力感からだったから。 だから「してほしい」じゃなくて「したかった」っていう その発想が、俺のほうは意外だったわけ >>534]
………じゃあ、ここに集められてることで 望み、叶ってんのかな。
[わかんねーけど。 わかんねーし、それはそれで、悲しいけど。 だってさ、生きて会いたかったじゃん、 こんな精神世界なんかで、逢わなくっても。]
(559) 2021/06/11(Fri) 21時頃
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わかんね。 なんかしてほしいことあったら 言ってくれよ、ってさ思うけど。思うけど。 …… それもまた、難しいんだろうなー
(560) 2021/06/11(Fri) 21時頃
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[おにぎり、最後の一口を頬張って。 俺はやっぱり非日常へと沈む。 ダメ押しみたいに「じゃあ言えよーーー」って ついでに大声だした。出した。
日常を過ごすためにさ、この部屋を選んだのに 黒板の寄せ書きみたいなメッセージも、 降り止まねえ雪のことも。 訪れない燃えないゴミの日も。 やっぱり、日常に引き戻してくれそうにねえんだ]*
(561) 2021/06/11(Fri) 21時頃
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架空惑星 レンは、メモを貼った。
2021/06/11(Fri) 21時頃
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―― 文化祭の一幕 ――
別に謝らなくても。 レアなとこ見れたな、とは思うけどさ
[ 愛嬌だけが取り柄だって言っても、>>438 それをうまく扱えるかはまた別の話。 彼は今までそれをうまく使って、 じめじめとした部分を隠していた。
それだけの話。 好かれたかったの欲も、 自分に自信が無いのも、 認めてもらいたかったのも、そういう事。]
(562) 2021/06/11(Fri) 21時頃
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[ 嫌われないと好かれるはきっと違う。 嫌われないに慣れすぎてしまっては、 上手に好かれる方法がわからなくなる。]
それでも頑張ったんだろうなあ、って。 そこまでは想像はつくからさ。
自分を好きになれない人が、 他人に好かれる自分になるって、 大変だよ、きっと。
[ そんなのどこかに違和が出るに決まってるから。]
(563) 2021/06/11(Fri) 21時頃
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[ 人の悩み事は大概、人間関係だって、 何かの本で聞いたことがある。 だから、それに悩まなかったとしても 別の何かに悩む羽目になったりはするだろう。
身も蓋もないけどね。だけれど。]
(564) 2021/06/11(Fri) 21時頃
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架空惑星 レンは、メモを貼った。
2021/06/11(Fri) 21時頃
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[ 私のざっくり話は、無茶なことだったって。 すこし、その言葉に驚いた。>>442 雁字搦めのさ、責のように思っていたから。 生まれてきた責任。]
……無茶、かぁ。
初めから無茶だったのかな。 まあ途中で投げ出してるから、 私自身にも無理だって思ったんだろうけど。
………… まあ、何。 ありがとう。 あんまり深く考えなくて良いからさ、これは。
[ ちょっとだけ。何かが軽くなった気はしつつ。]
(565) 2021/06/11(Fri) 21時頃
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[ そうして悩み事を聞いた生クリームは これから美味しいクレープになりに行く。 すっとしたのは、その白いふわふわに もやもやが吸い取られたのかもしれないね、なんて。]
少しは顔色良くなったじゃん。良かった。 ほどほどに休むのも大事だよ。
…… そんなに気にしなくていいし。 私も助かったからさ。生クリーム。 でもお礼したいって言うなら、貰うのも吝かじゃないよ。
[ よく見た柊君の笑顔を見つつ、よくやるよね、と思う。 それでもその表情は引きつったりはしていなくて。 内心でどこか安堵しながら、その背を見送った]*
(566) 2021/06/11(Fri) 21時頃
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―― 現在/食堂 ――
お二人は居ないよ。 ここで呑気にパンケーキ食べてたら 幾らかよかったんだけれどもね。
[ お客さん、否、炭蔵くんが姿を見せれば>>556 ゆるく手を振って迎えようか。 焼きたてほかほかを食べたいならば はいどうぞって大皿を差し出そう。]
(567) 2021/06/11(Fri) 21時頃
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…… というか、まだ探してたんだ?
少し、びっくりしたっていうか。 賢い炭蔵くんなら勘づいてるって、 なんとなく思ってたけど。
多分どこにも居ないんじゃないかなって。
[ 探しても無駄だってこと。 多分、あのマネキンが居なくなった彼らで、 きっと殺されてしまったのであろう事。
どうしてそう無駄なことをやるのかなあ、と。 こんな事を考えるから薄情なんだろうね、私は。]*
(568) 2021/06/11(Fri) 21時頃
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── 昼・教室 ──
[ 慎一の日ごろの行いがよかったらしい。 毎朝ひとりで起きれることかな。>>557
儚い日常の断片が、 非日常会話に紛れ込んでは消えて。 引いては寄せて、みたいなことを、 繰り返していたお昼時。
ふたり、心に抱いた願望が、 重なったなら慎一もうれしかったよ。>>558 もしもその願望が本当になるなら、 一緒に思い浮かべてもらえたことも、うれしい。]
(569) 2021/06/11(Fri) 21時半頃
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……うーん、それはどうだろ。 自覚ない説あるじゃん。ここの持ち主。
[ 持ち主というより地主なのかもしれないけど、 鳩羽が懸命にそいつの望みを叶えようとするの、 慎一は見て思う。やっぱり日頃の行いだよ。
答えの出ない問いにうんうん唸るから、 慎一もつられてうーんって唸ってる。
言ってくれよ。とストレートな言葉に、 ちょっと笑っちゃったりもするんだけどさ。>>560]
(570) 2021/06/11(Fri) 21時半頃
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言えてたら、きっと、 こんなことになってねえよ。
全部、やり直せたらいいのに。 文化祭でも、おとといでもいいから、 こんなことになる前にさ。
[ そしたら慎一は、泣いて縋ってでも……や、 引き留められるかなあ。やり直せても。 誰かに、辛くても生きろと言えるだろうか。
そんなこと考えてたら、 急に鳩羽が叫びだすから、>>561 しんみりしていた慎一はビクッとなる。]
(571) 2021/06/11(Fri) 21時半頃
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おま、おまえ…… 打ち上げンときも叫んでなかった? なんで? 急にでけえ声出すなよ……!
[ 不穏な黒板の寄せ書き。 ラピュタみたいな教室。いなくなった友達。
どれを取っても非日常に、 あとほんの一コマだけ日常を織り交ぜるね。*]
(572) 2021/06/11(Fri) 21時半頃
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── それから ──
[ どのくらいそうしていただろう。
慎一は会話の途切れ目に立ち上がる。 人形を見てくる。と言った。
それで、黒板を一通り確かめて、 廊下のほうへゆっくりと歩き出す。]
(573) 2021/06/11(Fri) 21時半頃
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[ 張り紙を見て深呼吸をして、 教材倉庫の中に入った。>>3:417 布団の場違いさにも笑えない。
一瞬、それをめくろうとして──、 なんとなく、気が引けてやめた。
人形なの、わかってるはずなのに。 女子だしなあ……って思っちゃって。
昇降口。ふたりで呆然としたこと。 そんなことを思い出して、 「帰れた?」って聞いてみたくなる。]
(574) 2021/06/11(Fri) 21時半頃
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[ それから、1階の喫茶店にも。 炭蔵のメモ、ひねくれてるよな。 わざわざ樫樹とマネキンと、 別件の扱いをして書くんだもん。
喫茶店のセットに寝かされた人形。 折れた首はそりゃそうなんだけど、 うっすらとほほ笑む木製のそれを見てた。
やっぱり慎一には友だちに見える。 チャイムが鳴るたびに現れる人形が、 消える友だちの代わりなんじゃないかな。
……会えなくなったら寂しいから、かなあ。 それにしてはグロやホラーが過ぎるよって、 考えながら、その教室をあとにした。*]
(575) 2021/06/11(Fri) 21時半頃
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── 昼・教室 ──
[俺の日頃の行いがよかったとすれば 夏休み無欠席で事前準備来たことじゃね?って まあ言えたか言えてないかはともかくとして。
だけどシンが別のことでさあ、 日頃の行いの良さを量ろうとしてくれてんの>>570 それ知ったら、俺、感激して泣くね。
いや嘘。多分動揺して、照れすぎて。 大声どころじゃすまねーな。 俺って多分、泣くよりも喚くタイプだから。]
(576) 2021/06/11(Fri) 21時半頃
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うん。もし、メールを送ったやつが 現実世界で苦しんでるとか、
………考えたくねーけど、 もう「居ない」とか、だったらさ。 やり直したいけどな。
やり直したところで、俺らが何できっかは、 ちょっと、わかんないけどさ。
(577) 2021/06/11(Fri) 21時半頃
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でも、もしそうだな、 引き止める権利が与えられたなら、俺。
頑張って生きろ!っていうよりかは そいつが辛くない道に進めるようにさ なんか、背負ってやりてーな。
[わかんねーくせにさ!わかんねーなりにさ! アイツ馬鹿じゃん、って笑われ続ける役でもいいから
………うん、そうだな、やっぱり 俺は、みんなに辛い想いしてほしくねーんだ 笑ってて、ほしいって、願うんだ。]
(578) 2021/06/11(Fri) 21時半頃
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[叫ぶ。だから。叫ぶ。 じゃあ言えよ。なんかあったら言えよ。
その言葉の先が誰に続いているかはわかんないし そりゃあ目の前のシンの可能性だってあるし 実は校舎に居ない誰かって可能性もあるけど
でも届くと良いな、って思って、叫ぶ。
暗くなった空気を打ち消そうとしたときだって 気にすんな、の意味を込めて。 打ち上げのときだって、 全人類、嘘。全豊高生、お疲れ様の意味を込めて。 今だって、どこかで無意識で悩んでる誰かに。
この声が届いて、 ちょっとでも元気になればいいなって 俺はいつだって、思ってる。]
(579) 2021/06/11(Fri) 21時半頃
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[折り混ざった日常と非日常の中で、 いつも口癖みたいにシンから飛び出す「なんで?」を ちょっと微笑んで聞いてた俺の顔は、>>572 たぶん、今はちゃんと、いつもみたいに笑えてる。]*
(580) 2021/06/11(Fri) 21時半頃
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架空惑星 レンは、メモを貼った。
2021/06/11(Fri) 21時半頃
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— AM8:50過ぎ:渡り廊下 —
[ただ、へらへら笑って表面を撫でて、 返事に詰まるような話を振らず、 一定の距離を保つのがお互いのためだって、 何よりわたしを守ることに繋がると、わたしは信じてた。
机とかメニューボードとか、そういうものを何も挟まず、 わたしは向井くんの知らない向井くんの顔を見る。]
そう。ちっちゃいの、わたし。
[向井くん>>453がどんなことを思っているか、なんて 分からないから、わたしが拳を握ることはない。 もし言われたとしても、「なぁに、それ」と言って また目を細めちゃうだけだと思う。
言われなくても伝わるものがあったとしても、ね。 わたしは向井くんの感想に同意する。]
(581) 2021/06/11(Fri) 21時半頃
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向井くんは思った通り大きいよ。
[わたしが向井くんのこと、覚えているのはなんだろう。 知った気になった部分>>0:997は別として、 最初に思い浮かぶのはやっぱり向井くんの声だ。
全容を覚えていないのにわたしが昔の話ができるのは、 音ごと、どこかにしまっているからなのかもしれない。
ボールを転がすような会話の穏やかな声、 疑問が口から出ちゃった時のちょっと子どもっぽい声。 文化祭の時の楽しそうな笑い声や、予算に関する悲鳴。
顔はよく見ていなくとも、 わたしの音には向井くんがちゃんといた。 横からだとこっちを見るまで分からなかった表情が 真正面だとよく見えるから、わたしは首と目でを使って 向井くんの顔を見上げた。]
(582) 2021/06/11(Fri) 21時半頃
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[だから何だという訳でもないんだけど。 わたしはすぐに目を閉じてしまったから、 向井くん>>455がどんな表情をしているのか、 結局分からないままだった。]
嫌いじゃない、し、 ・・・・・・わたしはたぶんすき、なんだよ。
[両手でまぶたをぐりぐり。 目を開けると潤んだ形跡はほとんどなくなった。
きっとわたしと向井くんやみんなとでは、 今見えているものが違うのかも。
みんなが話すのはきっとここにいる誰かのことで、 わたしが思うのはあの子が誰かでなければいいのに、だ。 ドーナツの穴を覗いても同じ物しか見えないのにね。
わたしは「嫌いじゃない」を教えてくれた向井くんに 一欠片だけ、わたしの話を返した。]
(583) 2021/06/11(Fri) 21時半頃
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自分がやれることをやるしかないんじゃない。 どうして欲しいかなんて、分かんないし。 じゃあ、ものさしは自分の手元にあるんだよ。
[呟き>>456だって、わたしの耳は逃さない。 どうすれば、にきっと正解なんてない。 だったらわたしができるのは、 わたしがわたしであることだけ。
向井くんは? 呟きである以上、話を広げることはないけれど。 わたしはそう返すしかない。それしか持ってないから。
わたしが淡く笑うと、 向井くん>>457の眉が吊り気味の目に寄り添う。 向井くんが嫌がってないことだけ、分かった。]
(584) 2021/06/11(Fri) 21時半頃
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[それから沈黙を経て。 罪が喉を貫いて、息を詰めた>>458後のわたしは、 向井くんにみっつの秘密を渡す。
自分が知っているからって唐突に始めた話も、 向井くん>>460は黙って話を聞いていた。 唐突なこと、理由のない信頼に驚いたかもしれないけど、 あるいは固まって置いていったかな>>459。
どちらにせよ好都合だった。 わたしは後ろ足で道をかき分ける。]
(585) 2021/06/11(Fri) 22時頃
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