14 冷たい校舎村10
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[圏外だったはずのスマホは何かのメッセを受信 しているし、この状況に似合わない陽気な音楽が 聴こえると思ったら、すりガラスの向こうに 何やら先ほどまでなかった光が点滅しているし。 美味しそうな臭いも漂っている気がするし。
この状況がすぐに飲み込めずにいれば七星さんが がたがたと震えだしたものだから>>7、 傍によってその背をさする。
大丈夫?と声をかけながら、荒木君が開け放った ドアの外>>18を見れば、息をのんだ。]
(23) 2021/11/07(Sun) 02時頃
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[その先に広がるのは終わったはずの文化祭。
どうにか説明をつけて目を反らしていた非日常は、 説明の出来ない確かな非日常に変移した。]**
(24) 2021/11/07(Sun) 02時頃
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んへ?
[ほんの5秒前とは違った間の抜けた声が漏れる。 扉の外の景色を見れば、それも無理のないこと。 思わず教室の内と外を2度見、3度見、4度見。]
文化祭みてえだっつか
[もう1度やり直せれば。確かにそう願ってはいたが、それは絶対に無理だと分かっているからこその願い。 実際に叶うかと問われれば。 否、あり得ない。 だからこそ、これが現実事とは捉えられなくて。]
そのまんまじゃん。
[そこに来てようやく、今いるメンバーの共通点に気が付いたのだった**]
(25) 2021/11/07(Sun) 11時頃
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── 回想:チャイムが鳴る前/七星 ──
あーん。
[ 声につられて、 パカっと雛鳥のように口を開ければ。 次の瞬間、口内に優しい甘さが広がった。>>0:577
食べながら喋るのは不得手なので。 もぐもぐと暫くは口を動かして、 懸命にアイスを咀嚼しようとしていた。 飲み込んだら、七星にお礼を言おうと。 ]
(26) 2021/11/07(Sun) 11時頃
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[ 不調のスマホは再起動だな。 うん、再起動は知っているんだ。 以前、教えてもらったから。
だがアイスを食べ終え、七星にありがとうと言う。 そんな僅かな時間でさえ。 背後に迫り来る非日常は待ってくれなかった。
そこからの状況は秒単位で著しく変わる。 教室に飛び込んできた路子、和歌奈、虎次郎。 止まった時間を切り裂くように響いたチャイム。 それに促されるように、 壊れてしまっていたはずの真梛のスマホが ひとつのメッセージを吐き出した。 ]
(27) 2021/11/07(Sun) 11時頃
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[ ごくん。 ]
何やら受信したが。 送信元とメッセージ内容に覚えがない。
これが、すぱむというものだろうか?
[ ようやくアイスを飲み込んで。 鞄から取り出したスマホと共に、 首を傾ける。
そんな呟きに訂正はあったか。 皆、それどころではなかったかもしれない。 ]
(28) 2021/11/07(Sun) 11時頃
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七星、大丈夫か? 体調が悪いようなら、保健室に行こう。
[ まだお礼を言えていない彼女。 求め、視線を彷徨わせれば。 地面に落ちたスマホを気に求めず。 小刻みに震えていた。
その姿はいつかの真梛よりずっと寒そうに見えて。 跳ね除けられることがないようなら、 車椅子を動かし、彼女の身体を暖めるように 両手を伸ばしただろう。 ]*
(29) 2021/11/07(Sun) 11時頃
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─ 回想:春満 ─
[ 何がいけなかったのだろうか?
私が君の言いたい事を理解できなかったからか。 それとも、私が他者を害することでしか 成り立てない存在だからか。
だから君を不快にさせてしまったのか。>>609 ]
(30) 2021/11/07(Sun) 11時半頃
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[ 考えても、答えは出ない。
俺に頼らなくてもいいだろ。
向けられた言葉を飲み込み、噛み砕き。 去る背中に吐き出せたのは、一言だけ。 目を細め、口角を僅かに上げて。 笑みの形を保ったまま告げる。 君に届いたかは、わからないけど。 ]
(31) 2021/11/07(Sun) 11時半頃
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─── 迷惑をかけて、すまなかった。**
(32) 2021/11/07(Sun) 11時半頃
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─ 回想:自由素材 ─
[ 不知火真梛は真っ直ぐで正しい。
どうにもそんな認識を抱かれがちだが。 そうだな、せっかくだ。 私が悪い事をした話をしよう。
一緒に帰ろう。 駅前のクレープ屋さんに寄ろう。
そんなクラスメイト達の会話は、 真梛には無関係のものだった。 ]
(33) 2021/11/07(Sun) 12時頃
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お誘いありがとう。とても嬉しい。 しかし父が迎えに来るんだ。
[ 申し訳なさそうに微笑めば。 真梛の言葉と車椅子。 交互に見遣ながら、皆納得して、 ならば仕方ないと。
やがて誘いの言葉は死に絶える。 ]
(34) 2021/11/07(Sun) 12時頃
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[ 駅前のクレープ屋さん。 苺をベースにした何とかましましが美味しいらしい。 しまうまの一種だろうか? 楽しそうにはしゃぐクラスメイトに手を振って。 真梛も帰路につく。
メッセージを送るのは苦手だから。 迎えの合図は、スマホのコール音。 真梛からの着信を受ければ、父が迎えに来る。 わざわざ仕事を抜けてまで。 今日も真梛は誰かに迷惑をかけて生きている。 ]
(35) 2021/11/07(Sun) 12時頃
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[ 校門に着くと、スマホを取り出す。 そろそろ連絡をしないと行けない。
…… なのに思ってしまった。
ここで真梛が一人でも帰宅できると。 父に示す事ができたなら。 物事は良い方に転がるのではないか、と。 ]
(36) 2021/11/07(Sun) 12時頃
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[ 無言でスマホを鞄にしまう。 車輪を道路に滑らせた。
一人で進む道は、広く。 空はどこまでも青く透き通っていた。 小学生でも当たり前のように出来る事を。 真梛は始めて行うのだ。 胸の鼓動が近かったのを、覚えている。
これは真梛が2度目≠ノ行った。 悪い事の話だ。 ]**
(37) 2021/11/07(Sun) 12時頃
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── 現在・教室 ──
なっちーん、こっち向いて。 路子だよーこんにちは。 なっちん、ゆきうさ大福買ってきてくれた? チャット、無視しないでよー
[ スマホをその手に返そうとしながら、 震えるなっちんにそんな言葉をかけていた。
気づけば、りのきちやまなちも心配そうに、 それぞれに手を差し伸べている。]
(38) 2021/11/07(Sun) 12時半頃
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[ チャイムが鳴る少し前。 あたしはゆきうさ大福を食べた。 真梛ちゃんに差し出した一口分は、 無事真梛ちゃんの口の中に収まって、>>26 莉希ちゃんに差し出した残りの1個は、 断られちゃった。>>20 だから、あたしが食べたゆきうさ大福は1個半。
だけど、口の中に広がった優しい甘さを、 あたしはすぐに忘れてしまった ]
(39) 2021/11/07(Sun) 12時半頃
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[ なっちんを取り囲むように、 女の子数名が教室内を歩いた一方、 入れ違うように扉に向かう男の子。>>18
扉を開く音とともに、 先ほどから漏れ聞こえていた音が大きくなる。
息を吞む音。人が動揺する気配。 やっぱり何かがおかしかったのだ。 ハルミチーがこぼした声にそう思い、>>18
極めつけに、おすみが言った。>>25 文化祭? ああ、音への既視感はだから──、]
(40) 2021/11/07(Sun) 12時半頃
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―― 現在・8:50の教室 ――
[ 体の震えが止まらない。 落ち着いてって路子ちゃんの声がする。>>13 莉希ちゃんが背中をさすってくれる。>>23 真梛ちゃんも。>>29
みんなあたしを心配してくれてる。 だったら、あたし、落ち着かなくちゃ。 迷惑なんかかけちゃいけない。 あたしは元気で明るくて悩みなんかなくて ]
落ち、着け……ない、よ。
[ だけど、無理だった。 そんなの無理。できない。 だって。だって。だって ]
(41) 2021/11/07(Sun) 12時半頃
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[ ──── え? ]
(42) 2021/11/07(Sun) 12時半頃
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[ わたしもそちらを振り返る。 開け放たれた教室の扉の向こう側に、 四角く切り取られた文化祭が覗いている。]
あらー……、これは。
[ そんなことしなくたって、 見誤るはずもなくそれはあの日の光景だけれど、 一瞬ぽかんと開いた口をまた閉じて、 わたしはきゅっと目を細めてそれを凝視する。]
(43) 2021/11/07(Sun) 12時半頃
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……緊急、というか。 異常事態だったねー
[ とぼけた言葉を漏らしながらも、 頭の中で説明をつけようとしてみるけれど、 困ったな。とてもじゃないが追いつかない。
よいしょとわたしは立ち上がり、 教室の中をぐるりと一周見回した。
そこにまだみんながいたのか。 何人かは飛び出していったかもしれないが。]
(44) 2021/11/07(Sun) 12時半頃
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だって、これ、遺書じゃん! そんなのもらって落ち着けないじゃん! 真梛ちゃん、これ、スパムなんかじゃないって! だってスパムだったら、踏ませるためのリンクとか あるはずじゃん! [ 頭ではわかってた。真梛ちゃんはスマホに詳しくない。 リンクがどうとか言ったって、きっと真梛ちゃんには わからない。 責めるような言い方したいわけじゃないのに。 あたしには、人を気遣う余裕がない ]
ね、ねえ、こういう時ってどうしたらいいのかな? やっぱ警察? 遺書が届いたって言ったら調べてくれるもんなのかな? ねえ、どうしたらいい?
[ 路子ちゃん。莉希ちゃん。真梛ちゃん。 あたしを囲む3人の顔を、縋るようにかわるがわる見る。 その視界の端で、荒木君が教室の扉を開けて>>18 ]
(45) 2021/11/07(Sun) 12時半頃
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――――ヒッ。
[ 廊下の向こうに見えた景色。 流れ込んでくる音楽。 意味が分からない。見たくない。聞きたくない。 いやいやと首を振って、路子ちゃんの腕をつかんだ ]
ろこ、ちゃん。 緊急事態って……これ?
[ 体の震えは止まらない ]*
(46) 2021/11/07(Sun) 12時半頃
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みんな落ち着いてー
残念なお知らせなんだけど、 職員室には誰もいなくて、 電話もつながらなかったんだー ……圏外なのは復旧したのかな。
だから、もう帰ってもいいかなって。 みんなに相談しようと思ってたの。
[ 以上、委員長からの現状報告でした。
口調ばかりはのんびりとしたまま、 これでも頭の中は結構混乱している。]
(47) 2021/11/07(Sun) 12時半頃
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……にしてもこれは、 ちょっと現実感がないなあ。
校舎が一瞬で様変わり、かー しかし文化祭とはまた、 ずいぶんおあつらえ向きですなー ……わたしたちに。
[ さてどうしたものかと、 腰に手を当てて考えを巡らせながら。
次に取るべき行動を模索するも、 こぼれ落ちるのは感想じみた言葉ばかりだ。*]
(48) 2021/11/07(Sun) 12時半頃
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七星拳 ナツミは、メモを貼った。
2021/11/07(Sun) 12時半頃
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── 回想:それ以外は食べる係 ──
成程。 では、目玉焼きは私が担当しよう。
[ おそらく他愛もない日常会話だった。>>0:523 深く踏み込む事も、広げる事も。 真梛には求められてはいない類の。
…… しかし真梛は残念ながら。 少々空気が読めないきらいがあるので。
たん、と。 動かないはずの足で床を叩き。 ほんの一歩だけ。君との距離を詰める。 ]
(49) 2021/11/07(Sun) 12時半頃
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私の足は動かないが。 手は動くから、卵の殻は割れるんだ。
しかし、それ以外。 潰してもいい料理は、和歌奈だな。
卵焼き。茶碗蒸し。プリン。卵かけご飯 ……
[ 折った指はすぐ足りなくなった。 たくさんあるなと笑って。 ]
(50) 2021/11/07(Sun) 12時半頃
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作れる物が多すぎて。 これでは君ばかり負担になってしまう。
[ 分担を見直す必要がある。
喫茶店メニューに目玉焼きはないし。 そもそも真梛は調理担当ではないが。
真剣な顔で呟くと。 試作メニューをぱくりと口に放り込み。
美味しい、と笑った。 ]*
(51) 2021/11/07(Sun) 12時半頃
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── 現在・教室 ──
[ 落ち着けない。 なっちんがこぼしたのは本心なのだろう。>>41
震えのやまない体をさする手を足すでもなく、 わたしがかけたのは日常めいた言葉だ。>>38
けれど彼女はそれでも叫んだ。 遺書、となっちんが言うそれを、>>45 わたしはまだ見ていない。
だから、肯定も否定もできないはずなのに、 わたしは調子を変えずに言葉を紡ぐ。]
(52) 2021/11/07(Sun) 12時半頃
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