16 魔界のミッドウィンター祭【R18】
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きみは自らの正体を知った。さあ、村人なら敵である人狼を退治しよう。人狼なら……狡猾に振る舞って人間たちを確実に仕留めていくのだ。
どうやらこの中には、村人が4人、人狼が1人いるようだ。
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ねえ。見て見て。パン持ってきたんだ。 みんなにはナイショだよ?
(0) 2021/12/14(Tue) 23時頃
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― 万魔殿中央広場 ―
[魔王の居処に相応しく、万魔殿の装飾は禍々しくも豪奢である。 この日はなお一層麗々しくも奇妙に飾り立てられていた。
中でも目を引くのは、広場の中心に立つツリーであった。 白骨のような枝を方々に伸ばす木の枝先には、前夜祭で捕獲した天使たちが飾り付けられていて、仄かな光を周囲に投げかけている。 他にも肉や酒瓶なども吊られており、欲しいものは肉でも天使でも好きに取っていって良いということになっていた。
祭の会場内では、他にもそこかしこで食べ物や酒が振る舞われ、集まった魔物たちで大いに賑わっている。 出される食事を楽しむ者、連れてきた人間を着飾らせて見せ合う者、淫らな行為に耽る者など、楽しみ方もそれぞれだった]
(1) 2021/12/14(Tue) 23時半頃
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[会場が十分に温まってきたころ、魔物らの海を割るようにして、巨大かつ魔界風な華麗さを備えた戦車が人間たちに牽かれて現れた。 頂きに座すのは、黒髪の青年を傍らに侍らせた魔王である。
ざわめきが引いていき、一瞬訪れた沈黙を魔王の声が貫いた。]
魔界の者らよ。 大いに楽しめ。
[簡潔な宣言に会場がわっと沸く。 かくして、魔界のミッドウィンター祭が賑やかに始まった。*]
(2) 2021/12/14(Tue) 23時半頃
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肉屋 ニールは、メモを貼った。
2021/12/14(Tue) 23時半頃
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[天使たちを眺めていれば、他と違う動きをする光に気がつく。 魔物に捕らえられた天使に近づき、救い出すのではなく止めを刺す。 その光の行く先々でいくつもの光が砕けて散っていた。
首を傾げながらしばらく見ていたが、やがてのそりと動き出す。 一瞬、視線が交わった気がしたから。
柔らかな毛先から細かな光の粒を散らしながら駆け、珍しい天使の方へ近づいていく。]
(3) 2021/12/15(Wed) 00時半頃
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[折しも、別の天使が魔物に捕らえられたところ。
目当ての天使が槍を振るう瞬間を襲おうと、タイミングを計り、牙並ぶ口を開いて跳躍した。*]
(4) 2021/12/15(Wed) 00時半頃
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[ 輝ける天使たちは群れで情報共有することにより、どこで何が起きているか把握している。
魔王の元で意気軒昂な魔性たちを相手にして、楽観できる状況では決してなかった。 むしろ潰走と呼ぶべきなのかもしれないが、天使たちから悲嘆の声があがることはない。 鏡のような高潔さで、恬淡と、なすべきことを果たしてゆく。
忌避すべきは消滅ではなく、魔性に取り込まれることだ。 それだけは許されない。]
(5) 2021/12/15(Wed) 08時半頃
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[ ますます混沌の様相をきたす狩場で、執行者が手を下すべき天使は増えていた。
光をまとう獣が接近してきた時もまた、囚われた天使に槍を振うところであった。 今しも、その槍によって砕け散らんとする天使からの情報により、迫る危機を知る。 だが、向き直るには遅すぎた。
そのまま満身創痍の同朋を光に還し、素早く槍を引いて、石突を新たな脅威に対する牽制として繰り出す。*]
(6) 2021/12/15(Wed) 08時半頃
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[狙いをつけた天使が槍を振るう。 直後の間隙を狙ったが、相手は石突きを繰り出してきた。 思った以上に反応が良い。
嬉々として、すり抜けるように石突きを躱し、横から槍に噛みついた。 食らいついたまま体を回転させ、槍を奪おうと、あるいは天使の体勢を崩そうとする。]
(7) 2021/12/15(Wed) 12時頃
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[任務に就いている天使が意思も感情も持たないような動きをすることは知っていた。 だが、集団から切り離されて個となればどうなるか。 以前、魔物に飼われて淫蕩に育った天使を見たことがある。
この天使はどうなるだろう。 同族を始末することを役目としているらしきこの天使が、自らの意思を表に出したならば、何を言うのだろう。
この珍しい獲物を持ち帰り、じっくり確かめてみたいという欲の大半は、好奇心でできていた。*]
(8) 2021/12/15(Wed) 12時頃
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━万魔殿中央広場━
ああ、なるほど……。
[ツリーに飾られた光こと天使達を見て、フェルゼは一人頷いた。天界との境で狩られた獲物というのが、おそらくあれなのだろう。食べ物や酒瓶なども吊られている欲の塊のようなツリーの中で、天使の神々しい光は異様に目立った。]
……いや、天使も欲の一部なのか。
[光の一つを三人がかりで引きずり降ろし、その光を穢そうとしている様を見かけて、フェルゼは肩をすくめた。]
(9) 2021/12/15(Wed) 13時頃
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さあ、ご覧ください。異教の神の使いが沢山飾られていますよ。
[先程見たものは無視してツリーの上の方を指差すと、ベルトに吊るしたガラス瓶に入れてある魂がやいやいと騒いだ。]
いえ、貴方を同じ目に遭わせるぞという意味ではなく。まあいいじゃないですか綺麗でしょう?
[瓶に入っているのは、例の御神木の魂だ。神社から一歩も動かぬと言って聞かなかったので、力ずくで刈り取ってきた。冥府に寄る時間がなくなったので、そのまま連れてきたという次第。]
(10) 2021/12/15(Wed) 13時頃
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何度でも言いますが、御神体を失った貴方が神社に戻っても、神格が落ちて邪鬼の類になるだけですよ。
[しかも相当な力を持ったものになる。いわゆる八百万の神の一柱に過ぎないとは言え、神には違いない。 強力な魔を無秩序に生み出すことは避けるようにと死神は言われているし、何よりも地上はなるべく平穏に保たなければならない。人間が、家畜達が健やかに育つよう管理するのと同じだ。]
冥府に着けば、大多数の魂とは異なる扱いをしてもらえるでしょうから、宴の間は辛抱してください。 ──ほら、魔王様にご挨拶しますから、静かにしていてくださいね。
(11) 2021/12/15(Wed) 13時頃
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[それなりに礼節を重んじる方なので、主催者である魔王の元へ行き、その巨躯の前でひざまづいて頭を下げた。]
魔王様、死神のフェルゼです。 この度はお招きいただき誠にありがとうございます。今宵は楽しませていただきます。
[ところが、魔の頂点に立つ者の気配に圧倒されたのか、御神木の魂が瓶ごとカチカチ震え始めた。]
しっ! 静かにしてください!
[小声で言い聞かせ、慌てて腰の瓶を抑える。*]
(12) 2021/12/15(Wed) 13時頃
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[ 背後へと繰り出した槍に予想外の手応えがあった。 命中したのではなく、動きを制される。
あまつさえ、槍の柄を伝ってもたらされる回転のエネルギー掬われて、体が傾ぐ。 とっさに翼を開いて立て直そうとしたが、それは大きな隙になったろう。]
(13) 2021/12/15(Wed) 21時頃
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[ 襲ってきたのは、先ほど、視界の端に入った光る獣だ。 こうして間近に見ても、その光は燐光や反射光ではなく、温かみがある。
冠のごとき角、滑らかそうな被毛。 草食動物のようでありながら、鋭い牙を持つ。
こんな創造物は知らない。
同朋を滅するのを止めようとした、という推測も成り立ったが、問いただす気はなかった。 魔性と交渉しろという指示は降りてきていない。
今は自分にできる限りのことを── 障害を排除して任務を続行しなければと、獣から目を離さずに唇を弾き結んだ。*]
(14) 2021/12/15(Wed) 21時頃
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[絨毯の上にくつろぐ魔王の前に、ひざまづく者がある。>>12 魔王は鷹揚に頷いて、挨拶に応えた。]
よく参った。 このひとときは存分に羽を伸ばすが良い。
今宵の内は死者も宴の場に留まろうゆえにな。
[付け加えられた言葉は、死神という名乗りを受けてのものだ。 確かに、目をこらせば魔物も天使も人間も、透けている連中がちらほらと混ざっている。]
(15) 2021/12/15(Wed) 23時半頃
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[魔王の足元から人間が進み出て、丁寧に会釈する。 燕尾服など着ていてもおかしくない仕草だったが、裸で首輪だ。]
『こちらをどうぞ』
[差し出した銀盆にはいくつかグラスが載っている。 中で揺れるのは、魔界や地上で産する酒の類だろう。 豊かな香りがいくつも立ち上る。]
『御腰のものは、特別な場所で保管が必要ですか?』
[震える瓶をちらりと見て、問いかける。 その視線は、案外と鋭かった。*]
(16) 2021/12/15(Wed) 23時半頃
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[揺らいだ天使が翼を開く。 魔界の空を背景に、それは目を引く美しさだった。 意識の何割かで鑑賞しつつも、噛みついた槍は未だに離さない。 立て直そうとする力に乗って、天使に肉薄する。
後脚で立てば、人間よりも大きい。 その体躯でもって、天使にのしかかろうとする。]
君を私のものとして連れ帰ろう。
[音を介さずに言葉を伝える。 見た目から連想されるような、柔らかくも深い"声" 光含んだ毛がふわりと膨らむ。*]
(17) 2021/12/16(Thu) 00時頃
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[魔王の言葉>>15に深く頷く。]
はい。良い機会をありがとうございます。 では、失礼いたします。
[一旦は静かになった瓶から手を放し、再度礼をしてから立ち上がると、魔王の従者より銀盆を差し出された。>>16 格好も中々攻めているが、それよりも魔王が人間を従者にしているらしい様子に少し驚いた。──すぐに死んでしまうだろうに。 いや、飽きが来る前に取り替えられるから案外良いのかもしれない。 それとも、何らかの術で寿命を延ばしているということも考えられるか? ついジロジロと視線を向けてから、無作法だとハッと気づき、笑顔で誤魔化す。]
(18) 2021/12/16(Thu) 00時半頃
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ありがとうございます。ではこれを。
[銀盆から真っ赤な液体の入ったグラスを手に取る。香りからワインに近いものと思われるが、生き血でも飲もうとしているようにでも見えたのか、また腰の瓶が震えだした。 すると、気の利く従者から別処での保管を提案され>>16、少し思案する。]
お気遣いありがとうございます。 そうですね……お願いします。保管場所までご案内いただけますでしょうか?
[考えてみれば、地元しか知らない世間知らずの御神木には、魔界の宴は少々刺激が強すぎるのだろう。 従者の鋭い視線には少しヒヤッとしたが、もしかすると魔ではないものを連れてきたから歓迎されていないのかもしれない。*]
(19) 2021/12/16(Thu) 00時半頃
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[ 光る獣の動きは俊敏で力強かった。 四つ足のものが立ち上がると威圧的に巨きいのだと、目の当たりにした天使は薄紫の目をわずかに細める。
獣の足の下に組み伏せられるのは御免だ。 あまつさえ、向けられた意志の声は、明確に拒否する他ないものであった。
天使は槍から手を離す。 犬にくれてやれるのは、棒だけだと。
威嚇めいて大きく羽根を広げ、飛び退って距離をとろうと図った。*]
(20) 2021/12/16(Thu) 01時半頃
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[礼節を越えて長く見つめられても、青年が動じる様子は無い。>>18 もっと舐めるように見回されたとて、同じだっただろう。 死神を眼前にしても動じぬ所作は、外見に似合わぬ年月の重みを感じさせる。 死に対して、微塵の恐れも感じていない様子も。]
『それではこちらへ』
[案内を請われて頷き、魔王に一礼してから歩き出す。 背を向ければ首輪から伸びる短い鎖が見えるだろうが、鎖の先はどこかへ繋がっているかのように宙に浮いていた。]
(21) 2021/12/16(Thu) 09時半頃
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[浮かれ騒ぐ魔物の間を、青年はすいすいと歩いて行く。 向けられる様々な色の視線は、気にする様子も無かった。
視線の内の何割かは、死神と、持ち物にも向けられている。]
『御腰のものを、おいしそう、と形容する方々もいらっしゃいますから。』
[いくつかの視線の理由を、青年はそう説明した。**]
(22) 2021/12/16(Thu) 09時半頃
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肉屋 ニールは、メモを貼った。
2021/12/16(Thu) 09時半頃
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[足の下から逃れた天使を、鼻先で追う。 得物を置いて飛び下がろうとする様子に、槍から口を離した。 単に離しただけではない。 口の代わりに手で、槍を握り直す。
瞬きひとつにも満たぬ間に、狼の体は柔毛に覆われた男の形に変化を遂げていた。]
逃がしはしない。 君は私が見定めたのだ。
[これは変わらぬ獣頭から流れるのは、今度は空気を震わせる音だ。 手にした槍を、天使の翼めがけて投擲する。 飛び立った山鳥を撃ち落とそうとする猟師のごとく。*]
(23) 2021/12/16(Thu) 11時頃
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[こちらの視線を従者が気にした様子はなく>>21、内心ホッとする。 ついて行く前に手の中の酒を飲み干し、空のグラスを適当なテーブルに置いた。苦味のある濃厚な味わいで、芳醇な香りが鼻腔いっぱいに広がった。 満足気に、ふうと口から漏れた吐息は一時的に赤く色づく。]
(24) 2021/12/16(Thu) 12時半頃
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[先を行く従者の背中を追って歩きながら、首輪から伸びる見えない鎖に気づけば、まあ便利なことだなあと思う。
そして宴の中を歩いていると、妙に視線を感じた。肩に担いだ大鎌を見ているのかと最初は思ったが、どうも違う様子だ。 だが、従者に理由を説明されて>>22納得する。]
ああ、そうか。考えてみればその通りですね。魂と接することに慣れきっていて、思い至りませんでした。
[それにしたって神の魂はレアケースなのだから、もう少し注意しておくべきだったなと少し反省する。 なお、美味しそうと見られていると聞かされた御神木の魂は、瓶の中でバッタバッタ暴れている。]
しっ、お静かに。安全な所にお連れするのですから心配要りませんよ。
[腰の瓶に向けて言い聞かせ、はあとため息をついた。]
(25) 2021/12/16(Thu) 12時半頃
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ところで貴方は、魔王様にお仕えして長いのですか? 魔界にいらっしゃるのですから当然と言えば当然かもしれませんが、私がよく目にする人間とは随分異なって見えるので、興味がありまして。
[そう、従者の背中に声をかけた。*]
(26) 2021/12/16(Thu) 12時半頃
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[会話を耳にしたらしき魂が暴れている瓶に、青年が涼しげな一瞥をくれる。 魔王様が欲しいとおっしゃったなら、一も二もなく奪いにかかるのに、と瞳の端っこに書いてあった。]
『私ですか?』
[問いを向けられて振り返り、瞬く。 魔王の付属物とみなされることはあっても、個人に興味を向けられたことは稀だったので。]
(27) 2021/12/16(Thu) 18時半頃
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