4 【突発R18】痴☆電車
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―後日談―
[女はその後、智閑線を利用することはなかった。 遠回りになっても他の手段で会社に行き、出向を終える事ができたのだが、その会社を辞めることになった。 電話の事を追求され、部長が過度のセクハラに走った結果である。 此方の失態でもあるので、部長を訴えるより自分が撤退する事を選んだのだ。
そして今は実家に住んでいる。 今日は新たな就職先への初勤務だったのだが。]
(0) 卵 2021/01/26(Tue) 17時半頃
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…………………………………ウソでしょ?
[まさかその会社に、あの日名前も知らずに何度もイかされてしまったあの男の姿があったとは。 知っていたら面接に行かなかった。 知っていたら採用されなかった。 いや。この不況の中なので本当にそうしたかは定かではない。 だがこちらもあちらも大人なのだ。 思わず角に隠れてしまったが、深呼吸。
今日から新たな仕事と生活が始まるのだ。]**
(1) 卵 2021/01/26(Tue) 17時半頃
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―後日談―
[そう、だから女はあの日の男と目の前の男とが、本当に同一人物なのかを疑う羽目になった。 むしろ係長として普通に働いている以上、あの日の仕事はあちらはどうなっていたんだろうと1日欠勤する羽目になった身としても気になってしまった。 この会社はそんなにフレックス勤務など柔軟だっただろうかと勤務規定・休暇規定を熟読してしまったりもした。
あの日以来、全く痴漢だとか体を触るだとかの気配はない。 たまに同じ電車で帰る時も、電車の揺れで体が触れることはあっても、それ以上は決して何もされず。痴漢行為なんてものはその気配すらない。>>3]
(8) 卵 2021/01/26(Tue) 20時半頃
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[そうして今日も、二人きりになっても仕事の話で終わり、真面目に仕事を終わらせた。>>4 最初のうちは多少警戒していたが、会社関係者には手を出さないのだろうと女もまた警戒を解いていた。 あまり警戒しすぎても疲れるし、仕事に集中している分には問題もなかったからだ。]
(けれど、この人は、素知らぬ顔をしてまた誰かに痴漢してるんだろうなあ…………。)
[正直とても気持ちよかった。 けれど痴漢は犯罪である。 自分が彼を野放しにして良いものかも悩みはするし、もしかしたら会社の女性の誰かだって自分と同じような経緯で関係してしまっているかもしれない。 何だかそれを思うとモヤモヤするものがある。]
(9) 卵 2021/01/26(Tue) 20時半頃
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館本係長。 ……………って、あの日の事はすっかり忘れてるんですか?
[なので、仕事が終わった後につい訪ねていた。 あの日、と一応ぼかす。]
別に、責める気は毛頭ないんですけど。
[帰宅準備を進めながら、目線は自分の荷物に向けていた。]*
(10) 卵 2021/01/26(Tue) 20時半頃
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…………ウソでしょ。
[断定的に言い切った。 本当に忘れているなら、何のことかを問われる筈。それが、忘れたとしれっと言われるなんて。 しかし互いに社会人だ。言いたくないこともあるだろう。 それなら封印するかと自問した時、彼が隣に立ち女の頬に触れた。>>11 続けられた言葉とその薄ら笑いにカッと頬に熱が宿る。]
痴漢、した事です。 痴漢は犯罪ですよ。
[だから眉を吊り上げそんな当たり前のことを口にした。 つまりは、何度も何度もそれこそ苦しくなるくらい、意識を何度も飛ばすくらいにイかされた事は責めていない。 予想外ではあったがアレは自分が望んだことでもあった。 頬に触れる手が熱い。 女の頬も負けじと熱いだろう。]
(13) 卵 2021/01/26(Tue) 21時半頃
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でも、私は忘れられなかった。 私だけ忘れられないなんて不公平だと思いました。 それに、今でも痴漢を続けているんじゃないですか。 ……………………私では何も協力できませんか。
[あの日のことが忘れられない。 けれど女は、あの日の快感を求めて電車に乗り続けられるほどにはなれなかった。 帰りにも別の痴漢に遭ったのだから、智閑線に乗り続けても彼と巡り会うなんて奇跡に近いと思ったし、その前に受ける痴漢被害の方が耐えられるかわからなかった。 だから智閑線に乗るのはやめた。 けれど目の前にあの時の彼がいる。 いるからこそ、そんな言葉を口にする。]
(14) 卵 2021/01/26(Tue) 21時半頃
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こんな偶然もあるんですから。 いつか、万が一貴方の行為が露見しないように、私に…………メインに痴漢、するとか。
[いやなにをいっているんだろう。 いやでも。 また触って欲しいとか、シて欲しいとか、ぐるぐると頭を駆け巡った結果がこれだ。]
社会的立場の為に、恋人関係を作るとか。
[いやもう何を言ってるんだろう。 つまりは、何かしらの繋がりが欲しかったのだ。 行きずりだけではなくなった相手と、また行為ができる言い訳の。]*
(15) 卵 2021/01/26(Tue) 21時半頃
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あくまで契約関係といいますか? 例えば芸の男性と結婚するみたいなものですよ。 世間的にはそうしておいてほうが良いかな、と思っただけです。
[それは彼にとっても、女にとっても。 けれど恋人は要らない、バレたこともないと豪語されればそうかと納得して強く言い募る事はなかった。 そもそもそんなことを望んでしまうのはいけない事だ。 危ういな、と自分のことを嗤いながらため息をつこうとする。 唇を撫でる指先が優しく、いやらしい。 くすぐったさを堪えて言葉を考える。 しかし、続けられた言葉にピクッと反応してしまった。
耳たぶにキスをされて首をすくめてしまう。]
(18) 卵 2021/01/26(Tue) 22時半頃
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ふあっ?! ん、……………ぁっ………。
[足の合間に彼の脚が入り込む。 最後に放たれた言葉に女は顔を赤らめながらも確かに頷いた。 眉を吊り上げてしまうのは恥ずかしさの裏返しだ。]
あなたにシて欲しいんです。 痴漢も、その先も。 ………あの日が忘れられないの。
[女の瞳に僅かに熱が宿る。 そっと相手の腕に手を添え、一度は反射で閉じた膝をかすかに開かせた。]*
(19) 卵 2021/01/26(Tue) 22時半頃
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…………、よく分かりますね、加賀さん。
[あの、表情の変わらない男の機嫌がよくわかるものだ。>>-125 それにしてもよく分からなかった。 加賀に三つ編みを褒められたと思えば、この男はアップの方が好きだという。>>-126 それに通常の触り方ではあったが、今まで決して触れることのなかった男に触れられて驚いた。それは、びくりと肩を跳ねさせたくらいだったが。]
(22) 卵 2021/01/29(Fri) 15時頃
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[そして、それからは会社の中で、仕事の合間でも痴漢が行われるようになった。 人気のない所ならともかく、人の目のある場所の時には流石に抵抗する素振りを見せたが、声を殺しながら昂って受け入れてしまうことが常になっていた。 人目がある場合、女子社員たちや加賀に体調を心配されてしまうのが地味につらかった。 しかしそれよりも、何かを察して"そういう目"を向けて来る者が増えるのもまた地味な痛苦であった。 まさか、と言う蔑みの目ならともかく、そんな女ならと。
加賀の近くにされる事。それ自体は特に異論は無かった。 無かったが、ある日の飲み会にて、熱っぽい目で見つめられ店の廊下で壁ドンされた時には焦った。 何事もなかったが、………あんなに係長に対しては気づきのある加賀が、自分たちの関係に何も気付いていないとは考えにくい気もした。 だからこそ、あまり加賀と組まない方が良いと口にしても公私混同>>-127だっただろうか。]
(23) 卵 2021/01/29(Fri) 15時頃
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[ホテルで、自宅で。 …………今は実家暮らしなものだから>>0、きっと部屋に上がってきたのは両親が結婚記念日で旅行中のある日のことだろう。 まさか親が在宅中には来なかったと思う。 来たとしたら女は「何考えてんですか?」と相手の行動を訝しんだ事だろう。
恋人ではないのだから。>>-127 けれど手放されないのを良いことに、女の方から彼から離れもしない。 自分も大概卑怯な女なのだと、女は自身を嘲る。
そんな関係が続いてどれくらい経った頃だろう。]
(24) 卵 2021/01/29(Fri) 15時頃
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[女の体調が芳しくなくなる時期が続いた。 その頃から女は、激しく体を重ねることをやんわりとだが拒絶するようになった。 そして、部長に何かを相談し始めた。
けれど表向きは、特に変わらず仕事を続けていた。]**
(25) 卵 2021/01/29(Fri) 15時頃
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[拒むことが増えてきたとある残業の日。 とうとう、男は女に触れて来る事はなかった。>>-26
それに女は少しだけ目頭が熱くなったが、それ以上何かを求める事はしなかった。
言葉にする必要はない、きっと。 それはきっと女の自己満足だ。 相手をひどい人だと思う。 けれど好きだった。嫌いにはなれなかった。 だからその日は穏やかに仕事を終えたのだろう、女の内心以外は。 表向きはただの上司と部下で良い。 それで、良い。]
(28) 卵 2021/01/29(Fri) 16時半頃
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[そうして、暫く経った頃。 女の体調が落ち着き、ゆったりとした服を着るようになった。 足元もパンプスでは無くヒールのない靴を履くようになった。
部長が誰かに、今時の若い者はと愚痴を言う。 結婚しないで産休を取ろうとするだなんて、乱れてると。
それとなく。時にハッキリと退職を勧められる。 親には叱られ泣かれ、けれど女は頑としてその選択肢を撤回しなかった。]**
(29) 卵 2021/01/29(Fri) 16時半頃
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[女は思う、奇跡は起こすからこそ奇跡なのだと。
けれど、それは本当に自分の自己満足。 だから誰にも伝えないと決めていた。 その覚悟は、今はまだ保たれている。
加賀に、相手は自分の知る人かと問われた。 ………沈黙が、答えになっていなければ良い。]
(31) 卵 2021/01/29(Fri) 18時半頃
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─ 回想 ─
[なんだか今日はとても"普通"だった。 仕事の日でも無い。普通なら互いに身体を休める日。 そんな日に呼び出されて、買い物に誘われる。>>32 それはなんだかとても不思議で、普段の淫な関係など感じられない世間一般的な光景に思えた。
それでも、その先に何があるか。 分からなくても付き合う気だった自分はどうかしていると女は内心自嘲する。 今は、……………あまり激しすぎるとよくないと聞いたから。]
(いやでも、付き合ってないのに。私たち。)
(33) 卵 2021/01/29(Fri) 20時頃
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買い物…………? ああ、それなら紅茶専門店に行きたいです。
[珈琲も紅茶も緑茶もハーブティーも、特に好き嫌いなくよく飲む女だ。 しかし今はカフェインレスの茶葉が欲しい。 そう言えば買い損ねていたと思い出して彼の横に並び、その店へと案内する。
隣に並んだとしても、こちらから手を繋ぐことのない関係だ。 迂闊に求めて、さらりと躱されることが嫌だった。]*
(34) 卵 2021/01/29(Fri) 20時頃
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─ 回想 ─
(あ、これは、………そう言う日、かな。)
[女の勘という物だろうか。 今日の触り方で何となくだが、今日は特に何もしないのではと予想する。>>35 これは悪さをしない手だろうと。 こういう事をするからより惹かれてしまう。 切り離すことができないでいる。それどころか。]
(そう言えば館本さんはコーヒー党だったな。)
[珈琲も嫌いじゃないが、今は進んでは飲まないでいる。 いつだって自分でコーヒーを淹れる彼に「こだわりの淹れ方でもあるんですか?」と尋ねたことがあった。そして、もしそれを聞けたなら試しにその方法で淹れようとしただろう。 特に何もなかったなら、要りますか?と、親のお歳暮で届いた珈琲をお裾分けしたりもした。
そんな風に、上司と部下の良好な関係はあった筈だ。]
(37) 卵 2021/01/29(Fri) 21時半頃
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専門店で買うとやっぱり美味しいですよ。 その代わり高いですけどね。 苦手だなと思っていたものが実はとても美味しかった、なんてこともありますから。
でも、今日は紅茶じゃなくてルイボスティーが目当てです。
[手が離れると少しだけ寂しさを覚えた。 けれど、気にせずに並べられた茶葉の缶を開き、その香りを比べてみる。 時には館本にどれが良いか尋ねてみたりもしただろう。
近くのカップルが、はしゃいだ声で結婚式のプチギフトを選んでいる。 ペアのカップを選んでいたり、純粋に茶葉を選んでいたりする。 そんな中に女と男もきっと溶け込んでいた。]*
(38) 卵 2021/01/29(Fri) 21時半頃
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─ 回想 ─
[給湯室で乱れたこともあった。それも、一度ではなく何度も。 本当に誰も気づいていないのか。 気づいていて素知らぬふりをしているのか。 他の男性社員と二人きりになった時、触られたこととある。それはきっと、女が裏でされている事を察されたからだ。 けれど振り切って逃げ出したし、何とか大ごとにならないで済んできている。 ……思えば、どうして彼の指先だとあんなに感じてしまうのか。]
それなら、ルイボスはカフェインレスですから普通のも買っていきましょう。 ルイボスティーと、そうですね……ダージリンなら好みも分かれないかと。
[自分用と会社用を選び、購入する。 そんな風に茶葉を買った後もふらふら、時間を潰していただろうか。 何だかとても穏やかな時間だ。 それにしてもどうして今日は気が向いたのだろう。]
(42) 卵 2021/01/29(Fri) 23時頃
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……………今日は、どうしたんですか?
[だから問おう?女が正気でいる間に。 指先に寄ってしまう前に。
今度は、先程腰に手を添えられていただけだからか。 女の方から恐る恐る手を握っていた。]*
(43) 卵 2021/01/29(Fri) 23時頃
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[恋人ごっこ。その割には、大切にされていると錯覚してしまう。 こんなにお金と時間をかけてのごっこ遊びだなんてと女は思ってしまうのだ。 自惚れてはいけない。 いつだって手を振り払われる覚悟を。 突き放されても呼吸ができるように。 素敵なひとときに心を惑わされないように。
そんな風に覚悟を重ねていても、甘いキスひとつで心が震えてしまう。 首筋を撫でられ体を撫でられ、甘く体が疼いてしまう。
それでも、今理性を保ってしまうのは。]
(46) 卵 2021/01/30(Sat) 00時半頃
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…………ごめんなさい。
[あっさりと引いてくれた手に残念なような、安堵したような複雑な心持ちだった。
どうして、この事を彼にはっきり言わないのか。 恋人でもない女が孕んだとして、喜ぶ男がどれだけいるだろう。 孕んだら産んでも良いとあの時に言っていたが、だからと言って関係性が良くなるとは限らない。 だから、産みたいから産むと決めただけだ。 そもそもまだ妊娠初期。 せめて安定期までは、と口にしないと心に決めている。 それでも冷えた声に思わず口にしたのは謝罪だった。 身形を正し、彼と少し間を開けて隣に座る。 イタリアンでもアルコールは口にしなかった。]
(49) 卵 2021/01/30(Sat) 08時半頃
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ええ、とっても。 ………普通のデートって、したことが無かったからとても新鮮でした。 また今度があれば、是非。
[此方から誘って、応えてくれるのだろうか。 そんな事をぼんやりと考えながら、女は申し訳なさを抱えつつ彼を見つめる。
その瞳の奥の好意だけは、変わってはいない。 いや、強くなっていたかもしれないのに、拒絶した。]*
(50) 卵 2021/01/30(Sat) 08時半頃
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[別に、快感に落とされなくても良いのだ。 快感に落とされてどうしようもなくそれを求めてしまってはいたけれども、女のそのスイッチを入れられなければそう女も変貌しはしなかった。 逆を言えば、そのスイッチを入れられてしまったならどうしようもなく済し崩しに堕ちてしまうのだが、それもこの目の前の彼以外では入ることのないそれだった。 けれど、女は知る。少なくとも察する。 その"今度"はきっと訪れない。>>52]
(53) 卵 2021/01/30(Sat) 09時半頃
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今度はわたしから映画にでもお誘いしますね。 好きなジャンルとか教えてください。
[けれど女はそう言葉にした。 平素であるように。まるで恋人ごっこの続きのように。 伸ばした手は添えることができただろうか。]
……………好きです、館本さん。
[そう言って、身を寄せることはできただろうか。]
(54) 卵 2021/01/30(Sat) 09時半頃
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[後日、女は言葉通り彼を映画に誘う。 その日だってもし来てくれたのだとしても行為はやんわりと拒絶し、来てくれなかったのなら一人で映画を見に行った。
加賀は、女の想い人に思い至っただろう。 他の女子社員はヒソヒソと噂話。
髪をほんの少しだけ切った。 アップの髪型をやめる気にはなれなかった。]*
(55) 卵 2021/01/30(Sat) 09時半頃
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[22w。 妊娠六ヶ月も半ばを迎え、堕胎のできない時期になった。 その頃には胎動を感じるようになり、体調も整って産休に向けて仕事を精力的に行うようになった。 腹も妊婦の身でなければ体型の割に膨れているが、まだそこまで目立つ頃では無かった。
七ヶ月を迎えるとだいぶ腹が丸くなる。 相手は誰なのかと女子社員に問われて濁した。 加賀に避けられるようになったが仕方がない。
八ヶ月。もう、妊婦である事は隠せない腹の丸さをしていた。 これ以上まだ育つのだから、臨月の頃にはパンパンに膨れてしまうんだろう。 九ヶ月の半ばから産休を取る手筈を整えている。部長は渋い顔をしていたが、どうにかもぎ取った。それは女には正当な権利と思えていた。 両親もなんとか説得した。好きな相手の子供だから、どうしても産みたいんだと。
今の会社に相手がいるのかと問われ、沈黙が答えとなってしまっていた。 それならば今の仕事を辞めるように言われたが、それについては保留した。 相手は既婚かとも問われたが、そちらの沈黙は間違った答えに行き着いたようだった。]
(56) 卵 2021/01/30(Sat) 10時頃
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