26 卒業試験の共存試験【R18ペア】
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きみは自らの正体を知った。さあ、村人なら敵である人狼を退治しよう。人狼なら……狡猾に振る舞って人間たちを確実に仕留めていくのだ。
どうやらこの中には、村人が3人、黙狼が1人いるようだ。
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皆さまお集まりありがとうございます。えー、ごほん。 この催し物、しっかりと楽しんでくださいませ。
…何があっても、文句は言いませんよう、ご了承くださいませ。
(0) 2023/07/20(Thu) 23時頃
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それでは、卒業試験を始めます。
(1) 2023/07/20(Thu) 23時頃
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[ “彼”は煙と名乗った。 無論、標的の名とは異なるが当然だ。]
俺はナルミです。 このような場で誰何を発したご無礼をお許しください、綺香の君。
[ 闇オークションが行われる界隈で本名を名乗るはずもないと、弁えたところを示す。]
(2) 2023/07/20(Thu) 23時頃
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ご懸念があれば、その知人にアリバイ確認をしては ?
[ 礼儀正しく答えているところに、ミスター煙の手が飛んでくる。 避けられなくはない速度だったが、指先の整えられた美しさと所作に見惚れた。 あまり機敏に反応して疑われてはならない、というのは、まあ、後付けの理由だ。
彼の爪がナルミの上等なスーツの布地を切り裂く。 糸がひっかかるその様に驚き、次いで笑ってみせた。]
とんだアクシデントだ。 今、解きます。
[ いずれ、彼自身を縛り上げて仕留める予兆であってほしいと妄想しつつ、煙の爪に絡んだスーツの糸を外しにかかる。*]
(3) 2023/07/20(Thu) 23時頃
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[繰り出した爪は僅かに逸れて、ナルミと名乗った彼の袖を裂く。 ほつれた糸が爪に絡んで、なぜだか縛られるのを連想した。]
ああ、これはとんだ失態を。 怪我はないかい?
[肌に届いた感触はなかったから、傷がついたとしても血が滲むほどではないだろう。 それでも気遣う言葉を唇に乗せる。]
(4) 2023/07/21(Fri) 00時頃
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[絡んだ糸を外そうとする彼の手が指に触れる。 もっと触れてみたいと思わせる手だった。 しっとりと肌に馴染むようで、温かい。]
服を駄目にしてしまったね。 お詫びに新しい服を用意したい。 ホテルに部屋を取っているのだけれども、 来てくれるかい?
[せっかくなら一歩踏み込もうと、部屋へ誘う。 これは多分、逃すと後悔する出会いだ。**]
(5) 2023/07/21(Fri) 00時頃
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[ 彼はその地位にしては謙虚なほどの気遣いをみせた。 煙は商人だと自称していたから、役柄もあるのかもしれない。 事のなりゆきを楽しんでいそうなのはわかる。]
俺は大丈夫ですが、 おっと、動かないで。
[糸を外そうとする様をじっと見られている気がした。 彼の爪は翡翠にも似て、ひんやりと滑らかだ。 戦利品にして身につけておきたいくらいだが、器用に外して一礼する。]
(6) 2023/07/21(Fri) 07時半頃
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[ 服を破いたことに対する賠償の申し出は、社会経験に乏しい自分にさえわかるほどあからさまな誘いだった。]
それは…、そこまでしていただくほどでは
[ 躊躇いをそのまま言葉にする。 だが、重ねて求められれば強硬には断らない素振りは匂わせた。 *]
(7) 2023/07/21(Fri) 07時半頃
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[絡んだ糸を外す彼の手付きは繊細で丁寧で、ずっと見ていたいと思わせる。 今からでも、もっと絡まってみたいくらいだ。
一礼した彼に誘いを向ければ、控えめな辞退の言葉が返る。 けれど、拒絶の色合いではない。 一度の誘いで承諾するのを恥とする謙遜の文化を心得ているとみた。 つまり、彼も乗り気だということだ。
……というのはこちらの欲目かもしれないが、彼からは何かしら親密さに似たなにかを感じるのは確かだった。 以前から知っているような、 会ったという以上のなにかがあるような、]
(8) 2023/07/21(Fri) 09時半頃
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構わないよ。私がそうしたいんだ。 このまま帰したとあっては、私の心が収まらない。
おいで。
[誘いの言葉と共に手を伸ばす。 柔らかな物言いの中に、拒否を認めない傲慢さも滲ませて、改めて彼を誘った。**]
(9) 2023/07/21(Fri) 09時半頃
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[ 彼の酔狂は本物らしく、重ねて誘われた。]
ならば、お世話になりましょう。
[ と答えたものの、差し伸べられた手に困惑する。]
まさか、手を引かないと迷子になるとお思いで ?
[ なかなかに揺さぶってくる人物である。 それも長としての資質なのだろう。]
(10) 2023/07/21(Fri) 20時頃
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[ むしろ、見失ったらいけないのはこちらの方ではあるのだが。
さっそく彼の部屋に入り込めるなど、ここまでうまく行っていいものかと思いはするが、接触して仕留めるという計画上、標的の好みにあわせて人選をされている自覚はある。
どうせなら手ではなく首を差し伸べて狩らせていただきたいものだとは口にするわけにもいかず、みだりに彼に触れることもしない。]
部屋に何か飲み物はありますか ? そちらで乾杯しましょう。
[ 流し目で告げて、足を進めた。*]
(11) 2023/07/21(Fri) 20時頃
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[手を取ってくれるようなことはなかったが、彼もまんざらでもない様子で同道を承諾する。 彼は彼でなにか思惑がありそうな気がしたけれども、構うことはなかった。]
捕まえておかないと、消えてしまいそうだったから、 ……なんてね。
[手を引っ込める代わりに、反対の手に持った煙管をふかす。 僅かに隠匿の魔力帯びた煙がふたりを包み込んだ。 ここは禁煙だなどと無粋なことを言う輩もいない。]
(12) 2023/07/21(Fri) 22時頃
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君に合う酒があると良いけれども。 やはりワインがいいかな。 もっと強い酒が好みかい?
[当然のように彼を先に立たせてエレベーターへ向かう。 どのみちエレベーターホールにはよく訓練されたボーイがいるから、向かう階に迷うことはない。 目的の階に着けば、フロアに常駐しているコンシェルジュが先導し、ドアを開けた。
部屋の中に入り、重い扉が閉まれば、他の者の気配はない。]
(13) 2023/07/21(Fri) 22時頃
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さて、先に脱ぐかい? それとも乾杯が先?
[聞きながらも、部屋のミニバーへ足を向ける。*]
(14) 2023/07/21(Fri) 22時頃
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この島は一種の隔絶世界──密室でしょう。 誰か消えたりしたらミステリーですよ。
俺は、どこへも行きません。 契約もありますし。
[ しがない雇われボディカードなのだと告げて、彼のふかす紫煙に苦笑してみせる。 煙の魔力に包まれた人間には、二人が消え失せたも同様とは知る由もなく。]
(15) 2023/07/21(Fri) 22時半頃
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[ エレベータに乗り、彼が滞在しているフロアに到達する。 ハイグレードな雰囲気を物珍しげに、だが怯むことなく愉しんでいる風に見渡しながら進んだ。]
乾杯の酒は、せっかくなら船乗りが愛飲したラムにでもしませんか。 ── おや ?
[ オーシャンフロントなのだろうが、しっかりとカーテンのおろされた部屋に、人間らしく首を傾げてみる。 他に誰もいないのかと探る気配を隠すのに都合がいい。*]
(16) 2023/07/21(Fri) 22時半頃
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おや。 君を雇うとは、目の肥えた雇い主だね。 機会があれば話してみたいものだ。
[雇い主から直接引き抜いても良い。 そんな意図を言葉の端に匂わせる。]
島は海よりも闇に閉ざされているようだよ。 曰くありげな品々に、魑魅魍魎もおののく参加者たち。 人間のひとりふたり消えても、驚かないよ。
[浮かべた微笑は、それこそ闇を纏う。]
(17) 2023/07/21(Fri) 23時頃
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[逸る心のままに危うく出かかった本性を収め、棚からロックグラスを取り出す。]
船乗りたちにあやかって、海を見ながらグラスを傾けたいという趣向かい? 開けてくれても構わないよ。 普段は外を見る習慣がないのでね。
[厚いカーテンが掛かったままの窓に、彼が首を傾げる。 彼が外を見たいのならと、開けるよう促した。 カーテンはそのまま日除けだったり、防諜のためだったりするけれども、煙の漂っている今ならカーテンがなくとも外からはあまり見えないだろう。]
(18) 2023/07/21(Fri) 23時頃
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地上からでも、シルエットくらいは見えるかな。 何をしているか、見せつけてみるかい?
[氷とダークラムを注いだグラスを窓際のテーブルに置き、そのまま手を彼の首筋に伸ばす。*]
(19) 2023/07/21(Fri) 23時頃
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[ 引き抜きを匂わす言葉には軽く微笑む。]
俺に似ているという知人に引き合わせたいんですか ?
商談はイベントがすべて終了するまで待ってください。 仕事は最後までやり遂げるのがモットーなので。
[ やり遂げた時には、お別れなのだけれど。]
(20) 2023/07/21(Fri) 23時半頃
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[ グラスに当たる氷の音よりも涼やかに響く煙の声に振り返る。]
外を見る習慣がない ? 風景より美術品が好きだからですか。
[ 吸血鬼の長であれば、陽光に触れる可能性のある屋外よりも奥に引き篭もって陰謀と血の饗宴を繰り広げている方が似合いであるが、そんなことは面と向かって問えないので、見当外れな憶測を述べておいた。
朝までここに居続けるつもりもないから、カーテンが開いていようがいまいが大差はないけれど、隠れてこそこそしているわけではないと主張するように、カーテンを開け放ってみせた。 シャッと勢いのいい音がする。]
(21) 2023/07/22(Sat) 00時頃
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見せつけるならあなたが脱いだ方がいいのでは ?
[ 伸ばされた彼の手を、今度は躱さず、自分の手を重ねて、首筋よりも下へと導き、スーツの合わせに沿わせる。]
それとも、採寸しているところを見せつける趣味が ?
[ 彼の手で破れた上着を脱がせるよう仕向け、でも、それ以上の手出しはしないよう見張っておく。*]
(22) 2023/07/22(Sat) 00時頃
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律儀なのだね。 良い素質を持っている。
[仕事中に鞍替えはしないと宣言した彼に賞賛の言葉をかける。 ただ、待てと言われたのは商談だけなので、他は待たないつもりだ。]
風景より美術品より、 ひとを見ている方が面白い。
これほど愛おしくて美しい生き物も他にいないよ。
[開け放たれた硝子に、室内の様子は映らない。 視界を邪魔しない、良い素材を使っている。]
(23) 2023/07/22(Sat) 00時頃
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君も、ずっと見ていたい相手だ。 さて、知人に似ていたか、行きずりの誰かか、 確かめてみるには、もう少し知り合わないと。
[導かれた手が彼の胸元に触れる。 スーツのボタンが爪に掛かって、ひとつふたつと弾け飛んだ。**]
(24) 2023/07/22(Sat) 00時頃
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ひとを観察するのが面白いとは、超越的な視点だ。 そういえば、今回のオークションには特別な出品もあるとか。
[ 水は向けてみたけれど、別段、情報収集をしたいわけではない。]
(25) 2023/07/22(Sat) 07時半頃
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…行きずりの関係も豊富のようで。
[ ちょっと道徳的にどうかという態で眉をひそめてみる。 この先の流れによっては抵抗を装って一撃を試みる算段で、タイミングを見計らっていた。*]
(26) 2023/07/22(Sat) 07時半頃
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まだ噂のレベルだけれどもね。 興味を惹かれないかい? こんな場所で取引される"芸術品"だなんて。
[水を向けられて、何とは言わずとも同意する。]
――信じるかい? 私もこの手のオークションに出品されてみた事があるのだけれど、
あれはなかなか……良かった。
[秘め事のように囁いて、声を落とした分距離を縮める。]
(27) 2023/07/22(Sat) 09時頃
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[眉をひそめた顔もまた良い。 同時に、やはりどこかで同じ顔をみた気がする。 それほど昔のことではない。せいぜい数十年かそこらの間だ。
吸ってみればすぐ思い出すだろうか。]
行きずりは嫌かい? 私も、もっと深い関係になりたいと思っているよ。
[両手を彼の肩に滑らせてスーツを開き、囁きの距離からさらに耳元へと顔を寄せる。*]
(28) 2023/07/22(Sat) 09時頃
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は ?
[ オークションに出品されたとか、そんなネタは《サンシール》も掴んでいない。 身内の余興ででもあったのかもしれないが、奇矯な長もいるものだ。
その場にいられたら良かったのに、と考えてしまったのは、任務に忠実なせいだということにしておきたい。]
(29) 2023/07/22(Sat) 19時頃
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俺に寄り道して”芸術品”を逃したら、本末転倒では ?
[ 見つめられていると思った直後に距離を詰められて、彼の唇が耳元に近づいてきた。 一般人ならキスを想像するだろうタイミングであるが、危ないと思ってしまうのは一種の視点漏れか。]
あ…、
[ 成り行きに驚いてみせる声で、彼を押しのけるようとする所作のうちに、彼の首筋への一撃を挟む。*]
(30) 2023/07/22(Sat) 19時頃
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[出品された話は彼の意表を突けたらしい。 驚いた顔を引き出せて嬉しい。]
なにが寄り道か本命かは分からないものだよ。 飾り物より実用のものに美しさを感じることもある。
おっと…
[耳元で囁くのを、彼の手が押し戻そうとする。 その動きのなかに鋭いものを感じ取って、反射的に守りの手を上げていた。]
(31) 2023/07/22(Sat) 22時頃
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[彼の手刀を手首で受ける。 柔らかく引いて衝撃を殺したが、なお骨に響くものがあった。]
いいものを持ってるね。 ますます欲しい。
[その一撃を賞賛しながら、彼の手首を掴みにかかる。 スーツごと後ろ手に押さえ込んで、襲ってしまおうという目論見だ。*]
(32) 2023/07/22(Sat) 22時頃
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[ 繰り出した手刀は彼の首を狩る前に防がれた。
ああ、それでこそ。
これまではデータ上でしか把握していなかった標的の実力を示されて、いっそ歓喜を感じるほどだ。 飄々とした人誑しなだけではない、全身全霊を賭すに足る相手。]
(33) 2023/07/22(Sat) 23時頃
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[ いいものを持っていると評する彼の声には驚きも怒りも感じられなかった。 攻撃したことに対する弁明をするより、まともに抵抗した方がうまく流れに乗せられそうだと瞬時に思考を切り替える。 ]
欲しがられても、あなたのように美麗で文武両道な若い金満家を満足させるものなど差し出せませんから。
── 離してください。
[ 人間として怪我をしない範疇で彼を振り払おうとする。 スーツの方はさらに裂けたけれど、構わなかった。*]
(34) 2023/07/22(Sat) 23時頃
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[手刀を受けた瞬間、彼の瞳に喜びのようななにかが走るのを見る。 彼は触れあうほどぶつかり合うほどに心を開いていくタイプの人間だろうか。
なら、持って回った駆け引きよりも、直接押した方がいい。 身体に心が付いてくることもある。 きっと彼もそうだ。]
(35) 2023/07/23(Sun) 00時頃
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[彼が人間の範疇を守って動いていることなどつゆ知らず、こちらは徐々に本性を顕しつつあった。 抵抗されればなおさら燃え上がるというもの。]
謙遜することはないよ。 君の存在そのものが私の興味を引いてやまない。
金満家らしく金で買ってもいいのだけれど、 君はお気に召さないだろう?
もっとわかりやすい方にしよう。
[思わぬ強さで振り払われて、彼を捕まえ損ねる。 代わりではないけれど、スーツの袖を引きちぎった。 もはや修復不可能なそれを捨てて、微笑む。]
(36) 2023/07/23(Sun) 00時頃
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ますます君が欲しくなってきた。
[風を巻いて彼の横へと回り込む。 そこからシャツの襟に手を伸ばした。
ついでにそれも引き剥いでしまおうと。*]
(37) 2023/07/23(Sun) 00時頃
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[ 蜥蜴のしっぽのようにスーツの片袖を残し、煙の手から逃れることができた。 魔物の技を使ってこないあたり、逃してもらったと言うべきなのかもしれないが、一般人には預かり知らぬこと。]
あなたが気になっているのは、俺ではなく、うろ覚えの自分の記憶ですよ。 欠落した真実を見つけたら、俺のことなど忘れてしまうに決まっている。
[ 言い置いて、決然と出口を目指したが、尋常ならざる速さで回り込まれた。]
(38) 2023/07/23(Sun) 00時半頃
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── …っ
[ 自分も吸血鬼だから、その動きを捉えられないわけではないけれど、人間にしてみたら彼が瞬間移動してきたにも等しいだろう。
驚愕した態で身を退けば、彼の指がかかったシャツのボタンが弾け飛ぶ。]
(39) 2023/07/23(Sun) 00時半頃
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一体 どうやって?!
[ 警戒もあらわに腰裏のホルスターから消音銃を抜き、襲撃者が立っていたと思しきあたりに3発撃ち込む。*]
(40) 2023/07/23(Sun) 00時半頃
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[人外の技に驚愕を見せつつも、彼の行動は果断だ。 いきなり撃つあたり、荒事にも慣れている。 果断な彼もまた愛しい。
人間の速さであれば、相手の指が引き金に掛かるのを見てからでさえ簡単に躱せる。けれども彼の思いをすべて避けるのも惜しい気がして、右の掌で1発受けてみた。
とはいえ拳銃弾程度、当たったところで痛くもない。 聖性付与されていれば話は別だけれども。]
(41) 2023/07/23(Sun) 01時頃
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過去がどうあれ、今の君に記憶は塗り替えられているよ。 今宵出会う為に、これまでがあったのだろう。
忘れられない夜にするとも。
[銃弾を受けた後はそのままに、ボタンの糸が絡んだ爪を自分の唇に乗せる。 舌先と唇で糸を啄み、ぷっと吹いて飛ばした。
そして、改めて彼を手に入れるべく、ゆったりと歩み寄る。*]
(42) 2023/07/23(Sun) 01時頃
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[ 本性を表した以上は、余裕で透過されると思っていたけれど、1発命中したらしい。 とはいえダメージは通らず、彼のご機嫌もそのままだった。]
痛くないのか ? あなたは何者だ── 煙
[ 歯を噛み締め、悔しげにその名を呼ぶ。]
(43) 2023/07/23(Sun) 05時半頃
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[ 彼は芝居かがった仕草で、爪に絡んだ糸を外し、歩み寄ってくる。]
俺は乾杯と、スーツの交換しか了解していない。
[ なおも口説いてくる彼を睨みつけ、精一杯の強がりを見せている人間らしく、お守りのように銃を両手で構えて銃口を向ける。]
(44) 2023/07/23(Sun) 05時半頃
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[ 今の彼なら、ボディガードごときの拳銃弾に撃たれてもどうということはないと、油断していることだろう。 そう仕向けたつもりだ。
すべて段取り通り。
人外の魔物に迫られた人間のなけなしのあがきに見せかけて、胸といわず顔といわず、全弾、叩き込む。 見せ球の後の弾丸は《サンシール》特製である。霧化して透過することはできないはず。
思いの丈を食うがいい。*]
(45) 2023/07/23(Sun) 06時頃
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私かい? ただの商売人だよ。今はね。
[悔しげな彼の表情にもそそられるものがあった。 もっといろいろな顔を見たい。 欲望に忠実に、真っ直ぐ彼を求めて歩み寄る。]
スーツを交換するなら、他もすべて合わせるべきだろう? まずはすべて脱いでもらわないと。
[戯れ言と本気の半々くらいでそんなことを言う。 もちろん脱いだら当然すべきこともあるけれど。]
(46) 2023/07/23(Sun) 09時半頃
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[銃口を向けられても、脅威には感じなかった。 先ほど受けた弾も、今は抜け落ちてどこかへ行っている。 だから、引き金に掛かった指に力が入った時にも、顔の前に手を翳しただけだった。
けれども、初弾が胸を射貫いた瞬間、認識が覆される。 衝撃と痛みが身体を叩き、思考が驚愕で硬直する。]
……っ
[それでも反射的に闇の衣を展開したが、銃弾は薄い守りをも貫いてきた。]
(47) 2023/07/23(Sun) 09時半頃
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――ああ …
[何発もの銃弾を受けてよろめき、膝を落とす。 俯いた口から嘆息のような声が零れた。 硝煙と血の匂いが混じり合って嗅覚を満たしていく。*]
(48) 2023/07/23(Sun) 09時半頃
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[ 歩み寄ってきた煙が、至近距離で発射された特製弾丸を喰らい、よろめいて膝をつく。
溢れたその血だけでも欲しがる者は数多いるはずだ。 だが、ナルミの成功はまだ先にある。
彼に恨みはない。 むしろ惹きつけられてやまない存在で── 殺すことでしか自分のものにはできない。
その認識ばかりは、吸血鬼の伝統に合致するのだろう。]
(49) 2023/07/23(Sun) 11時頃
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[ ここからは彼の再生能力との勝負だ。 訓練された無駄のなさで、ナルミはベルトのバックルに手をかけ、しなる金属板を引き抜く。 一度弾けば、薄く細い刃となって、ナルミの手に収まった。
ここからは、射撃武器など使わない。
── 欲しい。
眼差しだけで告白し、ナルミは、片手で頽れた煙を支えるようにしなから、もう一方の手で彼の首を狩りに行く。*]
(50) 2023/07/23(Sun) 11時頃
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[薄い刃を手にした彼が、触れあう位置まで近づいてくる。 先ほどの無力な人間の姿は欠片もない。]
それがおまえの本質かい?
[上げた顔もまた赤く染まっている。 頬を抉った銃弾が眼鏡を弾き飛ばし、炯々と赤く光る瞳を露わにしていた。 流れた血に、背を支える彼の腕に興奮している。 欲しいと告げる彼の眼差しに、血が燃え立つよう。]
(51) 2023/07/23(Sun) 13時頃
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[視線が絡めば、すなわち邪視へと繋がる。 相手の動きを止める凝視が、完全に効かずとも良かった。 ごく短い間でも、彼の動きを止められればそれでいい。
自ら狩られやすくするかのように首を伸ばして彼に顔を寄せる。 警戒されるだろう首筋ではなく、唇を求めた。 牙を掛けて浅く裂いてしまう心づもりで。
同時に、刃を握った彼の腕に不可視の力を向けた。 片手間の技だったから魔物相手では振り払われるだろうが、時間は稼げる。*]
(52) 2023/07/23(Sun) 13時半頃
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